人気ブログランキング |

カテゴリ:抗凝固療法:リバーロキサバン( 43 )

中等度腎機能低下心房細動の人に対するリバロキサバンの効果:欧州心臓学会より

European Heart Journa8月28日オンライン版より

Prevention of stroke and systemic embolism with rivaroxaban compared with warfarin in patients with non-valvular atrial fibrillation and moderate renal impairment

EDITORIAL: Atrial fibrillation, moderate chronic kidney disease, and stroke prevention: new anticoagulants, new hope

中等度腎機能低下心房細動患者に対するリバロキサバンとワーファリンの効果比較試験です。先日出たROCKET-AF試験のサブ解析です。

P:非弁膜症性心房細動患者14,264例(脳卒中、全身性塞栓、CHADS2スコア2点以上、のいずれか)のうちクレアチニンクリアランス30~49mi/minの人2950人:平均年齢79歳、CHADS2スコア3.7点

E:リバロキサバン15mg(通常は20mg)

C:ワーファリン(INR2~3にコントロール)

O:有効性一次エンドポイント=脳卒中(梗塞、出血),全身性塞栓。二次エンドポイント=脳梗塞,全身性塞栓、心血管死、心筋梗塞、安全性一次エンドポイント=対出血および小出血

結果;
1)一次エンドポイント;リバロキサバン群2.32%/人年 vs. ワーファリン群2.77%/人年: ハザード比0.84、95%CI0.57~1.23
2)安全性一次エンドポイント;リバロキサバン群17.82%/人年 vs. ワーファリン群18.28%/人年 (p=0.76)
3)頭蓋内出血:0.71%vs. 0.88% (p=0.54)
4)致死性出血:0.28% vs. 0.74% (p=0.047)

結論:正常腎機能患者に比べて中等度低下者では脳梗塞/脳出血を多く認めた。用量の違いによる効果の際は認められなかった。ROCKET-AFにおいて用量調節は試験全体の結果と合致していた。

###リバロキサバンがクレアチニンクリアランス低下例で、用量を少なくすれば、ワーファリンと梗塞、出血とも同等であり、致死性出血は減少したとの結果です。リバロキサバンは2/3が肝代謝、1/3が腎代謝ですので、比較的腎機能低下例でも致死性出血の点では安全かもしれません。なおダビガトランではRE-LYのサブ解析で高用量の150mg2回群において ワーファリンより梗塞は減少、出血は同等でした。
またCCr30-50はeGFR換算で21.6〜36.0でCKD分類のステージ3〜4にあたります。
ただし、ROCKET-AFにおいてもCCr30未満の高度低下例は対象となっておりません。

3つの新規抗凝固薬に関する大規模試験における腎機能と効果の一覧表はこちら
by dobashinaika | 2011-08-31 23:22 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

心房細動の新規抗凝固薬リバロキサバンに関する大規模試験ROCKT-AF:NEJMより

New England Journal of Medicine 8月10日オンライン版より

Rivaroxaban versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation

45カ国、1178施設が参加した新規Xa阻害薬リバロキサバンのワーファリンを対照とした大規模試験(ROCKET-AF)

P:
非弁膜症性心房細動患者14,264例(脳卒中、全身性塞栓、CHADS2スコア2点以上、のいずれか),追跡期間中央値:約700日

E:リバロキサバン20mg(クレアチニンクリアランス30~49では15mg)

C:ワーファリン(INR2~3にコントロール)

O:一次エンドポイント=脳卒中(梗塞、出血),全身性塞栓。二次エンドポイント=脳梗塞,全身性塞栓、心血管死、心筋梗塞

結果:
1)中途離脱例:リバロキサバン23.9%、ワーファリン22.4%

2)参加者平均年齢73歳、女性39.7%。高血圧90%、心不全62.5%、糖尿病40.0%、脳卒中/TIA、全身性塞栓の既往54.8%。CHADSスコア平均:リバロキサバン群3.5、ワーファリン群3.0

3)一次エンドポイント(on treatment解析):非劣性の比較;リバロキサバンvs. ワーファリン=1.7%/年vs. 2.2%/年 (ハザード比0.79; 95% CI 0.66 to 0.96; P<0.001)、優性の比較;リバロキサバンvs. ワーファリン=1.7%/年vs. 2.2%/年 (ハザード比0.79; 95% CI, 0.65 to 0.95; P=0.01)

4)一次エンドポイント(ITT解析):リバロキサバンvs. ワーファリン=2.1%/年vs. 2.4%/年 (ハザード比0.88; 95% CI 0.74 to 1.03; P<0.001非劣性、P=0.12優性)

5)大出血あるいは小出血(on treatment解析):リバロキサバンvs. ワーファリン=14.9%/年vs. 14.5%/年 (ハザード比1.03; 95% CI 0.96 to 1.11; P=0.44)

6)頭蓋内出血 (0.5% vs. 0.7%, P=0.02) 、致死的出血(0.2% vs. 0.5%, P=0.003)はリバロキサバン群で有意に少なかった
心房細動の新規抗凝固薬リバロキサバンに関する大規模試験ROCKT-AF:NEJMより_a0119856_957531.gif


結論:脳卒中、全身性塞栓に関してリバロキサバンはワーファリンに対して非劣性を示した。大出血においても差はなく、頭蓋内出血、致死的出血はリバロキサバンで有意に少なかった。

###2010年のAHAで発表された内容の論文化です。ダビガトランが話題のさなかのタイムリー(?)な発表です。

当初から指摘されているように解析方法が複雑な試験です。まず服薬を途中でやめてしまった例が22~23%も見られます。ダビガトランのRE-LY試験では16~20%(2年)でした。このため、on treatment解析すなわち服薬中止例を含む脱落群を除外した例同士が比較されています。ところがこの解析にも2つの方法が採用されていて、まず非劣性比較では、プロトコール通りに服薬していた例同士の比較(per protocol解析)がされているのに対し、優性比較では被験薬を一度でも服用しいた患者を対照にしています(安全性解析もこの方法)。

ITT解析の欠点のひとつに、この試験のように脱落例が多い場合実際服薬していない人も服薬群に入れて解析されるバイアスがかかる点があります。一方on treatment解析の欠点のひとつとして、脱落していない群にはそれなりバイアスがかかるため、参加者を二群にランダマイズした意味が無くなる(患者背景などが異なってしまう)ということがあります。いわゆるリアルワールドでは、最初のもくろみ通りに100%の患者さんが薬を飲み続けることはありませんので、ITT解析の方がむしろ実臨床に即しているとも言えます。その意味で優性の比較に関する本試験の解釈にはかなり注意が必要です。

RE-LY試験との違いとしては1)厳格な二重盲検試験(RE-LYはダビラトラン−ワーファリン間はオープンラベル)。2)高リスク例が多い:本例は脳梗塞既往が50%、CHADS2スコア平均3.5点(RE-LYは2.1点)。3)INR管理が困難例が多い:TTR55%(RE-LY64%)。などの重要なポイントがあり、一概に2薬剤を比較することはできません。優劣を付けるには両者の直接比較が必要です。

ダビガトランと同様に、相対的に消化管出血が多く、頭蓋内出血がワーファリンより少なく、Editorialでは脳血管床に存在する組織因子や第VIIa因子をワーファリンのように不活化させないからだと述べられています。

全体としては、ワーファリンより優れているかどうかが不明。少なくとも効果、安全性の点でワーファリンより劣ってはいない。といった印象です。腎機能との関連、消化器系の副作用、出血したときの対処法(特に1日1回の薬なので)、などまだ明らかにされていない点も多いので、これからがある意味楽しみです。薬価もですね。日本ではバイエル薬品が販売に関連しています。なお当院通院された患者さんもこの薬の第II相試験にご協力いただいております。その節はご協力ありがとうございました。

関連サイト
循環器トライアルデータベース
J-ROCKT試験
by dobashinaika | 2011-08-15 10:05 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

新規抗凝固薬リバロキサバンの日本での臨床試験結果に関するプレスリリース

Xa阻害薬リバロキサバンの日本における第III相臨床試験 J-ROCKET AFの結果が第23回国際血栓止血学会で発表されました。

プレスリリースはこちら

日本人に合わせた容量設定で、RCTとしての方法も的確であったとのことで、また結果としては良好のようでしたが、なにぶん「巨大市場」におけるトライアルですので、論文化されてから冷静に評価したいと思います。
同薬は日本で既に厚生労働省に承認申請済みであり、1日1回投与、当院の患者さんにも試験の際ご協力いただいた薬です。
by dobashinaika | 2011-07-25 21:59 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(39)
(35)
(27)
(27)
(27)
(25)
(24)
(21)
(21)
(20)
(19)
(18)
(16)
(15)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)

ブログパーツ

ライフログ

著作

もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

2020 年改訂版 不整脈薬..
at 2020-03-14 18:00
DOACの利益に関する低満足..
at 2020-03-05 07:24
日本における心房細動患者の脳..
at 2020-03-03 07:33
日本のNOAC/DOAC登録..
at 2020-03-02 07:21
アジア人のNOAC不適切低用..
at 2020-02-17 07:07
長期ケア施設入所者における抗..
at 2020-02-06 06:58
2019年心房細動関連論文ベ..
at 2020-01-20 08:18
2019年心房細動関連論文ベ..
at 2020-01-11 18:52
アルコール常用者の禁酒は心房..
at 2020-01-10 07:28
心房細動な日々 dobas..
at 2020-01-09 08:49

検索

記事ランキング

最新のコメント

いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
取り上げていただきありが..
by 大塚俊哉 at 09:53
> 11さん ありがと..
by dobashinaika at 03:12
「とつぜんし」が・・・・..
by 11 at 07:29
> 山川玲子さん 山川..
by dobashinaika at 23:14
運慶展を観た方にWEB小..
by omachi at 19:45
> terryさん ご..
by dobashinaika at 08:38
簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39

以前の記事

2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン