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カテゴリ:抗凝固療法:ワーファリン( 69 )

ワーファリン管理の質と脳卒中などのアウトカムとの関係

引き続きアメリカ心臓協会学術集会の演題からです

Outcomes and Quality of Anticoagulant Control in Patients Newly Diagnosed with Non-valvular Atrial Fibrillation: Insights from the Worldwide GARFIELD Registry
Circulation.2012; 126: A18357


新規診断の非弁膜症性心房細動のPT-INRコントロールの質とアウトカム:GARFIELD 研究

P:2009年12月〜2011年10月までに、543施設から登録された脳卒中リスク因子1つ以上の非弁膜症性心房細動10609人

E:TTR (time within therapeutic range)60%以上

C:TTR 60%未満

O:脳卒中/TIA、急性冠症候群、出血、死亡

結果:
1)ビタミンK阻害薬使用6047人、INR記録3952人

2)TTR60%以上:1660人、42.0%

3)全INR記録55257回、平均追跡15.2ヶ月

4)TTR60%未満のほうが、各アウトカムとも良好

結論:この観察データは、INRコントロール表示が、副作用同定に有用であることを支持する。しかしワーファリンと新規抗凝固薬のポストホック比較の結果とは合致しない。

### 東海大学、後藤信哉先生の施設のデータも含まれています。TTR60%未満のひとは6割弱とのこと。ちょっと低い気もしますが、多施設、多国の登録なので、こんなものかという気もします。

アウトカムは、SPORTIF III/IV試験などと同様ですが、患者背景(CHADS2スコアなど)、統計的有意差など、アブストラクトだけなので不明です。

もうすこしTTR層別化を細かくしたらアウトカムはどうなのでしょうか?

より詳しいデータは以下を参照してください(無料登録必要)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/aha2012/201211/527677.html
by dobashinaika | 2012-11-14 23:48 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワーファリンの用量調節は意外に”簡単”:Circulation誌より

Circulation 11月6日号より

以前ご紹介したRE-LY試験のワーファリン用量調節のアルゴリズムについて、今週号のCirculation誌に論文化され、Editorialとともに全文がフリーで入手可能です。

Variation in Warfarin Dose Adjustment Practice Is Responsible for Differences in the Quality of Anticoagulation Control Between Centers and Countries
An Analysis of Patients Receiving Warfarin in the Randomized Evaluation of Long-Term Anticoagulation Therapy (RE-LY) Trial
Circulation.2012; 126: 2309-2316


Editorial:
Improving the Management of Warfarin May Be Easier Than We Think
Circulation.2012; 126: 2277-2279



前回のブログはこちらです。
http://dobashin.exblog.jp/16604429/

具体的なワーファリン用量調節アルゴリズムは以下のとおりです。
・ 目標INRは2.0~3.0(日本は2.0〜2.5)
・ モニター間隔最高4週間
・ 週ごとに用量調節
➢30mg/週と規定した場合は、5日間5mg+2日間2,5mg
➢10%増(33mg/週)→6日間5mg+1日2.5mg
・ INR2.0-3.0→変えない
・ 1.5未満→15%増
・ 1.51〜1.99→10%増
・ 3.01〜4.00→10%減
・ 4.00〜4.99→1日休薬後、10%減
・ 5.00〜8.99→治療域になるまで休薬。その後15%減
・ 2〜3を外れたら週ごとにモニタリング

こうしてアルゴリズムにより用量設定を行った結果以下のことが知見として得られたとのことです。
1)このようなアルゴリズムを遵守すればするほど、各施設間のTTRが一致し、ひいてはアウトカム改善につながる可能性がある。

2)標的INR(2.0〜3.0)から少し外れた場合は用量増減させない方策より、アルゴリズム通りに変更したほうがTTRが改善する

Editorialでも「ワーファリン管理の向上は思ったより簡単」として評価しています。

折しも、私が担当させていただいております、日経メディカルオンラインさんの連載第7回のタイトルが「ワルファリンの用量調節は意外に“機械的”」であり、我が意を得たりの感がしないわけでもありません。

そうなんですね。ワーファリン調節は機械的アルゴリズムの世界です。というより、他に方法がないのでそうするしかないと言ったほうがいいかもしれません。

ただしそのアルゴリズムの理論というか流儀が、標準化されていないので、各人各様のやり方があり経験知が乱立しているというのが現状かと思います。

このアルゴリズムと私の流儀(土橋メソドと勝手に名づけます・笑)はしかしながら、やや異なっております。
まず当アルゴリズムは、週単位の調節を要求します。こうすればなるほど、かなりTTRは向上するでしょうが、実臨床では細かすぎます。週のうち何日かだけ、違った用量にするのも煩雑です。
また、土橋メソドでは至適範囲(私の場合は1.6〜2.6)を外れなくても正常上限または加減になった場合から用量変更をかけていますが、当アルゴリズムでは1回外れたら変更するやり方です。
さらに、用量は当アルゴリズムでは前回投与量を元に10〜15%というレンジで増減しています。

こうみると当アルゴリズムは、土橋メソドに比べ、ある部分かなりきめ細かい調節法という印象をうけます。しかし、よく考えると、10〜15%の変更というのは、たとえば処方量として最も多いワーファリン2.5〜3mgにおいては0.25〜0.45mgくらいになります。当院では若干の逸脱の場合は0.25mgを頻用しますので、そういう意味では、投与量においてあまり大きな違いはないのかもしれません。

もちろん大きく逸脱した場合、導入の場合、どうするかの心得はまた別ですが、この「機械性」「アルゴリズム性」を数例で経験すれば、経験の少ない先生にもワーファリン恐れるに足らず、と思っていただけるのではないかと密かに思っています。

新規抗凝固薬の使いこなしには、まずはワーファリンの使いこなしから、そしてそれは、実はあまり難しくない。と言いたいのですが。。。反論を覚悟で^^
by dobashinaika | 2012-11-06 23:47 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

INRのコントロールパターンと心房細動の脳卒中/死亡リスク

Journal of Thrombosis and Haemostasis 10月22日オンライン版より

The patterns of anticoagulation control and the risk of stroke, bleeding and mortality in patients with non-valvular atrial fibrillation
doi: 10.1111/jth.12041


抗凝固コントロールのパターンと脳卒中、出血、死亡リスクの関係に関する検討

P:UK Clinical Practice Research Datalinkに登録されINRが記録されている40歳以上の非弁膜症性心房細動患者:平均73歳

E/C:TTR、INRのゆらぎのタイミングや程度による分類

O:脳卒中、出血、死亡率

結果:
1)死亡率;TTR100%群に比べ30%未満群は死亡率オッズ比3.76 (3.03-4.68)

2)INRコントロールパターンは6クラスターに分類された

3)最も不安定なINRパターンは死亡リスク(OR 10.7, 95% CI 8.27-13.85)、脳卒中リスク(OR 3.42, 95% CI 2.08-5.63)最大

4)連続するINRの差と全時間を通じての平均値からの変化は、TTRとは独立した死亡率の予測因子

結論:INRのクラスター解析はTTR以上の臨床アウトカムの予測能を示した。さらにワーファリン使用者が更に抗凝固薬を追加するかどうかの助けとなる。

### たしかにTTRは、INRの絶対値や、変動の頻度などを正しく反映していない懸念がありました。今回検討されたINRの2回連続での差や、平均からの乖離は、TTRとは別、または補完する意味合いがあるかと思われます。

TTRは計算が大変なのでもっと簡便で、しかも妥当性のある指標も欲しいと思います。

6つのクラスターがあるとのことで、全文入手してみます。
by dobashinaika | 2012-11-01 18:48 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワーファリン用量調節のアルゴリズムの妥当性に関するRE-LY試験サブ解析

Circulation オンライン版より

Variation in Warfarin Dose Adjustment Practice is Responsible for Differences in the Quality of Anticoagulation Control between Centers and Countries: An Analysis of Patients Receiving Warfarin in the RE-LY Trial
doi: 10.1161/ CIRCULATIONAHA.112.101808


ワーファリン用量調節とTTR (time in therapeutic INR range)、アウトカムとの関係についてのRE-LY試験サブ解析

P:RE-LY試験でワーファリンを割り付けられた群6022人;912医療施設、44カ国

E/C:ワーファリン用量調節のアルゴリズム(適正範囲内は変更なし、逸脱時週あたり10〜15%の用量変更)に合致した用量の処方割合

O:TTR、複合アウトカム(脳卒中、全身性塞栓、大出血)

結果:
1)アルゴリズム通りの用量設定と国別の平均TTRは相関あり

2)施設間のTTRの変動の87%、国別の変動の55%はアルゴリズムの一致の程度による

3)施設でのアルゴリズムの一致率が10%上昇すると、TTRは6.12%上昇することが予想され、複合アウトカムは8%減少することが予想される。

結論:単純なワーファリンアルゴリズムに対してのアドヒアランスは、故意か否かにかかわらず、TTRとアウトカム改善を予測する。アルゴリズムに基づいた用量調節システムは抗凝固療法の質を向上させ、地球規模での心房細動アウトカムを改善させる。

### 日本では各人、各専門家の経験則で決められるワーファリン用量ですが、機械的に行なってもアウトカムが良いということです。これまでワーファリン用量設定アルゴリズムの予後改善効果の証明はなされていないと思いましたが、今回RE-LYで示されています。至急原著論文に当ります。
by dobashinaika | 2012-10-16 23:51 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワーファリンの管理の質は単純なアルゴリズムによるものとコンピューター管理とで変わらない。

Thrombosis and Haemostasis 9月26日オンライン版より

Randomised comparison of a simple warfarin dosing algorithm versus a computerised anticoagulation management system for control of warfarin maintenance therapy
http://dx.doi.org/10.1160/TH12-06-0433


ワーファリン維持療法において、アルゴリズムによる投与量管理とコンピューターによる管理のRCT

P:抗凝固クリニックに通院するワーファリン服用者

E:コンピューターによるワーファリン用量管理システムで管理された患者541人

C:渋滞からの単純なアルゴリズムにより管理された患者527人

O:time in therapeutic INR range (TTR):目標INR2.0~3.0 、159日追跡

結果:
1)用量の推奨;コンピューター群91%、アルゴリズム群90%(p=0.03)
2)平均TTR:コンピュータ群71%、アルゴリズム群71.9%:非劣性p=0.002.
優性p=0.34

結論:INRの維持管理において、単純なアルゴリズムによるのとコンピューター管理とは同等

### 米国では、抗凝固療法専門のクリニックがあり、そこではコンピューターによるINR管理が行われています。一方、こまめに通院できない患者さんには、INR自己測定による自己ワーファリン管理も行われています。この場合、INRがどのくらいになったらワーファリンをどのくらい増減されるというアルゴリズムにのっとって患者さん自らが服用錠数を決定しているものと思われます。どちらの方法でもTTRは70%と良好にコントロールできるということが示されています。

こうしたツールと、プライマリケア医が経験に基づいて行う用量増減とでの比較も知りたいとことです。
by dobashinaika | 2012-10-01 22:28 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

消化管出血後にワーファリンをやめると塞栓、死亡リスクが大幅に増える

Archives of internal medicine 9月17日オンライン版より

Risk of Thromboembolism, Recurrent Hemorrhage, and Death After Warfarin Therapy Interruption for Gastrointestinal Tract Bleeding
doi:10.1001/archinternmed.2012.4261

ワーファリン服用下で消化管出血後、ワーファリン再開が、再出血や予後に与える影響に関する後ろ向きコホート研究

P:ワーファリン服用下で消化管出血のエピソードがあった442例。90mに置換追跡。平均年齢74歳。半数が心房細動、1/4が静脈血栓

E:ワーファリン再開:260例58.8%

C:ワーファリン非再開

O:血栓症、死亡、再出血

結果:
1)血栓症:再開群の非再開群に対するオッズ比=0.05(再開群0.4%vs. 非再開群5.5%

2)死亡:オッズ比0.31

3)消化管出血再発は有意差なし

結論:消化管出血後にワーファリンを再開しないと決定した場合、血栓症と死亡リスクは増加する。ワーファリン服用下の消化管出血例の多くにおいて、抗凝固薬の再開によるベネフィットはリスクを上回る。

### 再開群のほとんどが1週間以内で再開し、15〜90日以内の再開例が最も死亡率が低かったとのことです。日本の場合、例えば出血性胃潰瘍の場合、止血技術が非常に高いですので、早期に抗凝固療法を始めても米国よりも問題はないことが推察されます。とにかく非再開群の塞栓発症率は5.5%とかなり高く再開群の10倍位以上、死亡率も3倍というのは、安易にやめるべきではないことが身にしみるか数字です。
by dobashinaika | 2012-09-18 19:02 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワーファリンの管理に影響する未知の心理社会的因子

Stroke 8月11日オンライン版より

The Unrecognized Psychosocial Factors Contributing to Bleeding Risk in Warfarin Therapy
Stroke.
2011; 42: 2866-2871


ワーファリン療法の出血リスクに関与する未知の心理社会的因子に関するケースコントロール研究(@オーストラリア、2008〜2009年

Case:INR6以上を記録したことのあるワーファリン服用者

Control:INRが治療域で経過しているワーファリン服用者

結果:
1)486名にインタビュー(ケース157例、コントロール329例):平均年齢75歳。心房細動が主疾患

2)ケース群でのオッズ比:認知機能低下1.9倍、うつ気分2.2倍、不適切な健康リテラシー4倍

結論:この研究では認知機能低下、うつ気分、健康リテラシーの低下は、ワーファリン管理の不安定のリスク因子と同定された。高齢者ワーファリン服用者では定期的に心理社会的要因を振り返って評価すべきである。

### ケースコントロールであり、また各因子の評価方法が不明ですので、確たることは言えませんが、私の経験則とは合います。やはり認知機能低下やうつによる飲み忘れ、あるいは飲み過ぎのケースはしばしばい経験します。

こうした場合薬の一包化などの工夫に加え、家族の方の協力は必須です。

ワーファリンだとアドヒアランスはINRで知ることができますが、新規抗凝固薬だとこのような患者さんのアドヒアランスが低下しているか否かは、特に認知症の方では知りようもありません。

新規抗凝固薬も、ワーファリン同等あるいはそれ以上の家族の協力が不可欠と思われます。一人暮らしの人はどうするか。。。。難しい問題です。(しかもたくさんおられます)。
by dobashinaika | 2012-09-04 17:14 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

イヌ用のワーファリンというのがある

イヌ用ワーファリンというのがあるようです。
http://doggy.ocnk.net/product/66

ヒト用より高そうです。

体重により錠数が決められているのもヒトと違うところ

ワンちゃんにもCHADS2スコアを当てはめて良いのでしょうか?

これのませたらイヌに納豆は食べさせられませんね^^(イヌって納豆食べるのか?)

散歩させるにも注意が必要かもしれません。
by dobashinaika | 2012-08-19 23:08 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワーファリン服用患者が脳梗塞急性期にt-PA治療を受けた場合の頭蓋内リスク

JAMA6月27日号より

Risks of Intracranial Hemorrhage Among Patients With Acute Ischemic Stroke Receiving Warfarin and Treated With Intravenous Tissue Plasminogen Activator
JAMA. 2012;307(24):2600-2608. doi:10.1001/jama.2012.6756


ワーファリン服用患者が脳梗塞急性期にT-PA治療を受けた場合の頭蓋内リスク

P:アメリカ心臓協会のガイドライン―脳卒中登録データから得られた脳梗塞患者でINR1.7以下の23437人のうち、2009年~2011年に静脈内t-PA治療を受けた1203例

E:ワーファリン服用者

C:ワーファリン非服用者

O:症候性頭蓋内出血。二次エンドポイント:生命に危険のある全身性出血、あらゆるtPA合併症、あらゆる院内死亡

結果:
1)ワーファリン服用者:1802名7.7%:平均INR1.20,四分位範囲1.07-1.4

2)ワーファリン服用者:より高齢、より(はじめから)身体障害あり、より脳梗塞が重症

3)頭蓋内出血(補正なし):ワーファリン群で高い(5.7%vs.4.6%,P<0.001)

4)補正後頭蓋内出血に有意差なし:オッズ比1.01(0.82-1.25)

5)重症全身性出血:有意差なし

6)tPA合併症、院内死亡:有意差なし

7)ワーファリン群では、抗凝固の程度と頭蓋出血リスクには関連なし
a0119856_18205873.png


結論:脳梗塞患者において、ワーファリン服用者(INR1.7以下)におけるtPA使用は非服用者に比べて、頭蓋内出血を増加させない。

###アメリカ、および日本の脳卒中治療ガイドラインでもワーファリン服用者でもINR1.7未満ならt-PAは投与してよいことになっています。そのことを大規模試験で検証した研究ということになります。

INR1.7以下の緩いコントロールは、日本では結構多いと思われますし、脳梗塞を起こすような人は。INRが治療域を下回っていることが多数と思われますので、実際は多くの人にt-PAが投与されていて特に問題ないのだろうと思われます。いちおうただし海外のデータですの、このデータを日本の患者さんにそのままあてはめてよいかどうかは検討を要するかもしれません。

以前読んだ、ワーファリン投与が脳梗塞、脳出血例の予後に与える影響についてのブログはこちらです。
http://dobashin.exblog.jp/15188394/

追記:こうしたデータが新規抗凝固薬でも出てほしいと思います。新規抗凝固薬に頭蓋内出血が少ないことを考えると、より安全に使えそうな気がする半面、APTTをこういうときにも使ってよいのか、まだわからない点があるのも事実です。
by dobashinaika | 2012-07-04 18:21 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

心房細動例の脳梗塞、脳出血後のワーファリン投与が予後にどう影響を与えるか:Stroke誌より 

Stroke 4月26日付けEpub ahead of printより

Thirty-Day Mortality After Ischemic Stroke and Intracranial Hemorrhage in Patients WithAtrial Fibrillation On and Off Anticoagulants.

心房細動患者における脳梗塞および頭蓋内出血後の抗凝固薬使用の有無による30日間予後の比較

P:心房細動患者13559例のうち脳梗塞(1025例)及び頭蓋内出血(299例)発症例:米国の多医療施設での登録研究:6年間追跡

E:イベント後ワーファリン投与

C:ワーファリンなし

O:イベント後30日間の予後

結果:
1)Rankinスコア*:ワーファリン群<ワーファリンなし群

2)脳梗塞による死亡率:ワーファリン群のオッズ比0.64(0.45−0.91)

3)頭蓋内出血による死亡率:ワーファリン群のオッズ比1.62 (0.88-2.98)

4)INR (2-3)維持例は特に脳梗塞死亡率低い:オッズ比0.38 (0.20-0.70)

5)INR3を超えると頭蓋内出血リスクは2.66倍増加 (1.21-5.86)

*Rankinスコア;脳卒中の予後評価スコア:こちら参照

結論:ワーファリンは脳梗塞後30日以内の死亡率を減少させるが、頭蓋内出血による死亡は増加させる。心房細動における抗凝固療法の合理的意思決定においてはイベント発生率同様にイベントの重症度への影響をあわせて検討する必要あり。

### 「ワーファリンで脳梗塞死亡の相対危険が38%減少し、うまくINRをコントロールすれば62%まで減少する。一方頭蓋内出血は62%上昇する」という結果かと思います。
実際には梗塞例と出血例が混じったデータであり、出血例での死亡率を梗塞例の死亡率がどの程度かを知りたいところです。

一般的には出血後早期の抗凝固療法開始はためらわれますが、一方脳塞栓のリスクも高まるため、その開始時期は、出血部位や出血程度などそれこそテーラーメードに決まるものと思います。

大切なのはINRの適切なコントロール、ということが教訓メッセージです。新規抗凝固薬はこの点調節いらずですが、逆にその点で微妙なさじ加減が出来ず、急性期コントロールとしてどちらが良いかは臨床試験が必要かもしれません。実際はすぐ効くため新規抗凝固薬が多く用いられていると思います。
by dobashinaika | 2012-05-01 22:50 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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