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カテゴリ:抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術( 35 )

周術期ヘパリンブリッジなしでDOACを中止しても大出血,血栓塞栓症は少ない:JAHAIM誌


目的:周術期における標準的DOAC管理の安全性を評価?

デザイン,セッティング,参加者:
・The Perioperative Anticoagulation Use for Surgery Evaluation (PAUSE)コホート(欧米の23診療センター)3007・
・ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバン使用
・待機的手術,手技
・ヘパリンブリッジなし

介入:
・薬物動態,出血リスク,腎機能に基づく標準的DOAC中止及び再開基準使用
・低出血リスク時1日中止,1日後再開。高リスク時2日中止,2−3日後再開
・術後30日フォローアップ
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主要アウトカム:
・大出血,動脈性塞栓血栓症,手術時抗凝固レベル検知されずまたは50ng/mlm未満の比率

結果:
1)平均72.5歳,アピキサバン1257例,ダビガトラン668例,リバーロキサバン1082例。高出血リスク手技33.5%

2)大出血:アピキサバン群1.35% (95% CI, 0%-2.00%),ダビガトラン群0.90%(95% CI, 0%-1.73%) ,リバーロキサバン群1.85% (95% CI, 0%-2.65%)

3)血栓塞栓症:アピキサバン群0.16% (95% CI, 0%-0.48%),ダビガトラン群0.60%(95% CI, 0%-1.33%) ,リバーロキサバン群0.37% (95% CI, 0%-0.82%)

4)高出血リスク手技での大出血:アピキサバン群2.96% (95% CI, 0%-4.68%),リバーロキサバン群2.95% (95% CI, 0%-4.76%)

結論:ヘパリンブフリッジ/凝固系検査なしの周術期DOAC管理戦略においては大出血,血栓塞栓症は少ない。

### リアルワールドでの周術期ヘパリンブリッジなし戦略を検証した論文。ヘパリンある郡との比較ではありません。血栓塞栓症がかなり少ないですね。

大出血手技とは硬膜外麻酔,頭蓋内/脊髄手術,胸部,心臓,大血管,腹部骨盤内手術,大きな整形外科手術,大きながん/がん再建手術。小出血手技は,消化器内視鏡,ペースメーカー,ICD手術,歯科手技,皮膚生検,白内障手術などです。

DOACではノーヘパリンブリッジが,すでに現場で浸透していると思われますが,その正当性を裏付ける結果かと思われます。

$$$ 仙台七夕,吹く風は涼しげ
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by dobashinaika | 2019-08-09 06:28 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

非心臓手術後新たに発症した心房細動症例では1年以内の脳卒中などのリスクが高い:EHJ誌


目的:非心臓手術後新たに発症した心房細動の脳卒中及びその他の有害事象リスク(1年間)を明らかにする

方法:
・POISE-1(8メトプロロールvs. プラセボ),POISE-2(アスピリンvs. プラセボ,クロピドグレルvs. プラセボ)の統合データ
・非心臓手術,割付時心房細動例を除外
・POAFの定義:術後30日以内の新規心房細動
・主要評価項目:1年以内の脳卒中。副次評価項目:死亡率および心筋梗塞

結果:
1)平均69歳,女性57.4%

2)POAF:404例(2,2%)

3)脳卒中:5.58(POAF)vs. 1.54 (non POAF)/100人年。修正ハザード比3.43(95%CI:2.00-5.90;P<0.001)

4)死亡率:31.74 vs. 9.34。修正ハザード比2.51(95%CI:2.01-3.14;P<0.001)

5)心筋梗塞:26.20 vs. 8.23。修正ハザード比5.10(95%CI:3.91-6.64;P<0.001)
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結論:POAFのある例では1年間の脳卒中,心筋梗塞および死亡が有意に増加した。高リスク例での介入試験が必要。

### 術後30日以内に新たに発症した心房細動を持つ人は,そうでない人に比べ術後1年以内の脳卒中も心筋梗塞も死亡も多いというデータです。

抗凝固薬は全体でワルファリンが1.9%,アスピリンが28.9%,その他の抗凝固薬が4.5%と多くの症例に使われているわけではありません。ただしワルファリン,アスピリンともPOAF例で有意に多く使われています。CHADS2スコアはPOAF軍で有意に高かったようです。

術後心房細動を起こす人がその後のアウトカムが多い理由は不明ですが,結果はうなずけます。もともとハイリスクだった症例が多い(たとえ修正データだとしても)。術前心房細動が記録されていなかっただけ。その後の抗凝固療法が不十分など理由が複数思いつきます。

この論文を敷衍すると術後心房細動が,予後予測のメルクマールになる可能性があります。こうした患者に積極的に抗凝固薬,とくにNOACを使用する意義が出てくるかもしれません。

しかしながら,手術侵襲による一過性の心房細動はよく見られるものであり,それらとその後引き続き生じる心房細動を区別できていません。無症候性心房細動も評価できていません。限界点もいろいろある試験です。

$$$ 今日のニャンコ
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by dobashinaika | 2019-07-13 07:08 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

抗凝固薬とPPI併用時は,非併用時と比べて上部消化管出血による入院率を減少させるが。。


疑問:抗凝固薬にPPIを併用する場合としないとで上部消化管出血による入院率は変わるのか

方法:
・米国,メディケア受給者対象の後ろ向きコホート,2011-2015年
・ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバン,ワルファリンとPPI(ある,なし)
・主要評価項目:上部消化管出血による入院率

結果:
1)1,643,123人,651427人年

2)PPIなしの入院:115/10,000人年

3)リバーロキサバン(144/10,000)が,アピキサバン(73),ダビガトラン(120),ワルファリン(113)よりも入院率が高い

4)アピキサバンはダビガトラン(相対リスク0.61),ワルファリン(0.64)より入院率が低い

5)PPI併用時のほうが入院率は低い(76/10,000,対非併用時相対リスク0.66)

結論:
1)抗凝固薬服用者では,リバーロキサバン内服者の上部消化管出血による入院率が最も高く,アピキサバンが最も低かった。

2)各抗凝固薬ともPPI併用時のほうが入院率は低かった。

### 昨年12月の論文で遅れましたが,大切な内容なので紹介します。

以前ご紹介したのと同じメディケアのデータベースであり,そのときリバーロキサバンが出血が多かったので,消化管出血が多いのはその流れかと思われます。

この論文だけで,抗凝固薬にはPPIを併用したほうが良いと行動変容を起こすのは要注意です。本論文は米国メディケア受給者の後ろ向き研究であり,エビデンスレベルは高いとは言えず限定的です。またPPIの長期投与による副作用や,薬価の問題は別個に検討されなければなりません。これまで出ている各種ガイドラインでも抗血小板薬併用時に消化管出血の既往のある高リスク患者でPPI併用が勧められているのみと思われます。

抗凝固薬そのものに消化性潰瘍促進の機序はないと思われますが,アスピリンと混同しているのかあるいは念の為なのか,全例にPPIを投与される場合(大病院紹介後の逆紹介に多い気がします)を見かけますが,現時点では高リスク群で考慮するということでよいかと考えます。


by dobashinaika | 2019-02-08 07:37 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

日経メディカルオンライン連載「周術期のヘパリンブリッジはもういらない?」更新いたしました

日経メディカルオンライン連載
「プライマリ・ケア医のための心房細動入門リターンズ 」更新いたしました。

今回は,

すでに多くの施設でNOAC使用例のヘパリンブリッジは行わないようになってきているかと思われます。この点日本循環器学会ガイドラインではまだ対応しきれておらず,早めに声明などを出したほうが良いように思われます。

多くの施設の参考になれば幸いです。

なお,2013年4月以降,このコラムの内容に関連して開示すべき経済的な利益相反関係にある製薬企業はありません。
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by dobashinaika | 2019-01-17 06:53 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

周術期の塞栓症予防と出血リスクはDOACとワルファリンで同等。中止しない場合はDOACで出血が少ない:RCTメタ解析


目的;心房細動患者の周術期におけるDOACとワルファリンの比較に関するメタ解析

方法:4つのDOACのRCTおよびそのサブスタディの解析

結果:
1)抗凝固薬中止なしの場合:
・脳卒中/全身性塞栓症 [pooled risk 0.6% (29 events/4519 procedures) vs. 1.1% (31/2971), RR=0.70, 95% CI= (0.41, 1.18)] ,
・死亡 [1.4% vs. 1.8%, RR=0.77, 95% CI= (0.53, 1.12)]は有意差なし
・大出血はDOACで有意に少ない [2.0% vs. 3.3%, RR=0.62, 95% CI= (0.47, 0.82)]

2)抗凝固薬中止の場合:
脳卒中/全身性塞栓症:0.4% (41/9260) vs. 0.5% (31/7168), RR=0.95, 95% CI= (0.59, 1.55),死亡:0.7% vs. 0.6%, RR=1.24; 95% CI= (0.76, 2.04)2.1% vs. 2.0%, RR=1.05, 95% CI= (0.85, 1.30,大出血:2.1% vs. 2.0%, RR=1.05, 95% CI= (0.85, 1.30)ともに両者で有意差なし

3)各研究間には,中止時の死亡の比較以外は均質性あり(I2= 0.0%)。

結論:周術期においては,短期間の安全性と有効性に関し,DOACとワルファリンとで有意差はなし。抗凝固薬中止をしない場合,DOACはワルファリンに比べ大出血を38%減少させた。

### 現在,周術期は特に,on/offが簡単なDAOCを使用する施設が多いと思われます。こうしたデータが有るとなおさら使いやすくなるでしょう。ただ各試験のサブ解析の比較と思われますので,患者背景には違いがある可能性は含まれます。

中止時と非中止時でDOACの大出血率はあまり変わらないのが目に付きます。メタ解析内での比較なのであまり適切ではないかもしれませんが,やはり周術期でも抗凝固中止しない,よいことを予感させます。

$$$ 最近散歩するとあちこちで花が咲いていて,ホッとさせてくれます。
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by dobashinaika | 2018-06-12 07:15 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(2)

急性期処置及び周術期におけるNOACの管理13の指針


AHAから各種急性期ケアおよび周術期におけるNOACに関するステートメントがでました。
少し前にもACCから出ていますが、こちらはNOACに特化しています。
例によってACCのメルマガのまとめから

1)NOACは,AFやVTEでのワルファリンの代替薬あるいは第一選択薬として広く使用されている

2)NOACは,ワルファリンに比べ迅速な効果と短い半減期,より安定した薬物動態をもつ

3)NOACのモニタリングはルーチンには勧められないものの,正常範囲のAPTTはダビガトランの治療域に達していないことを示す。抗Xa活性が同定できないレベルであれば,リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンが臨床的に適切なレベルではな

4)医療施設は,抗凝固薬中和に関するプロトコールを多職種に示す形で作成すべきである

5)ダビガトランはイダルシズマブの2.5g2回投与で迅速に中和される。プロトロンビン複合体製剤(PCC)や透析は経口摂取後数時間が特に有効である

6)リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンは薬剤特異的な中和薬が今とのところない。4因子PCCか新鮮凍結血漿が使用できる

7)NOAC使用下で頭蓋内出血が生じた場合,上記のような手順で中和が施行される。加えて血圧140未満が推奨される。出血後のいつ再開すべきかは定かでない

8)NOAC使用下での急性虚血性脳卒中の場合,感度の高い検査データがなければ,あるいはNOAC服用後48時間以上経過していなければ,tPAの使用は避けることが勧められる。一般的に,心原性脳梗塞の患者は発症1−2週間での抗凝固薬再開を控えることは避けられる。(TIAあるいは小梗塞なら短時間)

9)出血低リスク手技(歯科手技,皮膚疾患,眼科手技,生検なしの内視鏡)はNOACは止めない

10)出血中〜高リスク手技ではクレアチニンクリアランスに基づくNOACの停止が勧められている。ヘパリンブリッジはいらない

11)NOAC服用患者で急性冠症候群や緊急心カテが必要な場合,抗血小板薬2剤(DAPT)とヘパリンが開始され,NOACは緊急カテのときは中断される

12)冠動脈ステントが必要な場合,トリプルテラピー(NOAC+DAPT)の期間はリスクベネフィットに応じて決められる。PPIを処方し,NSAIDは避けること

13)カルディオバージョンおよびカテーテルアブレーション時は,NOACは3−4週はやめない,または経食道心エコーで血栓なしを確認する。NOACは継続またはカテの間だけ中止とする

### 網羅されています。何処かに貼っておきます。
ACCのパスウェイはこちら


by dobashinaika | 2017-02-24 19:01 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

日本人のNVAFの2.7%に抗凝固薬服用下でも左心耳血栓が見つかる:CJ誌


疑問:日本人のNVAFにおいて抗凝固薬投与下での左心耳血栓の頻度は?NOACとワルファリンの差は?

方法;
・日本のある施設における経食道心エコーを施行したNVAF症例連続559例
・抗凝固療法後最低3週間


結果:
1)445例,平均62歳,非発作性49%

2)左心耳:15例2.7%

3)DOAC2.6% ワルファリン2.8%(P=0.86)
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4)CHA2DS-VAScスコア0点,脳卒中/TIAの既往のない発作性AFでは左心耳血栓ゼロ

5)左心耳血栓の危険因子(単変量解析):非発作性,器質的心疾患,抗血小板薬,左房拡大,BNP高値,左心耳血流低下,CHA2DS-VAScスコア高値

6)左心耳血栓の危険因子(多変量解析):BNP173以上のみ

結論:左心耳血栓は,抗凝固療法下にも関わらず日本人NVAFの2.7%に見られる。その頻度はDOACとワルファリンで同じである

###  選択基準としては,日本の単一施設,直流除細動前,心臓手術やカテアブ前の例とのことです。

左心耳血栓発症例の内訳は,DOACではダビガトラン300mg2例,ダビガトラン220mg1例,リバーロキサバン15mg2例,リバーロキサバン10mg2例,アピキサバン5mg1例で,このうち不適切用量は1例のみです。ワルファリンのINR管理状況は1.6以上だった期間が35%が1例,48%が1例,56%が1例でほかは85%以上でした。

また血栓を見つけたあとは更に強力な抗凝固療法を行ほとんどの例では血栓の消失を確認しましたが,1例で脳卒中を発症したとのことでう。

左心耳血栓はでいるタイミングが様々であり,また必ずしもその後引き続いて脳血栓症が起こるわけではありませんので,この頻度がそのまま左心耳血栓の真の頻度なのかは検討の余地はありますが,BNPが高値であれば除細動やアブ前には必ず経食道心エコーを施行すべきかもしれません。

by dobashinaika | 2017-02-10 18:50 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

ACCによる周術期の抗凝固療法に関する意思決定パスウェイ:ヘパリンブリッジの適応は超限定的

2017 ACC Expert Consensus Decision Pathway for Periprocedural Management of Anticoagulation in Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation
A Report of the American College of Cardiology Clinical Expert Consensus Document Task Force
Journal of the American College of Cardiology DOI: 10.1016/j.jacc.2016.11.024

ACCから周術期の抗凝固療法に関するエキスパ−トコンセンサスがでています。かなり詳しくシェーマも充実しており,現時点での集大成的なレビューと思われます
とてもまとめきれませんので,ACCのメルマガでお勉強

1.ここでの意思決定パスウェイは経口抗凝固薬長期内服の非弁膜症性心房細動における周術期の抗凝固薬管理に関する意思決定の迅速で有用なツールとなる

2.抗凝固薬中止を考えるときは,ビタミンK阻害薬(長期半減期)かDOAC((短期半減期)か,患者の出血リスク,手技の出血リスク,追加の医療情報に気を配る

3.以下の手技(ペースメーカー, ICD植え込みなど)は低出血リスクであり,抗凝固薬は継続

4.患者出血リスクはHAS-BLEDスコアを評価する。それに加え最近3ヶ月以内の出血,血小板以上,INRの上昇(VKA),手術手技による出血の既往に留意する

5.患者に出血リスクがないか低リスク手技場合かつ患者出血リスクが高くないときは,VKAは中止してはならない

6.VKAを中止するときは,INR1.5-1.9の場合手技の3〜4日前,INR2.0-3.0の場合5日,3.0を超える場合少なくとも5日中止する。手技前24時間以内にINRを再チェック

7.ヘパリンブリッジを考えるのは次の2つのシナリオのときのみ
 1)VKA使用患者で年間10%以上の脳卒中/全身性塞栓症リスク(CHA2DS2-VAScスコア27^9点)を持つ,または3ヶ月以内の虚血性脳卒中
  2)VKA使用患者で特に出血リスクのない脳卒中/全身性塞栓症の既往(3ヶ月以上前)のある人

8.DOACを中止するときは,中止日数はクレアチニンクリアランスとその手技の出血リスクで決まる。標準的な表はこの意思決定プロセスに沿っている。ヘパリンブリッジはDOAC治療には適応なし(すみません。表は掲載していません)
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9.抗凝固薬再開時は,完全止血の確認をすべき。その後24時間以内にVKA治療再開と24〜72時間のヘパリンブリッジ(適応ありの場合。継続時間は出血リスクによる:筆者注:低出血リスクは24時間以内,高リスク例は48〜72時間ヘパリンブリッジ後)。DOACはもし患者が経口投与に耐えられないのでなければ,ヘパリンブリッジなしに24〜72時間前(出血リスクによる)に再開すべきではない(筆者注:高リスクでは24〜72時間経ってから,低リスクではその日のうちに)

10. DOACは機械弁患者に使用してなならない

### このレビューはアルゴリズムのシェーマが充実していますので,興味のある方は見てみてください。ただしアメリカさんらしく?いろんな場合を想定して盛り過ぎの感があり,ここまで書かなくてもわかるよ的な感じかもしれません。
ヘパリンブリッジは,VKAではかなり虚血性脳卒中の高リスクまたは既往歴のある人に限っており,NOACでは必要ないと言い切っているのが小気味よいです。
なお高出血リスクとはHAS-BLEDスコア3点以上のことかと思われます。

$$$ 仙台では恒例のどんと祭です。
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by dobashinaika | 2017-01-16 23:55 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

抗凝固薬内服中の消化管出血後の再開は3~6週後が良い:T/H誌


Optimal timing of vitamin K antagonist resumption after upper gastrointestinal bleeding
A risk modelling analysis
Thromb Haemost 2017; 117:https://doi.org/10.1160/TH16-07-0498


疑問:抗凝固薬内服中の消化管出血後の再開はいつからが良いか?

方法:
・3病院でのビタミンK阻害薬投与中に消化管出血を起こしたケースの後ろ向き解析
・消化管出血再発,血栓塞栓症と再開時期との関係解析

結果:
1)207例中121例,58%で抗凝固薬再開あり

2)平均再開時期;1週間後(0.2〜3.4週)

3)抗凝固薬再開は血栓塞栓症(ハザード比0.19,95%CI0.07-0.55),死亡(ハザード比0.61, 0.39-0.94)を減らす

4)消化管出血再発は増やす(ハザード比2.5, 1.4-4.5)

5)出血と血栓塞栓の複合的な統計モデルを用いると,出血後3週後で再発と血栓塞栓リスクは減り始め,6週後からで最低となる

結論:抗凝固薬関連消化管出血後の最適な再開時期は出血後3〜6週と思われるが,血栓塞栓リスクの程度や患者の価値,好みを考慮する必要がある。

### 脳内出血のあとは,消化管出血後の再開の話です。

これまで再開すべきかどうかとの論文はありましたが,いつ再開すべきかについては少なかったように思います。
http://dobashin.exblog.jp/21886806/

登録研究ですので,再開時期は担当医の恣意性が混入し,高リスク例ほど再開は遅れると思われますが,その辺統計モデルである程度補正されているようです。

脳内出血の時と同様,すぐに再開というわけにはやはり行かず1〜1.5ヶ月後くらいが良いところだと言うことです。脳内出血の論文でもそうですが,日本の現場では急性期病院入院中にその病院で再開することが多く,もうちょっと早い再開かとも思います。もちろん血栓の既往例などは早い再開が望まれますし(こういうときほどNOACは良い),出血の程度が大きい場合は慎重に再開時期を見ることになるでしょうが。

$$$ そろそろ年が暮れますが,一見毎年の反復と思われる一年一年も,確実に差異を生じながら生成変化しているんですね。繰り返す日常の反復にこそ差異があり,新しい発見がある。そんなふうに思いながら今年も年を越したいと思います。
by dobashinaika | 2016-12-26 23:04 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

心房細動発症48時間以内の除細動時,抗凝固薬は必要か:JACCEP誌

Incidence of Thromboembolic Complications Within 30 Days of Electrical Cardioversion Performed Within 48 Hours of Atrial Fibrillation Onset
JACCCEP. 2016;():. doi:10.1016/j.jacep.2016.01.018

疑問:ガイドラインでは心房細動発症48時間以内の除細動時に抗凝固療法は推奨されていないが,実際血栓塞栓症リスクはどうなのか?

方法:
・発症48時間以内に除細動を施行した患者
・アウトカム:抗凝固薬使用の有無と除細動30日以内の血栓塞栓症イベントの関係

結果:
1)567除細動件数中抗凝固薬なし(アスピリンのみ)484例(CHA2DS2-VAScスコア平均2.3点):神経学的イベント6例1.06%

2)898例中抗凝固薬あり709例(CHA2DS2-VAScスコア2.6点):神経学的イベント2例0.22%,p=0.03。2例とも抗凝固薬をオフにした際に発症

3)CHA2DS2-VAScスコア2点未満または術後心房細動にはイベント無し

結論:急性発症心房細動における血栓塞栓症合併症は抗凝固療法なしの例では,ある例の5倍。ただし術後心房細動,CHA2DS2-VAScスコア2点未満ではイベント無し。どういう例が抗凝固薬が必要かを示唆する所見。

Perspectives:ガイドラインでは発症48時間以内の場合,抗凝固は推奨されていないが,CHA2DS2-VAScスコア2点以上例での注意を促すデータである。左房血栓は除細動後すぐに形成される。経食道エコーにより除細動直後の左心耳血流の停滞が明らかにされている。血中濃度上昇の速い抗凝固薬の時代では除細動前48時間以内の服薬は良いかもしれない。さらなる検討必要。

### これは知りたかったことです。経食道エコーでは発症数時間で左心耳血栓ができうるといった論文もあり,本当に48時間でいいのかとは誰しも思うところかと思います。やはりCHA2DS2-VAScスコアが目安になるみたいですね。もともと血栓リスクの少ない人だと抗凝固しなくて良いとのこと。48時間を超えた症例はこれまでワルファリン3週間ローディングなどが推奨されていますが,NOAC半日投与などもオプションとして考えられるかもしれません。

$$$ 仙台和菓子の老舗「熊谷屋」さんの恒例和菓子。今回は「こいのぼり」「ふじ」「あやめ」です。
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by dobashinaika | 2016-05-04 17:38 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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