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カテゴリ:抗凝固療法:比較、使い分け( 67 )

3つの新規抗凝固薬から何を選ぶか?:CJCのレビューより

昨日のCJCレビューの続きです。

Review:Which Oral Anticoagulant for Which Atrial Fibrillation Patient: Recent Clinical Trials and Evidence-Based Choices
http://dx.doi.org/10.1016/j.cjca.2013.05.010, How to Cite or Link Using DOI



【NOACは何を選ぶか?】

<有効性と安全性>
・直接比較は存在しないし今後も行われないだろう
・既に発表された間接比較は、現代の統計的手法を用いてはいるが、その方法論的限界を認識しつつ以下の結論が得られている
(1)脳卒中/全身性塞栓(SSE):ダビ150、アピはリバーロには明らかに優るがお互いの差はなし
(2)大出血:ダビ110とアピはダビ150とリバーロに明らかに優るがお互いの差はなし
・このリスクとベネフィットバランスは、臨床家を脳卒中(脳梗塞)の高リスクの場合はダビ150かアピ、大出血の高リスクの場合はアピかダビ110の選択を促すだろう
・市販後調査のリアル・ワールドデータでの大出血率は、ダビ150で(RELYほど)多くなくダビ110で少なくないことを示している
・ガイドラインでは、ワルファリンに優先または代替としてNOACを推奨しているが、NOA間を差異化してはいない

<高齢者>
・RELYのSSEアウトカム;75歳以上と未満でダビ110,150での差はなし(年齢による交互作用なし)
・RELYの大出血アウトカム:ダビ150で交互作用あり=75未満で有意に少ない。75歳以上ではむしろ多い傾向
・RELYの大出血アウトカム:ダビ110も交互作用あり=75歳未満で少ない、75歳以上で同等
→これらからワルファリンとのリスクベネフィットバランスは、75歳未満ではダビ150、75歳以上では(75歳未満ほどでないが)ダビ110がよりよい選択

・アピ、リバーロは年齢によるリスクベネフットバランスの差はなし。選択の際、年齢に影響されるべきではない

・75歳以上においては梗塞、出血とも高リスクであり、リスクとベネフィットバランスからはアピキサバンがベストかもしれない。

<腎不全>
・行政当局はeGFR30以上(アピは25)でのNOACの使用を一般に推奨している
・カナダ当局はeGFR30未満のダビ使用を認めていない。アメリカではeGFR15~30でのだび75x2を認めている
・カナダはeGFR30-49でのリバーロ15mg使用が認可済み。アメリカでは15〜50で認可
・カナダ、アメリカともアピ2.5を3条件(クレアチニン1.5位上、80歳位需要、体重60kg以下)中2条件で認可
・SSEに:3NOACとも腎機能の影響受けず
・大出血:アピでのみ交互作用あり。eGFR50未満でワルファリンとのハザード比が50〜80,80以上に比べ有意に大きい
→このことはeGFR30-50ではリバーロやダビよりもアピを選ぶ理論的根拠となる

<冠動脈疾患>
・ダビ:150は初期のRELYのデータでは心筋梗塞罹患率が明らかに高い。その後データベース閉鎖後の解析が追加された。その後のメタ解析ではMIは多いが予後は良かった。

・リバーロ:ROCKET AFではMI、死亡率共に明らかな減少なし
・最近のメタ解析ではMIを減らすとの強い傾向が認められた

・アピ:MIを明らかに減らすとのデータなし。ネットクリニカルベネフィット、死亡率共に減らす
・最近のメタ解析でもMIは減らさず

・ダビでMIが多いという所見は確かのように思われる。おそらくMI予防においてワルファリンよりは効果が低いであろう
・リバーロとアピはMIが多いとの所見はない
・たとえダビがワルファリンに比べ全梗塞イベントに差がなく死亡率は低いとしても、ESCガイドラインのように不安定狭心症患者には慎重にリバーロやアピを選ぶことになるかもしれない

・急性心筋梗塞患者にリバーろ2.5mgと5mgを割りつけたRCTでは、一次エンドポイント(心血管死、MI、脳卒中)を有意に減らした
・バイパスグラフト(冠動脈以外)と頭蓋内出血は有意に増えた
・この研究の対象は若く、心房細動を含まず、リバーロの用量は少なめだった
・この研究から急性冠症候群へのリバーロ使用を勧めることはできない

<静脈血栓症>
・股関節や膝手術でのDVT,肺塞栓予防においては、リバーロはエノキサパリンより優る。ダビ、アピは同等
・既知のADVTに対し、ダビはワルファリンと非劣性。拡大治療をするとプラゼボより優位
・アピはエノキサパリンと非劣性、拡大治療をするとプラゼボより優位
・既知の肺塞栓に対しリバーロはエノキサパリンと非劣性。ダビとアピは肺塞栓のデータなし
・心房細動患者の股関節、膝関節手術のDVT予防にはリバーロが第一選択

<出血リスク>
・ワルファリンとの比較での大出血:アピ5mg、ダビ110で有意に低下。ダビ150、リバーロ20では減らず
・頭蓋内出血:3NOACとも有意に減少
・消化管出血:ダビ150,リバーロ20で有意に多い。ダビ110,アピ5では多くない
→これらからは大出血の高リスク群では、アピ5mgが脳卒中予防と出血リスクの良好なバランスを提供する。ただし梗塞のリスクが非常に高いケースではダビ150の有効性が出血のリスクを上回るかもしれない
・消化管出血の高リスク例ではアピが最適の選択かもしれない

【脳卒中/TIAの既往例】
・3NOACとも、全てのアウトカムに対し脳卒中/TIAの既往が影響することなし
・発症率減少はダビ150(0.62%/年)とアピ(0.91%/年)がリバーロより(0.05%)低い
・このような患者群では、リバーロに比べればダビ150かアピのどちらかがよい

【副作用】
・大出血:アピ、ダビ110は少ない。リバーロ、ダビ150は同等
・Dyspepsia:ダビで多い(11.3%vs.5.8%)。服薬中断(副作用によるものも含む)もダビで多い
・副作用増加、早期服薬中断はリバーロとワルファリン同等。アピでは服薬中断少ない
→Dyspepsia患者ではリバーロかアピが推奨される

【コンプライアンス】
・1日1回が2回よりコンプライアンス良好とのエビデンスからはリバーロが他2剤に優る

【コスト】
・カナダ当局の試算では3NOACともほぼ同等
・CHADS2スコア2点未満:ダビ150が最もQALY大
・CHADS2スコア、2点以上ではダビ150とアピがが同等。リバーロとダビ110がそれにつぐ

【結論】
・3NOACはワルファリンに比べてのPK/PDの点で多くの共通点あり
・しかし有効性、安全性において、患者特性によっては多くの違いあり
・3NOADで直接比較は存在しないが、ワルファリンとの比較に関連しての3剤の相違は概略化され、選択の際の妥当性において論議されうる
・臨床家はNOACの選択に影響を与える患者特性は1つ以上でもある患者に、よく遭遇する
・例えば75歳以上または高出血リスクを持つが、1日2回の内服のコンプライアンスは良くない傾向の人の場合、アピキサバンがリバーロキサバンよりも選ばれるかもしれない。リバーロは単純な内服レジュメだがアウトカムの点で劣ると思われるから。

### このレビューの筆者のCOIは3NOACの会社皆にあるとdisclosureされていました。多方面からエビデンスを詳細に検討し、時に大胆と思われる結論を出していて、なかなか明快で勉強になります。

ただし、間接比較の限界を踏まえての検討としている割には、ちょっと単純に比べ過ぎの感もあります。特に私がいつもこの手の比較で引っかかるのはROCKET-AFがCHADS2スコア2点以上で脳卒中既往例が多く含まれており、他の2試験に比べ明らかに重症例を対象としている点です。またARISTOTLE試験はROCKET-AF試験でやや不備だった点(ワルファリンへの切替時の症例組み込み)などが改善されている点も勘案したいところです。

ワルファリンを介しての間接比較とはいえ、仲介すべきワルファリン投与群の背景自体かなり違うので、これを仲介することにあまり意味は無いような気もします。そうした差異を埋めるような統計的処理がされた比較とはいえ。たとえばCCr50未満(eGFRは誤りだと思われます)でアピキサバンの相対危険減少が他より明らかに大きいとのことですが、もともとのワルファリン群の出血率がARISTORLEでは6.4%で、RELYの5.4%、ROCKET-AFの4.7%より多いわけです。それでもアピの出血率は3.2%で他より低いのでより使いたい方に気は向きますが、ハザード比ずつを比べることはちょっと気が引けます。

あくまでこのレビューは「エビデンスに基づいた」選択ですので、実際現実での意思決定は、患者の選好と医師の専門性というエビデンスと等価な要素を総合検討して決める、ということになるように思います。
by dobashinaika | 2013-08-18 00:15 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

ワルファリンか新規抗凝固薬か?:CJCのレビューより

Canadian Journal of Cardiologyオンライン版からです。

Review:Which Oral Anticoagulant for Which Atrial Fibrillation Patient: Recent Clinical Trials and Evidence-Based Choices
http://dx.doi.org/10.1016/j.cjca.2013.05.010, How to Cite or Link Using DOI


「どの心房細動患者にどの経口抗凝固薬を:最近のクリニカルトライアルとエビデンスに基づく選択」

まさに皆が知りたいレビューが出ています。夏休み期間中に少しずつ勉強したものを要約してアップしてきたいと思います。

最初のほうは飛ばして皆が知りたいところから

【ワルファリンかNOACか】
<前提>
・NOACはワルファリンに比べ使いやすい
・ワルファリンの年間脳卒中絶対危険減少(ARR)2.7%、NNT37(脳卒中)または56(死亡)、

<NOACとワルファリンの有効性比較>
・ダビガトランのワルファリンに対する脳卒中のARRは0.58%、NNT172(死亡のNNT154)
・アピキサバンARR0.33%、NNT303(死亡のNTT104)
・リバーロキサバンは有意差なし

<NOACとワルファリンの安全性比較〜頭蓋外出血>
・ダビガトラン110㎎NNT154、アピキサバンNNT104
・ダビガトラン150とリバーロキサバンは有意差なし

<NOACとワルファリンの安全性比較〜頭蓋内出血>
・ダビガトランARR0.44%、NNT227
・リバーロキサバンARR0.2%、NNT500
・アピキサバンARR0.47%、NNT213

<ワルファリンがNOACより好ましい患者集団>
・リウマチ性弁膜症
・左室機能低下、左室瘤、左室血栓のためワルファリンを使用している患者
・機械弁患者:REALIGN試験が血栓塞栓症のため中止

<腎機能について>
・eGFR15~50まではワルファリンの有効性(NOACに比較してではなく)は認められる
・eGFR15未満のワルファリンの有効性は定かでない
・NOACの各試験では腎機能低下例ではSSE(脳卒中/全身性塞栓)が高率だったが、(ワルファリンに比べての)ハザード比は腎機能正常例のときと違いなし。これは大規模試験が腎機能クライテリアに適合した患者を対象としているため
・超高度腎機能低下(RELYとROCKET-AF:eGFR30未満、ARISTOTOLE:eGFR25未満)では組入基準で除外されておりワルファリンが適切
・eGFR15未満及び透析患者は脳卒中、大出血とも多く、ワルファリン同様個々に決断する

<ワルファリン管理良好者>
・ワルファリンは導入期に出血が高率との報告は多数。一方以前から服用していてINR管理良好なら梗塞、出血とも少ない
・そうした患者は、切望しなければNOACへのスイッチ候補ではない

<コンプライアンス>
・ワルファリンはINR変動でコンプライアンスの向上を企図できるが、NOACにはそれがない
・半減期の短いNOACは飲み忘れがワルファリンより影響大

<コスト>
・NOACはコスト大。とくにINR管理良好者と比べて。
・無保険者には処方の障害となる(北米の場合)
・カナダではダビガトラン150㎎はCHADS2スコア2点未満では費用対効果良い
・ダビガトラン110㎎とアピキサバンはCHADS2スコア2点以上でも費用対効果良い

### よくまとまっています。腎機能のところはeGFRではなく、CCrの誤りではないかと思います。

ワルファリンとの比較をNNTで出だされると、NOACもものすごく良い薬とは言えなくなる感じです。頭蓋内出血が圧倒的に少ないと言われていますが、ダビとアピで200人ちょっとに出してワルファリンより1人頭蓋内出血が少ない、リバーロにいたっては500人です。ただ1年間ですので、10年間出し続ければ20人に一人となります。元々がワルファリンでも頭蓋内出血率は0.76%(RELY), 0.74%(ROCKETAF), 0.80%(ARISTOTOLE)と少ないわけですので、NNTはどう頑張っても2桁にはならないわけですが。

まあエビデンス的にはワルファリンよりいい薬。ただし腎機能、コストがクリアできれば。これまでずっとワルファリンで管理良好ならスイッチはすぐに考えなくて良い、といったあたりでしょうか。

明日からはいよいよ3つのNOACの使い分けをアップします。
by dobashinaika | 2013-08-16 20:01 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

”新規抗凝固薬は心房細動脳卒中二次予防の第一選択薬として使うべきではない”:TH誌コントラバーシより

Thrombosis and Haemostasis 6月27日付けオンライン板より

Contra: “New oral anticoagulants should not be used as 1st choice for
secondary stroke prevention in atrial fibrillation”
doi:10.1160/TH13-03-0246



新規抗凝固薬を心房細動脳卒中の二次予防の第一選択薬として使って良いかどうかに関するPro and Con

今回はContra(反対)の立場から

【イントロ】
・ARISTOTLE, RE-LY, ROCKET-AFの3試験を検討
・3試験のうち有効性の点でダビガトラン300、アピキサバンはワーファリンより優位。リバーロキサバンはワーファリンと同等か非劣勢
・3薬剤とも頭蓋内出血においてはワーファリンより安全

【二次予防に関するNOACのデータは限定的】
・神経学のコミュニティーは、NOACを脳卒中の二次予防薬として期待を寄せている。その根拠はNatrisらのメタ解析による
・ただし、そのデータは次のような理由で限定的である

1)3試験とも(発症)14日以内の脳卒中は含まれていない
・発症初期の出血回避のため
・このため発症1ヶ月以内のデータが少ない
・RELY, Rocket-AFは6ヶ月以内の重症脳卒中を除外

2)頭蓋内、眼内、脊髄、後腹膜、関節内の各出血の既往例は、3試験とも除外されておりデータなし

3)ARISTOTLEでは脳卒中/TIA既往者と非既往者で、アピキサバンとワーファリンの有効性は同等
・絶対リスク減少は、既往者0.77/100、非既往者0.22
・同試験では2.2%380例が追跡できていない。アピキサバンとVKAとの絶対差は脳卒中/全身性塞栓症で53,死亡63,頭蓋内出血70。
失われたデータは数としても大きい

4)脳卒中の既往から登録までの期間や脳卒中の重症度が不明。
・脳卒中後のうつ、機能障害、てんかんの頻度も不明
・これらは転倒やアドヒアランス低下から抗凝固薬の障壁となる

5)服薬中断率が各トライアル間で20%程度違う
・ARISTOTLRサブ解析ではアピキサバン群とワーファリン群で、既往者非既往者ともに中断率に差はない 
・中断の理由が明らかにされていない。おそらくNOACの忍容性の差は検討されていない

6)少なくともダビガトランはワーファリンに比べて使いやすいかどうかは疑わしい
・ダビガトランがカプセルのまま薬の分配器にかけられない。
・噛まずに飲み込む、カプセルから薬を出さないなどの注意点は認知症患者には困難
・胃管から吸入できない
・もし上記の事をしてしまった場合のデータがない(その点他の薬も同じ)

7)中和薬、モニタリング法がない
・脳卒中既往者は転倒しやすい(ためそうした方策がほしい)。
・RE-LYでは転倒により硬膜下血腫はダビガトラン群でワーファリンより低かった。ただしリアルワーリドや他のNOACでは不明

8)従来のワーファリンのトライアルは製薬会社から独立して施行されたが、NOACの3試験とも製造元がスポンサー
・主執筆者は製薬会社と関連があるかemployeesである
・製薬会社から独立した試験が急務であるがコストが数百万ドルかかるため、国際でベルでの組織が考慮されるべき

9)NOACの効果のモニタリングができないので、(脳梗塞急性期の)血栓溶解療法時高出血リスクかどうか認知されないまま施行される

10)NOACはモニタリングができないので薬物あるいは食物相互作用の影響を確認できない
・ワーファリンはINRでできる
・脳卒中既往者は抗てんかん薬を含む多剤併用者が多い
・NOACはP糖タンパクの器質であり、CYP系で代謝を受けるものが多い。これらのシステムは代謝物や生物学的利用率の影響を受けやすい
・P糖蛋白修飾物は心房細動関連薬剤(アミオダロン、プロパフェノン、ドロネダロん、ベラパミル)に多い
・これらの影響はわかっておらず、腎機能障害での出血報告もある
・NOACの、冠動脈ステント後2剤抗血小板薬併用例での使用法は不明。3試験ではトリプルテラピーは禁忌
・ダビガトランではPT,aPTTがtPA投与時のモニタリングとして好まれるが、臨床経験はまだ少ない

11)ダビガトランの心筋梗塞リスク増加の問題
・脳卒中既往者は冠動脈疾患合併も多い

12)INR管理の国際格差
・北欧諸国に比べ、INR管理において”poor countries”がある
・こうした国の医者、患者へのワーファリンについての教育をすべき

【結論】脳卒中二次予防において、ワーファリンに比べ、NOACが優れているようなエビデンスは欠如している。メタ解析、サブグループ解析は限定的な情報しか追加しない。もし二次予防患者でワーファリンを上回るNOACの潜在的能力が、製薬会社から独立したトライアルによって証明されないでれあれば、われわれは脳卒中既往者に対しても、セルフモニタリング下でのワーファリンを継続することを勧める。

### 土曜日にアップするといって、今日になりました。すみません。
”反対派”の意見ですが、相当厳しいというか面白い反論になっています。これが誌上でのコントラバーシ、いわば役になりきった上での討論ですので、リアルないわゆる本格討論ではありません。ですが本論説は、もう二次予防患者対象というより、ほぼNOACに対する難点のすべてを網羅して、相当強い装備で持って反論されているように見えます。

そしてその論点は、NOACがかなり普及してきた現在でも、改めて考えなおすべき主張が多く含まれているように思います。とくに、脱落症例数、服薬中断の問題はあまり指摘されなかった点かと思います。また脳卒中発症後早期の方は含まれていない点も、こうした人への早期の抗凝固療法再開が現場では問題となるわけなので、データがない不安はあります。

中和薬、モニタリング法がない、心筋梗塞リスクの問題は、特に二次予防でなくてもNOACの弱点として認識されるべき点でしょう。

この論者の先生は製薬会社へのCOI(利益相反)なしとのことですが、前章の”賛成派”の先生はたくさんありました。こうしたことを考えると、この論戦、結構”マジ討論”かもしれません。
by dobashinaika | 2013-07-08 18:52 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

”新規抗凝固薬は心房細動脳卒中二次予防の第一選択薬である”:TH誌コントラバーシより

Thrombosis and Haemostasis 6月27日付オンライン板より

Pro: “The novel oral anticoagulants should be used as 1st choice for secondary prevention in patients with atrial fibrillation.”
http://dx.doi.org/10.1160/TH13-04-0277

新規抗凝固薬を心房細動脳卒中の二次予防の第一選択薬として使って良いかどうかに関するPro and Conが掲載されています。大変興味深いので要約します。

まず本日はPro(賛成)の立場から

【イントロ】
・ARISTOTLE, RE-LY, ROCKET-AF, AVERROESの4試験のサブ解析を検討
・4試験とも一次エンドポイントは脳卒中または全身性塞栓症。脳卒中には虚血性と出血性を含む

【患者のベースライン】
・4試験ともだいたい同じ
・平均71歳、高血圧、糖尿病が多い。CHADS2スコア高点が多い。30−40%はアスピリン併用。44−61%はワーファリン既服用者

【血管系アウトカム】
・ARISTOTLE試験:
➢脳卒中/全身性塞栓症は二次予防患者(脳卒中既往者)で顕著に高い(ハザード比2.52)
➢脳卒中/TIA既往者のサブグループ解析ではアピキサバン群2.46%vs. ワーファリン群3.24%(ハザード比0.76)
➢アピキサバン群の絶対危険減少は1.77/100人年(対ワーファリン)

・AVERROES試験
➢脳卒中/TIA既往者の一次・エンドポイント:アピキサバン群2.39%vs.アスピリン群9.6%;ハザード比0.29
➢非既往者のイベント率は低い:アピキサバン群1.68%vs.アスピリン群3.06%
➢他の全イベンドもアピキサバン群が優位

・RE-LY試験
➢脳卒中/TIA既往者の一次・エンドポイント:ダビガトラン110群2.32%(相対危険0.84)vs.ダビガトラン150群2.07%vs.ワーファリン群2.78%(相対危険0.75)
➢脳卒中率は既往者で高い
➢ダビガトランの一次エンドポイント及び他のアウトカムにおけるワーファリンに対する優位性は既往者では明らかではなかった

・ROCKET-Af
既往者での一次エンドポイント:リバーロキサバン群2.79%vs.ワーファリン群2.79% で同等
➢非既往者でも1.44%vs. 1.88%

・他の血管性イベントでは各NOACとワーファリン群で有意差なし。
・すべての試験で、脳卒中は既往者のほうが非既往者より高率

【出血合併症】
・ARISTOTLE
➢既往者:アピキサバン群2.84%vs. ワーファリン群3.91%(0.54−1.32)

・AVEROROES
➢既往者のほうが非既往者より出血多い(2.88倍)
➢アピキサバン群とアスピリン群でリスクは同等

・RE-LY
➢110mgでワーファリンより少ない(RR0.6)
➢150mgでワーファリンと同等(RR1.01)

・ROCKET-AF
➢既往者:リバーロキサバン群3.13%vs. ワーファリン群3.22%、同等
➢非既往者:リバーロキサバン群4.10%vs. ワーファリン群3. 69%、同等

・ワーファリンとの比較3試験を通じて、NOACは脳出血や他の頭蓋内出血については明らかな減少を認める。脳出血関連死が40%減少することに関連あり。

【メタ解析】
・いずれの二次予防者についての解析も、nが少ないため統計的有意差は認められていない
・Ntarisらの14,527例のメタ解析では、NOACの二次予防効果は対ワーファリンでオッズ比0.85、相対リスク減少14%、絶対リスク減少14%、NNT134
・NOACの出血リスク減少は、対ワーファリンでオッズ比0.86、相対リスク減少13%、絶対リスク減少0.8%、NNT125
・この大出血の減少は出血性脳卒中の減少によるところ大:オッズ比0.44、相対リスク減少57.9%、絶対リスク減少0.7%、NNT139
・Rasmussenらのメタ解析では二次予防についてはNOAC3剤とも同様の効果があり、出血等に関してはダビガトラン110がリバーロキサバンより減少効果ありとしている

【結論】NOACは脳梗塞/TIA既往のある心房細動患者の二次予防にとって大きなブレイクスルーである。この患者群は脳梗塞再発ハイリスクであり、NOACはこれを顕著に減らし、なおかつワーファリンによる大出血合併症も有意に減らす。またNOACは早急に効果が発現するため、早期退院に寄与する。残念なことに超急性期の脳卒中/TIAはRCTには含まれていないため、これら患者へのエビデンスは持ち合わせない。
二次予防では絶対リスクは明らかにNOACで減るが相対リスク減少はみられなかっった。脳卒中発症率が高いためと考えられる。
ゆえにNOACは心房細動患者の脳卒中二次予防において好ましい選択である。

### これはCONと合わせて読むと面白いです。CONはあしたアップします。そのうえでどちらが良いのか、判断して下さい。
by dobashinaika | 2013-07-05 18:05 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

日経メディカルオンラインの読者調査「最も評価が高い新規経口抗凝固薬は?」

日経メディカルオンライン・循環器プレミアムの「記者の目」で「最も評価の高い新規経口抗凝固薬は?」という記事が掲載されています。

同サイト登録会員対象に行った新規経口抗凝固薬(NOAC)に対するネット上のアンケート調査です。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201305/530315_2.html

【対象など】
調査期間:2013年2月14日〜2月28日
有効解答:410件(男性92%)
専門科目:循環器(内科系)40.7%、内科23.4%
診療形態:一般病院勤務医62.9%、大学病院勤務医13.4%、診療所勤務医11.7%、診療所開業医11.7%、病院開業医0.5%

【結果】
1)使用経験のあるNOAC
ダビガトラン 60.2%
リバーロキサバン31.5%
アピキサバン5.6%
この中になし33.4%

2)現時点で評価の最も高いNOAC
ダビガトラン48.0%
リバーロキサバン39.0%
アピキサバン11.2%
無回答1.9%
日経メディカルオンラインの読者調査「最も評価が高い新規経口抗凝固薬は?」_a0119856_22432678.jpg


3)評価理由
ダビガトラン:
〈使用経験の多さ〉〈使い慣れている〉:例「最も早く発売となったので、他剤より信頼性がある」
リバーロキサバン:
〈実用性〉:例「1日1錠でありコンプライアンスが高い」「錠数が少なく、飲みやすい」
〈安全性〉例:「腎機能不良例にも比較的安全に使用できる」
アピキサバン:
〈臨床試験の成績〉:例「ARISTOTLE試験で、ベネフィットとリスクのバランスが良いことが証明されている」

### ネット上のアンケート調査で、バイアスが少なくないと思われますので、これだけからものをいうことはできないかもしれません。リバーロキサバンへの評価が意外と高いのが目につきました。ただ安全性の点で「比較的安全」ということはまだ早計かもしれないと思われます。その分、肝機能への配慮も必要ですし。

個人的には質問2)にNOACの垣根を取っ払ってワーファリンも加えてほしかったです。病院勤務医が多いことから考えると、やはりワーファリンが今の時点でも一位になるのではないかと思います。

筆者の方も書いておられるように、今後データ集積の継続が大切かと思われます.できれば、具体的な使用経験、特に失敗談とかこういう風に考えて使っているといった、フリーハンドの内容も紹介していただけると参考になると思います。

ちなみに私の「推しメン」はやっぱり今もワーファリン。でも患者さんごとに「推し変」します。

なおこのデータを全文読むには無料登録が必要です。
以下のFacebookでも公開されています。
https://www.facebook.com/nmonl
by dobashinaika | 2013-05-07 22:44 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

プラザキサ、イグザレルト、エリキュースとワーファリンとの費用対効果比較;Stroke誌

Stroke 4月2日付けオンライン版より

Cost-Effectiveness of Apixaban, Dabigatran, Rivaroxaban, and Warfarin for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation
doi: 10.1161/ STROKEAHA.111.000402


【疑問】ダビガトラン、リバーリキサバン、アピキアバンはワーファリンに比べて費用対効果はどうなのか?

【方法】
・マルコフモデルで各大規模試験から、「70歳男性、非弁膜症性心房細動、CHADS2スコア1点以上、CCr50以上、抗凝固療法禁忌なし」のモデルケースにおけるアピキサバン5mg、ダビガトラン15mg,リバーロキサバン20mgの生涯コスト、QALYを評価し、ワーファリンと比較
・Willingness to pay(支払い意志額)を1QALYあたり$5000に設定

【結果】
1)ワーファリンが最低コスト
  ワーファリン:$77813±2223
  リバーリキサバン:$78738±1852
  ダビガトラン:$82719±1959
  アピキサバン:$85326±1512

2)アピキサバンがQALYは最高
  アピキサバン:8.47±0.06
  ダビガトラン:8.41±0.07
  リバーロキサバン:8.26±0.06
  ワーファリン:7.97±0.04

3)モンテカルロ・シミュレーションによる感度分析での費用対効果は
  アピキサバン:45.1%
  ダビガトラン:40%
  リバーロキサバン:14.9%
  ワーファリン:0%

【結論】アピ5mg、ダビ150、リバーロ20はどれもワーファリンより費用対効果が高い。米国ではNOACの費用対効果は治療費の高低に依存、リバーロは神経学的イベントにも関係

### 円安傾向なので、1ドル約100円として計算すると、たとえば70歳の人の生涯コストが最高のアピキサバンでは約850万円のコストとのことです。もちろん脳梗塞、脳出血などのイベントにかかる費用も加味されていると思われます。

日本では、薬価はプラザキサ150、イグザレルト15、エリキュース5と皆同じ薬価ですが、プラザキサ110だけちょっと安いわけです。

70歳なのでプラザキサだと110になりますが、高い方をとって、イグザレルト15(欧米は20)、エリキュース5を飲んだと仮定しますと、1日薬価は530.4円で、日本人男性70歳の平均余命は約15年ですので
530.4x365x15=2,903,940円。薬価だけなら約300万円です。

ちなみにワーファリン1日3錠なら、ワーファリンは1錠9.7円ですので、
9.7x365x15=531,075。53万円でNOACの約6分の1。

薬剤費だけだとそうなりますが、それを相殺してしかも費用対効果がワーファリンを凌駕するだけの脳卒中予防効果あるということだろうと思います。

日本のデータ、たとえばJ ROCKET-AFでこうした分析をできないものでしょうか?J-ROCKET AFは、本家ROCKET AFと同等あるいはそれ以上の結果でしたので、この論文を敷衍すれば、日本でも費用対効果の点でワーファリンに勝つと言うシミュレーションが成り立つような気もします。

しかし、これだけの薬価差を相殺して余りあるだけの効果が、NOACにあるとはにわかには信じがたいもしますが、...まあ、あくまでシミュレーションですので...

QALYとは、生活の質を考慮に入れた生存年数です。こちら参照
http://www.crecon.co.jp/pharmaco/pharmaco/page2.html

モンテカルロシミュレーションについてはこちら参照
http://www.crecon.co.jp/pharmaco/pharmaco/page6.html

これまでのNOACに関する費用対効果に関するブログはこちら。似たような検討は結構、既にやられてはいますが。
http://dobashin.exblog.jp/16001960/
http://dobashin.exblog.jp/15750837/
http://dobashin.exblog.jp/15703756/
http://dobashin.exblog.jp/14978382/

by dobashinaika | 2013-04-12 23:40 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

第77回日本循環器学会3日目見聞記(1):新規抗凝固薬の大規模試験責任者3人による討論

日循3日間、どっぷり抗凝固薬に浸かってきました(笑)。

今日は午前中Meet the expert10でRE-LYのConnolly Stuart先生(マクマスター大学)、J-Rocket AFの堀正二先生(大阪府立成人病センター)、Alexander John先生(Duke大学)によるディスカッションがありました。

前半は各先生から各試験の概要、特にサブ解析に関して解説がありました。後半時間が余ったので、座長の後藤信哉先生の計らいで3先生のスリーショットによるパネルディスカッションとなりました。新規抗凝固薬の大規模試験開発推進者であるの3先生の掛け合いはなかなかにききごたえがありました。

RE-LYは用量設定から既に2アームに分かれての試験であるのに対し、他の2つは低用量処方に関しては腎機能低下例に対しての付帯事項であること。Rocket-AFはCHADS2スコア高値例対象であること。アリストテレスの低用量設定のみ計算式を用いていないこと。などなどが話題となりました。

EBM watcherとしては面白かったのですが、いかんせん英語による討論だったことと、試験デザインや試験の解釈に話題が及んでいて(当たり前ですが)、プライマリケア従事者にはちょっと距離があったかなと思いました。こういう議論、10数年前勤務医時代にEBMをかじり始めた頃はすごく面白かったのですが、最近関心が複雑系(臨床試験もそれはそれで別の意味で複雑系ですが)の方に向いているので、どうもマニアックに聞こえてしまうのです。これはいけない傾向ですね。サイエンスはサイエンスとしてきっちり、見ていかないとですね。

個人的にはAlexander先生が強調していた、アリストテレスのサブ解析で全身塞栓症はCCr低値でアピキサバン、ワルファリン両者とも多いのに対し、大出血はCCr低値ではアピキサバンの方が発症率が低いという点が気になります。以前のブログでも取り上げました。
http://dobashin.exblog.jp/16869630/

高齢者でCCr30くらいの人で抗凝固薬適応の人はいっぱいいるし、今後増えるからです。実臨床で腎機能低下例に対しNOACがどう使われているのか、注目したいです。
by dobashinaika | 2013-03-17 22:04 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

抗凝固薬の臨床試験は二重盲検でなくオープンラベルでも良いのか?

Thrombosis and Haemostasis  1月24日付けオンライン版より

Do open label blinded outcome studies of novel anticoagulants versus warfarin have equivalent validity to those carried out under double-blind conditions?
http://dx.doi.org/10.1160/TH12-10-0715


【疑問】新規抗凝固薬の大規模試験はPROBE法とダブルブラインドダブルダミー法の2方法が用いられているが、前者は後者と同様の妥当性を持つのか?

【背景】
・ダブルブラインドダブルダミー法は、リアルワールドの服用法とは違うので現実的な解釈が難しい。
・同法は緊急時に不適切な対応をとるおそれがある
・盲検が厳格なため、エントリー症例にバイアスが生じる(多くのなもれない症例が脱落する可能性)

E/C:
PROBE法で行われた3試験RE-LY (ダビガトランvsワルファリン), AMADEUS (idraparinux vs. ビタミンK拮抗薬)、SPORTIF III(キシメガラトランvs. ワルファリン)とSPROTIF V(キシメガラトランvs. ワルファリン)、ROCKET AF(リバーロキサバンvs. ワルファリン)、ARISTOTOLE(アピキサバンvs. ワルファリン)の3試験

O:各種エンドポイント、選択基準、除外基準、エントリー後の患者背景

結果:
1)ほぼすべてのアウトカム(オッズ比)において、両法間の際はほとんどなし:

2)1次エンドポイント(脳卒中+全身塞栓症):PROBE法1.74%年、ダブルブラインドダブルダミー法 1.88%年

3)ROCKET AF試験の高い全死亡率および各PROBE法による試験の低い心筋梗塞率のみ差異あり

4)ROCKETAF試験を除いて、選択基準、除外基準、エントリー後の患者背景に大きな差異なし

結論;結果の差はあるが、デザインに起因するものではない。心房細動のトライアルにおいて、ダブルブラインドは必要ないかもしれない。

### PROBE法はProspective,Randomized,Open,Blinded-Endopoint designの略で、患者、医師にはオープン、評価者にはブラインドというやり方。一方ダブルブラインドダブルダミー法は、たとえばROCKET AFではリバーロキサバン群ならリバーロキサバンの実薬の他に、架空のINRを医師に伝え、医師はそれに基づき、偽薬であるワルファリンをその都度用量調節して出すというやり方です。後者はこのように非常に煩雑です。そこで、実際の臨床を反映していない、できる患者は限られた人だけ、といった懸念が生じます。

一方、PROBE法は、日本の特定大学の名称が入った試験でさんざん注目されたように、「狭心症」「一過性脳虚血発作」といったソフトエンドポイントが設定されていると、その診断にが意図的になる可能性があるわけです。

この論文ではダブルブラインドダブルダミー法の欠点が挙げられていますが,
上記の各試験でPROBE法の欠点が問題となることはないでしょうか?たとえば、RELY試験では、「stroke」の定義は身体所見のみ記載されており、画像診断の記載はないようです。またROCKET AFなどでは画像診断を「勧められる」としています。まあ、TIAではないので、ほぼ臨床症状で診断できますし、実際は多数の症例で画像診断がおこなわれたと聞いています。

その他のエンドポイントは、ほぼ曖昧な点を残さない、ハードエンドポイントであり、評価者はブラインドですので、確かに言われれば、抗凝固薬のトライアルであればPROBE法でもまあ良いかとも思います。

ただ、この論文の姿勢は結果オーライ的な感じもあり、やっぱり大規模臨床試験は理想的にはダブルブラインドが基本ではないかと思いたいです。専門の先生のご意見が聞きたいところです。
by dobashinaika | 2013-01-28 20:15 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

新規抗凝固薬は計算上ヨーロッパの人々を年間2〜6万人救う

Thrombosis and Haemostasis 11月22日オンライン版より

Potential net clinical benefit of population-wide implementation of apixaban and dabigatran among European patients with atrial fibrillation
http://dx.doi.org/10.1160/TH12-08-0539


論文から割り出した、アピキサバンとダビガトランの仮想上のネットクリニカルベネフィット

【対象】EuroHeart Survey on AF (EHS-AF)に登録した高リスク(CHA2DS2-VAScスコア2点以上)非弁膜症性心房細動患者3400人:女性39%、平均67歳、CHADS2スコア平均3点。

【方法】大規模試験のハザード比を登録患者に当てはめ、更に全ヨーロッパに適応してネットクリニカルベネフィット、NNTを算出

【結果】
1)血栓塞栓症:108人3.2%、大出血51人1.5%、死亡146人4.3%

2)アピキサバン;ワーファリン、アスピリンに比べて死亡17人、脳卒中27人、大出血8人を減少させる

3)ダビガトラン150mgx2;ワーファリン、アスピリンに比べて脳卒中を34人、減少させる

4)ダビガトラン110mgx2; ワーファリン、アスピリンに比べて脳卒中を16人、大出血を6人減少させる

5)全ヨーロッパにこのデータを当てはめた場合の絶対心血管イベント+死亡減少
アピキサバン:64573人/年
ダビ150x2:43235人/年
ダビ110x2:27272人/年

【結論】アピキサバン、ダビガトランは、このモデルによれば、ヨーロッパの心房細動患者に脳卒中、大出血において、十分なネットクリニカルベネフィットを提供する。

### あくまで論文の数値を、実臨床に当てはめたシミュレーションの数字です。他の同様の検討と同様、計算上はアピキサバンが一番良いようですね。
全ヨーロッパのポピュレーションに当てはめるというのがすごいです。
それにしても最近ヨーロッパ勢からの、新規抗凝固薬イチオシデータが目白押しです。メーカーの所在地と関係は?(アピキサバンは米国ですが)
by dobashinaika | 2012-11-24 19:45 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

非ビタミンK阻害抗凝固薬のワーファリンと比較したNNTなど

Stroke 11月13日オンライン版より

Nonvitamin-K-Antagonist Oral Anticoagulants in Patients With Atrial Fibrillation and Previous Stroke or Transient Ischemic Attack
A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
doi: 10.1161/ STROKEAHA.112.673558


非ビタミンK抗凝固薬の二次予防に関するメタ解析

【方法】
・ 47試験、14527例、脳卒中/TIA既往のある心房細動患者対象、無作為化試験対象

【結果】
1)ワーファリンに比べ脳卒中/全身性塞栓減少:オッズ比0.85 (0.74-0.99)、相対危険減少14%、絶対危険減少0.7%、NNT134(1.8〜2.0年追跡)

2)ワーファリンに比べ大出血減少;オッズ比0.86 (0.75-0.99)、相対危険減少13%、絶対危険減少0.8%、NNT125(1.8〜2.0年追跡)

3)頭蓋内出血は特に減少:オッズ比0.44 (0.32-0.62)、相対危険減少57.9%、絶対危険減少0.7%、NTT139(1.8〜2.0年追跡)

【結論】
異なる試験の比較という限界を鑑みても、二次予防においてはワーファリンに比べて、脳卒中、全身性塞栓、出血性脳卒中、大出血を明らかに減らすと考えられる。

### 興味深い数字が出ています。ワーファリンに比べてNNTが120〜140。この数字をどうとらえるか。脳卒中と出血とを合わせればなかなかに高いのではないかとも思いますし、そんなもんかという気もします。二次予防患者さんの場合、ワーファリンを130人くらい出している外来でそれを全部新規抗凝固薬に変えると脳卒中、出血から2年くらいで1〜2人救えるというわけですね。もちろんメタ解析なりの様々な制限“In the context of the significant limitations of combining the results of disparate trials of different agents”を踏まえてですが。大雑把な目安にはなります。
by dobashinaika | 2012-11-22 23:16 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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