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カテゴリ:抗凝固療法:全般( 147 )

論文の記載と解釈における見識と矜持――SPINとRELY試験からの考察:医学界新聞より

琉球大学の植田先生の、医学界新聞での連載「論文解釈のピットフォール」は、現時点で読みうる最も信頼のおける論文読み指南だと思いますが、今回で連載は最後とのことです。最後にふさわしく(?)RE-LY試験の批判的吟味が述べられています。

私、個人的に100%激しく同意、の内容です。
ぜひご一読ください。
http://p.tl/IKuk
by dobashinaika | 2011-05-22 22:49 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

心房細動の抗凝固療法における出血リスクの計算アプリ http://p.tl/z6Pd

HAS-BLEDスコアを算出するためのiPad用アプリです。
http://p.tl/z6Pd

HAS-BLEDスコアについてはこちらを参照
by dobashinaika | 2011-05-07 23:24 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

CHADS2スコア高得点ほど、脳動脈硬化の程度も進んでいる:Strokeより

Increases in Cerebral Atherosclerosis According to CHADS2 Scores in Patients With Stroke With Nonvalvular Atrial Fibrillation.
Stroke. 2011;42:930-934


以前2月27日のブログで紹介したオンライン版の、論文化です。

CHADS2スコア高値の場合、動脈硬化そのものの管理(血圧、糖尿病など)も重視すべきということをメッセージとして受け取りたいです。
by dobashinaika | 2011-04-19 08:26 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

心房細動における重症腎機能低下と脳塞栓予防:JACCのレビューから

Journal of American College of Cardiology 
3月22日号のSTATE-OF-THE-ART PAPERからです。

Severe Renal Impairment and Stroke Prevention in Atrial Fibrillation: Implications for Thromboprophylaxis and Bleeding Risk

J Am Coll Cardiol 2011 57: 1339-1348

本文の結論を元にかいつまんで要約します。

・ 透析患者の心房細動は増加しており、有病率は7~27%と言われている。
・ 重症腎不全患者の心房細動は、脳塞栓リスクの増加と関連がある(9.8倍)
・ しかしながらこうした患者の抗凝固療法におけるリスク/ベネフィットを評価したRCTはない。
・ 注意すべきことは、心房細動で抗凝固療法を受けている透析患者では大出血の頻度が高いという点である。
・ こうしたデータは、正確なモニタリングの欠如、目標INRを維持することの困難(スタディ間に差異あり)、不適切な出血の分類と言った因子に影響される。
・ このような限定的なデータを、重症腎不全のような出血と塞栓との両リスクを持つ不均一な患者集団に当てはめることは困難である。
・ 将来的に、腎機能低下に影響されない抗凝固薬が登場すれば、腎不全患者の塞栓予防効果と出血リスクとのバランス改善に有望かもしれない。もちろん腎不全合併心房細動患者に特異的な臨床試験は必要だが。
・ 現時点で腎不全例での経口抗凝固薬は禁忌とすべきではないが、患者ごとのバイアスは考慮されねばならない。
・ ワーファリンは低用量から開始し、正常腎機能例よりも頻回にモニターする必要がある。
・ 定期透析時患者においては透析の機会ごとに,INRをモニターすることが出血を防ぐことになる。

###透析患者さんは、高率に心房細動を合併します。エビデンスも豊富に紹介されていますが、決め手となるRCTが乏しいのが現状のようです。このレビューで強調されているように、モニタリングをこまめに正確に行い、出血リスクと塞栓予防効果を患者さんごとに評価することが重要であると思われます。
by dobashinaika | 2011-03-26 19:01 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

CHADS2スコア高得点ほど、脳動脈硬化の程度も進んでいる

Stroke2月24日オンライン版からです
Increases in Cerebral Atherosclerosis According to CHADS2 Scores in Patients With Stroke With Nonvalvular Atrial Fibrillation.

背景:CHADS2スコアの構成要素の多くは動脈硬化の危険因子でもあるので、CHADS2スコア高得点は合併する脳動脈硬化やアテローム血栓性脳梗塞を関連がある可能性がある。

方法:
・対象は、1994年から2010年の間に、非弁膜症性心房細動があり、脳血管造影を施行された連続780例
・CHADS2スコアと脳動脈硬化の存在、重症度、形態、脳卒中の機序との関係を検討した

結果:
1)780例中50%以上の動脈狭窄は231例(29.6%)に認められた
2)動脈硬化を示す動脈本数は、CHADS2スコアの増加とともに増加した(P<0.001)。
3)頭蓋外と頭蓋内の動脈硬化の比率も同様に増加した(P<0.001)
4)CHADS2スコア高得点は、合併する脳動脈硬化(OR, 3.121; 95% CI, 1.770 to 5.504)と症状の原因となる動脈近位部の狭窄の存在と関係していた(OR, 3.043; 95% CI, 1.458 to 6.350)

結論:CHADS2スコアで合併する脳動脈硬化が予測可能であった。CHADS2スコア高得点者の脳梗塞リスクの増加は、脳動脈硬化の頻度や重症度の増加が部分的に寄与している可能性がある。

###CHADS2点数が高いほど、脳梗塞リスクが高いというデータ2001年のJAMAのものがよく引用されますが、同論文でのstrokeの定義は“the risk of stroke, which is defined as focal neurologic signs or symptoms that persist for more than 24 hours and that cannot be explained by hemorrhage, trauma, or other factors, or peripheral embolization, which is much less common”となっており、確かに心原性塞栓症かアテローム血栓性かについては問われていません。ただしこの論文もアウトカムは、エンドポイントは脳血管造影による動脈硬化度でsurrogateですので注意は必要です。
 CHADS2スコアは、ワーファリン導入の選択基準であると同時に、「心房細動も持つ人」において管理すべき重要項目と位置付けることが大切と思います。
by dobashinaika | 2011-02-27 21:11 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

高齢者心房細動の抗凝固療法に関するレビューです

American Heart Journal2月号の高齢者心房細動に対する抗凝固療法のレビューです。
転倒リスクとの関係で抗凝固療法をとらえている点が非常に興味深いです。
思わずほぼ全訳してしまいました。結論部分だけでも大変重要な内容を含んでいますね。
Atrial fibrillation, anticoagulation, fall risk, and outcomes in elderly patients
Am Heart J 2011;161:241-6

【前文】
・ 心房細動患者は多く、増加中。65歳以上の5%
・ この先50年で2.5倍に増える
・ 心房細動があると80〜90歳で、23.5%脳塞栓が増加
・ 心房細動の脳塞栓は非常に重症
・ しかしながら多くの医師が出血の危険のためにワーファリン処方をためらう
・ 特に高齢者は転倒のリスクがあり、転倒による出血が抗凝固療法の禁忌と考えられている傾向がある
・ 今回のレビューで、以上の点を検討する

【脳塞栓予防】
・複数の大規模スタディやメタ解析において、心房細動患者の脳卒中予防の点でアスピリンのプラセボに対する優位性は、ワーファリンの優位性を同様に示されている。
・ワーファリンのほうが効果は大きい。

・ アスピリンの効果(対プラセボ)
➢3つのRCTのメタ解析では、RRRは21%(95%CI 0%-38%, P = .05)。
➢6つのRCTのメタ解析では、RRR22%、ARR1.5%(一次予防)、2.5%(二次予防)。

・ ワーファリンの効果
➢6つのRCTのメタ解析ではRRR62%(対プラセボ)
➢5つのRCTのメタ解析ではRRR36%(対アスピリン)

・ CHADS2スコアによるより詳しいリスク層別化を元に7度目のACCP/ACC/AHAガイドラインも作成されている。

【出血合併症】
・ 高齢者でのワーファリンによる出血リスクは良く知られている。
・ 50歳未満に比べ、80歳以上の出血リスクは4.5倍(95% CI 1.3-15.6)、補正後も同等
・ 65歳超のDVTリスクは1.3倍(95% CI 1.0-1.7)
・ 85歳以上の人は70~74歳に比べ脳出血リスクは2.5倍(95% CI 1.3-4.7)

・ 高齢者ではワーファリンによる大出血は致命的となる
➢脳内出血3ヶ月後の死亡率はワーファリン服用者52%cs.被服用者25.8%
➢ワーファリン服用は死亡の独立危険因子:OR2.2 (95% CI 1.3-3.8)

・ 医師は出血の恐怖以外に以下のような点でアスピリンを選択する
➢ワーファリンの狭い治療域、アスピリンの抗動脈硬化作用、患者の選好、モニターの必要なし、導入の簡便性

・ 他のインターベンションと同様に、医師はリスクとベネフィットを勘案しなければならない

【INRと出血、塞栓の関係】
#ワーファリン単独療法
・ 抗凝固療法では、塞栓リスクを出血リスクや他の合併症とのバランスが考慮されるべき
・ PTは強力な出血予測因子であり、INRは塞栓症のアウトカムと関連している。
➢脳塞栓既往例では、INR2.0未満は2.0以上に比べ30日以内の重症脳塞栓または死亡は3.4倍(HR 3.4, 95% CI 1.1-10.1)(訳者注:本文中不等号は誤りと思われます)

・ INR2~3が塞栓と出血の間のベストバランスと思われる
➢FangらはINR2.0未満に比べ3.5〜3.9は脳出血リスク4.6倍(95% CI 2.3-9.4)
しかし2.0〜3.0では1.3倍(CI0.8-2.2)
➢SPORTIF III, Vでは、出血率はINRコントロール不良群で2〜3のコントロール良好群より高い

・ 高齢者においては、特にINRの適正管理が必要

・ 抗凝固療法専門クリニックは出血合併症の減少に寄与するかもしれない
➢抗凝固療法専門クリニックはそうでないクリニッックより出血合併症が59%少ない

#アスピリンとワーファリン(併用)
・ アスピリン適応患者(ステント後など)でのワーファリンとの併用療法は重要な問題
➢SPORTIF試験ではワーファリン+アスピリンは(ワーファリン単独と比べ)脳塞栓、全身塞栓、心筋梗塞において同等
➢大出血は年間3.9%でワーファリン単独の2.3%より有意に多い

#アスピリン単独療法
・ ワーファリンの出血リスクを考えると、高齢者ではアスピリンを使うというのも医師のアプローチの一つである。実際効果のエビデンズも確かに存在する。
・ しかし塞栓予防効果はアスピリンの方が低いので、やはりバランスが問題
➢75歳超対象のバーミンガムのトライアルではアスピリン群とワーファリン群(INR2~3)で脳出血に差はなし
➢SPINAF II と日本のJAST trialではワーファリン群がアスピリン群より有意に脳出血が多かった

・ これらのデータからは、転倒リスクや出血の点でワーファリンよりアスピリンが良いことにはならない

【抗凝固療法と転倒リスク】
・ 加齢とともにワーファリンによる出血リスクは増加するが、転倒に起因した出血に特に焦点を当てた研究では、ワーファリン治療とこうした出血合併症とに関連がないことが示されている。
➢ワーファリン服用中で転倒を起こした379例のコホートのうち出血イベントは6%で、ワーファリン非服用者での転倒者2256例中の11%より少なかった(P = .01)
➢しかしながらこの研究にはバイアスがある。すなわちワーファリン服用者で転倒が少なく、合併症保有者も少なかった。
➢1,245人のメディケア受給者対象のレトロスペクティブ研究(ワーファリン投与者の50%)では、転倒リスクの高い者はそうでない者の2倍の脳出血率だった。しかしこの高リスクの定義には問題がある。

・ 転倒と抗凝固療法下での転倒による出血との関係を扱った研究はほとんどない
➢1つの高齢者対象のメタ解析では、高齢者での転倒しやすい傾向というのは抗凝固療法適応の重要な因子ではないとした
➢この研究ではQALYは1位ワーファリン、2位アスピリン、3位治療なしだった
➢このことは脳塞栓リスクが2%未満でなければ、正しいと言える
➢高齢者は年間300回転倒し、それによる出血リスクは脳塞栓抑制のベネフィットを上回るからである
➢以上のことは高齢者の転倒による脳出血リスクが低いことを示唆している

・ 脳塞栓率は過大評価され、合併症は過小評価されてきたのかもしれない。大規模試験の対象患者は実際の臨床より厳しくモニターされるからである
➢19,596例を対象とした転倒と抗凝固療法の関係を見た別の研究では、ワーファリンもアスピリンもICHとは関係なかった(HR 1.0, 95% CI 0.8-1.4 for warfarin and HR 1.1, 95% CI 0.8-1.4 for aspirin)
➢この研究では、脳塞栓のリスク増加はICH増加を上回った
➢転倒の高リスク例では、低リスク例に比べ脳塞栓は1.3倍多かった(95% CI 1.1-1.6, P = .002)
➢転倒高リスク例では、脳塞栓リスクはCHADS2スコア1ポイントごとにハザード比が1.42ずつ増加した(95% CI 1.37- 1.47, P < .0001).
➢一次エンドポイント(院外死、脳塞栓による入院、心筋梗塞,出血)は、CHADS2スコア0~1点例ではワーファリン服用の有無で差はなかったが、CHADS2スコア2〜6点例ではワーファリン服用者で有意に減少した0.75(95%CI0.61- 0.91, P = .004)

・ これらのデータから、転倒高リスク例では、CHADS2スコア2以上ならワーファリンの効用は大きいと考えられる

【将来の展望】
・ 高リスク例を対象としたACTIVE試験(ACTIVE A:クロピドグレル+アスピリンvs.アスピリン単独、ACTIVE-W:ワーファリンvs.アスピリン+クロピドグレル)では、ワーファリンはアスピリン+クロピドより勝った(ACTIVE-W)。しかしワーファリンに忍容性のない例ではアスピリン単独よりはアスピリン+クロピドの方が脳塞栓、全身性塞栓を減らした。ただし65歳以上では出血が明らかに増えた

・ これらのことは未だにワーファリンは中等度から高リスク患者のコーナーストーンであることを意味する


・ しかしながら新規抗凝固薬はこのバランスを変えつつある
➢RE-LY試験では,ダビガトランは低用量では塞栓症においてワーファリンと同等であり、出血はワーファリンより少なかった(RR 0.80, 95% CI 0.69-0.93)
➢ダビガトラン高用量では,塞栓症はワーファリンより少なく(RR 0.66, 95% CI 0.53-0.82)、出血は同等だった(RR 0.93, 95% CI 0.81-1.07)
➢重要なことは、どちらの用量でも脳出血がワーファリンより有意に少なかったことである(RR 0.31, 95% CI 0.20-0.47, low-dose vs warfarin; RR 0.40, 95% CI 0.27-0.60, high-dose vs warfarin)

・ 2010年の欧州心臓病学会でアピキサバン(Xa阻害薬)とアスピリンとの比較試験が発表され(ワーファリン非忍容性者)、50%以上のRRRであった。出血は容認できる範囲だった。

・ リバロキサバン(Xa阻害薬)のワーファリンに対する優位性を評価するROCKET-AF試験、アピキサバンのワーファリンに対す非劣性を評価するARISTOTOLE試験が進行中である。

【結論】
・ 高齢者心房細動においては、治療選択において困難さを伴う
➢薬剤相互作用、多い副作用、合併症などである

・ しかし、いくつかのデータでは、医師の意思決定は、塞栓症リスクよりも出血に対するリスクを多く見積もられ、左右されることが示唆されている。

・ 高齢者においても出血を上回る塞栓予防効果が明確に示されているにもかかわらず、高齢者ではワーファリンが、一般的に使われにくい。

・ 高齢者における転倒のリスクはワーファリン開始の絶対的、相対的禁忌とはならないと結論づけられる

・ 医師は、新規抗凝固薬の利用も含め、各患者ごとにリスクとベネフィットの重み付けをした上で意思決定すべきである。
by dobashinaika | 2011-02-23 00:32 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

インフルエンザワクチンはワーファリンに影響がないことが示唆される

インフルエンザワクチンがワーファリンの効果に影響を与えるとの報告がこれまでいくつかなされています。ワーファリンの効き目を強くするとの論文もあれば弱めるとの報告もあり、これまで評価は一定しませんでした。これまでの論文は後ろ向き研究が多く、また症例の数も少なくエビデンスレベルとしては低いものが多かったからです。

by dobashinaika | 2010-05-01 23:51 | 抗凝固療法:全般


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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