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カテゴリ:抗凝固療法:適応、スコア評価( 80 )

日本人にCHA2DS2-VAScスコア、HAS-BLEDスコアは当てはまるか?:CJ誌

Circulation Journal 7月号

Validation of CHA2DS2-VASc and HAS-BLED Scores in Japanese Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation – An Analysis of the J-RHYTHM Registry –
Ken Okumura et al
Circ J 2014; 78: 1593 – 1599


疑問:日本人にCHA2DS2-VAScスコア、HAS-BLEDスコアは適応できるか?

方法:
1)J-RHYTHMレジストリーの登録患者6387人のCHA2DS2-VAScスコア、HAS-BLEスコアとアウトカムの関係を、ワルファリン服用者と非服用者(997人)とで比較
2)CHA2DS2-VAScスコアのVは「冠動脈疾患」で置き換えてmCHA2DS2-VAScスコアとする
3)HAS-BLEDスコアのHは血圧140以上(登録時)、L は「INR3.5以上」、Dは「抗血小板薬併用」で置き換えてmHAS-BLEDスコアとする
4)追跡期間2年

結果;以下のグラフ
a0119856_18334694.png

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結論:
1)mCHA2DS2-VAScスコアは、日本のNVAF患者で血栓塞栓症が真に低リスクな人を見分けるのに有用
2)女性はリスクとしては除外できる可能性
3)mHAS-BLEDスコア3点以上は大出血の高リスク群

### CHADS2スコアやCHA2DS2-VAScスコアが日本人でも当てはまるのかという(シニカルな?)問いがありますが、それに関連した論文です。

CHA2DS2-VAScスコア0点の場合、非服用群でも年間血栓塞栓症発症率が0.7%と低率でした。また「女性」というリスク項目を外してもイベント発症率にあまり違いはなかったとのことです。
また、ワーファリン群ではHAS-BLEDスコア2点では大出血率年間1%ですが、3点からは2.4%と上昇していました。

概ね日本人でも、上記の結論は適応できそうですね。

ただ服用群と非服用群の比較から、何点以上なら服薬したほうが良いとまではいえません。観察研究なので、非服用群の背景のほうが当然軽症の人ですので。

それにしても日本人の血栓塞栓症は、欧米データよりはすくないですね。一応よく引用されるグラフを掲載しておきます。

CHADS2スコア
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CHA2DS2-VAScスコア
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by dobashinaika | 2014-06-30 18:47 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

脳卒中や出血リスクに対するスコアリングと医師の主観的リスク評価の解離:Circulation誌

Circulation 3月29日付けオンライン版

Lack of Concordance between Empirical Scores and Physician Assessments of Stroke and Bleeding Risk in Atrial Fibrillation: Results from the Outcomes Registry for Better Informed Treatment of Atrial Fibrillation (ORBIT-AF) Registry
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.114.008643



【疑問】血栓/出血リスクスコアと臨床家の主観的評価は一致するか?

【方法】
・対象:ORBIT-AFレジストリーに登録された心房細動患者10,094人:2010年6月〜2011年8月
・各患者をCHADS2スコア、ATRIAスコアで脳卒中、出血リスクを評価
・それとは別に臨床家が各患者のリスクを低リスク (<3%)、中リスク (3-6%)、高リスク (6%<)に分ける

【結果】
1)CHADS2スコア2点以上:72%

2)臨床家による評価:高リスク者は16%のみ

3)ATRIAスコアで高出血リスク(5点以上)は17%:一方臨床家評価による高出血リスク例は7%

4)各スコアと臨床家評価のスコアとの間の相関は低い:各Kappa値=脳卒中0.1、出血0.11

5)臨床家はCHADS2スコアでは、高血圧、心不全、糖尿病を低く評価した

6)臨床家はATRIAスコアでは、貧血と透析を低く評価した

7)抗凝固療法はリスク評価でも、臨床家の評価でも高リスク例において最も多く使用された

8)対照的に、出血リスク評価が治療法選択に及ぼすインパクトは少なかった

【結論】
臨床家の評価と従来からのスコア評価との間には合致するところは少なかった。こうした差異はガイドライン使用と実際の抗凝固療法との乖離に関する、部分的な説明になるかもしれない。

### 臨床家は目の前の患者を、算定されたCHADS2スコアより低いリスクでしか見積もっていないということですね。とくに 出血スコアはあまりあてにしていないということのようです。

往々にして医者というのは、患者さんのリスクを低く見積もりがちです。まず患者さんよりお低く見積もりやすいということは、以前のブログで取り上げた研究にもあります。
http://dobashin.exblog.jp/18671627/

そもそも特にこの出血スコアというのは、どれほどの妥当性信頼性があるかということは問題となっており、以前取り上げたように臨床経験3年目の先生の主観的評価より劣るといった、なんともトホホな報告もあるくらいなんですね。
http://dobashin.exblog.jp/17588136/

結論の最後にかっこいいことが書いてありますが、まさにこの実際目の前の患者さんに対する医者の主観的なリスク評価と、スコアリングによる客観的な評価との間の乖離というのは、ガイドライン(あるいは大規模試験)とリアルワールドの乖離に通じるわけであり、アンダードーズ、アンダーユーズの根底となるものだと思われます。

リスクマネジメントは、最終的には医師あるいは患者のリスクに対する「こころ」のマネジメント言うことになりますか。
by dobashinaika | 2014-04-02 23:29 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

抗凝固療法の各種イベント予測スコアを組み合わせると、リスクの予測能は向上するか?:T/H誌

Thrombosis and Haemostasis 1月23日付オンライン版より

Composite risk scores and composite endpoints in the risk prediction of outcomes in anticoagulated patients with atrial fibrillation
The Loire Valley Atrial Fibrillation Project
http://dx.doi.org/10.1160/TH13-12-103
3

【疑問】いくつかのリスクスコアを組み合わせれば、アウトカム予測の精度は向上するのか?

【方法】
・NVAF+経口抗凝固薬服用者3607人対象
・アウトカム1(虚血性脳卒中)、アウトカム2(虚血性脳卒中+頭蓋内出血)、アウトカム3(虚血性脳卒中/血栓塞栓症の共分散+頭蓋内出血)、アウトカム4(脳卒中、心血管死、血栓塞栓症、大出血
・CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアとHAS-BLEDスコアなどを組み合わせ、C統計量、net reclassification improvement (NRI) 、integrated discrimination improvement (IDI) を算出

【結果】
1)エンドポイントにかかわらず。C統計量、NRI,IDIは、各スコアの組合せてもCHADS2スコア(レファランス)に優らず

2)各種複合スコアと各種エンドポイントの組み合わせを検討しても明らかな改善(1%以上)も改善されなかった。


【結論】複合リスクスコアはどのようにエンドポイントが定義されようとも心房細動患者のリスク予測能を改善しない。脳卒中/血栓塞栓症と出血の個人個人の予測は、血栓予防について論議のガイドとなるために異なるリスクリダクションツールを使い、脳卒中/血栓塞栓症や出血のリスクを分けてすること、複合スコアや毎日の”リアル・ワールド”におけるエンドポイントは使わないこと他示唆された。


### CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアにHAS-BLEDスコアなどと足しても、予測能は変わらないとのことです。CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアとHAS-BLEDスコアは重複項目も多いためかもしれません。

この手のスコアリングはシンプルかつ必須アイテムを選ぶ必要があり、良いスコア項目が決まるまでは大変ですね。
やはりCHADS2スコアは偉大ですね。
このブログも参考までに
http://dobashin.exblog.jp/18517929/

なおEuropean Heart Journal誌で心房細動の早期介入に関する総説もありました。
昨日書き落としましたが、全文を入手してみると心房細動の自然経過その他、なかなかにわかりやすくも充実した図表群と説明です。
Early management of atrial fibrillation to prevent cardiovascular complications
by dobashinaika | 2014-02-19 23:49 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

心房細動累積時間1時間以上になると脳梗塞リスクが増加:10000例のメタ解析:EHJ誌

European Heart Journal 12月11日付オンライン版より
Device-detected atrial fibrillation and risk for stroke: an analysis of >10 000 patients from the SOS AF project (Stroke preventiOn Strategies based on Atrial Fibrillation information from implanted devices)
Eur Heart J (2013)doi: 10.1093/eurheartj/eht49
1

【疑問】心房細動がどのくらい続くと脳梗塞のリスクが増加するのか?

【方法】
・植込み型デバイスにより3ヶ月以上の期間,心房性不整脈の持続時間を評価した前向き3つの試験のメタ解析
・22433例中基準を満たした10016例対象
・心房性不整脈の同定基準は各試験による:例)TRENDS試験では心房博数175bpm以上,20秒以上持続
・心房細動累積時間を5分,1時間,6時間,12時間,23時間で分類
・平均追跡期間24ヶ月

【結論】
・平均年齢70歳
・43%1016例で,少なくとも5分の発作が少なくとも1日以上あり
・最大の心房細動累積時間の平均:6ヶ月(inter-quartile range:1.3-1.4)
・CHADS2スコアと抗凝固薬の仕様が脳梗塞の独立危険因子
・累積時間の閾値は1時間が最大ハザード比;2.11(1.22〜3.64;p=0.008)
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【結論】デバイスで同定された心房細動累積時間は,比較的選択性のない一般のデバイス植え込み患者の脳梗塞リスクそうかと関連があった。この試験は抗凝固療法の適切な意思決定の基礎となり得る

### まず「デバイス」としてはペースメーカーが43%,ICDが20%,CRTが37%です。何らかの徐脈性不整脈,頻脈性不整脈,心不全を伴った例であることを押さえます。確かにグラフを見ると,累積時間1時間以上では年間脳卒中発症率は0.6−0.8%なのに対しそれ以下は0,2〜0.5%となっています。1日1時間以上の心房細動が見つかれば,要注意というのは,今後デバイスチェックをする上での参考になります。

デバイス患者においてはCHADS2スコアの他に,たとえ無症候であってもAF累積時間も,考慮する方向性が示唆されます。
by dobashinaika | 2013-12-24 00:07 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

抗凝固薬の出血のリスク評価はHAS-BLEDスコアを使うべき;T/H誌より

Thrombosis and Haemostasis 9月19日オンライン版より

Comparison of the CHADS2, CHA2DS2 -VASc and HAS-BLED scores for the prediction of clinically relevant bleeding in anticoagulated patients with atrial fibrillation: The AMADEUS trialhttp://dx.doi.org/10.1160/TH13-07-0552


【疑問】CHADS2スコアやCHA2DS2-VAScスコアは出血リスクスコアとしても使えるか?

【方法】
・AMADEUS試験の登録患者対象:リスク1つ以上のNVAFで長期ビタミンK阻害薬服用者
http://www.ebm-library.jp/att/detail/61473.html

・「臨床的に意義のある出血」に焦点を当てHAS-BLEDスコア、CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアのそれぞれのAUC曲線とNet Reclassification Improvement (NRI)を算出
・平均追跡期間429日

【結果】
1)2293人中に51人11%に出血あり

2)各スコアとも、点数上昇とともに出血イベントは上昇したが統計的に有意だったのはHAS-BLEDのみ(p<0.0001)

3)HAS-BLEDスコアだけが、出血を識別する明らかなパフォーマンスを有していた;AUC0.6, p<0.0001

4)HAS-BLEDスコアはCHADS2スコア(P=0.001)、CHA2DS2-VAScスコア(P=0.04)mに比べ有意に良好なNRIを示した

【結論】HAS-BLEDスコアは臨床的に意義のある出血の評価において、有意に優れていた。出血の評価にはHAS-BLEDを用いるべきであり、脳卒中のリスクであるCHADS2スコアやCHA2DS2-VAScスコアを用いるべきではない。

### HAS-BLEDは「出血の既往」や「INR不安定」「抗血小板薬併用」などが入っているので、当然かもしれません。
「INR不安定」はNOACでは使えないので、そこをどうにかしてほしいとも思います。

あと、何故か同じグループからほとんど同様の内容のペーパーがJACCにも報告されています。HAS-BLEDスコア浸透作戦でしょうか?
http://content.onlinejacc.org/article.aspx?articleid=1738857
by dobashinaika | 2013-09-28 00:23 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

心房細動抗凝固療法の適応決定上CHADS2スコアとCHA2DS2-VAScスコアはどちらが良いのか?

Comparison of CHADS2 and CHA2DS2-VASC anticoagulation recommendations: evaluation in a cohort of atrial fibrillation ablation patientsEuropace (2013)doi:10.1093/europace/eut244

【疑問】CHADS2スコアとCHA2DS2-VAScスコアはどちらがよいのか?

【方法】
・カリフォルニアのセコイア病院でカテーテルアブレーションを受けた心房細動患者連続1411人
・抗凝固薬不要(CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアとも0点)、抗凝固薬考慮(CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアとも1点)、抗凝固薬必須(CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアとも2点以上)

【結果】
1)CHADS2スコアに比べ、CHA2DS2-VAScスコアを用いると、「抗凝固薬不要」は40.3%→21.8%、「抗凝固薬考慮」は36.6%→27.9%に減少

2)一方「抗凝固薬必須」は23.0%→50.2%に増加

3)CHA2DS2-VAScスコアでは65〜74歳と女性が、適応増加分の95.2%を占め、血管疾患は4.8%

4)多くの血管疾患はすでに「抗凝固薬必須」と定義されていたCHADS2スコアの高点数例に発症した(P<0.0001)

5)(ESCガイドラインで)抗凝固薬不要群に再組換されるCHA2DS2-VAScスコアで1点の65歳未満女性30人では、その効果は最小限のものであった。

【結論】アブレーションを施行される心房細動患者においては、CHADS2スコアに比べCHA2DS2-VAScスコアは抗凝固薬の適応を明らかに増加させた。CHA2DS2-VAScスコアを用いることによる適応の大幅増加が患者アウトカムを改善するかどうかはランダム化比較試験が必要

### アブレーションを受ける人は若いので、CHADS2スコア0点で「不要]の65歳〜74歳女性はCHA2DS2-VAScスコアで2点となり「必須」になってしまいます。

CHADS2スコアの年齢を65歳に引き下げるだけのチャズーバスク折衷案がいいように思いますがどうでしょうか。それと予想通り「血管疾患」は他のリスクに飲み込まれて、あまり追加される意味は無いようですね。血管疾患のある人は大抵、高血圧、糖尿病がありますから。
by dobashinaika | 2013-09-17 23:57 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

抗凝固薬の梗塞と出血を一度に評価するリスクスコア:欧州心臓病学会2013より

今週初めアムステルダムで開催されたESC2013では、色々と興味深いディスカッションが行われてようです。
学会ホームページに主要なトライアルの発表とそのディスカッションが紹介され、日本に居ながらにして最先端の知見が得られるのがありがたいです。
その中空から、主に心房細動関連の治験について少しずつご紹介していきます。

AMADEUS: Development of a novel composite stroke and bleeding risk score in patients with atrial fibrillation

【疑問】梗塞と出血の両方を予測するスコアはないものなのだろうか?

【方法】AMADEUS試験(FXa阻害薬=idraparinuxとワルファリンとの比較試験)ビタミンK阻害薬(VKA)群における各エンドポイントごとの予測因子を測定する
エンドポイント1:脳卒中、非中枢性塞栓、大出血
エンドポイント2:脳卒中、全身性または静脈塞栓、心筋梗塞、心血管死、大出血

【結果】
1)VKA群2293例

2)エンドポイント1(50イベント2.4/100人年)の独立予測因子:年齢(p=0.014)、脳卒中/TIAの既往(p=0.049)、アスピリン使用(p=0.002)、TTR(p=0.007)

3)エンドポイント2(94イベント4.5/人年)の独立予測因子:エンドポイント1の因子+左室収縮能低下(p=0.011)

4)各回帰係数の応じて以下のように主見つけした複合スコア1,2を創出
Composite score 1 = (0.05 x Age)+(0.6 x Previous stroke or TIA)+(0.9 x concomitant aspirin)-(1.8 x TTR)
Composite score 2 = (0.05 x Age)+(0.6 x Previous stroke or TIA)+(0.7 x concomitant aspirin)+(0.6 x LV dysfunction)-(1.4 x TTR)5)各スコアのAUCは他のスコアに比べても良好:スコア1=0.728、スコア2=0.707

【結論】脳卒中/血栓塞栓症/出血のための新しい複合スコアを開発したこ。これまでのスコアは各人の脳卒中/血栓塞栓症と出血のバランスを評価したが、この複合スコアではさらなる研究が必要である。

### ディスカッションレポートが有り、その中で演者のLip先生は
・この研究は血栓塞栓と大出血、そしてよく忘れられる心血管イベント(心筋梗塞)の総合的な指標に関するリスクスコアの評価である
・筆者らはAMADEUS研究というよく定義されたコホートにおいてこの仮説を検証した
・筆者らはアスピリン内服やTTRの質などの心房細動に対して負のリスク因子も取り上げた。アスピリンの追加は利益ではなく出血リスクを増加させる。我々は抗凝固役の管理の質のチェックを迫られ、INR管理の悪いケースでは他のオプション選択を余儀なくされる
・「シンプルイズベスト」:実際我々は日々の臨床では意思決定において、CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコア、HAS-BLEDスコアを使っている
と述べたとされています。

CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコア、HAS-BLEDスコアと比べて、予測能を明らかに改善することはしなかったとのことです。年齢、脳卒中の既往、アスピリン使用、TTRですので、要素自体はシンプルですが、係数をかけるので計算機が必要ですし、TTR測定や、左室収縮能評価は面倒そうです。

本来は、このようにコホート内の各危険因子を分析し、回帰係数ごとに重み付けして点数を出すほうが科学的であり、CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアのように最初に規定しておいて、あとから発症率と相関したから良しとするという決め方よりは合理的であはあります。

また塞栓症と出血を一括して評価する点では合理的な発想という印象も受けます。

それでもやはりCHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアなどに一日の長があるのでしょうか。
by dobashinaika | 2013-09-06 23:27 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

ワルファリン管理の質を予測するSAMe-TT2R2 スコア;Chest誌より

Chest 5月9日付オンライン版より

Factors affecting quality of anticoagulation control amongst atrial fibrillation patients on warfarin:The SAMe-TT2R2 (Sex female, Age less than 60, Medical history, Treatment strategy [rhythm control], Tobacco use [doubled], Race [doubled] score
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0054


【疑問】ワーファリンコントロールに影響を与える因子はなにか?

【方法】
・AFFIRM研究の参加者をderivation群(誘導群)とinternal validation群(内的確認群)に無作為割付
・各種臨床評価項目(二値変数)とTTR(Time in therapeutic range)の関係を線形回帰分析により評価し、各変数のTTRカットオフ値に対する予測能を測定

【結果】
1)以下の9つの変数がTTRの独立した予測因子として規定された

2)女性 (p<0.0001), 50歳未満( p<0.0001), 50-60歳 (p=0.02), 少数民族 (p<0.0001) ,喫煙 (p=0.03), 2つ以上の合併症 (p<0.0001) , β遮断薬 (p=0.02), ベラパミル (p=0.02) ,アミダロン使用 (p=0.05)

3)SAMe-TT2R2スコアと命名

4)両コホートとも良好なc統計量(誘導群0.72 95%CI 0.64-0.795 、確認群 0.7 95%CI 0.57-0.82)

【結論】よくある臨床的因子がワーファリンコントロールの質に影響する。SAMe-TT2R2スコアでINR管理の質を予測可能。ワーファリンの良い適応(スコア0、1点)か、さらなる介入が必要かは(スコア2点以上)を予測できる。

### うーん、アルコール多飲、食事嗜好は入らないのでしょうか?あと、たとえば腎機能も。あとは几帳面な性格かどうかとか(これは評価しようがないか)。女性、若年者でTTRが良くない理由もわかりません。リズムコントロールだと、発作が少なければワーファリン服用が疎かになる可能性はあると思われます。

日常臨床からはややピンと来ない感じもします。略し方もちょっとしっくり来ない気も。。。全文読んでから再検討してみます。
by dobashinaika | 2013-05-20 22:52 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

やはり CHADS2スコアなどに腎機能を追加しても脳卒中の予測能は上がらない:JACC誌より

JACC5月21日号より

Renal Impairment and Ischemic Stroke Risk Assessment in Patients With Atrial Fibrillation
The Loire Valley Atrial Fibrillation Project
J Am Coll Cardiol. 2013;61(20):2079-2087.


・ 5912人の非弁膜症性心房細動患者対象

・ 腎機能低下の定義:腎不全既往、血清クレアチニン>133 μmol/l in men and >115 μmol/l in women (88.4をかけるとmg/dlに補正)

・ CHADS2スコア補正後の腎機能低下及びeGFR60未満は虚血性脳卒中/TIAのリスクを増加させない

・ 腎機能低下をCHADS2スコア及びCHA2DS2-VAScスコアに加えてもそれぞれ虚血性脳卒中/TIAの予測能は向上しない

・ このことは1年間のみ追跡の患者にも当てはまる

【結論】腎機能低下は虚血性脳卒中/TIAの独立した予測因子ではなく、CHADS2スコア及びCHA2DS2-VAScスコアの予測能を向上させない

###先日のスペインからの報告に続く、今度は大規模な対象での報告です。
CHADS2スコア及びCHA2DS2-VAScスコアは、それだけでもうよくできていて、ある程度完成されたスコアリングだということの証左かもしれません。
http://dobashin.exblog.jp/17632970/

R2CAHDS2スコア危うし
http://dobashin.exblog.jp/16953875/
by dobashinaika | 2013-05-16 22:16 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

CHADS2スコアなどに腎機能を追加しても脳卒中の予測能は上がらない:Thromb Haemost誌より

Thrombosis and Haemostasis 3月21日付けオンライン版より

Does chronic kidney disease improve the predictive value of the CHADS2 and CHA2DS2-VASc stroke stratification risk scores for atrial fibrillation?
http://dx.doi.org/10.1160/TH13-01-0054


【疑問】CKD(慢性腎臓病)はCHADS2スコア、CHA2DS-VAScスコアの予後予測を改善するか?

P:スペインのMurcia大学病院外来通院中の発作性または持続性心房細動患者でacenocoumarol(ビタミンK拮抗薬)服用者連続976人:中央値76歳、男49%;875日間追跡

E/C:既存のスコアに腎機能(クレアチニンクリアランス)低下を加味したスコア

O:脳卒中/TIA、末梢塞栓、血管疾患(急性冠症候群、急性心不全、心臓死)、全死亡

【結果】
1)心血管イベント:113人、4.82%/年
     脳卒中39,急性冠症候群43,急性心不全32
2)全死亡102人、4.35%/年
    血栓イベント31
3)CKDの概念はCHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアを使った脳卒中/全身性塞栓、血栓イベント,全死亡の予測(C統計量、統合識別改善度(IDI))を改善できなかった

【結論】CKDは血栓塞栓症や全死亡率の点で予後悪化に関係しているので、心房細動患者の腎機能評価は大切。CKDをCHADS2スコアやCHA2DS2-VAScスコアに追加しても予後予測の向上は認められない。

### 昨年Circulationのオンライン版で、ROCKET AF試験のサブ解析とは正反対の結果です。
http://dobashin.exblog.jp/16953875/

Circulationでは”R2CHADS2スコア”なる新たなスコアリングが提唱され、目を引きました。

本論文は1施設だけの検討でnの少なく、ROCKET AFのサブ解析よりエビデンスレベルは落ちるかもしれません。またROCKET AFは比較的リスクの高い集団ですが、本研究は外来患者だけであり、背景は軽症かもしれません.腎機能のカットオフ値もわかりません。

ただし、元々のCKDの病期分類はアウトカムが心血管死亡と末期腎不全であり,血栓塞栓症ではありません。またCHADS2スコアやCHA2DS2-VAScスコアの各因子、高血圧、糖尿病、年齢その他は、腎機能と大分交絡しており、とくにCHA2DS2-VAScスコアに新たに追加したところで、予測能は余り上がらないのは,理解できるかもしれません。

私自身は、特にCHADS2スコアは、プライマリケア医にとても親切なスコアだと思っています。なぜならすべて問診と身体診察でスコアが算定できるからです。その点ではCHA2DS2-VAScスコアもそうです。新患の心房細動の方がいらしても、瞬時にスコア何点ということができます(糖尿病は既往ない場合は苦しいですが)。

ところがeGFRを追加するとなると採血しなければなりませんし面倒な計算も必要です。開業医だとすぐに結果が出ないので、抗凝固薬は2回目受診までお預けとなります。またなにより新規抗凝固薬ではクレアチニンクリアランス測定が推奨されているのに、eGFRも考えるとなると混乱します。

本当に抗凝固療法をプライマリケアの隅々まで行き渡らせようとするなら、CHADS2スコアで十分じゃないかと思うのですが..だってそれすらまだまだ普及しているとは言いがたい現状だと思うのです。非循環器専門医の間では。
by dobashinaika | 2013-04-16 23:13 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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治療 2015年 04 月号 [雑誌]

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ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

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