人気ブログランキング |

カテゴリ:心房細動:左心耳デバイス( 19 )

左心耳閉鎖デバイスWatchmanはQOL改善効果あり

JACC 3月7日付オンライン版より

Quality of Life Assessment in the Randomized PROTECT AF Trial of Patients at Risk for Stroke with Non-valvular Atrial Fibrillation ONLINE FIRST
J Am Coll Cardiol. 2013;():. doi:10.1016/j.jacc.2013.01.061


【疑問】左心耳閉鎖デバイスWatchmanはQOLを改善するか?

P:非弁膜症性心房細動、CHADS2スコア1点以上の707人

E:Watchman植え込み361人。ワルファリン45日投与後、クロピドグレル4.5ヶ月+アスピリン終生

C:ワルファリンのみ186人。TTR66%

O:SF12-V2を用いたQOL評価(ベースラインと12ヶ月後)

【結果】

1)身体全般改善度
   Watchman群:改善34.9%vs. 不変29.9%
   ワーファリン群:改善24.7%vs. 不変31.7% (p=0.01)

2)精神健康面改善
   Watchman群:33.0%
   ワーファリン群:22.6% (p=0.06)

3)Watchman群12ヶ月後;全般改善度、身体機能、身体制限度において対照群より明らかに改善

4)Watchman群ではワーファリンナイーヴケースのほうが12ヶ月後のワーファリン群に比べての身体改善度が大きい

【結論】Watchmanデバイスはワーファリンに比べて12ヶ月後のQOL改善度が優れている

### グラフを見ると、ワーファリンではQOLがかえって悪化しているように読み取れます。これはまあ当然と思われますが、Watchman群で改善した例は1/3程度で、それほど劇的には改善していないようにも思えます。

ただし感情的な面において改善が認められる点は大きいと思われます。
左心耳閉鎖デバイスの強みは、塞栓症のみならず抗凝固薬の出血リスクからも開放される点だと思われます。まさに一挙両得です。
この事から得られる精神的開放感は計り知れません。

日本人のメンタリティーとして、あのような大きな金属製デバイスが体内に入ることに対して精神的には結構影響するのではないかと思われます。

日本の大塚俊哉先生が施行されている胸腔鏡下左心耳切除術であれば、そうした点もクリアされているのではないかと期待されます。
http://dobashin.exblog.jp/17381555/

PROTECT AF試験のブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/17206624/
by dobashinaika | 2013-03-26 20:37 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(1)

第77回日本循環器学会2日目見聞記(2):心房細動に対する切らない”外科手術

本日午前中は、今個人的に最も注目している治療法である、胸腔鏡下心房細動治療に関する発表を聞きました。(FRS-045)

演者の都立多摩総合医療センター心臓血管外科・大塚俊哉先生(大学の1年先輩であることが最近発覚)の術式はすでにJACCで発表され当ブログでもご紹介いたしましたが、完全胸腔鏡下で、左心耳を切除する方法で、これにより左心耳血栓形成の防止及び抗凝固薬からの解放を目的とするものです。
http://dobashin.exblog.jp/17381555/

・心外膜からの肺静脈隔離+神経叢除神経+左心耳切除(A群88例)と左心耳切除のみ群(B群30例)で比較
・B群はVAScスコア平均5.5点で、血栓塞栓症既往例。21例は血栓塞栓症直後の切除。20例はワーファリン不適例
・手術関連死、大きな合併症なし
・A群のAFフリー率77%(1年)、B群は全例抗凝固薬中止後塞栓症なし(平均21カ月)

### とくにB群の手術時間平均38分!というのに、個人的には驚嘆いたしました。これは、ひそかに画期的治療だと思うのです。塞栓血栓症で悩んでいた人が合併症なし。塞栓症なし。抗凝固薬なしの世界に突入できるわけです。抗凝固薬フリーとの内容に対する家坂先生(座長)のcongratulations!の言葉に拍手が沸き起こったのもうなづけると思います。

いまのところ、塞栓症の既往があり、ワーファリン不適例や高リスク例に施行されていますが、将来、症例が蓄積されれば、CHADS2スコア低値例やいわゆる孤立性心房細動へと適応拡大が見通せると思うのです。特に抗凝固薬フリーということになれば40代、50代の方で、今後数十年抗凝固薬を飲まねばならない人にとって、左心耳だけ切ってしまって、塞栓症と出血リスクからの早めの離脱が期待できるかもしれません。

A群の治療法ももっと進化すればイベントフリー率のさらなる向上の可能性が考えられます。すくなくともカテーテルアブレーションに匹敵あるいは上回る成績が期待できるのでないしょうでか。
ある意味、アブレーションクラスタにとっても脅威になってくるかも知れません。

WATCHMANデバイスの有効性、安全性がしっかり確立されておらず、日本での見通しなど全然立っていないのに対し、すでに何十例もやられているのです。

実は、セッション後,長時間にわたり大塚先生とお話しさせていただく機会を得ることができ、今後も大変将来性の高い手術であることがよく理解できました。その詳細は企業秘密に近いようなので(笑)ちょっと明らかにはできませんが。
とにかく心房細動になったら、VAScスコアを適応する場合65歳以上で全例抗凝固薬ですし、そうでなくても50代くらいで高血圧(まさに私がそう)でも抗凝固薬です。その前にその元を断つ。‐まさに根治療法だと思うのは私だけではないはずです。

今のところは適応は限定されていますので、今後どのような症例に適応すべきかという点や長期成績、技術の普及など懸案事項はありますが、同時に期待すべきポイントでもあります。
術式の紹介はこちらの都立多摩総合医療センターのホームページで
http://www.fuchu-hp.fuchu.tokyo.jp/medical/shinzou_geka_g1.html
by dobashinaika | 2013-03-16 23:32 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(1)

胸腔鏡下左心耳切除術の効果と安全性:JACC誌より

JACC 2月20日付けオンライン版より

Thoracoscopic Stand-Alone Left Atrial Appendectomy for Thromboembolism Prevention in Nonvalvular Atrial Fibrillation
doi:10.1016/j.jacc.2013.01.017


【疑問】非弁膜症性心房細動に対する、胸腔鏡下左心耳摘除術塞栓予防効果と安全性は?

【方法】
・対象:血栓塞栓症の既往のある31例(平均年齢74歳)
・21例(平均75歳、CHA2DS-VASc4.5点)で緊急にワルファリンに変わる治療が必要
  ➢出血合併のため服用不適:13例
  ➢INR管理困難:7例
  ➢ワルファリン減量後のTIA:1例
・内視鏡的カッターで胸腔鏡下に左心耳切除
a0119856_19713100.jpg

【結果】

・手術時間平均32分。小開胸へのスイッチ:1例

・死亡例なし。重大合併症なし

・3ヶ月後、3D-CTで左心耳完全切除を確認

・追跡1〜38ヶ月(平均16ヶ月)

・1例死亡(乳がん)

・抗凝固薬中止にもかかわらず、血栓塞栓の再発なし

【結論】胸腔鏡下のスタンドアローン左心耳切除術は、安全であり、外科医にとって簡潔で完全な左心耳手術が可能となる。さらなる研究必要。

### 東京の都立多摩医療センターからの報告です。Stand-aloneとは、他の手術のついでにするのではなく、左心耳手術それ自体を目的とした手術という意味だと思います。

手術時間30分、合併症なし、抗凝固療法から開放される、となればWatchmanなどのカテーテルデバイスより、こっちのほうがいいなあとも思います。
もちろん全身麻酔ですし制約は多々あると思いますが。

でも、年間1%の脳出血リスク(NOACはもっと低いが)を背負い、納豆を食べず(ワルファリンの場合)、腎機能低下を気にして(NOACの場合)、それでも脳塞栓になるリスクは消えない、抗凝固療法より、いっその事スパっと切ってしまったほうがいろんな面から良いのでは、と思わせる論文です。特にスコア高点数のには。これからランダマイズ試験をしてほしいものです(日本では無理か。。)。
by dobashinaika | 2013-02-27 19:08 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(3)

左心耳閉鎖デバイスWatchmanはワルファリンに劣らない効果あり:PROTECT AF試験より

Circulation 1月 16日付けオンライン版より

Percutaneous Left Atrial Appendage Closure for Stroke Prophylaxis in Patients with Atrial Fibrillation: 2.3 Year Follow-Up of the PROTECT AF Trial
doi: 10.1161/ CIRCULATIONAHA.112.114389


疑問:左心耳閉鎖デバイス(Watchman)はワルファリンに比べて脳卒中予防効果はどうか?=PROTECT AF試験

P:非弁膜症性心房細動、CHADS2スコア1点以上の707人

E:Watchman植え込み463人。ワルファリン45日投与後、クロピドグレル4.5ヶ月+アスピリン終生

C:ワルファリンのみ244人。TTR66%

O:一次有効性エンドポイント=脳卒中、全身性塞栓,心血管死。
一次安全性エンドポイント

T:ランダム化比較試験,ITT解析

結果:
1)一次有効性エンドポイント:Watchman群3.0%、ワルファリン群4.3%。RR0.71.95%CI 044-1.30%/年

2)この値はワルファリンに対するWatchmanの非劣性を示す(probability of non-inferiority > 0.999)

3)安全性エンドポイント:Watchman群5.5% vs. ワルファリン群3.6%。RR1.53

結果:“局所的”抗凝固戦略(=左心耳閉鎖)は、”全身的“戦略のワルファリンに非劣性を示した。PROTECT AF試験は、心房細動脳卒中の病因としての左心耳が関与することを初めて示した。

###Watchmann関連のこれまでのブログは以下です。
http://dobashin.exblog.jp/14764969/
http://dobashin.exblog.jp/11960235/

中間結果(1年追跡)はLancetに2009年に発表されており、今回その続報かと思います.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19683639?dopt=AbstractPlus

安全性がまだ、やや問題が残る感ありですが。
by dobashinaika | 2013-01-24 23:19 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(0)

神の残したいたずら「左心耳」を結紮するデバイス"LARIAT"の臨床成績

JACC 10月10日オンライン版より

Percutaneous Left Atrial Appendage Suture Ligation Using the LARIAT Device in Patients With Atrial Fibrillation
Initial Clinical Experience
doi:10.1016/j.jacc.2012.06.046


左心耳結節デバイス“LARIAT”の臨床成績

【方法】
・対象:経皮的左心耳結紮デバイス”LARIAT”により左心耳結紮術を行った心房細動89例
・LARIATは左心耳の上から心外膜経由で、予め結んである縫合糸とスネアからなる
・左心耳結紮は経食道エコーと造影により、直後、1日度、30日後、90日後、1年後に行われる。
a0119856_2391834.png


【結果】
・成功率;85/89人96%。81人は直後に結紮完成。

・3人で2mm以下の残存リーク。1人で3mm以下のジェット

・合併症
 ➢デバイス由来の合併症なし
 ➢アクセル由来の合併症:3例
 ➢重症心膜炎;2例
 ➢遅発性心嚢液:1例
 ➢原因不明の突然死2例
 ➢塞栓とは考えられない遅発性脳卒中:2例

・長期成績:経食道エコーによる評価での左心耳閉鎖率
 ➢1か月後:81/85、3ヶ月後:77/81。成功率95%
 ➢1年後:98%(リーク例3例含む)

【結論】LARIATによる左心耳縫縮術は、効果的であり、アクセスに伴う合併症と周術期有害事象は許容出来る程度。

### 左心耳閉鎖デバイスには、すでに大規模に治験が行われているWatchmanがありますが、こちらのLARIATはなんと心外膜からアクセスして、左心耳を外からスネアで結びあげてしまうという大胆な発想のデバイスのようです。

13名のヒトに応用した研究は既にブログに書きました。
http://dobashin.exblog.jp/12018959/

高い成功率ですが、気になるのは合併症でやはり心膜炎や心嚢液貯留が数例あるようです。何より原因不明の突然死というのが、非常に気になります。

今のところ適応はどう考えたらとよいのでしょう。ワーファリンなどが飲めない方限定なのでしょうか。もっとデバイスが簡便になれば、「肺静脈隔離+左心耳デバイス両方で2時間で心房細動根治!」などという時代が来るのでしょうか?

これはでも、手先が器用な日本人向けのデバイスのような気がします。UFOキャッチャーの得意な人向きでは?

なお”LARIAT”と聞いてスタン・ハンセンが思い浮かぶ方は同年代ですね(笑)
by dobashinaika | 2012-10-17 23:16 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(0)

左心耳閉鎖デバイスWatchmanによる閉鎖が不完全な場合のインパクト:JACC誌より

JACC 3月6日号より

The Clinical Impact of Incomplete Left Atrial Appendage Closure With the Watchman Device in Patients With Atrial Fibrillation: A PROTECT AF (Percutaneous Closure of the Left Atrial Appendage Versus Warfarin Therapy for Prevention of Stroke in Patients With Atrial Fibrillation) Substudy
J Am Coll Cardiol, 2012; 59:923-92


PROTECT-AF試験において経皮的左心耳閉鎖デバイス(Watchman)による不完全な閉鎖やデバイス周囲の残存血流の頻度や臨床的インパクトに関する研究

P:PROTEC−AF試験の対象患者でWatchmanデバイス成功例445名;術後45日、6ヶ月、12ヶ月で経食道心エコー施行。45日後にデバイス周囲の血流が極少またはない場合ワーファリン中止

E/C:デバイス周囲血流速度をminorm moderate, major (<1mm, 1−3mm, >3mm)に分類

O:一次エンドポイント:脳卒中、全身性塞栓症、心血管死

結果:
1)12ヶ月後、デバイス周囲血流を認めたのは32%

2)デバイス周囲血流が1mm大きくなるごとの一次エンドポイントハザード比は0.84 (95% CI: 0.62 to 1.14; p = 0.256)

3)血流なし例に比べてのハザード比=mior,moderata, majorそれぞれ 0.85 (95% CI: 0.11 to 6.40), 0.83 (95% CI: 0.33 to 2.09), and 0.48 (95% CI: 0.11 to 2.09) (p = 0.798)

4)ワーファリンを中断した血流なし例に比べてのハザード比: 0.63 (95% CI: 0.14 to 2.71; p = 0.530)

結論:Watchmanデバイス周囲から左心耳への残存血流はよく見られること。それは塞栓血栓症リスクの増加とは無関係。イベントレートが低いのでこの結果の解釈には注意が必要。

###天皇陛下の心臓手術で俄然注目を浴びた左心耳閉鎖術ですが、欧米ではすでにカテーテルデバイスによる閉鎖術が臨床応用されており以前のブログでご紹介いたしました。
PROTECT−AF試験
として、抗凝固療法と比べての非劣性が報告されています。

左心耳は多少なりともその形に個人差があるため、形状によってはあのようなパラシュートのようなものがしっくり入り込まないことは予想されます。

それでもそんなに結果(血栓塞栓)には影響しないとの論文です。

イベント数が少なく、追跡も1年だけですので、まだまだその信頼性を言うには早計という感じがします。CHADS2スコア1点というだけで、ワーファリンを一生飲むか、それともあれを心臓に入れるかと迫られたらどっちを選択するか、日本人なら、現段階では悩まないと思いますし。

あの忌々しい左心耳を、デバイスでなく薬か何かで化学的に閉鎖する方法はないんでしょうかね。
a0119856_23162990.gif

by dobashinaika | 2012-02-28 23:20 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(0)

パッチを用いた左心耳閉鎖デバイス:JACCより

J Am Coll Cardiol 11月15日号より

Transcatheter Patch Occlusion of the Left Atrial Appendage Using Surgical Adhesives in High-Risk Patients With Atrial Fibrillation
J Am Coll Cardiol, 2011; 58:2236-2240


左心耳閉鎖デバイスTranscatheter patch (TP)の使用成績に関する論文です。

このデバイスはギリシャ(!)のCustom Medical Devices社の開発で、フレームのないポリウレタン性の下図のような形状をしたパッチが直径15~35mmのバルーンに装着されています。
2mmのナイロンループ(2本のナイロン糸)が、パッチを外すときのためにパッチの下部に縫い付けられています。
a0119856_2313347.jpg


このパッチの遠位半分にあるpHで活性化されるポリエチレングリコールをベーストした接着剤が塗布されています。バルーンを左心耳の適切な場所に位置させ、バルーンを膨らました際にアルカリ溶液が接着剤に曝露され接着剤が活性化されます。

バルーンはオーバーワイヤ式でロングシースで左心耳まで勧められ、左心耳がのびるくらいまで(造影剤3〜10cc, パッチ径14~25mmに相当)バルーンをインフレートし、カテーテルのセンタールーメンから上述のアルカリ溶液を注入します。

接着剤が活性化されて45分後にバルーンカテを抜去します。先端でパッチを保持する形のイントロデューシングシースを通してカテーテルを引き抜き、エコー下に糸を軽く引くことでパッチの安定性と位置が強固なものになります。2本のナイロン糸を引き抜くことでぱっちりリースは完了です。
以下のメーカーのサイトに動画で挿入ライブを見ることができます。
http://www.custommedicaldevices.net/media/laa-live-case-update/

これまで20人の塞栓症ハイリスク例に施行し、17例で成功しています。残り3例は造影後パッチの接着がなされていないと確認され除去されています。1例では左心耳の入り口を越えてパッチが留置され不完全は開き具合なりました。成功した症例ではフォローアップのエコーで閉鎖率の向上が見られました。1例でロングシースによる塞栓症の合併がありました。脳卒中の合併症はありませんでした。

失敗した3例はパッチ留置前に左心耳造影を施行しており造影剤が接着剤に影響したのではないかと考察されているようです。

以前左心耳に傘のように開くデバイス=watchmanを紹介しましたが、これはパッチを利用したものです。パッチのサイズや接着剤の材質、シース形状その他検討すべき点は多々あるのでしょうが、今後ますますこの分野の開発は進むものと思われます。アブレーションー左心耳閉鎖をワンセッションで、の時代が到来するのかもしれません。
by dobashinaika | 2011-11-12 23:18 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(0)

開胸せずに心房細動患者の左心耳を結紮するディバイス

Heart Rhythm2月号から
Feasibility of closed-chest ligation of the left atrial appendage in humans

目的:ヒトでの非開胸的(カテーテルベース)左心耳結紮術の有用性を検討

方法:
・ 13名の心房細動患者にLARIAT スネアディバイスを用いて左心耳結紮術を行った。2名は僧帽弁手術時、11名はカテーテルアブレーション時。
・ アブレーション時には、アブレーションの前に、あらかじめ心外膜に(開胸せずに)挿入したスネアディバイスを挿入し、マグネットチップガイドワイヤを左心耳の中と外に位置させ、左心耳を固定させた。
・ 経食道エコー下にマーカーバルーンを左心耳の付け根に位置させた。
・ オーバーザワイヤーでLARIAT スネアを左心耳上に誘導し、左心耳の閉鎖と結紮を行った。
・ 経食道エコーを造影で左心耳の閉鎖を確認した。

結果
1)僧帽弁手術例では目視で左心耳の完全閉鎖を確認
2)アブレーションの11名中10名で経食道エコーで左心耳閉鎖を確認
3)1名のみ、バルーンの上にスネアが位置しなかったため、胸腔鏡によりスネアを除去する必要があった。

結論:カテーテルベースの左心耳結紮術はヒトにおいて有用だった。(ワーファリンなどの)抗凝固療法に不適当な患者において適応の可能性がある。より長期の追跡が必要である。

###以前、イヌの実験で論文化されたものの実用化です。ディバイスは次々に開発されるものです。今後とも臨床普及されるか見守りたいところです。なおautherのグループはこのディバス開発会社のコンサルタントとのことです。
by dobashinaika | 2011-01-30 09:53 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(0)

心房細動患者の左心耳閉鎖ディバイスWatchmanのラーニングカーブ〜果たして日本で普及するのか?

雑誌Circulation1月17日付け電子版からです。

背景:PROTECT-AF試験は、CHADS2スコア1点以上の心房細動患者を左心耳閉鎖群とワーファリン群とに無作為割り付けした比較試験である。塞栓血栓症予防効果においては、左心耳閉鎖はワーファリンと非劣勢であったが、心タンポナーデや空気塞栓によるstrokeの合併という点で極めて高いリスクを有していた。今回経皮的左房閉鎖の安全性を報告する。

方法:対象は、左房閉鎖術を施行されPROTECT AF試験に参加した542例、およびWatchman(デバイス名)植え込み術が行われ連続登録(CAPレジストリー)された460名。エンドポイントは手技による心嚢液貯留、ストローク、ディバイス塞栓症。

結果:
1)手技7日以内のイベントは前スタディで7.7%、後登録で3.7%と有意に減少(p=0.007)。
2)PROTECT AFのはじめの半数と次の半数およびCAPの3者でもイベントは有意に減少(10.0%, 5.5%, and 3.7%, p=0/006)。
3)両試験とも経験により有意にストロークが減少した(0.9%vs.0%)。
4)PROTECT AF 試験では、死亡、重篤な後遺症はワーファリン群に比べ、watchman群は明らかに少なかった。
5)このことは、modified Rankin score(脳卒中の重症度スコア)にも明らかな差となって示された。

結論:他のすべてのインターベンション治療と同様、watchman左房閉鎖術は術者の経験の増加とともに安全性が明らかに改善された。

###PROTECT AF試験は昨年のLancet誌に発表されていますが、その合併症が問題視されていました。今回の論文はlearning curveによりそれをある程度克服できるとの趣旨です。ただ、今後新規抗凝固薬が上梓されますし、またイベントを起こしていないCHADS2スコア1以上の一次予防の段階から侵襲的ディバイスを埋め込むことに関して、特に日本においては医療者でもためらいが多いのではないでしょうか?「神様のいたずら」とも評される左心耳、われわれにとって悩ましい存在です。
a0119856_22242988.jpg

by dobashinaika | 2011-01-20 22:28 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(35)
(35)
(27)
(27)
(26)
(25)
(24)
(21)
(20)
(20)
(19)
(18)
(16)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)

ブログパーツ

ライフログ

著作

もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

【Apple Heart S..
at 2019-11-26 07:35
心房細動合併透析患者において..
at 2019-11-21 06:49
日本の心房細動患者の死因の半..
at 2019-11-11 07:22
CHA2DS2-VAScスコ..
at 2019-10-30 17:36
中高年開業医におけるヤブ化防..
at 2019-10-18 07:27
日経メディカルオンライン:第..
at 2019-10-15 06:26
新規発症心房細動では服薬アド..
at 2019-10-06 10:47
心房細動診断においてスマホに..
at 2019-09-19 06:30
第17回どばし健康カフェ「心..
at 2019-09-05 08:51
強い症状のない血行動態の安定..
at 2019-09-04 06:36

検索

記事ランキング

最新のコメント

いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
取り上げていただきありが..
by 大塚俊哉 at 09:53
> 11さん ありがと..
by dobashinaika at 03:12
「とつぜんし」が・・・・..
by 11 at 07:29
> 山川玲子さん 山川..
by dobashinaika at 23:14
運慶展を観た方にWEB小..
by omachi at 19:45
> terryさん ご..
by dobashinaika at 08:38
簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39

以前の記事

2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン