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カテゴリ:抗凝固療法:リバーロキサバン( 43 )

患者ー医療者双方の正しいリスク認知が抗凝固療法の第一歩:webカンファランスより

本日(12日)、webカンファレンスに山下武志先生とご一緒に参加させていただきました。

以前にも書きましたが、こうした講演会のお誘いを最近受けることがあるのですが、基本的に謝礼を受け取らない、特定の薬剤の宣伝になるようなスライドや発言は表出しない、を条件にお受けすることにしています(利益相反の私の考え方は、後日詳述いたします)。

理由はひとつの講演をまとめると、自院のデータや内外の文献を当たらざるをず、そうした作業の中から新たに見えてくる知見が必ずあるからです。

もうひとつは参加者からの質問や、ご一緒させていただく講師の先生から思わぬインスピレーションを受けることが往々にしてあるからです。

本日は「抗凝固薬の導入」について話をさせていいただきましたが、このテーマ、考えようによっては、途方もなく大きくて20分の発表枠内ではとても収まらない問題を抱えています。導入はCHADS2スコアでクリアカットだと思われがちですが、全くそんなことはなくて、CHADS2スコア、2点以上のある意味ガイドライン上は「鉄板」と考えられる例の多くに抗凝固薬が処方されていない現実があります。その多くの原因はやはり出血、患者アドヒアランス、転倒の懸念など、医者のリスク認知によるものが大きいことをGARFIELD研究などのデータは示しています。
患者ー医療者双方の正しいリスク認知が抗凝固療法の第一歩:webカンファランスより_a0119856_0535567.png

一方患者さんも「出血リスク」や「コスト」を懸念して抗凝固薬の服用に難色を示したり、中断をしてしまったりすることがままあります。

NOACが登場以来、抗凝固薬の市場はじりじりパイを広げつつありますが、他方非循環器専門医の先生の間では、「今ひとつ処方に踏み切れない」との声も聞きます。こうした”抗凝固薬デビュー控え”の原因は、医者、患者双方ともの「出血(これが主)「高齢」などに対する懸念(ビビリとでもいいますか)にあるように思われます。だとすると、これはたとえNOACであってもなかなか解決策が見いだせない、抗凝固薬の宿命的な問題点ではないか、とも思うのです。

今回の講演会準備を通じて、そうした「おそれ(ビビリ)」に対して、
・「抗凝固薬は脳を守る」というゴールを共有しよう
・リスクとベネフィットを的確に把握することで克服しよう
・そのリスクを患者さんとしっかり共有しよう
・それが真のリスクコミュニケーションである
というような「リスクの正しい理解がビビリ克服につながる」ということを自分なりに「発見」したつもりで述べたのでしたが、短時間のため、どれだけ伝わったかはあまり自信がありません。

一方、山下先生のご講演は、相変わらずスマートで、自験例のリバーロキサバン投与時のPT測定について、非常に実践的なお話をされていて大変参考になりました。
・多くの循環器薬が細胞に効くのに対し、抗凝固薬は分子に効くため、効果にばらつきが生じる
・不適切な用量を用いてはいけない(本来標準量を出すべき人に低用量を出すといった)
・ばらつきの中で見られる外れ症例を見逃さないためにPT測定が有用かもしれない
・PT測定はPTINRではダメ
・試薬により感度に大きな違いがある(ネオプラスチンプラスまたはリコンビプラスチンプラスが良い)
・なるべくピーク値と思われる時間帯で測る(トラフはほとんど正常値となる)

また、患者教育について、最初に教育しても忘却曲線があるため、糖尿病教室のような定期的な集団教育が有効かもしれない、という提言も大変納得でした。

このように自分でまとめ上げる作業の中で新たな考え方が芽生えたり、山下先生の彗眼に接することができ収穫の多い1日でした。
by dobashinaika | 2013-11-13 00:59 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(1)

日本人におけるリバーロキサバンのネットクリニカルベネフィット:JSCD誌より

Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases11月1日付オンライン版より

Net Clinical Benefit of Rivaroxaban versus Warfarin in Japanese Patients with Nonvalvular Atrial Fibrillation: A Subgroup Analysis of J-ROCKET AF
http://dx.doi.org/10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2013.10.001


【疑問】日本人においてリバーロキサバンはワルファリンより本当に優れているのか?どのくらい優れているのか?

【対象】J-ROCKET AF 試験対象者

【方法】
ネットクリニカルベネフィット1:(抗凝固薬により回避された虚血性脳卒中)ー1.5x(抗凝固薬により増加した頭蓋内出血)
ネットクリニカルベネフィット2:大出血+二次エンドポイント(脳卒中、非中枢性全身性塞栓、心筋梗塞、死亡)

【結果】
1)ネットクリニカルベネフィット1:-2.132(-0.259~-3.990)でリバーロキサバン群で有意に優位

2)ネットクリニカルベネフィット2:リバーロ群4.97%/年vs. ワルファリン群6.11%/年

3)発現率の差;-1.145/年(−3.40〜1.12)。NNT-88
日本人におけるリバーロキサバンのネットクリニカルベネフィット:JSCD誌より_a0119856_20402270.gif


【結論】ネットクリニカルベネフィット解析は日本人心房細動患者におけるリバーロキサバンの臨床的有用性を示すものである。

### CHADS2スコア別では、2点のNNTが-42,3点が-70です。腎機能別では、クレアチニンクリアランス50未満が-200, 50〜80が-52です。
有効性で非劣性、頭蓋内出血でワルファリンが多かったので、計算上はこうなることは予想されます。

こうなると他のNOACだとどうなのかも、知りたくなります。

もともとネットクリニカルベネフィット1の項目は元論文での主要エンドポイントではなく、また頭蓋内出血の頻度自体が、ワルファリン群1.6%、リバーロ群0.8%と非常に少数の比較であることは踏まえておきたい点です。

CHADS2スコア0点1点はどうなのか、今後知りたいところです。
by dobashinaika | 2013-11-08 20:42 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

ビタミンK阻害薬に比べ、リバーロキサバンの安全性はどうか?:ACP journal clubより

ACPジャーナルクラブでリバーロキサバンのメタ解析がでていますので、紹介します。

Review: Rivaroxaban causes less fatal bleeding, but does not reduce mortality, compared with VKAs

【疑問】ビタミンK阻害薬に比べ、リバーロキサバンの安全性は?

【方法】
・5RCTのメタ解析
・23063例、56〜73歳
・平均観察期間:84〜707人
・心房細動62%、急性症候性肺塞栓21%、深部静脈血栓17%

【結果】
・リバーロキサバンはVKAに比べ致死性出血のリスクを減少させた
・全死亡や他のアウトカムに差はなかった

【結論】リバーロキサバン服用者は致死性出血は少ないが、全死亡や大出血に差はない


【Commentary】
・この結論に関する合理的な説明としてはROCKET-AF試験において述べられている通リ、頭蓋内出血は少なかったが、消化管出血が多かったからと考えられる
・ワーファリンに比べて1人の致死性出血を減らすためには約500人必要(84〜707日)
・ここまでのデータでは、臨床的妥当性や、診療上の行動変容を起こすまでに至らない
・このメタ解析の結果は、各トライアルの結果を検証するものだが、リバーロキサバンとダビガトランの出血に関する早期リポートの結果は、リアルワールドのデータによる検証はされていない

### 特に新しいことはないですが、心房細動以外の疾患も対象にしたRCTを含むメタ解析です。消化管出血はJ-ROCKET AFでは少ない傾向にあったようですね。死亡率を改善させたのは今のところアピキサバンのみで、ダビガトランも予後改善は示されていませんね。
by dobashinaika | 2013-09-23 00:04 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

ワルファリンからリバーロキサバンへの切替時には注意が必要:ROCKET-AFサブ解析

Annals of Internal Medicine 6月18日号より

Clinical Outcomes With Rivaroxaban in Patients Transitioned From Vitamin K Antagonist Therapy: A Subgroup Analysis of a Randomized Trial
Ann Intern Med. 2013;158(12):861-868. doi:10.7326/0003-4819-158-12-201306180-00003


【疑問】ワーファリン経験者とナイーブとでリバーロキサバンのワーファリンに対する効果と安全性に違いはないのか?

P:Rocket-AF試験に登録された14,264例(18歳以上の非弁膜症性心房細動、CHADS2スコア2点以上)

E:ワーファリンナイーブ(服用していない患者)

C:ワーファリン経験者;7897例55.4%

O:脳卒中/全身性塞栓症;6367例44.6%

【結果】
1)リバーロキサバンのワーファリンに対する効果はワーファリン内服の有無に関係なく同一(交互作用なし、P=0.36)
①ワーファリンナイーブ:リバーロ2.32 vs. ワーファリン2.87 (HR 0.81)
②ワーファリン経験:リバーロ1.98 vs. ワーファリン2.09 (HR 0.94)

2)当初7日間の出血はリバーロキサバン群がワーファリン群より多い
①ワーファリンナイーブ;HR5.83
②ワーファリン経験;HR6.66

3)30日後の出血はリバーロキサバン群がワーファリン群より少ないか同等
①ワーファリンナイーブ:HR0.84
②ワーファリン経験:HR1.06

【結論】リバーロキサバンの効果はワーファリンナイーブとワーファリン経験者とで同一。当初7日間の出血はリバーロキサバンのほうがワーファリンより多いが、30日後の出血はリバーロキサバンのほうが少ない(ワーファリンナイーブ)か同等(ワーファリン経験)。この情報はワーファリンからリバーロキサバンへの切替時に有用

### 一般にワーファリンナイーブ→ワーファリン群に割り付けられた症例は、導入時INRが至適レベルまで達するまでの期間は脳塞栓の起こりやすい時期であるため、このブランク分だけ効果が低いことが推測されます。反面、急激に1INRが上昇する症例もあり、出血の増加も懸念されます。一方ワーファリン経験者→リバーロキサバン群においては、ワーファリンの効力が低下してから(INR2.0未満)リバーロキサバンに切り替えるようになってはおりますが、やはり少なからずオーバーラップの時期があるため、この間に出血が多くなることが予想されます。

同様の現象は、デンマークのリアルワールドのダビガトラン登録研究でも見られています。
http://dobashin.exblog.jp/17767149/
リアルワールドの場合、切り替え例はコンプライアンスが悪い例などが多くそれだけバイアスがかかっている可能性がありますが、やはり切替時は注意ということがわかります。

おそらくINRが2.0以下になってもだらだらとワーファリンが効いている方がおられるのではないかと思います。

Rocket-AF試験ではINR2.0未満になったらワーファリンを切るプロトコールですが、J-Rocket AFでは日本のガイドラインに沿って70歳以上では1.6未満で切っているはずです。J-Rocket AF試験は90%近い患者さんがワーファリン経験例ですので比較は難しいですが、今後、NOACへの切替時はINR1.6を目安にするという戦略も考えるべきではないかと思います。
by dobashinaika | 2013-06-25 20:41 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

リバーロキサバン投与中は除細動やカテーテルアブレーション前後で脳卒中、死亡率に変化なし

JACC 3月13日オンライン版より

Outcomes Following Cardioversion and Atrial Fibrillation Ablation in Patients Treated with Rivaroxaban and Warfarin in the ROCKET AF Trial
J Am Coll Cardiol. 2013;():. doi:10.1016/j.jacc.2013.02.025


【疑問】リバーロキサバン服用者で、電気的あるいは薬理学的除細動、またはカテーテルアブレーション施行者における血栓塞栓や出血はどうなのか?

【方法】
・ ROCKET-AF試験のpost-hoc解析
・ 電気的除細動、薬理学的除細動、カテーテルアブレーションを施行した人のアウトカム
・ 2.1年追跡

【結果】
・ 電気的除細動143人、薬理学的除細動142人、カテーテルアブレーション79人

・ 上記施行者1.45人/100人年(ワーファリン群1.41、リバーロ群1.46)

・ 粗脳卒中率&死亡率(除細動およびアブレーション後30日)上昇

・ 補正後脳卒中/全身性塞栓ハザード比1.38、心血管死1.57、全死亡1.75は除細動、アブレーション前後で不変

・ 入院は除細動およびアブレーション後に増加(ハザード比2.01)したが、各治療感には影響において差はなし

・ 脳卒中/全身性塞栓、死亡に関してはワルファリン群、リバーロ群とで差はなし

【結論】入院は増えたにもかかわらず、除細動およびアブレーション後の長期の脳卒中あるいは死亡率は変化なし。ワーファリン、リバーロ両群でも結果に有意差なし。

### 昨年のAHA(アメリカ心臓協会)で発表になった演題です。元々のクライテリアではアブレーションや除細動予定は試験からの除外基準に入っていましたが、試験進行中にやむを得ず施行することになった患者さんに関するデータかと思われます。

除細動やアブレーションなどの手技後(特に除細動)には脳卒中が増加することが知られており、抗凝固療法なしの場合1−5%の頻度であると言われています。ワルファリンにはその予防効果を認めるペーパーはたくさんありますが、Xa阻害薬でアルリバ—ロキサバンでもその効果があることの確認です。

あくまでpost hoc解析であることを忘れずに
by dobashinaika | 2013-03-24 23:11 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(2)

新規抗凝固薬を出すときは必ず体重測定を:リバーロキサバンの特定使用成績より

昨日のブログで書かせていただいた、リバーロキサバンの特定使用成績調査ですが、バイエル薬品の担当の方に話を伺ったところ、クレアチニンクリアランス未測定例の中には、患者さんの体重の記載がないケースカード(実際にはネット上)があったとのことです。

たしかに、当院では、診察室の机の目の前に体重計があるので、糖尿病患者さん、心臓病患者さん,特に心不全の既往のある方は、外来で毎回体重を測ってはいますが、長らく見ていて落ち着いている患者さん、たとえばずっとワルファリンを飲んでいてINR測定目的で通っている方などは、新患でなければなかなか測りません。ある程度体格がしっかりしていると、まあ大丈夫だという感じで測定がおろそかになるといったことがあるのかもしれません。あまりにも身体属性として当たり前のことなので、かえって測定を怠る医療機関もあると思われます。

抗凝固薬を新たに出す場合、体重測定を忘れずに。もちろんクレアチニンも。
by dobashinaika | 2013-03-17 23:30 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

第77回日本循環器学会学術集会2日目見聞記(3)15日のリバーロキサバン特定使用成績調査発表

15日に行われたLate Breaking Cohort Studies1からです。今回からRCTでなく登録研究などもLate Breakingセッションが設けられたようです。

イグザレルトの特定使用成績調査(PMS)に関する中間報告がありましたが、私、他のセッションに出席しており実地見分しておりません。しかしながら無視できない話題のため「メディカルトリビューン」社が会場で配布している学会公認のNews Flashの情報をご紹介いたします。

・2013年1月13日時点で3379例登録(当院も何例か登録していたと思いました)。
・登録後6カ月経過し調査票が回収され133例の解析
・11例で出血性副作用
・重大な出血は1例(胃腸出血)
・CCr15未満の使用は確認されなかった
・CCr30未満の安全性未確立例への処方が78例(2.3%)
・CCr不明例が516例(15.3%)

これは処方した患者さんを医療機関が登録するもので、以前出た市販直後調査とは別のものと思われます。
http://dobashin.exblog.jp/17022781/

しかしながら市販後調査でも腎機能超低下例に使われていたことが報告されております。
とにかくCCr不明!例があるというのには驚きです。しかも500例以上も。

先ごろ出たプラザキサ適正使用のお願いのときにはeGFRをCCrと誤解したような症例が報告されていました。

そもそもわれわれ内科医、循環器医(非腎臓専門医)はこれまでCCrというものには大変なじみが薄かったのです。抗菌薬、フィブラート、抗不整脈薬など腎機能を気にしなければいけない薬剤は多々ありますが、おsれらとてまあここまで厳しくCCrの細かい数字をチェックするように言われている薬はほかにありません。

いっぽうCKDの普及以来eGFRにはわれわれは昨今かなり慣れ親しんできております。

とはいえ、まあしつこいようですが、全然チェックしないというのはアウトです。

3379例中133例と大変少数の報告なので、もっと全容が知りたいところですが、たとえば処方箋へのCCr記載を添付文書上で義務づけるなどの措置はできないものでしょうか。
by dobashinaika | 2013-03-17 00:03 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

リバーロキサバンの中等度腎機能低下例における有効性と安全性:J-ROCKET AF試験サブ解析

Circulation Journal 3月号より

Safety and Efficacy of Adjusted Dose of Rivaroxaban in Japanese Patients With Non-Valvular Atrial Fibrillation
– Subanalysis of J-ROCKET AF for Patients With Moderate Renal Impairment –
Circulation Journal
Vol. 77 (2013) No. 3 632-638


【疑問】腎機能低下例においても、リバーロキサバンはワルファリンに比べて有効性と安全性は、腎機能正常例と同等か

P:J-ROCKET AF試験参加患者のうち中等度腎機能低下者(CrCl 30-49mi/min)=全症例の22.2%
 ・非弁膜症性心房細動
 ・20歳以上、登録前心房細動記録30日以内
 ・CHADS2スコア2点以上


E:リバーロキサバン10mg/日

C:ワルファリン

O:・主要安全性評価項目:重大な出血、重大ではないが臨床上問題となる出血
 ・主要効果評価項目:脳出血、非中枢神経系塞栓症)

【結果】
1)主要安全性評価項目:リバーロ27.76%/年vs. ワルファリン22.85%/年:ハザード比1.22

2)主要効果評価項目:リバーロ2.77%/年vs. ワルファリン3.34%/年:ハザード比0.82

3)各評価項目において、腎機能ごと(中等度低下vs.正常)の交互作用はなし
リバーロキサバンの中等度腎機能低下例における有効性と安全性:J-ROCKET AF試験サブ解析_a0119856_2024629.jpg


【結論】リバーロキサバンのワルファリンに対する効果と安全性は中等度腎機能低下者において、正常腎機能低下者と同等である。

###当院ではダビガトランはCrCl40未満ではなるべく使用しないようにしています。その点、リバーロキサバンは、可能性があるかも知れません。

しかしながら、安全性評価項目の内訳を見ると大出血は、腎機能正常例ではリバーロ2.47%、ワルファリン3.04%に比べ、低下例では各5.09%、5.63%とリバーろ、ワルファリン両群ともに増加しているのです。
ワルファリン群でも出血が増えたので、比較したら有意差がなかったということです。決して腎機能低下例でも正常例と同様な感覚で使うことはできないことを学ぶべきだと思います。

この点はワルファリンを使う時も同じ事がいえます。今まで、ワルファリンを処方するときCrClなんて気にもしませんでしたが、これからは必ず計算しておきたいと思います。


J-ROCKET AF試験
http://dobashin.exblog.jp/15527484/

ROCKET AF試験での腎機能別サブ解析
http://dobashin.exblog.jp/13427434/

ARISTITLE試験での腎機能別サブ解析
http://dobashin.exblog.jp/16869630/
by dobashinaika | 2013-02-26 20:04 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

イグザレルト中和薬の概要;日本語プレスリリース

昨日ご紹介した、イグザレルトの中和薬に関して、バイエル薬品から日本語訳のプレスリリースも出ています。
http://byl.bayer.co.jp/html/press_release/2013/news2013-02-12.pdf

イグザレルトと似た構造式で、なおかつイグザレルトと結合し、活性を低下させるとのことです。「おとりとして」の役割という表現があり、おそらく似た構造式でXa阻害作用の無い構造部分が、Xaと接触するようになり、結果Xa抑制が外れるようなイメージでしょうか。推測ですが。

追記です。
by dobashinaika | 2013-02-14 20:00 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

リバーロキサバンにより巨大左心耳血栓が消失した1例の報告

Thrombosis and Haemostasis 1月24日付けオンライン版

Resolution of giant left atrial appendage thrombus with rivaroxaban
http://dx.doi.org/10.1160/TH12-11-0821


64歳男性
・持続性心房細動の除細動目的で入院
・入院時NYHA III
・虚血性心疾患、虚血性心筋症、CKDステージ3B〜4(CCr29)
CHA2DS2-VAScスコア6点。ワルファリン服用中、INR管理不良

・経食道エコーで左心耳尖端に11x12mmの小血栓有り(A)
・除細動を6週間延期し、ワルファリンをINR2.5~3.5(実際は2.1~4.2、平均3.2)になるようにコントロール
・6週後のエコーでむしろ血栓は増大(12x45mm)し左心耳からが飛び出そうになっていた(B)

・ワルファリンの効力発揮は遅く、ビタミンKに依存する
・大血栓の溶解能力には乏しいとのエビデンスは増えつつある
・そこでリバーロキサバン15mg1日1回経口投与に変更

・4週間の経食道エコーで血栓は退縮傾向を認め(C)、6週後には完全に消失した(D)
・電気的除細動は成功し、患者は退院となった

・このレポートはリバーロキサバンの血栓溶解を示した初のレポートであり、新規FXa阻害薬のいくつかの重要な特徴を明示している

・第一に、ワルファリンと異なりFXa阻害薬はその場での新たな血栓増大を抑制し、さらに重要なことに形成された血栓を溶解するポテンシャルを持つ
・そのため、血栓誘発性のフィブリノペプタイドA生成をヒルジン同様に抑制する
・第二に、腎不全患者では低用量リバーロキサバンが心—塞栓リスクを十分減らすものと思われる
・第三に、リバーロキサバンは限られた時間内での血栓溶解が可能であった。それゆえ同様のケースにおける治療オプションとして期待できる
・特に左心耳血栓はワルファリン投与者の40%では残存しており、予後不良に関連していると言われている。
・大規模試験が待たれる。
リバーロキサバンにより巨大左心耳血栓が消失した1例の報告_a0119856_23481621.jpg


### ワルファリンでむしろ左心耳血栓が増大し、リバーロキサバンで退縮したという症例です。平均INR3.2と厳しく管理していながらワルファリンで血栓が大きくなったのはなぜなのか?

この方の腎機能はかなり低く、普段からINR管理が不良であったことから、じつはINRは日々かなり変動していたのではないかと思われます。また急にワルファリン投与を厳しくしたために、一時的にプロテインC,Sなどが抑制され過凝固に陥ったのか、、、

このような例では低用量リバーロキサバンであれば、むしろワルファリンより安定した血中濃度が得られ、血栓溶解能が優れているのかも知れません。その意味ではアピキサバンも期待ができるかもしれません。

1例報告ですので、多数例での報告が待たれるところ。
by dobashinaika | 2013-02-07 23:50 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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