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カテゴリ:抗凝固療法:比較、使い分け( 66 )

慢性腎臓病ステージ3-5合併心房細動に対してNOACはワルファリンに比べ有効性安全性とも優れる:AIM誌


疑問:末期腎不全を含むステージ3-5の慢性腎臓病(CKD)合併心房細動に対する抗凝固薬はワルファリンかNOACか?

方法:
・メタ解析
・45試験,34082例
・心房細動11試験,静脈血栓塞栓症11試験,血栓予防6試験,透析アクセス血栓予防8試験。心房細動以外の心血管病9試験
・8試験を除く全ての試験でCCr<20 (eGFR<15)の末期腎不全を含む

結果:
1)脳卒中/全身性塞栓症(心房細動):NOAC vs VKA(RR, 0.79 95% CI, 0.66 to 0.93; high-certainty evidence)

2)出血性脳卒中(心房細動):NOAC vs VKA (RR, 0.48 CI, 0.30 to 0.76; moderate-certainty evidence)

3)静脈塞栓血栓症:NOAC vs VKA(RR, 0.72 CI, 0.44 to 1.17 low-certainty evidence)

4)大出血:NOAC vs VKA(RR, 0.75 CI, 0.56 to 1.01; low-certainty evidence)

リミテーション:症例数少ない。大半はサブグループ解析

結論:早期のCKDでは,NOACのベネフィットーリスク関係はVKAより優れる。進行したCKDあるいは末期腎不全ではVKAとNOACのベネフィットや害についての確立したエビデンスに乏しい。

### 心房細動に関してはNOACのほうが分がいいようです。
ただし腎不全(特にステージ進行例)のエビデンスは一定しません。高齢者ではむしろ抗凝固薬が出血はおろか,虚血性脳卒中も増やしたという報告もあります。

腎不全進行例は本当に悩みます。CCrが15未満はどのDOACも禁忌ですが,だからといってワルファリン,とも簡単に行きません。そもそも腎機能はだんだん悪くなるので,新規には投与しないとしても,今までずっと使ってきた人が末期腎不全になっていった場合になかなかやめられないという医療者のバイアスがあります。

ただ腎機能が低くなるほど出血が多くなることは確実で,これまでワルファリンをINR1.6ギリギリで使ったりしていたわけですので,NOAC超低用量に期待したいと思いますし試験も走っているようです。また,”待ち”ですかね。

なお,ここではリスク比に従ってhigh-certainty evidence,low-certainty などとエビデンスの格付けもしてくれていてありがたいです。

$$$ 今日のニャンコ
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by dobashinaika | 2019-07-26 07:04 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

日本のコホート研究ではオフラベル低用量DOACでもアウトカムは悪化せず:Circ J誌より


目的:日本におけるオフラベル用量のDOAC使用のアウトカム

方法:
・SAKURA AF レジストリ
・3237例中,4DOAC処方をフォローしえた1676例対象。平均追跡39.3ヶ月

結果:
1)適切標準用量:46%,適切低用量:28.7%,アンダードーズ:4.0%,オーバードーズ22.2%

2)適切標準用量群に比べアンダードーズ,オーバードーズ群は明らかに高齢で高リスク

3)脳卒中/全身性塞栓症,死亡:標準用量群,アンダードーズ群間で有意差なし

4)大出血:アンダードーズ群で低い傾向:HR0.474, P=0.0739
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5)複合イベント(脳卒中/全身性塞栓症,大出血,死亡):標準用量群に比べオーバードーズ群で高い:HR 2.714, P=0.0081
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結論:アンダードーズ群と標準用量群では患者背景が異なっており,アンダードーズ群がアウトカムが悪いわけではない。しかしオーバードーズ群はイベントリスクが高く,慎重なフォローが必要。さらなる研究が必要

### 複合イベントが良くなかったのは,オーバードーズ群と適切低用量群でした。適切低用量群は年齢が最高(平均79.2歳)でCHADS2スコアも最高でした。ここに属する例は真の高リスク例であり,たとえ低用量であってもアウトカムが良くないのだと思われます。

一方オーバードーズ群は筆者も述べているように,図らずも低用量になってしまった群,つまり当初は標準用量でよかったのに経年的に加齢,腎機能低下,低体重が進行したにもかかわらず,それに応じて用量を減らさなかった例ーチコちゃんから医師が"ぼーっと生きてんじゃねえよ”と言われそうな例と思われます。この群はダビガトラン処方が53.0%を占めており,当初ダビガトラン150x2で始めたが70歳以上になっても低用量にしていない例があるのかもしれません。

一方アンダードーズ群は年齢71歳,CCr70.1と比較的良好であり,もともとリスクの少ない例が多いと思われます。低リスク例かまたは用量基準ギリギリの例なのでアウトカムが標準用量と変わらないのかもしれません。

アンダードーズ群ではイグザレルト処方例が50.1%ですが,全体に若年で低リスクのため塞栓リスクが増えていないのかもしれません。

いずれにせよ,大幅な逸脱でなければDOACの低用量処方は日本でアウトカムに大きな影響はないのが現状のようです。ただしボーッと高用量は要注意,ということです。

$$$ 忙中菓子あり。萩の月たまに食べても美味しいです。
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by dobashinaika | 2019-03-13 22:04 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

日経メディカルオンライン連載第5回:抗凝固薬の使い分け NOACはどれか1つを使いこなせば「まずOK」

日経メディカルオンライン連載第5回更新いたしました。

今回は,抗凝固薬の使い分け NOACはどれか1つを使いこなせば「まずOK」

ご参照いただければ幸いです。


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by dobashinaika | 2018-10-24 10:46 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

東京のコホート研究では脳卒中/全身性塞栓症と全死亡はDOACーワルファリン間で有意差なし。大出血はDOACで有意に少ない:SAKURA AF レジストリー


P:登録時心房細動が確認され,抗凝固療法を施行されている日本のNVAF患者3268例

E:DOAC1690例

C:ワルファリン1578例

O:主要評価項目:脳卒中/全身性塞栓症。心血管死,全死亡,大出血,および以上全てについても解析

試験デザイン:東京地域の医療機関(2心臓血管センター,13病院,48診療所)からの前向き登録研究。2013年9月〜2015年12月に登録。平均追跡期間39.3ヶ月

結果:
1)追跡率:1年=97.5%,2年=91.2%

2)以下のアウトカムでDOAC-ワルファリンで有意差なし
脳卒中/全身性塞栓症:DOAC vs. ワルファリン=(1.2 vs. 1.8%/年)
大出血:DOAC vs. ワルファリン=(0.5 vs. 1.2%/年)
全死亡:DOAC vs. ワルファリン=(2.1 vs. 1.7%/年)

3)プロペンシティスコアマッチ後は
脳卒中/全身性塞栓症(P=0,.679),全死亡(P=0.894)は同じ
大出血はDOACで少ない(P=0.014)
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結論:日本における心房細動患者の抗凝固薬使用の現状とアウトカムに関する,高追跡率で信頼すべきデータである。3年追跡で,脳卒中/全身性塞栓症と全死亡はDOACーワルファリン間で有意差はなかったが,大出血はDOACで有意に少なかった。

### 日本大学板橋病院が中心となって行われている心房細動登録研究におけるアウトカム論文です。
患者背景等に関する論文はすでに出ています(これまで紹介しないですみません^^)

有名な伏見AFとの比較ですが,平均年齢はSAKURA 72.0歳,FUSHIMI 73.6歳。平均CHADS2スコアはSAKURA 1.80点,FUSHIMI 2.0点です。

SAKURAは抗凝固薬投与例のみが対象なのと,ワルファリンのTTRが算出されているところも違う点です。

まず2年間での抗凝固薬使用率の推移を見ると,ワルファリン,ダビガトラン,リバーロキサバンは減少し,アピキサバン,エドキサバンが徐々に増えているのがわかります。
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アウトカムでFUSHIMIと違う点は,スコアマッチ後は大出血がDOACで有意に少なかった点です。考察では,スコアマッチ後も1600例強と多くの例で比較している点を指摘していました。

それにしてもこの試験での大出血率は大変低いですね。ワルファリンでも年間1.2%,DOACでは0.5%です(頭蓋内出血でなく大出血です)。TTRも大変いいし,またCHADS2スコアも比較的低い例が多いのも一因と思われます。

ただし,高齢者でのサブ解析では今年の日循で発表されているものによれば,大出血でも差がなかったようです。

今後とも注目したい研究と思います。

$$$ 高い空,乾いた風,薄い雲,季節の移ろいが愛おしいですね。
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by dobashinaika | 2018-08-19 22:23 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

アジアの大規模リアルワールドデータにおけるNOACの有効性と安全性は?:Stroke誌


疑問:アジア人のリアルワールドデータでは,NOAC (対ワルファリン)の有効性安全性はどうなのか?

方法:
・韓国の国民健康保険データベース
・アウトカム:虚血性脳卒中,頭蓋内出血,全死亡
・NOAC(ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバン)11611例,ワルファリン23222例(プロペンシティースコアマッチ),NVAF,CHA2DS2-VAScスコア2点以上

結果:
1)虚血性脳卒中:NOAC=ワルファリン,頭蓋内出血:NOAC<ワルファリン,全死亡:NOAC<ワルファリン

2)虚血性脳卒中,頭蓋内出血の対ワルファリン相対危険:3つのNOACで同じ

3)全死亡及びネットクリニカルベネフィット(上記3アウトカム合計):ダビガトランとアピキサバンでワルファリンより良い。リバーロキサバンとワルファリンは同等

結論:アジアにおける高リスクの心房細動患者において,3つのNOACはワルファリンに比べ虚血性脳卒中じは同等で,頭蓋内出血は少なかった。全死亡は,ダビガトラン,アピキサバンがワルファリンとより少なかった。

### アジア人のRWDでは,かなり大規模なデータです。概ねこれまでのRWDやNOACと同様の結果かと思われます。高齢者などではどうだったのかも知りたいところです。

$$$ 前回のブログで見えていた黒猫チャン
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by dobashinaika | 2017-10-23 22:01 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

低リスク症例では,NOACは虚血性脳卒中/全身性塞栓症でワルファリンと同等。出血はダビガトラン,アピキサバンで低率


重要性:NOACのRCTの対象はリスク2つ以上の患者が多く,ダビガトラン,アピキサバンの場合も(組入基準はCHADS2スコア1点以上だが)1点の患者は少ない。しかるに保険適応は1点以上を基本にしている。

目的:リスクが1つのみの患者におけるNOACのアウトカムをワルファリンと比較

デザイン,セッティング,対象:
・デンマークの全国登録研究
・ダビガトラン150mg,リバーロキサバン20mg,アピキサバン5mg標準量とワルファリンの有効性,安全性比較
・CHA2DS2-VAScスコア1点(性別無関係)の心房細動患者14020例

主要評価項目:虚血性脳卒中/全身性塞栓症,死亡,出血

結果:
1)全14,020例,女性36.7%,66.5歳

2)虚血性脳卒中/全身性塞栓症:NOAC vs ワルファリンで有意差なし

3)あらゆる出血:NOAC(ダビガトラン,アピキサバン)はワルファリンより有意に低率
ダビガトラン:HR,0.35; 95%CI, 0.17-0.72
アピキサバン:HR, 0.48; 95%CI, 0.30-0.77
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4)感度分析において,多くのサブグループで同様の結果,1年と2.5年追跡でも同様

5)残存する交絡因子があるので,虚偽の結果である可能性はある

結論:このコホート研究では,虚血性脳卒中/全身性塞栓症はNOACとワルファリンで同等だった。「あらゆる出血」はダビガトランとアピキサバンでワルファリンより低率だった。未知の交絡因子はあるのでこのデータはNOACの優位性を断定するものではない。

### RCTでも「虚血性脳卒中」に限ると,ワルファリンに勝つのはダビガトラン150mgだけでしたので,全身性塞栓症を抱き合わせでの実臨床データになると,ワルファリンと同等となってしまうようです。その分出血は低率で,ワルファリンが年間1.53%のところ,ダビガトラン0.73%,アピキサバン0,57%と半分以下でしたが,リバーロキサバンでみ1.33%でワルファリンと同等でした。頭蓋内出血/消化管出血という重症出血で見てもアピキサバン0.06%,ダビガトラン0.16%,ワルファリン0.54%とのことです。

この結果からは,(リバーロキサバンを除いて)RCTに準じた結果であり,NOACが良いように思えます。

ところでDiscussionのところでLip先生が興味深い試算をしているのでメモしておきます。
OACを処方する時に脳卒中発症率の閾値(これより高い集団では出血リスクを上回るため処方)はワルファリン1.7%,NOACは0.9%1)。ワルファリンではTTR70%以上であれば年間1.7%をより低率にさせる2)。

となると,日本人は,各登録研究でこの閾値より低いことが示唆されているので,ほんとうのところは同様のコホート研究をしないかぎり,まだNOACの(ワルファリンに比べての)安全性を確定することはできないとの思いを,むしろ強くします。

### 念願のブリューゲル展に行ってきました。
超絶な精緻さが,バベルの塔=人間の欲望をよりクールに際立たせているように思います。
大友克洋版「INSIDE BABEL」も童夢の団地群が想起されて胸熱でした。
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by dobashinaika | 2017-06-18 23:08 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

ワルファリンの管理状況が良ければ脳卒中/全身性塞栓症はNOACとほぼ同じ:RCTのメタ解析より


疑問:ワルファリンの管理状況 (その施設のTTR=cTTR)がどの程度であればNOACに負けないか?

方法:第3相比較試験のメタ解析。一次エンドポイントが脳卒中/全身性塞栓症と大出血あるいは小出血かつ臨床的に意義ある出血 (NMCR)

結果:
1)TTRについてのサブ解析対象:71,222例

2)cTTR<60%:脳卒中/全身性塞栓症でNOAC優位 (HR 0.79, 95% CI 0.68–0.90)

3)cTTR60~70%:脳卒中/全身性塞栓症でNOAC優位 (HR 0.82, 0.71–0.95)

4)cTTR≧70%:70%未満と比べて交互作用あり (1.00, 0.82–1.23)(p = 0.042)

5)大出血:すべてのサブグループでNOACが優位。ただしcTTR≧70%では優位性ないが交互作用はなし

結論:TTR70%以上ではNOACのワルファリンに比べた有効性は低い。しかし相対的に安全性(の優位性)についてはcTTRの影響は少ない。

### ちょっとややこしいですが,TTR70%以上なら有効性はNOAC=ワルファリンは確実。安全性も同等の傾向だが統計的には断言できない。ということかと思います。

注意すべき点としてはTTRはその施設のデータなので,ひとりひとりの患者さんのデータからの結論ではないことです。
ただ,Lip先生のTTR70%ではワルファリン変えなくて良い説をある意味,裏付ける結果とは思われます。

$$$ 散歩でいつも通るご近所のバラの花がここぞと咲き誇っています。
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by dobashinaika | 2017-06-06 21:11 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

低用量NOACとワルファリンとで有効性,安全性はあまり変わらない:デンマーク登録研究:BMJ


疑問;低用量NOACとワルファリンはどちらが良いのか?

P:抗凝固薬新規投与のNVAF,デンマークの国民登録55644例

E:NOAC低用量:アピキサバン2.5mgx2,ダビガトラン110mgx2,リバーロキサバン15gx1

C:ワルファリン(プロペンティースコアマッチ)

O:有効性「虚血性脳卒中/全身性塞栓症」,安全性「受診を要する出血」

結果;
1)リバーロキサバン群3,476例(平均年齢77.9歳),アピキサバン群低4,400例(平均年齢83.9歳),ダビガトラン群8,875例(平均年齢79.9歳),ワルファリン群38,893例(71.0歳)

2)平均CHA2DS2-VAScスコア:各3.6,4.3,3.8,3.0点

3)虚血性脳卒中/全身性塞栓症発症率/年:アピキサバン群4.7%,ワルファリン群3.7%,リバーロキサバン群3.5%,ダビガトラン量群3.3%
ハザード比:アピキサバン群1.18, 95%CI 0.95-1.47,リバーロキサバン群:HR 0.89,95%CI 0.68-1.15,ダビガトラン群::HR 0.89,95%CI 0.77-1.02

4)出血;アピキサバン群とワルファリン群5.4%,リバーロキサバン群が5.8%,ダビガトラン群が4.3%
ハザード比:ダビガトラン群HR 0.80,95%CI 0.70-0.91,アピキサバン低群:HR 0.96,95%CI0.73-1.27,リバーロキサバン群:HR 1.06,95%CI 0.87-1.28)
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結論:アピキサバン2.5mgx2はワルファリンに比べ虚血性脳卒中/全身性塞栓症を増加させる傾向にあった。リバーロキサバンとダビガトランは減少傾向であった。出血はダビガトランで有意に低値だったが,アピキサバンとリバーロキサバンではワルファリンと同等であった。

### 対象はデンマークのNVAFで新規に抗凝固薬を処方された方,平均年齢がかなり違い,ワルファリン71歳に対し,ほかは77歳以上,アピキサバンに至っては83.9歳です。低用量だからと思われます。補正はされています。

低用量処方の場合,アピキサバンはやや脳卒中/全身性塞栓症が増える。出血はダビガトランでのみ減るということで,やや意外なデータでした。補正できていない因子があるのかもしれません。

以下のブログで取り上げた同じデンマークの大規模コホートの標準用量とで単純に発症率を比較すると,脳卒中/全身性塞栓症は2.8〜4.9%(標準量),3.5〜4.7%(低用量)と両者であまり発症率は変わりなしでしたが,出血は2.4〜5.3%(標準量),4.3〜5.4%(低用量)とむしろ低用量のほうが多い傾向でした。もちろん一概には比べられません。

筆者も触れていますが,アピキサバンはARISTOTLEのサブ解析で2.5mgx2処方群でもワルファリンより少ない傾向という結果でした。対象が違いますが,リアるワールドでは減量基準が守られていたのか気になるのと同時に,筆者は80歳以上の高齢者でも血中濃度50%(健常者データ)のドーズダウンが良いことなのかとに疑念を訴えています。

リバーロキサバンの日本人での低用量は10mgですので,日本人への一般化は難しいですが低用量にした場合,標準量とは多少違った結果が出ることは注意したいと思われます。

by dobashinaika | 2017-02-14 18:57 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバン3剤のリアルワールド直接比較:Chest誌


Direct Comparison of Dabigatran, Rivaroxaban, and Apixaban for Effectiveness and Safety in Nonvalvular Atrial Fibrillation.
Chest. 2016 Dec;150(6):1302-1312

疑問:ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバンを直接比較した場合の結果は?

方法:
・米国南部〜中西部の医療保険またはメディケアからのデータベース使用
・上記3剤を使用した非弁膜症性心房細動:2010年10月〜2015年2月
・リバーロvs.ダビ31574例,アピvs.ダビ13084例,アピvs,リバーロ13130例
・主要評価項目:脳卒中/全身性塞栓症(有効性),大出血(安全性)

結果:
1)脳卒中/全身性塞栓症:3剤間で有意差なし
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2)アピキサバンは他の2剤よりも大出血リスクは低い:
対ダビガトラン:HR, 0.50; 95% CI, 0.36-0.70; P < .001 ,対リバーロキサバン HR, 0.39; 95% CI, 0.28-0.54; P < .001

3)リバーロキサバンはダビガトランに比べて大出血リスク(HR, 1.30; 95% CI, 1.10-1.53; P < .01),頭蓋内出血リスクが高い(HR, 1.79; 95% CI, 1.12-2.86; P < .05)
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結論;NOAC3剤は,有効性の点では同等だった。アピキサバンは出血リスクが低く,リバーロキサバンは出血リスクが高い可能性がある。

### こうした後ろ向きコホートによるリアルワールドデータを見るときは,1)患者特性(NOACの場合は特に薬剤用量に注意)2)データ補正の有無と補正項目 を主に注意するようにしています。その観点から行くと,患者特性は,3薬剤とも年齢は平均70〜73歳(62〜81歳),CHA2DS-VAScスコア平均4点,HAS-BLEDスコア平均2点,ワーファリン既使用29〜39%でほぼ同等でした。

ただし低用量使用例はリバーロvsダビで各23%,10%,アピvsダビで18%,13%,アピvsリバーロで18%,29%で,概してリバーロキサバンは低用量使用が多く,ダビガトランは認可の関係か(米国は150mgx2のみ)低用量使用は少ないようでした。

propensityスコアマッチはされておりました(項目は不明)。

RCT間でワルファリンを介して間接比較をした研究はありましたが,リアルワールドデータを3剤で一応補正後直接比較した検討は初めてかと思われます。
RCTと違ってリバーロキサバンは低リスクスコアの人にも出されています。他の間接比較では出血も3剤で同等でしたが,この比較ではリバーロキサバンで高リスクでした。また間接比較では,ダビガトラン150x2はリバーロキサバンより虚血性脳卒中が低リスクとのデータもありましたが,この比較では有効性は3剤とも同等でした。

リバーロキサバンが本当に出血が多く,アピキサバンが低リスクなのかは,この1研究だけからはいえませんが,スコアマッチや感度分析などがなされており,また高齢者も対象となっていて比較的良質な研究方法と思われます。

これにエドキサバンが入ったらどうなるか更に興味深いところです。

なお,この研究ではFinancial/nonfinancial disclosuresやスポンサー提供なしとのことです。

$$$ 地元から逸品の贈り物。これはおいしいですよ。FBでもたくさん「いいね!」がつきました。
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by dobashinaika | 2016-12-19 18:56 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

ダビガトランとリバーロキサバンの比較研究(米国12万例コホート):リアルワールドデータとは何か?


Stroke, Bleeding, and Mortality Risks in Elderly Medicare Beneficiaries Treated With Dabigatran or Rivaroxaban for Nonvalvular Atrial Fibrillation
JAMA Intern Med. Published online October 03, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.5954

疑問:ダビガトランとリバーロキサバンは有効性安全性に違いはあるのか?

デザイン,設定,対象:
・後ろ向き,新規投薬,118,891例,
・NVAF,65歳以上,メディケア患者
・2011年11月〜2014年6月までにダビガトランまたはリバーロキサバンを投与開始した患者
・プロペンシティースコアマッチ

介入:ダビガトラン150mgx2 vs. リバーロキサバン20mgx1

主要評価項目:血栓塞栓性脳卒中,頭蓋内出血,消化管出血を含む大出血,死亡率

結果:
1)ダビガトラン52240例,リバーロキサバン66651例,女性47%

2)血栓塞栓性脳卒中:リバーロキサバン群はダビガトランに比べ明らかな増加なし:HR0.81 (0.65-1.01;P=0.07)

3)頭蓋内出血:リバーロキサバン群はダビガトランに比べ増加:HR1.65 (1.20-2.26;P=0.002)

4)頭蓋外出血:リバーロキサバン群はダビガトランに比べ増加:HR1.48 (1.32-1.67;P<0.001)

5)消化管出血;リバーロキサバン群はダビガトランに比べ増加:HR1.40 (1.23-1.59;P<0.001)

6)死亡:リバーロキサバン群はダビガトラン群に比べ明らかな増加なし:HR1.15(1.00-1.32;P=0.051)

7)75歳以上またはCHADS2スコア3点以上では,リバーロキサバン群はダビガトラン群より死亡率大

8)リバーロキサバンの頭蓋内出血超過は血栓塞栓性脳卒中減少を上回る
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結論:リバーロキサバン20mg/日はダビガトラン150mgx2/日に比べ,頭蓋内出血,大出血,消化管出血を統計学的に明らかに増加させた

### リバーロキサバン分が悪いようですね。米国ですので,ダビガトランは150mgだけです。それでも出血はリバーロキサバンの多いのでしょうか。

後ろ向きコホートなので,各種交絡因子(PSマッチ済みとは言え)とくに,医師の裁量などがバイアスになります。スポンサーもわかりません。

ただ,同様にリバーロキサバンに分が悪いRWDもでています。
http://dobashin.exblog.jp/23151722/

こちら台湾の大規模コホートでもリバーロキサバンはやや出血が多いそうです。
http://dobashin.exblog.jp/23230162/

日本のデータはないでの結論出すのは早いですが,一応チェック。

#### コホート研究,PMSなどRCT以外のエビデンスはRWD (Real world data) と言われている,と山下先生から教わりました。「リアルワールド」とは何か,を考えたくなります。このデータも「米国のメディケアを受けている65歳以上の患者群」というリアルワールドであり,一方台湾には台湾,日本には日本のリアルワールドがある。

そしてなにより医師にとっては自分の担当する患者群というリアルワールドがある。もとい「患者を塊として考えるな,ひとりひとりが思いを持っている(by 草刈正雄板真田昌幸)」というわけで,目の前の患者というシンのリアルワールドに見かけのリアルワールド(RWD),さらにはバーチャルワールド(RCT?)をどう適用させられるか,が悩ましいところです。

なるべく眼の前の患者さん世界に近いRWDを読んでいきたいものです。でもそれがなかなかないのですね,今の日本には。

$$$ というわけで真田丸から,超名言を
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by dobashinaika | 2016-10-05 19:07 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


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