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カテゴリ:抗凝固療法:ワーファリン( 69 )

名薬"温故知新”「ワルファリンまだまだいけますよ」

メディカル・トリビューン誌で「まだまだワルファリンいけますよ」と言わせていただいております。ご批判覚悟です(笑)。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1508/1508041.html
(要無料登録)

まあいろんな講演会(Web講演会も含めて)や雑誌で、いまさらワルファリンを大々的に取り上げる場などあまりないかもしれません。
そういう意味でも、自分で言うのもなんですが、メディカル・トリビューンさんの大英断だと思います。

たしかにNOACは良い薬です。各種RCTは非常に良い結果ですし、最近のリアル・ワールドデータもそれほどRCTとかけ離れたものは出ていないようです。なにより食事、他剤を気にすることなく、用量調節も必要なくお手軽です。

でもなあ、ワルファリンのあの職人気質というか、「そう簡単には使いこなせんよ」的な気難しさになんとも惹かれるんですね。
だいたい、毎回受診するごとに数値をモニターして、それを見ながら錠数を変えていく薬なんて内服薬で他にあるでしょうか?

そうした面倒臭さに、何年もいや何十年も付き合わされていると、もうその面倒臭さが体に染み付いて、離れられなくなっているのです。
そして、NOACのあのいかにもスマートで、「何の工夫もいらないです」的な都会臭さみたいなものが鼻持ちならないんです(笑)。

おもわず、NOACでも錠数を増やしたり、.5単位で減らしたりしたくなります。

さらに実際に使ってみての当院のデータですが、NOAC発売時TTRが安定していたためNOACに変えずにいた症例の血栓塞栓率および大出血率はともに年間0.2%と極めて低値でした(全103例、TTR75%)。
この値はNOAC(全169例)とほとんど変わりませんでした。そして皮下出血などの小出血はかえって少なめでした。

ワルファリンで痛い目にあう症例とは、1)INRが安定しない症例 2)血圧が落ち着かない例 です。1)はlow doseになりがちで塞栓症が増えますし、2)は頭蓋内出血のリスクを高めます。
こうした症例ではNOACがふさわしいと言えます。

そうではない、INRが大変安定していて、血圧が落ち着いている例ではワルファリンで十分だと思われます。
また本文でも述べましたように、小出血、消化器症状などが頻発し、結局ワルファリンに戻ってくる症例も経験します。

そして何よりコストです。ワルファリンは1錠9.6円です。非常に廉価なので製薬企業も全然宣伝しません。
いっぽうNOACは非弁膜症性心房細動適応の最も高い薬剤だと758円!です。これだけの差に見合うだけのエビデンス的優位があるのか?
まあ、薬剤の効果安全性とコストとは元来全然違うカテゴリーなので。このような比較は不可能かもしれませんが、そう言いたくもなるほど価格差がありすぎます。

もちろんNOACの頭蓋内出血減少効果は絶大ですし、出血しても重症例が少ないことはよく報告されています。また、ワルファリンは使いこなしが難しいし、それが故にアンダーユーズになっている世の中の現状があるのは事実かもしれません。でもね、うまく使いこなせれば効果安全性もまだまだ高い、しかも超安い薬がこの世の中に他に存在しているのであれば、やはり医師としてはそうした薬も使いこなせるようになっておきたいとものだと思うのです。

前にも言いましたように、「温故知新」ならぬ「温新知古」=新しいNOACを温ねることで改めて古きワルファリンの良さを知る、であり、oldies but goodiesというにふさわしい薬剤だと思います。

ちょっとワルファリン持ち上げ過ぎかなあ。でもたまにはそういうことを言う場があってもいいし、言う医者がいてもいいですよね。

なお、平成24年4月以降、開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません。

$$$ 早朝5:30、飛び立ったばかりか。
名薬\"温故知新”「ワルファリンまだまだいけますよ」_a0119856_0115935.jpg

by dobashinaika | 2015-08-12 00:22 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワルファリンはダビガトランよりも腎機能低下をもたらす:JACC誌

Changes in Renal Function in Patients With Atrial Fibrillation
An Analysis From the RE-LY Trial
Michael Böhm et al
J Am Coll Cardiol. 2015;65(23):2481-2493


目的:RE-LY試験で、ワルファリンあるいはダビガトランを投与した患者の長期の腎機能への影響を検討

方法:RE=LY試験参加者18113例中、ベースラインと少なくとも1回の追跡期間(30ヶ月まで)でGERを測定し得た16490例対象

結果:
1)GERは全群で低下

2)GFR低下度(平均追跡30ヶ月):ワーファリン群(–3.68 ± 0.24 ml/min)>ダビガトラン110群(–2.57 ± 0.24 ml/min; p = 0.0009 vs. warfarin) 、150群 (–2.46 ± 0.23 ml/min; p = 0.0002 vs. warfarin)

3)25%を超えるGFRの低下:ダビガトラン110群: ハザード比 0.81 95%CI0.69 to 0.96; p = 0.017、ダビガトラン150群: ハザード比 0.79 95%CI0.68 to 0.93; p = 0.0056

4)TTR低値(65%未満)、以前のワルファリン使用、糖尿病はGFR低下に寄与

結論;抗凝固薬服用者はGFR低下を認めるが、ワルファリンのほうがダビガトランより低下度は大きい。この度合いはワルファリンの既服用、糖尿病者でより顕著

### なるほど、これはあまりよく知りませんでした。機序としてはワルファリンによってVitamin K-Dependent Protein Matrix Gammacarboxyglutamic Acid (Gla/MGP)というタンパクが抑制され、これが動脈硬化、引いては腎機能低下の引き金になるようです。

30ヶ月で平均1ml/min程度の違いが臨床的にどれほど意味があるかはわかりません

$$$今日のかたつむり(笑)。これからこういう写真が増えそうです。
ワルファリンはダビガトランよりも腎機能低下をもたらす:JACC誌_a0119856_23194115.jpg

by dobashinaika | 2015-06-09 23:20 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワルファリン内服下で消化管出血を起こした後のワルファリンの再開は?:TH誌

hromboembolic events, recurrent bleeding and mortality after resuming anticoagulant following gastrointestinal bleedingA meta-analysis
C. Chai-Adisaksopha et al
Thrombosis and Haemostasis Ahead of Print:2015-05-28


目的:消化管出血既往者の再開後の血栓塞栓症、再出血、死亡率を検討

方法:
・上記該当患者対象の第III相試験のシステマティックレビュー

結果:
1)3試験該当

2)ワルファリン再開後血栓塞栓症(再開しない時に比べ):(ハザード比0.68,95%CI 0.52 to 0.88, p < 0.004, I²=82 %)

3)再消化管出血率(再開しない時に比べて):(ハザード比 1.20,95%CI0.97 to 1.48, p = 0.10, I² = 0 %)

4)死亡率:(ハザード比0.76,95%CI0.66 to 0.88, p < 0.001, I² = 87 %)

結論:このメタ解析からは、消化管出血後のワルファリンの再開は、明らかな消化管出血を増やすことなく、血栓塞栓症の減少、死亡率の減少に寄与する。

### 該当した3試験のうちのひとつは以前のブログで取り上げています。
http://dobashin.exblog.jp/16227361/

この論文でもそうですが、再開は大体1週間以内に行われているようです。
論文に記載はありませんが、消化管出血と一口に言っても、出血性潰瘍なら止血後PPIを開始(処方していない例の場合0、大腸ポリープなら切除術を行うというふうに、再出血防止策が概ね講じられると思われますので、再出血は少なくなるのだろうと思われます。

となると再開しない場合当然ながら塞栓症にノーガードとなるので、非常に危険ということになります。NOACで起こした場合は、例えば消化管出血が少ないとされる他のNOACまたはワルファリンへの変更後再開ということもあり得るかもしれません。

「ワルファリン内服下で消化管出血を起こし中断した後も、そのままやめてしまってはいけない」というのが原則ということですね。

$$$ 冬の間はまんじりともしない池の鯉もこの時期のびのびしています。
ワルファリン内服下で消化管出血を起こした後のワルファリンの再開は?:TH誌_a0119856_2371038.jpg

by dobashinaika | 2015-05-28 23:09 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

一時的にワルファリンの効きすぎを認めた患者の長期成績:TH誌

Long-term quality of VKA treatment and clinical outcome afterextreme overanticoagulation in 14,777 AF and VTE patients
Hilde A. M. Kooistra1 et al
Thromb Haemost 2015; 113: 881–890


P:ビタミンK阻害経口抗凝固薬 (VKA)服用患者(心房細動、深部静脈血栓症)
E:過剰抗凝固(EO) =INR8.0または予期せぬビタミンK補充を服用した患者
C:EOを生じない患者:1:2で背景マッチング
O:EO前後90日の出血、 VKA関連死、塞栓症、TTR
T:単一施設、前向きコホート


結果:
1)全14777例。EO例800例

2)EO前は高率に過剰抗凝固になっていた

3)EO群の半数はTTR65%未満

4)EO後は過凝固になるのが普通
EO後18.6〜13.2日の間、ITTRが低下(62%)、p<0.001

5)EO後はその他の時期より2.3倍TTRが65%未満になりやすい

6)この時期は出血リスクHR2.1 、VKA関連死HR17.0、血栓症HR5.7

結論:EO後にVKAを継続した患者は、対照に比べ、INRモニターを強化しても長期にわたりVKAの管理の質が落ちる。また出血リスク、血栓、死亡が増える

### 今日は時間がないのでブラウジングのみ

INRが8を超えるというのは、何らかの相互作用のある薬剤やサプリを飲む場合が一番多いと思われます。何の原因もなくINRが上昇する場合がありますが、通常4を超えることはめったに経験しません。

一旦8以上に上がると、一時休薬や場合によってはビタミンKを注射しますので、その後一定期間はかえってINRが下がる時期が到来します。その時の塞栓症リスクもありうるというのは、意外な感じですが、言われてみればなるほどです。

問題はこのようなことが1回でもあったひとを今後どうするかです。たいてい原因薬剤などの併用かと思いますので、そうした薬剤を控えればよいでしょうが、このような症例は相互作用を受けやすい、CYP系の遺伝子変異のある人が多いと思われます。

このようなひとはNOACにすべきかもしれません。私自身はあまりINRが8以上になる人の経験はないのですが。

$$$ 近くの神社の桜も満開になりました。
一時的にワルファリンの効きすぎを認めた患者の長期成績:TH誌_a0119856_22511259.jpg

この時期暖かいのか、散歩中突然にゃんこが道に飛び出してきたりして楽しいです。
一時的にワルファリンの効きすぎを認めた患者の長期成績:TH誌_a0119856_2251376.jpg

by dobashinaika | 2015-04-09 22:54 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワルファリンによる高出血リスク例の遺伝子型による同定:Lancet誌

Genetics and the clinical response to warfarin and edoxaban: findings from the randomised, double-blind ENGAGE AF-TIMI 48 trial
Jessica L Mega et al
Lancet Published Online: 10 March 2015


背景:ワルファリンで出血リスクの高い患者の遺伝子による同定を評価。続いてワルファリンよりNOACがより少ない出血率を得られるのかを評価

方法:
・ENGAGE-AF-TIMI48登録患者
・サブグループにおいてCYP2C9とVKORC1の遺伝子変異を解析
・遺伝子型をnormal, sensitive, highly sensitive の3カテゴリーに分類

結果:
1)遺伝子解析施行:14,383例:ワルファリン4833例

2)ワルファリンの遺伝子カテゴリー:normal=61.7%、sensitive=35.4%、highly sensitive=2.9%

3)開始90日以内の抗凝固過剰時間(INR4.0超):normal=1.7%, sensitive=2.5%, highly sensitive=6.6%

4)出血リスク(ハザード比、対normal): sensitive=1.31, 95% CI 1·05–1·64, p=0·0179; highly sensitive=2.66, 95% CI 1·05–1·64, p=0·0179

5)遺伝子型は臨床的スコアを超えた独立した情報

6)エドキサバン群はワルファリン群に比べてsensitive, highly sensitive両群でnormal群よりも出血が少ない

7)90日後のワルファリンに比べたエドキサバンの出血リスク減少は、遺伝子型によらず同じ

解釈:CYP2C9 と VKORC1遺伝子型はワルファリンにより早期出血の同定する。このベネフィットはワルファリンよりもエドキサバンでより大きい

### おさらいですが、CYP2CPはワルファリンが肝臓でS-7- ヒドロキシワルファリンへと代謝されるときに登場する遺伝子型、VKORC1はビタミンKエポキシドがビタミンKに変わるところを主に促進し、ワルファリンで阻害されます。CYP2C9が少ないとワルファリンが増え出血が多くなります。またVKORC1が少ないとビタミン依存性凝固因子が少なくなり出血が多くなります。
ワルファリンによる高出血リスク例の遺伝子型による同定:Lancet誌_a0119856_0115419.png

(拙著[プライマリ・ケア医のための心房細動入門]より)

ワルファリン感受性が高いVKORC1のサブタイプはアジア人に多いとされています。一方CYP2C9の遺伝子多型は日本人では少ないので投与量が欧米人より少なくてすむとも言われていますね。これらの遺伝子多型が前もってわかれば、ある症例ではワルファリンを避け迷わずNOACが使えることにつながるかもしれません。このことをRCT上の多数の臨床例で示した論文ということです。

一方、この論文のfundは開発した製薬会社ではありますが、たとえばワルファリンがより適した患者もわかるようになれば、やみくもにNOACということでなく、薬剤選択が大変適切になるように思います。

$$$ 本日、一瞬仙台も吹雪に見舞われたようになりました。まさに寒の戻り。
ワルファリンによる高出血リスク例の遺伝子型による同定:Lancet誌_a0119856_0123877.jpg

by dobashinaika | 2015-03-24 00:17 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワルファリン服用心房細動患者では腎機能が低いほど大出血(特に消化管出血)が多い:BMJ

The association between kidney function and major bleeding in older adults with atrial fibrillation starting warfarin treatment: population based observational study
Min Jun et al
BMJ 2015; 350 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h246 (Published 03 February 2015)


目的:高齢の心房細動患者がワルファリンを開始する際の腎機能別の大出血率を同定する

デザイン:コミュニティーベース、カナダ、Alberta州の登録データ

対象:12403人、66歳以上、2003年3月〜2010年3月までにワルファリンを開始し、腎機能測定をしてある心房細動患者。eGFRでカテゴライズ化。末期腎不全患者は除外

主要評価項目:出血による入院、救急搬送(頭蓋内、上部下部消化管他)

結果:
1)45%未満がeGFR60未満

2)大出血:1443例11.6%、平均2.1年追跡

3)低eGFRほど開始30日以内の出血が多い (p<0.001)

4)年間大出血率(補正後)eGFR15未満=63.4% (24.9-161.6) vs. eGFR90以上=6.1% (1.9-19.4)

5)eGFR値が低い時でも関連性はやや減衰するが同様の関連あり

6)全eGFRカテゴリーにおいて開始30日以内の補正後大出血は、残りの追跡期間時に比べ高い

7)大出血の大部分は消化管出血:eGFR15未満では、90以上の3.5倍

8)頭蓋内出血は腎機能と関連なし

結論:ワルファリン開始時、心房細動患者の大出血リスクは腎機能低下と関連あり。特に開始30日以内に集中。ワルファリン開始時には腎機能に応じた出血リスクへの配慮が必要。特に開始30日以内。

### 腎機能低下者ではワルファリンであっても要注意という知見は以前から様々な報告があります。

病院通院者のセッティングではやはり同様の結果のようです。
http://dobashin.exblog.jp/17265498/

一方、例えばこの報告での頭蓋内出血が明らかに増えるとのことですが、対象は末期腎不全患者でした。
http://dobashin.exblog.jp/19687454

今回の研究は一般住民コホートですが、出血は消化管出血で差がつくということのようです。
とはいえ、やはりワルファリンであっても、低腎機能では特に導入時で注意が必要ということかと思われます。
まだまだCCrで30前後の方などはNOACはこわいのでワルファリンを出していますし、それ以下でもやむなく処方しているケースは少なくありません。
INR低値に管理した場合の解析なども知りたいところです。

$$$ 今日の朝焼け
ワルファリン服用心房細動患者では腎機能が低いほど大出血(特に消化管出血)が多い:BMJ_a0119856_17562910.jpg

by dobashinaika | 2015-02-05 17:56 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワーファリンが効きすぎた場合,その前後はどうなるか:TH誌

Long-term quality of VKA treatment and clinical outcome after extreme overanticoagulation in 14,777 AF and VTE patients
H. A. M. Kooistra et al
Thrombosis and Haemostasis 12月8日


疑問:ビタミン系阻害薬(VKA)が効きすぎた(過剰抗凝固)場合の転帰はどうか

方法;
・オランダのCerte Thrombosis Service Groningenを受診した静脈塞栓血栓症と非弁膜症性心房細動患者15956例(2009−2012年)
・VKA開始3ヶ月間で過剰抗凝固がなかった患者対象
・INR8.0異常を極端な過剰抗凝固(EO)と定義
・EO有りとEO無しを1;2でマッチング

結果:
1)EO例:800例/14,777例

2)EO時期の90日前後;過剰抗凝固多く、半数の症例で不適切TTR(60%未満)あり

3)EO後の抗凝固不足はより頻回にある

4)INRの平均測定間隔が短くなるにもかかわらず(18.6日→13.2日)、EO後のTTR不適切は増加する(62%、p<0.001)

5)EO後:TTR65%未満は2.3倍、出血リスクは2.1倍、VKA関連死亡率は17.0倍、血栓症は5.7倍

結論:EO後のVKA治療は、モニタリン強化にもかかわらず長期的に管理不良となり、出血、塞栓、死亡が増加する

### 実数を見ると大出血は前が6例、語が2例で、消化管出血、皮下出血が多いようです。ま多少出血では皮下出血、鼻出血、血尿の順です。
800例中ですので、イベント実数自体は多数ではありません。

ただ出血よりその後の血栓症イベントが9例と増えています。ワーファリンを止めることの反動ですね。
過剰になる理由の記載がありませんが、誤服薬、薬剤相互作用などが考えられます。1度でもそうしたことを起こす例はその後も起こしやすいともいえます。

INR8以上になるのはかなり稀ではありますが、もしなった時は相当慎重な対応が必要と再認識しました。

### 当たりだと思って一瞬喜んでしまいました^^
ワーファリンが効きすぎた場合,その前後はどうなるか:TH誌_a0119856_18565581.jpg

by dobashinaika | 2015-01-06 18:58 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(2)

日本人の弁膜症性心房細動患者のワルファリン管理強度はどのくらいか?:CJ誌

Target Intensity of Anticoagulation With Warfarin in Japanese Patients With Valvular Atrial Fibrillation :– Subanalysis of the J-RHYTHM Registry –
Eitaro Kodani et al
Circulation Journal 12月10日


疑問:日本の弁膜症性心房細動のワーファリン強度はどのくらいか?

方法:
・J-RHYTHMレジストリー登録7816例中、弁膜症性心房細動(僧帽弁狭窄症、機械弁)410例
・イベント発生時または登録終了時のPT-INRを<1.6, 1.6–1.99, 2.0–2.59, 2.6–2.99, ≥3.0の5段階に分類
・平均2年間追跡

結果:
1)弁膜症性心房細動へのワルファリン投与率:99.3%

2)血栓塞栓症:12例2.9%、大出血15例3.7%

3)INR段階別血栓塞栓症発症率:10.3%, 1.6%, 0.6%, 3.0%, and 0.0% (P=0.003 for trend),

4)INR段階別大出血発症率:1.5%, 1.6%, 3.2%, 6.1%, and 21.1% (P<0.001 for trend)

結論:INR1.6~2.6が、日本の弁膜症性心房細動患者において、大出血を増やすことなく血栓塞栓症を防ぐのに適切かもしれない。2.66〜2.99も効果的だが大出血率がやや高い。

### 確認ですが、弁膜症性心房細動の平均INRは2.1±0.5、非弁膜症性では1.9±0.5でした。弁膜症性心房細動におけるINRの分布は、<1.6, 1.6–1.99, 2.0–2.59, 2.6–2.99, ≥3.0の5段階別に見みるとそれぞれ14.3%、32.7%、40.3%、7.6%、5.2%でした。

全体の50%弱で2.0未満、I.6~2.6の間に入る人が73.0%ということで、日本の医師は弁膜症性であっても、大体1.6〜2.6位を目指していることが伺われます。

INR2.6~2.99で突然血栓塞栓症率が3.0%に跳ね上がっていることが解せませんが、このINRはイベント発生時や登録終了時のものなので、とういるせいが取れていないからかもしれません。ただ論文ではTTRを測定した分析もなされていて、それでも同様の結果だったとの事のようです。

やはり、日本人が欧米人よりやや出血傾向の高いことなどが絡んでいるのでしょうか?
ともあれ、弁膜症性の場合これまでなら2.0くらいだと、やや増やそうかという感じなって、その次の月に2.8くらいになっていて、ちょっと出血が心配なんお言うことを繰り返したわけですが、だいたい2の前半で良いとなると、かなり精神的に楽になりますね。

なお日本人の非弁膜症性心房細動のINR強度はこちら

$$$ 今日は冬至。日の出が一番遅い日かというとそうでもないんだそうです。中学の理科の時先生が言っていたのを思い出しました。
日本人の弁膜症性心房細動患者のワルファリン管理強度はどのくらいか?:CJ誌_a0119856_22483560.jpg

住宅街のこうしたなにげない看板、なんとなくいいですね。
日本人の弁膜症性心房細動患者のワルファリン管理強度はどのくらいか?:CJ誌_a0119856_2249335.jpg

by dobashinaika | 2014-12-22 22:50 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は本当に抗凝固薬の出血リスクを増やすのか?:AIM誌

Relation of Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs to Serious Bleeding and Thromboembolism Risk in Patients With Atrial Fibrillation Receiving Antithrombotic Therapy:A Nationwide Cohort Study
Morten Lamberts et al
Ann Intern Med. 2014;161(10):690-698


疑問;NSAIDは抗凝固薬の出血リスクを本当に増加させるのか?

試験デザイン:観察コホート研究

セッティング:全国登録

患者;1997〜2011年に入院したデンマークの心房細動患者

評価項目;NSAIDと抗凝固薬使用下での重大な出血と血栓塞栓症の絶対リスク。Coxモデル仕様

結果:
1)心房細動患者150,900人(平均75歳、女性47%)、うちNSAID使用者53732人35.6%、平均追跡期間6.2年

2)重大な出血:11.4%、血栓塞栓症13.0%

3)3ヶ月の時点で、NSAID曝露14日以内の場合の重大な出血は1000人中3.5イベント;非NA|SAID例は1.5イベント

4)全体の絶対リスク減少(重大出血)は1.9/1000人

5)経口抗凝固薬服用者に限ると絶対リスク減少は2.5人/1000人

6)NSAIDによる出血及び血栓塞栓症増加は全ての抗凝固薬レジメンで同じ

7)推奨される最小限以上のNSAID量では、出血のハザード比は確実に上昇する

限界:観察研究デザイン、未測定の交絡因子

結論:NSAIDの使用は重大な出血と血栓塞栓症のリスク増加に関係あり。短期間のNSAID投与も出血リスクと関連あり、臨床医は心房細動患者におけるNSAID使用に注意を払うべき

### NSAIDがワーファリンの作用を増強することはよく知られていて、機序はCYP2C9で代謝されるNSAIDであれば酵素への競合が起こりワルファリンの血中濃度が増強することが言われていますね。消化管粘膜への作用や抗血小板抗血小版機能の変化はそれに拍車をかけるかもしれません。

そうした機序もあり、NSIADでINRが高くなることはよく経験するのですが、実際の出血がどのくらいなのかのこれだけ多くの対象でのエビデンスはありませんでした。

平均6年で10%はかなり多いと思われます。当院ではこれまでNSAID長期投与で10年間に2日、上部消化管出血の方がおられました。いずれも関節リウマチ等で他院整形外科からNSAIDが処方されていた方です。INRを注意深く低めにし、PPIを投与していても起きるときは起きました。

かぜ症状などで3日間ロキソニンを出すといった場合、大出血の経験はありませんが、PT-INRは2の後半から3台に上がることはよく経験しますね。近年はワルファリン患者さんに少なくとも鎮痛剤としてNSIADを使用することはほとんどしないようにはしています。(だいたいアセトアミノフェン)。

整形外科など、他科との連携も大事な問題だと思われます。

$$$以前紹介した大きな酒造会社の跡地の公園です。綺麗に色づきました。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は本当に抗凝固薬の出血リスクを増やすのか?:AIM誌_a0119856_2215882.jpg

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は本当に抗凝固薬の出血リスクを増やすのか?:AIM誌_a0119856_2243551.jpg

by dobashinaika | 2014-11-18 22:05 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

アミオダロンはワーファリン管理に影響するか(ARISTOTLE後付解析):JACC誌

J Am Coll Cardiol. 2014 Oct 14;64(15):1541-50. doi: 10.1016/j.jacc.2014.07.967.
Amiodarone, Anticoagulation, and Clinical Events in Patients With Atrial Fibrillation: Insights From the ARISTOTLE Trial.
Flaker G et al


疑問:アミオダロンは実際にワルファリンに影響をあたえるのか?

方法:
・ ARISTOTLE試験の後付解析
・割付にアミオダロン服用群と非服用群を比較
・非服用群はプロペンシティースコアで補正

結果:
1)アミオダロン内服:2051例11.4%

2)ワルファリン服用例のうちアミオダロン服用群のTTR:56.5% vs. 非服用群63%、p<0.0001

3)脳卒中/全身性塞栓症:アミオダロン群1.58%/年vs. 非服用群1.10%/年:HR1.47(1.03-
2.10), p=0.0322

4)全死亡率及び大出血:アミオダロン群で高い傾向だが有意差なし

5)アミオダロン服用群
・脳卒中/全身性塞栓症:アピキサバン群vs.ワルファリン群=1.24%/年 vs 1.85%/年:HR0.68 (0.40- 1.15)
・全死亡:アピキサバン群vs.ワルファリン群=4.15%/年 vs 5.65%/年:HR0.74 (0.55-0.98)
・大出血:アピキサバン群vs.ワルファリン群=1.86%/年 vs 3.06%/年:HR0.61 (0.39-0.96)

6) アミオダロン非服用群
・脳卒中/全身性塞栓症:アピキサバン群vs.ワルファリン群=1.29%/年 vs 1.57%/年:HR0.82 (0.68- 1.00)
・全死亡:アピキサバン群vs.ワルファリン群=3.43%/年 vs 3.63%/年:HR0.93 (0.83-1.05)
・大出血:アピキサバン群vs.ワルファリン群=2.18%/年 vs 3.03%/年:HR0.72 (0.62-0.84)

7)アピキサバンの治療効果へのアミオダロンの交互作用はない

結論:アミオダロン使用は脳卒中/全身性塞栓症増加およびTTR低下と明らかに関連あり。アピキサバンは脳卒中/全身性塞栓症、全死亡、大出血をアミダロンの有無にかかわらず減らした。

###アミオダロンは日本では一般臨床では殆ど使われていませんが、欧米ではリズムコントロールの第一選択としてかなり使われています。私も肥大型心筋症を中心に処方し、今は難治性心房細動でアブレーションが同意できない方に処方し、もちろん慎重使用が必要ですが、他の抗不整脈薬よりは格段に切れが良い印象があります。

アミオダロンはワルファリン代謝に必要な肝のCYP2C9を抑制しますので、理論的にはワルファリンの血中濃度を上昇させ、出血が多くなることが予想されます。

しかしこれまでAFFIRM試験などでもその傾向は顕著ではありませんでした。今回のアリストテレスではワーファリンにかなり影響を与えているようです。TTRが下がり、INR3以上の症例が増えたとのことです。

ただし出血が増えたのではなく、脳卒中/全身性塞栓症が増えたのが理論とはやや異なる点かもしれません。

アミオダロン群ではTTRは56.5%で、非服用群は63.0%であり、INR3以上が増えたとはいえ15%と12.8%ですので、むしろアミオダロンでINRが上下乱高下してしまい、結果としてINR低下も招いたりして有効性が落ちるのかもしれません。

しかしながら、この論文自体後付解析で、プロペンシティで補正しているとはいえ交絡因子はたくさん。そして利益相反も以下のとおりです。
This study was sponsored by Bristol-Myers Squibb and Pfizer.

アミオダロン使うときは、INRに特に細心の注意を、くらいに受け止めておきます。

今日のお散歩にゃんこ
黒猫で、毛並みがきれいです。
アミオダロンはワーファリン管理に影響するか(ARISTOTLE後付解析):JACC誌_a0119856_2140898.jpg

by dobashinaika | 2014-10-16 21:42 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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