人気ブログランキング |

カテゴリ:抗凝固療法:全般( 147 )

心房細動管理の質向上に関するロードマップ;Europaceより

EHRA(欧州不整脈学会)から心房細動管理の質向上に関するロードマップが出ています。

A roadmap to improve the quality of atrial fibrillation management: proceedings from the fifth Atrial Fibrillation Network/European Heart Rhythm Association consensus conference
Paulus Kirchhof1,2,3
Europace doi:10.1093/europace/euv304


2015年1月にニースで行われた「心房細動ネットワーク/EHRAコンセンサスカンファランス」で提唱されたもので
1)隣人から学ぶ
2)患者中心のアプローチ
3)構造的ケア
4)管理の質の向上
5)個別化された管理

に焦点が当てられています。

同学会が提唱する概念は,これまでも非常にプライマリ・ケア目線で以前から注目しておりましたが,その集大成ともいうべきものかと思います。
全文読んでご紹介したいところですが,まずは抗凝固療法の質向上のためのクライテリアが示されています。
その肝である「推奨」と表4について訳してみます。

<脳卒中予防の質の定義と向上>
推奨:
1)抗凝固薬が必要なすべての患者はNOACにアクセスすべき。NOACが適していなければVKA

2)患者に治療の必要性を理解させ,アドヒアランスの向上を図るために,構造的フォローアップが勧められる

3)心房細動関連脳卒中患者は特別なにう卒中ユニットで管理されるべき

抗凝固療法の質のクライテリア:
1)個別化されたリスク管理
・CHA2DS2-VAScスコア評価
・出血リスク評価と最小化
・血圧管理
・不必要な抗血小板薬,NSAIDの中止
・過度なアルコール摂取の減量カウンセリング
・抗凝固薬選択前のクレアチニンクリアランス評価

2)リスク因子(CHA2DS2-VAScスコアなど)に基づくガイドラインに準拠した抗凝固薬処方
・TTR>65%ならVKA継続

3)意思決定
・意思決定の個別化アプローチ
・抗凝固薬内服決定に関する患者の希望を把握しフォローする(患者,医師,近親者からのインプット)

4)抗凝固療法サポート
・抗凝固薬に特異的な情報(口頭,図,文書)
・患者の理解度のチェック:量,回数,食前後,副作用,服薬中止するとどうなるか(脳卒中)
・TIA/脳卒中の警告症状のチェックと知識確認:FAST(Face, Arm, Speech, Time),およびこうした症状が出たとき救急車要請につき説明
・文書(パンフ)を渡す
・患者の希望と理解力に応じた情報

5)ケアの提供者
・医師,看護師,薬剤師,他のヘルスケア職,「専門家である」患者,それらの組み合わせ
・コンサルテーションの専門性を持ったナース
・臨床上の決定(アルゴリズム)を補助するソフトウエア
・VKA開始への介入

###まとめて言うと,
リスクを個別に評価(CHA2DS2-VAScスコアなどで)→
ガイドラインに基づく薬剤選択→
患者の希望を聞いた上での意思決定→
様々のツールを用いて抗凝固薬継続のためのサポート
多職種によるケア

ということになります。

また論文全体の思想のシェーマはこちらです。
a0119856_22561159.png

2013年にもコンセンサスがでていますが,今回はより包括的で,トレンドである患者中心性と多職種共同を意識した内容となっています。

それにしてもこれは,私などにとっては,非常にためになる。これから他の部分についても順次勉強していきます。

$$$ この週末は家庭医療,総合診療系の学習の場にずっと入り浸っていました。日曜朝は恒例の東京駅散歩。
a0119856_22552114.jpg

by dobashinaika | 2015-10-27 22:59 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

抗凝固療法のADCAサイクル,特にアドヒアランスについて講演

$$$ 先週末は名古屋で講演をさせていただく機会を得ました。名古屋大学からのご依頼で大変光栄だった上に,当日は土曜の遅い時間にもかかわらずプライマリーケアの先生を中心に80名以上もご参加いただき,また懇親会での質問もたくさんあって,嬉しい限りでした。

抗凝固療法のPDCAならぬADCAサイクル(Assessment, Decision making, Check, Act),とくに抗凝固薬のアドヒアランスについて,当院での多職種による構造的な取り組みについて話をいたしました。アドヒアランス向上には医師は全面に出ないほうがいいんですね。看護師,薬剤師,ご家族などが主役になります。そうして患者さんを中心に皆で「飲む空気」を盛り上げていくことが重要で,そうすることでアドヒアランスのアウトカムが向上したという自施設データを出させていただきました。論文になりましたら,後日ご紹介します。

名古屋は大きな街でした。とんぼ返りで,ゆっくりできなかったのが心残りでした。
a0119856_22494611.jpg

a0119856_22501852.jpg

by dobashinaika | 2015-09-09 23:02 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

抗凝固療法に関する患者の好み:JTT誌

Preferences for anticoagulation therapy in atrial fibrillation: the patients' view.
Björn Böttger et al
J Thromb Thrombolysis. 2015 Aug 11


目的:抗凝固薬を選ぶときに異なる選択肢を示された時の心房細動患者の好みを評価する

方法:
・多施設からランダムに医師を選択
・電話インタビュー
・4つの「便利さに関連した治療依存行動」としてブリッジングの必要性、食品/栄養の相互作用、INR管理/用量設定の必要性、服薬回数(1日1回/2回)、医療機関からの距離(1km未満/15km超)

結果:
1)468例:平均73.9歳、女性43.2%、CHA2DS2-VAScスコア3.7点、リバーロキサバン48.6%、VKA51.9%

2)患者が明らかに好ましいとしたのは:1日1回服用、ブリッジングの必要がない(相関係数0.615)、医療施設から近い(−0.558)、食品/栄養の相互作用がない(-0.332)、INR管理/用量設定の必要がない(-0.127)

3)もっとも重要な”好み”は:1日1回、ついでブリッジングなし、交互作用なし

結論:心房細動患者は投与の簡便さを好む

### うーん、途中まで読んでいてあれ、という感じです。本文が入手できていないのでCOIがわかりません。NOACは1剤しか飲んでいない集団のようでjす。

少なくともその他の変数として、コスト、有効性、安全性を入れないとダメではないでしょうか?「簡便さ」だけが指標になっているような気がします。それならVKAが不利になるのは当然とも言えます。

「1日1回」、「医療機関から近い」ではNOACもVAKも関係無いですし。

本文を読むともっと何かあるかもしれません。夏休みだからこんなところで、、、

$$$ これご近所のにゃんこ。。ではなくて七夕の時ついでに行った岩合さんの写真展。
a0119856_22463067.jpg

by dobashinaika | 2015-08-14 22:48 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

心房細動、抗血小板療法に関する原稿を書かせていただきました。

最近心房細動や抗血小板療法の関して、以下に記事を書かせていただきました。
機会がありましたら、ご高覧下さい。

循環器急性期診療 - Critical Care Cardiology - 編集:香坂 俊 慶應義塾大学医学部循環器内科(株式会社メディカル・サイエンス・インターナショナル)
「心房細動・長期予後」

a0119856_18181828.jpg

糖尿病診療マスター 2015年08月号 (通常号) ( Vol.13 No.8)(医学書院)
特集 糖尿病から脳を守る
「糖尿病と心房細動と脳梗塞」

a0119856_1819548.jpg

CardioVascular Contemporary 2015 Vol.4/No.2(メディシンラトル)
特 集「 アスピリン後の世界 」
〈巻頭座談会〉血管病変治療におけるアスピリンの功績と、これからの抗血小板療法
実地臨床における抗血小板薬選択のポイント

a0119856_18171952.jpg

Cardio-Coagulation-循環器における抗凝固療法 2015年7月号(Vol.2 No.2)(メディカルレビュー社)
Round Table Discussion:後期高齢・超高齢者に対する抗凝固療法

a0119856_8284120.jpg

by dobashinaika | 2015-07-30 18:21 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

抗凝固薬服薬中にこれだけはチェックしておきたい6つの項目:AIM誌

Annals of Internal MedicineからDOAC服用患者のモニター法に関するオピニオンがでています。

How to Monitor Patients Receiving Direct Oral Anticoagulants for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation: A Practice Tool Endorsed by Thrombosis Canada, the Canadian Stroke Consortium, the Canadian Cardiovascular Pharmacists Network, and the Canadian Cardiovascular Society ONLINE FIRST
David J. Gladstone et al
Ann Intern Med. Published online 30 June 2015 doi:10.7326/M15-0143


より簡便には以下のサイトでもまとめを見ることができます。
http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Prevention/52376

ABCDEFsの6項目になっています。

A: Adherence assessment and counseling
B: Bleeding risk assessment
C: Creatinine clearance (for dosing decisions)
D: Drug interaction assessment and counseling
E: Examination (with focus on blood pressure and fall risk)
F: Final assessment and follow-up

A: アドヒアランス評価とカウンセリング
B: 出血リスク評価
C: クレアチニンクリアランス(用量決定のため)
D: 薬剤相互作用の評価とカウンセリング
E: 検査(血圧と転倒評価)
F:最終評価とフォローアップ


### なかなかこの6項目まとまっていますね。

ただし欧州不整脈学会(EHRA)から既に抗凝固療法患者のフォローアップは#Structered Follow-upとして別な6項目が提案されています。
http://dobashin.exblog.jp/17727424/
a0119856_0482294.png

ここでは
1)コンプライアンス
2)血栓塞栓症イベント
3)出血イベント
4)他の副作用
5)併存医療行為、併用薬剤
6)血液サンプリング

の6項目となっています。

個人的にはEHRAの評価項目のほうが、より実践的な感じがします。AIM誌の項目のうちクレアチニンクリアランス、転倒リスクなどはむしろ初期評価項目と思われます。

服薬が決定してからは、むしろEHRAの6項目のほうがよりしっくり来るような感じです。

当院では上記を踏まえ、全抗凝固薬服用患者さんに
服薬直前に 1)クレアチニンクリアランス 2)転倒リスク 3)認知機能 4)抗凝固薬に対する解釈モデル
をチェックし

その後以下の項目につき、毎回の外来受診ごとに以下の6項目を手早く聴くようにしています。
a0119856_0503492.png

当院では医師でなく、看護師が主にアドヒアランスなどをチェックします。医師には黙っていて看護師だけが情報を得ることも多いですので。

$$$ 仙台の今年の夏は快適です。雨が少なく湿度も低く、早朝の散歩はまさに爽快。日本じゃないみたい。ここはご近所の午前5時半の神社。パワースポットってあまり信じてはいないのでですが、そう言いたくもなる一瞬の佇まいでした。
a0119856_153648.jpg

by dobashinaika | 2015-07-10 01:07 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

米国ではDOAC発売後抗凝固薬処方が増加。一番処方されている薬は?:AJM誌

National Trends in Ambulatory Oral Anticoagulant Use
Geoffrey D. Barnes et al
Am J Med Published Online: July 02, 2015

目的:現時点で、米国におけるDOAC使用は、ワルファリンに比べてどのくらいか?

方法:米国のIMSデータサービス(民間のデータサービス会社)使用。2009年から2014年

結果:
1)抗凝固療法のための受診者は増加:205万人→283万人、p<0.001

2)DOAC処方のための受診は2014年に405万受診に増加

3)心房細動のための経口抗凝固薬による受診は88万人から172万人に増加:ワルファリンとNOACは同様に増加

4)心房細動の抗凝固薬処方率:51.9%から66.9%に増加、P<0.01

5)2014年の処方内訳:リバーロキサバン47.9%、アピキサバン26.5%、ダビガトラン25.5%

結論:DOACは急速に普及して来た。ワルファリン使用もこれに同調。心房細動の抗凝固薬使用全体も増加

### なるほど。。日本ではどうでしょうか。
一番知りたいのはアウトカムですが。これだけ抗凝固薬が普及しDOACも相当広まっているとするとRCTに従えば、虚血性脳卒中は微減、頭蓋内出血は激減するはずですが。そこが最も知りたいところです。

それにしてももう論文も”DOAC”なんですねー。

$$$ 朝日の中に佇む今日のにゃんこ。どこにいるかわかりますか?
a0119856_22402170.jpg

ついで今日の紫陽花も
a0119856_22412075.jpg

by dobashinaika | 2015-07-08 22:43 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

日本の患者は、抗凝固薬による出血を米国の患者ほど怖がらず,医師が考えるよりも寛容

Comparing Patient and Physician Risk Tolerance for Bleeding Events Associated with Anticoagulants in Atrial Fibrillation— evidence from the United States and Japan
Ken Okumura, et al
VALUE IN HEALTH REGIONAL ISSUES 6C (2015) 65–72
http://www.ispor.org/preference-based-assessment_atrial-fibrillation_US_Japan.pdf

目的:抗凝固療法のリスクとベネフィットの感じ方の定量化、及びこのことが患者と医師とで国別にどう違うかについて検討

方法
・直接選択実験を施行
・抗凝固薬のベネフィットとリスクに対する選好の差異を検討

結果:
1)米国:患者186人、医師107人。日本:患者162人、医師164人

2)日本の患者は米国より出血リスクを嫌がらない

3)両国の医師共に障害の残る脳梗塞と残らない脳卒中を区別しない

4)米国の患者は、出血リスクが障害の残らない脳梗塞予防の結果である時でも、臨床上有意な出血に、医師ほど寛容ではない

5)日本の患者は、上記の場合医師よりも寛容である
a0119856_223258.png


結論:全体に米国においては、患者−医師間で抗凝固薬のベネフィットとリスクに対する価値観は統計上有意な違いはなかった。両国とも医師の間では、脳卒中別にリスクの捉え方に違いはなかった。しかし日本では患者と医師の間では違いが見られた。

### 実データですが、何種類かのバーチャル患者のプロフィールを見て、全死亡を1とした時、例えば後遺症のない脳梗塞はいくつくらいのインパクトなのかを点数付けします。後遺症のない脳梗塞2人と死亡1人が吊り合う印象であれば、後遺症のない脳梗塞は0.5となります。

まず例えば頭蓋外出血ですが、米国の患者が0.92に対し、日本の患者は0.24です。臨床的に有意な小出血も米国0.29に対し日本はなんと0.06でした。
また脳梗塞でも、後遺症の残る脳梗塞の場合、米国患者は1.68でなんと死亡よりもインパクトが高いですが、日本の患者は0.62でした。

更に医師ー患者のリスクの捉え方の差異については、後遺症のある脳梗塞を1%減らすのに見合う出血リスクで評価した場合、米国はだいたい同じだったのに対し、日本は小出血については医師が3%程度なのに対し患者は11%くらいと、非常に出血に対して寛容である基質が浮き彫りになっています。

実に興味深いですね。日本の患者は多少の出血に対してもあまり米国ほど嫌がらない(梗塞に対しても)、しかも医師が考えているよりも、ということです。ある意味医師が選んだ治療について、出血というリスクに抗することなく忠実に遂行するイメージが浮かび上がります。

私は、日本人はもっとリスクに対して警戒心が強く、米国のほうが多少のリスクを犯しても脳梗塞予防の実を取る気質があるのかと思っていました。「出血」という現象に対する捉え方の違いかもしれません。

当然、質問の聞き方などにも左右されます。日本人はそもそもこうしたバーチャルなリスクというものに対しての実感がわかないというか、バーチャルと自分を重ね合わせることをあまり深く考えないからという考察も可能かもしれません。

とにかく、リスク、出血、といったものに対する捉え方に日米でかなり違いがあるようで、もっと考察してみようと思います。

$$$今日のにゃんこ。このネコが堂々としてたてがみが立派でした。思わずひれ伏しそう。
a0119856_2219912.jpg

by dobashinaika | 2015-06-08 22:20 | 抗凝固療法:全般 | Comments(2)

国際血栓止血学会から「NOACではなくDOACと呼ぼう」との推奨が出ています:JTH誌

Recommendation on the nomenclature for oral anticoagulants: communication from the SSC of the ISTH
G. D. Barnes et al
Journal of Thrombosis and HaemostasisVolume 13, Issue 6, pages 1154–1156, June 2015


・これまでnovel/new oral anticoagulants (NOACs), direct oral anticoagulants (DOACs), and target-specific oral anticoagulants (TSOACs)などの用語が使用されてきた
・NOACは ‘non-VKA oral antagonists’ と略語を変換された
・このままではややこしい
・‘non-VKA oral antagonists’ というのは薬剤特性の表現という意味でその特徴を表していない
・カルテに‘non-VKA oral antagonists’とかくと‘No AntiCoagulation,’=「抗凝固薬でない」という意味に取られ、患者が治療を受けないことも考えられる

・2014年9月、北米と欧州の血栓、止血、抗凝固、血管医学の16団体のリーダー150人にウェブ上でサーベイを行い、51%の参加が得られた。
・89.6%と多数の人が用語の統一の必要性を感じていた
・NOACという用語の安全性に関する賛同は低かった:54.7%の人がこの用語の使用は限定的であるべきと考えた
・DOAC [direct oral anticoagulant], NOAC [non-VKA oral anticoagulant], NOAC [novel oral anticoagulant], ODI [oral direct inhibitor], SODA [specific oral direct anticoagulant], TSOAC [target specific oral anticoagulant], and Otherのうち上位3つを上げてもらった結果:
1位:DOAC 29.9%
2位:NOAC 28.6%
3位:TSOAC 23.4%
・1つのみの投票の結果
1位:DOAC 58.4%
2位:TSOAC 49.4%
3位:NOAC 39.0%

<経口抗凝固薬の用語とNOAC(という語)に関する害についてのコンセンサスに基づく推奨>
1.直接IIa及びXa阻害薬の記述に関し単一の用語を用いる
2.VKAとは違う生来のメカニズムと臨床的特性を有する単一の言葉を用いる
3.NAOCという語は使わない

<DOAC使用の推奨>
1.DOACという語を単一の標的を直接と抑制し同じような臨床特性を有する経口抗凝固薬の一種に対して用いる
2.多様なDOAC間の区別が重要な際に薬剤の特異的な作用機序(直接Xa阻害あるいは直接トロンビン阻害)が使用されるべきである

### 国際血栓止血学会(ISTH:International Society on Thrombosis and Haemostasis)の抗凝固管理症委員会からの推奨です。
正式に"NOAC”はやめて”DOAC"を使おうという宣言です。

NOACの’N’がネガティブなイメージを引き起こし患者が引いてしまうという感覚は、日本人にはうっすらしか理解できない感じですが。略語に薬剤のメカニズムを盛り込もうという意図も、欧米式という印象です。

日本でこれからは”ドアック”でしょうか。私、一瞬DOALA(中日ドラゴンズのマスコット)を連想してしまいました(笑)

$$$ 今日のにゃんこ。ちょっと遠かった。
a0119856_21425538.jpg

by dobashinaika | 2015-06-03 21:44 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

心房粗動でも心房内血栓は少なくない:Europace誌

Prevalence of auricular thrombosis before atrial flutter cardioversion: a 17-year transoesophageal echocardiographic study
Alberto Cresti et al
Europace DOI: http://dx.doi.org/10.1093/europace/euv128 First published online: 27 May 2015


目的:心房粗動の左心耳及び右心耳血栓の頻度は1〜21%とばらつきがありこれまで試験は少数なので、大規模コホートで明らかにする

方法:
・除細動前の心房粗動患者877例+心房細動患者204例
・経食道エコーで確認

結果:
1)心房内血栓の頻度:9.62%、心房粗動=6.4%、心房細動9.62%;p=0.074

2)左心耳血栓:粗動5.9%、細動=9.9%

3)右心耳血栓:粗動0.5%、細動=0.8%

4)もやもやエコー:粗動28%、細動=35%

結論:除細動前の評価で、心房粗動における心耳血栓は少なくない。心房細動同様心房粗動でも特に発症48時間以上の場合経食道エコーによるスクリーニングが必要。

### 統計上粗動も、細動と同様の頻度で心耳血栓が見られるようです。6.4%とは、決して低くない数字ですね。おそらく粗動は粗動にとどまらず細動も合併(あるいは相互変換)しているからと思われます。ですので、抗凝固療法も同じ扱いでいくのが妥当かと思われます。

Prevalence of auricular thrombosis before atrial flutter cardioversion: a 17-year transoesophageal echocardiographic studyAlberto Cresti et al
Europace DOI: http://dx.doi.org/10.1093/europace/euv128 First published online: 27 May 2015

目的:心房粗動の左心耳及び右心耳血栓の頻度は1〜21%とばらつきがありこれまで試験は少数なので、大規模コホートで明らかにする

方法:
・除細動前の心房粗動患者877例+心房細動患者204例
・経食道エコーで確認

結果:
1)心房内血栓の頻度:9.62%、心房粗動=6.4%、心房細動9.62%;p=0.074
2)左心耳血栓:粗銅5.9%、細動=9.9%
3)右心耳血栓:粗動0.5%、細動=0.8%
4)もやもやエコー:粗動28%、細動=35%

結論:除細動前の評価で、心房粗動における心耳血栓は少なくない。心房細動同様心房粗動でも特に発症48時間以上の場合経食道エコーによるスクリーニングが必要。

### 統計上粗動も、細動と同様の頻度で心耳血栓が見られるようです。6.4%とは、決して低くない数字ですね。おそらく粗動は粗動にとどまらず細動も合併(あるいは相互変換)しているからと思われます。ですので、抗凝固療法も同じ扱いでいくのが妥当かと思われます。

$$$ 今日は朝5時に起きてしまったので、大崎八幡神社まで30分の散歩でした。非常に爽やかな清澄感でした。この季節、早朝のこの空気感を味わわないのはもったいない。今日から朝方に切り替えようかと思います。
a0119856_22295695.jpg

by dobashinaika | 2015-06-02 22:32 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

抗凝固薬の使い分けで大切なことは(抗凝固療法雑感)。

心房細動領域で活躍する医師の中でも意見や波長の合う先生はそう多くはいないのですが、大阪大学の奥山裕司先生は以前からその抗凝固療法に対する見識に敬服しており、本日また仙台でご講演をお聴きすることができて、随所に散りばめられたクリニカルパールを堪能させていただきました。
今日の講演の中で「ワルファリンでTTRが悪い場合NOAC、という考え方には注意が必要で、TTRが悪いのには原因がある。それをよく考えよ」という趣旨のお話がありましたが、全く同感です。

ワルファリンの管理に影響する因子として、以前拙著「プライマリ・ケア医のための心房細動入門」で「食品、薬剤、遺伝的因子」の3要素を挙げましたが、これは薬剤としての因子であり、その他に患者側の因子として「アドヒアランス」、医師側の因子として「INR管理能力」が追加されると思われます。実際問題、INRの変動に関与するランキングを考えると、「食品」と「アドヒアランス」「医師の能力」の3つが拮抗しているように思われます。このうちアドヒアランスはワルファリンで悪いなら、NOACでも悪いことが考えられ、NOACではより致命的になると思われます。

TTRが悪い場合、まず「きちんと飲んでいないからINRが暴れる」のかどうかをしっかり把握することが大切であることを再認識させられました。また医者の側からはきちんとINRを範囲内に収めず低めでお茶を濁していないかも自問する必要があると思われます。

で、ここからは推測ですが、多くの開業医はこうしたINR管理の煩わしさ、難しさ、自問すること、に辟易なため、NOACを考えるのだと思われます。そして多くの場合(院内処方の先生は特に)1種類、多くて2種類のみ(それも低用量)を決め打ちして使っているような現状が少なからずあるように思われます。

もちろんいろいろな要素を考慮して細かく使い分けておられるプライマリ・ケア医もたくさんいらっしゃると思われますが、プライマリ・ケア医でも循環器に詳しい先生は、ワルファリンを未だに重用するし、そうでない先生は、あまり場合分けしないで、NOACのうちで簡便で処方しやすい1種類を決めて処方している、という「雰囲気」「空気」もあるように思います。もちろん、確固たるデータはなく、あくまで私の感じる「空気」ですが、そう現実世界と乖離している感じでもないように思われます。

今日のご講演はそうした空気にある意味警鐘を鳴らし、抗凝固薬の使い分けるときにはその根拠、ロジックを明確にすることの大切さを説いてくれました。

そうですね、抗凝固薬を本当に習熟して使うには、本来は作用機序、生物学的利用率、蛋白結合率、代謝排泄、半減期薬物相互作用などの薬理学的特性にエビデンスを加えたフルの知識が要求されるのかもしれません。厳密に行おうとすると大変なのです。

PK/PD理論を知って抗菌薬を使い分けるのと似たイメージですね。

逆に各特徴を理解せずNOACを出すのは、PK/PDを知らずに抗菌薬を処方するのにパラレルのように思います。そういう理論を知らないで使っても臨床的にはオーライのことが多い、でもクリティカルな場面を想定すれば知っていたほうが絶対に良い。そう思います。

まーただ、院外処方だとしても全種類使い分けできるほど在庫を蓄えるには、あまりに高価な薬ではありますが。。。

奥山先生のクリニカルパールはもっともっとありますが、網羅できませんので、また機会があったら触れることにします。

$$$近くの道端。カモガヤ最盛期です。今年は未だに花粉症状の方多いです。
a0119856_0302483.jpg

by dobashinaika | 2015-05-26 00:35 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(35)
(35)
(27)
(27)
(26)
(25)
(24)
(21)
(20)
(20)
(19)
(18)
(16)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)

ブログパーツ

ライフログ

著作

もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

【Apple Heart S..
at 2019-11-26 07:35
心房細動合併透析患者において..
at 2019-11-21 06:49
日本の心房細動患者の死因の半..
at 2019-11-11 07:22
CHA2DS2-VAScスコ..
at 2019-10-30 17:36
中高年開業医におけるヤブ化防..
at 2019-10-18 07:27
日経メディカルオンライン:第..
at 2019-10-15 06:26
新規発症心房細動では服薬アド..
at 2019-10-06 10:47
心房細動診断においてスマホに..
at 2019-09-19 06:30
第17回どばし健康カフェ「心..
at 2019-09-05 08:51
強い症状のない血行動態の安定..
at 2019-09-04 06:36

検索

記事ランキング

最新のコメント

いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
取り上げていただきありが..
by 大塚俊哉 at 09:53
> 11さん ありがと..
by dobashinaika at 03:12
「とつぜんし」が・・・・..
by 11 at 07:29
> 山川玲子さん 山川..
by dobashinaika at 23:14
運慶展を観た方にWEB小..
by omachi at 19:45
> terryさん ご..
by dobashinaika at 08:38
簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39

以前の記事

2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン