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カテゴリ:抗凝固療法:リバーロキサバン( 43 )

リバーロキサバンの大規模観察研究:CMRO誌

Real-world comparative effectiveness and safety of rivaroxaban and warfarin in nonvalvular atrial fibrillation patients
François Lalibertéet al


疑問:リバーロキサバンのリアル・ワールドでの成績はどうか?

方法:
・Symphony Health Solutions’ Patient Transactional Datasets (2011年5月〜2012年7月)を使用・180日間の観察期間の間に、2回心房細動と診断され(ICD9-CMによる)あらたにリバーロキサバンまたわワルファリンが投与されたひと
・CHADS2スコア1点以上
・1:4の比率でプロペンシティースコアマッチング
・アウトカム:大出血、頭蓋内出血、消化管出血、脳卒中/全身性塞栓症、静脈血栓塞栓症
・Coxハザードモデル

結果:
1)リバーロ群3654例、ワルファリン群14616例;患者背景の標準偏差は10%未満

2)大出血、脳卒中/全身性塞栓症で有意差なし

3)静脈血栓塞栓症:リバーロが少ない:ハザード比0.36(0.24-0.54,p<0.0001)

4)リバーロキサバンは、ワルファリンより非継続性が低かった:ハザード比0.66

限界:
クレームデータなので診断精度に欠ける。死亡率や検査データは利用できない。交絡因子の存在は残る。早期に使用しその後変わった可能性もある。

結論:リアル・ワールドでは、リバーロキサバンとワルファリンは、脳卒中/全身性塞栓症、大出血、頭蓋内出血、消化管出血の発現率に有意差なし。しかし、リバーロキサバンは静脈血栓塞栓症は有意に減らした。

### ちょっとマイナーな雑誌だったので、長らく気づかないでいた論文です。リバーロキサバンとしては、これほど大規模な観察研究の報告は初めてかと思います。

まず患者背景は、平均年齢は両群とも73歳台、平均CHADS2スコアは1.1〜1.2点。平均HAS-BLEDスコアは1.9点。
継続性なしの定義は、他の補充なしに処方薬を飲みきったあと60日以上の開きがある場合と定義されています

ROCET-AF試験との違いは、頭蓋内出血と消化管出血に差が見られなかったことですが、追跡期間が短い、診断がICDコードのみで行っている、交絡因子が完全に払拭できないなど、様々な因子が絡んでいるものと思われます。
また95%CIが幅広いのでNが少ない可能性がありますが、イベントの実数が記されていないので、ぜひ知りたいところです。

リバーロキサバンの強みである忍容性はやはり良かったようで、この定義でいうところの継続性が保たれていたのはリバーロ群で81.5%、ワルファリン群で68.3%(6ヶ月)でした。同様の調査をダビガトランでしたところでは、ダビガトラン71.8%(この時ワルファリンは53.3%)とのことです。

CHADS2スコア1点を多く含む集団でも、リバーロキサバンはワーファリンと同等の有効性、安全性が示されたことは意義深いとも思いますが、細かいところをより知りたいですね。
by dobashinaika | 2014-06-24 00:16 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

日本人高齢者におけるリバーロキサバンの安全性:J-ROCKET AFサブ解析:CJ誌

J-ROCKETAF試験の年齢によるサブ解析が出ています。

Rivaroxaban vs. Warfarin in Japanese Patients With Non-Valvular Atrial Fibrillation in Relation to Age
– Insight From J-ROCKET AF –
Masatsugu Hori et al
Circ J 2014; 78: 1349–1356

P:J−ROCKET AF試験登録患者:CHADS2スコア2点以上

E:リバーロキサバン群15㎎(CCr50未満は10mg)

C;ワルファリン群:INR管理は日本のガイドラインに準拠

O:75歳以上と75歳未満での以下の比較
大出血及び臨床的に問題となる小出血の複合(安全性)、脳卒中/全身性塞栓症(有効性)

結果:
1)75歳以上の人の割合:39.0%

2)出血(主要エンドポイント):
75歳以上では:リバーロ群 25.05%/年 vs. ワルファリン群 16.95%:HR1.49;1.02-2.16

3)脳卒中/全身性塞栓症(有効性エンドポイント)
75歳以上では:リバーロ群 2.18%/年 vs. ワルファリン群 4.25%:HR0.51;0.20-1.27
4)出血については、明らかに年令による交互作用あり(P=0.04)。有効性についてはなし(P=0.82)

5)75歳以上では:リバーロ群では、腎機能にかかわらずワルファリン群より出血多い傾向あり

6)75歳以上でも腎機能の保たれている群では有効性においてはワルファリン群より良い傾向あり

結論:高齢者ではリバーロキサバンのリスクべネフットを慎重に考える必要あり

### J-ROCKET AFの解析上の注意点は、
非劣性試験、一次評価項目は「大出血」ではなくて「大出血及び大出血ではないが臨床上問題となる出血」、有効性評価には十分なn数なし。解析はITTではなくon treatmentです。

また腎機能の良い群ではリバーロ群のほうが良い傾向にありますが、交互作用はなしであり、あくまで傾向です。

最も大切なのは大出血であり、今回の出血には鼻出血など小さな出血が高齢者で多かったというい読み方もできますが、図1を見ると、大出血の交互作用も有意差ありますので、大出血でも高齢者では多いともいえます、だたし、大出血単独で一次評価項目ではないので、そういうのも早計です。

まあ、サブ解析はあくまで、本解析と同じ傾向を示すかどうかだけが注目点ですので、そうでない結果が出た場合は、やはり今後慎重に考える必要がありそうです。

先日のROCKET AF試験本丸の方は年齢に関係無かったので、どこに違いがあるのか。アウトカムの設定の仕方の問題なのか。考察を読んでも、高齢者でなぜ腎機能に関係なく出血が多かったのか、よくわかりません。もうちょっとデータが蓄積されて欲しいところです。
http://dobashin.exblog.jp/19894768/
by dobashinaika | 2014-06-15 19:28 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

高齢者におけるリバーロキサバンの ワルファリンに比較した有効性安全性:Circulation誌

Curculation 6月3日オンライン版

Efficacy and Safety of Rivaroxaban Compared with Warfarin among Elderly Patients with Nonvalvular Atrial Fibrillation in the ROCKET AF Trial
Jonathan L. Halperin et al
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.005008


【疑問】高齢者でのイグザレルトの有効性、安全性はどうか?

P:ROCKET−AF試験参加者

E:75歳以上

C:75歳未満

O:リバーロ群ならびにワルファリン群での:主要エンドポイント:脳卒中/全身性塞栓症。安全性エンドポイント:大出血。出血性脳卒中


【結果】
1)脳卒中/全身性塞栓症:75歳以上2.57% vs. 未満2.05%/100人年, P=0.0068

2)大出血:75歳以上4.63% vs. 未満2.74%/100人年, P<0.0001

3)脳卒中/全身性塞栓症:
75歳以上:リバーロ2.29% vs. ワル2.85%/100人年,HR0.80. 0.63-1.02
75歳未満:リバーロ2.00% vs. ワル2.10%/100人年,HR0.95. 0.76-1.19 ,交互作用 P=0.313

4)大出血
75歳以上:リバーロ4.86 vs. ワル4.40%/100人年,HR1.11. 0.92-1.34
75歳未満:リバーロ2.69% vs. ワル2.79%/100人年,HR0.96. 0.78-1.19 ,交互作用 P=0.336

5)出血性脳卒中:両年齢群とも同等の結果:年齢とリバーロキサバンの使用の間で交互作用なし

【結論】高齢者は、若年者に比べて脳卒中と大出血のリスクが大きい。しかし有効性安全性において、リバーロキサバンとワルファリンとの間に、年齢による結果の差はなく、高齢者でも代替治療としてのリバーロキサバンを支持する結果である。

### これまでROCET AF試験のappendixに75歳で分けたサブ解析のフォレストプロットの掲載はありました。
またこれまでJ-ROCKET AF試験では、75歳以上で出血(小出血も含めて)が多いというデータを、メーカーさんの資料で見たことはありました。
今回は本試験で、年齢別によりくわしく解析した結果です。

結果としては年令による交互作用なしで、高齢者でもワルファリンと出血リスクは同等とのことでした。
元論文のグラフの値とは微妙に違っているように見えますが、見間違いでしょうか
http://www.nejm.org/doi/suppl/10.1056/NEJMoa1009638/suppl_file/nejmoa1009638_appendix.pdf

ROCKET AFで気をつけるべきは解析方法ですが、有効性主要エンドポイントはITT解析、安全性に関してはOn Treatmentのようです。

えーと、本文入手してもう少し読み込みます。

リバーロキサバンについては、リアルワールドの大きなデータもでているようですね。これ紹介し忘れていました。
後日に
http://informahealthcare.com/doi/abs/10.1185/03007995.2014.907140
by dobashinaika | 2014-06-13 00:31 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

抗凝固療法下での頭蓋内出血の予測因子:Stroke誌

Stroke 5月号より
Intracranial Hemorrhage Among Patients With Atrial Fibrillation Anticoagulated With Warfarin or RivaroxabanThe Rivaroxaban Once Daily, Oral, Direct Factor Xa Inhibition Compared With Vitamin K Antagonism for Prevention of Stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation Graeme J. Hankey et al
Stroke.2014; 45: 1304-1312


【疑問】ROCKET AF試験での頭蓋内出血のリスク因子はないか?

P:ROCKET AF登録患者14,264人

E/C:各種パラメーター

O:頭蓋内出血

【結果】
1)頭蓋内出血頻度:リバーロ群172人(1.2%)、175イベント
2)人種差:アジア人ハザード比2.02(1.39〜2.94)、黒人3.25(1.43-9.41)
3)年齢:10歳上がるごとにハザード比1.35(1.13〜1.63)上昇
4)血清アルブミン:0.5下がるごとにハザード比1.39(1.12〜1.73)
5)血小板減少:1万下がるごとにハザード比1.08(1.02〜1.13)
6)脳卒中/TIAの既往:ハザード比1.42(1.02〜1.96)
7)拡張期血圧:10上がるごとにハザード比1.17(1.01〜1.36)
8)頭蓋内出血減少の予測因子:リバーロキサバン0.60、心不全の既往0.65
9)このモデルの予測能は良好」c統計量0.69(0.64〜0.73)

【結論】頭蓋内出血はアジア人、黒人、高齢者、脳卒中/TIA既往例、拡張期血圧上昇、血小板、アルブミン減少例で高い。心不全例とリバーロキサバンす用例でリスク低い。外的妥当性には他の集団での検討必要

### アジア人、やっぱり頭蓋内出血リスク高いですか。
他のチュもくすべきデータとして、全体での頭蓋内出血頻度は年間067%で、死亡率はなんと49%とのことです。高血圧、低アルブミン、血小板の低い人、脳卒中既往例などではとり頭蓋内出血の少ない薬剤がオプションとしてはいいのかもしれません。
by dobashinaika | 2014-05-17 00:38 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

日本でのリバーロキサバンの有効性、安全性における年齢の影響:Circulation J誌

Circulation J 4月24日オンライン版

Rivaroxaban vs. Warfarin in Japanese Patients With Atrial Fibrillation
– The J-ROCKET AF Study –
Hori M et al
http://dx.doi.org/10.1253/circj.CJ-12-0454



J- ROCKET AF試験の年齢別サブ解析がでています。

【結果】
1)75歳以上;39・0%

2)75歳以上での安全性評価項目:リバーロ群25.05%vs. ワルファリン群16.95%:HR1,49:1.02-2.16

3)75歳以上での有効性評価項目:リバーロ群2.18%vs. ワルファリン群4.25%:HR0.51:0.20-1.27

4)安全性評価項目では年令による交互作用あり:p=0.04

5)有効性評価項目では年令による交互作用なし:p=0.82

6)75歳以上ではリバーロ群で腎機能にかかわらず、安全性評価項目のリスクが増加する傾向あり

7)腎機能が保たれている群では有効性評価項目は、ワルファリン群より良い傾向

【結論】高齢者におけるリバーロキサバンのリスクとベネフィットは注意深く考えることが必要

### 確認ですが、安全性評価項目に定義は「ISTH基準における重大な出血+重大ではないが臨床的に問題となる出血」です。
詳しくは以下のサイトに有ります。
http://att.ebm-library.jp/content/term.html#ROCKET

比較的大きな皮下出血なども含まれます。
これら出血が、75歳以上ではリバーロキサバン群でワルファリン群より多い傾向にあったということです。あくまでサブ解析なので、統計的な有意性は語れません。

それをおさえた上で出血の内訳を見ますと、「出血」のうち、75歳以上でリバーロの出血が多かった項目は、重大ではないが臨床的に問題となる出血(20.34%vs. 13.90%)だったことが図から読み取れます。そのほか「大出血(ISTH基準)」も5.01%vs.3.29% でリバーロ群でやや多い傾向があります。あくまで傾向です。

ただ、これらはサブ解析の中でのことで、さらにエンドポイントの内訳をみており、95% CIも広く、これらのことをもって色々と結論を言うことは難しいと思われます。
また一応考えるべき点として、この試験では75歳以上の人ではCCr50未満がリバーロ群で40.5%を占めており、これらの人には10㎎が処方されていたと思われます。

えー、まあこの試験は年齢とアウトカムの関係の交互作用を検討するに十分なnを想定しての登録件数ではないので、結局この論文からは断定的なことは何もいえない、75歳以上の場合には出血に十分注意ということでしょうか。
by dobashinaika | 2014-04-24 20:05 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

抗凝固療法を一時的に中断した場合の転帰は新規抗凝固薬とワルファリンとで違いがあるのか?

Circulation 2月10日付オンライン版より

Outcomes of Temporary Interruption of Rivaroxaban Compared with Warfarin in Patients with Nonvalvular Atrial Fibrillation: Results from ROCKET AF
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.005754


【疑問】抗凝固療法を一時的にやめた場合の転帰はワルファリンとNOACとで違いがあるのか?

【方法】
・ROCKET-AF試験において、何らかの理由で一時的に服薬を中止(3〜30日間)した経験のある人対象


【結果】
1)一時的中止経験者:14236人中4692人(33%)

2)中止経験者のプロフィールは参加者全体と同様傾向

3)6%483人はワルファリンとのブリッジテラピー例

4)中止期間中(中止開始から30日間)の脳卒中/全身性塞栓症:有意差なし;リバーロキサバン群0.30% vs. ワルファリン群0.41%5)大出血リスク:有意差なし:リバーロキサバン群0.99% vs. ワルファリン群0.79%

【結論】経口抗凝固薬における一時的中断はよくあることだが、潜在的に脳卒中や出血のリスクに関連しておリ、それらリスクはリバーロキサバンとワルファリンとで同等。さらなる研究必要

### おそらく手術、ポリペクトミー、飲み忘れ等による中断だと思われます。大規模試験でさえ3分の1の方が一時的中止の経験ありというのも、なかなかに多い感じがします。

中止期間が不明ですが、抜歯時1周間休止すると1%の脳塞栓症があるという報告が、よく言われますので、それよりは少ない感じです。またワルファリンは中止した時のリバウンド現象が指摘されていますが、この研究ではNOACのほうが塞栓リスクが少ないというわけではなかったようです。

ワルファリンをずっとやめてしまったらどうなるかという論文はこちらhttp://dobashin.exblog.jp/18763480/
by dobashinaika | 2014-02-20 23:47 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

イグザレルト服用中の間質性肺炎についてPMDAからの注意喚起:新期抗凝固薬処方時の新たな注意事項

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は1月30日、「製薬企業からの医薬品の適正使用に関する情報」を配信し、「イグザレルト錠(リバーロキサバン錠)服用中の間質性肺炎について」の注意喚起を図りました。
これを受けてバイエル薬品では、「適正使用についてのお願い」をホームページに掲載しています。
http://www.bayer-hv.jp/hv/files/pdf.php/140130_XAR_tekisei.pdf?id=1e914c5ae5d4363ea3c9518018662b271

これによると2013年1月まで、販売開始後約20万人に使用(推計)され、これまで間質性肺炎が現れた症例が13例報告されているとのことです。

概要のわかっている症例が3例報告されています。
1)80代男性。10㎎。投与開始後10日目ころから発熱、せき。28日後まで投与。中止直前から悪化、投与中止10日後に死亡。KL6は投与中止後437
2)80代女性。10mg。ダビガトランから切り替え。投与開始4日後から呼吸困難。投与中止43日で軽快。KL6は投与中止日1468.投与中止30日後2390
3)80代男性。15㎎。ワルファリンから切り替え。投与開始52日目からせき。その後血痰。投与中止40日で軽快。KL6は投与中止後29日で1610

いずれも80代の高齢者。投与中止後にむしろKLt6が上昇しているように見えます。死亡例もあります。

この注意喚起が出て本当に注意すべきなのは、間質性肺炎はイグザレルトだけのものではないということです。
ダビガトランにおいても市販直後調査(推定処方70,000人)の時点で、9例の間質性肺炎が報告され、うち4例は死亡に至っています。
死亡例は70代〜80代で、発現までの日数は6〜7日ですが、中には41日後に発現している症例もありました。
http://www.bij-kusuri.jp/information/attach/pdf/pxa_cap_info_201111.pdf

ダビガトランはトロンビン阻害薬で、抗炎症作用、抗線維化作用を持つことが知られており、ラットにおいては間質性肺炎を抑制したという報告もあります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=dabigatran+AND+interstitial+pneumonia

間質性肺炎の機序は不明なことが多く、薬剤アレルギーとしてあらゆる薬に発現の可能性はあるわけですが、これだけ広く使われるようになると、やはり注意が必要と思われます。

間質性肺炎は、たとえ1例でも重篤な副作用になることには変わりがないのでエリキュース(まだ報告はないと思いますが)も含めて、新期抗凝固薬の使用後早期に原因不明の発熱、せきなどが生じた場合は、すみやかに受診してもらい対処するといった心がけが大切かと思います。
by dobashinaika | 2014-02-06 18:15 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

リバーロキサバン内服者におけるプロトロンビン時間の分布:CJ誌より

Circulation Journal 1月21日付オンライン版より

Rivaroxaban in Clinical Practice for Atrial Fibrillation With Special Reference to Prothrombin Time
http://dx.doi.org/10.1253/circj.CJ-13-1380


【疑問】リバーロキサバン服薬時のプロトロンビン時間(PT)はどのように分布するのか?

【方法】
・心臓血管研究所で2012年5月〜2013年7月までにリバーロキサバンを服薬した115人(非弁膜症性心房細動)のうちPTを測定した94人
・(1)外来間者での任意の時間 (2)入院間者でのピーク時(服薬3時間後) (3)入院患者でのトラフ時(服薬直前)の3ポイントのPTを測定
・試薬はリコンビプラスチン2G

【結果】
1)PT値は患者ごとあるいはピークとトラフトで幅広く分布
・入院患者のピーク値、トラフ値の分布(n=16):各12.9−24.0秒(平均16.3)、10.1−12.3(平均11.1秒)
CCr<50、CCr≧50の各ピーク/トラフ値:18.2/11.6、18.6/10.5
・外来患者(n=75):9.8-28.1
CCr<50、CCr≧50の各ピーク/トラフ値の分布:14.2-24.0(平均18.1)、10.1-24.1(平均16.6)

2)外来での随時採血における時間とPT値の関係は不明

3)有害事象は、PTとの関係を解析するには、あまりに低頻度

【結論】リアルワールドの臨床プラクティスとして、リバーロキサバン内服下の日本人NVAF患者のPT分布につき報告

### 心臓血管研究所からの貴重な報告です。
トロンビン阻害薬はトロンビンが内因系(Xase)にポジティブ・フィードバックするところを抑えますのでaPTTと血中濃度が相関するのは理解できます。

しかしXa阻害薬が阻害するXa因子は共通因子であり、上記のようなフィードバックも確認されておりませんので、PT、aPTT両者とも相関するとおもわれますが、よりPTの方と相関することが知られています(なぜそうなのかは明らかではないと思います)。

ただし、そのPTも試薬によってだいぶ違うことが示されています。
Thromb Haemost 2010; 103: 815 – 825.

心臓血管研究所の試薬はリコンビプラスチンとのことですが、このT/H誌の論文の図を見ると、試薬のISIの違いから同じPTでも様々な値を示すことがわかりますので、Discussionで触れられているように、抗Xa活性を過小評価(試薬によっては過大評価)する可能性があるわけです。

しかし、今回の研究結果を見ますと、PTはだいぶバラついていますねー。そもそも半減期12時間ですから、少しの吸収のタイミングなどで同じ人であっても日によってピーク時間が違うでしょうし、個体差も当然大きいわけです。

ただ、トラフの値はあまりばらつかないように見えますので、採血するならピークで採らないと差がでないようにも思われます。

イベント数が極めて少ないので、カットオフ値は導けませんが、nの積み重ねで見えてくる方向が示されただけでも大変有用と思います。
by dobashinaika | 2014-01-21 22:47 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

カテーテルアブレーション時リバーロキサバン継続の有効性安全性:JACCより

5日も更新していないと、禁断症状が出ます(笑)。お正月気分も完全に抜けましたのでまたコツコツアップしていきます。

JACC 1月8日付オンライン版より

Feasibility & Safety of Uninterrupted Rivaroxaban for Periprocedural Anticoagulation in Patients Undergoing Radiofrequency Ablation for Atrial Fibrillation: Results from a Multicenter Prospective Registry
doi:10.1016/j.jacc.2013.11.039


【疑問】カテーテルアブレーション前後でリバーロキサバンを中止せずに継続した場合の有効性安全性はどうか?

P:北米8施設の心房細動アブレーション患者の症例対照研究

E:アブレーション前後でリバーロキサバン継続患者

C:アブレーション前後でワルファリン継続:年齢、性別、心房細動のタイプをマッチング

O:出血イベント、塞栓症イベント

【結果】
1)641人、平均63±10歳。69%男性、51%発作性。

2)HASーBLEDスコア:ワルファリン群で有意に高い(1.70 ±1.0 vs 1.47 ±0.9; p=0.032)

3)出血&塞栓イベント:47例7.3%&2例0.3%

4)最初の30日間におけるイベン発症に両群間の差はなし
   大出血:5/1.6% vs 7/1.9%; p=0.772
   小出血:16/5.0% vs 19/5.9%; p=0.602
   塞栓症:1/0.3% vs 1;0.3%; p=1.0

【結論】アブーレション施行前後のリバーロキサバン継続は、ワルファリン継続に比べて有効性安全性とも同等

### ダビガトランで同様の報告が日本から出ていますが、ダビの方は出血が少なかったとあります。しかしながら割付試験でなくnも小さいので、エビデンスレベルとしては本論文のほうが高めと思われます。
http://dobashin.exblog.jp/16413289/

こういう現場の報告は大事です。アウトカムが同じならINR管理に面倒がいらず、すぐに体内から消え、直ぐに効果の出るリバーロキサバンのほうがいいとも言えます。

ただ大出血が起きた場合などの中和薬がない、などのデメリットも有りますが。
術中のヘパリン使用など知りたいところです。
by dobashinaika | 2014-01-15 22:55 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(2)

抗凝固療法下において出血と関連ある因子はなにか?ROCKET AF試験より:JACC誌より

JACC 12月4日付オンライン版より

Factors Associated with Major Bleeding Events: Insights from the Rivaroxaban Once-daily oral Direct Factor Xa Inhibition Compared with Vitamin K Antagonism for Prevention of Stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation (ROCKET AF)
doi:10.1016/j.jacc.2013.11.013


【疑問】抗凝固薬の出血リスクに関連ある因子はなにか

【方法】
・ROCKET AF試験登録患者対象
・リバーロキサバン群、ワルファリン群両群において、大出血に関連ある因子を比較

【結果】
1)主要安全評価項目(大出血+小出血):両群間有意差なし(14.9 vs. 14.5 イベント/ 100人年;ハザード比 1.03 [0.96, 1.11])

2)大出血:年齢とともに増加。年齢層別(65歳未満、65〜74歳、75歳以上)で治療による差はなし

3)大出血あり群(n=13455) は、なし群(n=781)に比べて:高齢、喫煙あり(現在/経験)、消化管出血の既往あり、軽度貧血、クレアチニンクリアランス低値。女性は少なく、脳梗塞/TIAの既往ありで少ない傾向

4)大出血の独立危険因子年齢、拡張期血圧90以上、COPDまたは消化管出血の既往、抗血小板薬使用、貧血

5)大出血減少の要因;女性、拡張期血圧90未満

【結論】
リバーロキサバンとワルファリン間で主要安全性評価項目(大出血及び臨床上問題となる小出血)に差はなし。年齢、性別、拡張期血圧、消化管出血の既往、抗血小板薬使用、貧血は大出血リスクと関連あり。

### ROCKET AF試験は他の試験と安全性の主要評価項目はやや異なっており、ISTH基準の大出血に加えて大出血基準に該当しないが治療を必要とする小出血も含まれています。

消化管出血、抗血小板薬使用は当然として、拡張期血圧90以上、COPD、軽度貧血がリバーロキサバン群のみならずワルファリンも含む抗凝固薬に当てはまる出血リスクとして注意しなければならないということで参考になります。
by dobashinaika | 2013-12-11 23:39 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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