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カテゴリ:循環器疾患その他( 55 )

ケアネット「多発する心房期外収縮は脳梗塞と関連あり」ほか,更新いたしました

ケアネット連載 〜Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~更新いたしました。

第46回 86歳、腎機能低下例がDOAC、アスピリン併用時に止まらない鼻血のため来院。さて、どうする?(2015/12/4)

第45回 多発する心房期外収縮は脳梗塞と関連あり(2015/11/30)

第44回 ワルファリンを適正に管理すれば85歳以上でも安全かつ有効(2015/11/13)
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今回はいずれも,より実臨床に則した内容です。
ご参照ください(要無料登録)。
by dobashinaika | 2015-12-06 23:16 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

SPRINT試験に関するまとめ

よく利用する医学系サイトDynaMedのメールマガジンDynaMed EBM Focusが、話題のSPRINT試験についてコメントを出しています。
よくまとまっているので,覚書きしておきます。

Intensive blood pressure management in hypertensive patients at increased cardiovascular risk
by the DynaMed Editorial Team


SPRINT試験:
A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control
The SPRINT Research Group
N Engl J Med 2015; 373:2103-2116


・いくつかのエビデンスにより血圧は低いほど心血管リスクが減少することが示唆されているものの,一般的には高血圧患者の目標血圧は140mmHg未満にすることが勧められている。
・この試験では,非糖尿病で心血管リスクの高い高血圧患者において目標収縮期血圧120未満が,140未満に比べて全死亡,心血管死,心不全リスクを減らすことが示された。
・また目標血圧120未満では,低血圧,失神,電解質異常,急性腎不全が増えた。


<これまでのエビデンス,推奨>
・各種ガイドライン(米国,英国,カナダ)では,140未満が一般に推奨されているが,年齢や心血管リスクが微妙に異なる
・従来のエビデンスでは強力な降圧薬使用により,血圧は低いほど心血管イベントは減ることが示唆されているが,その結果はそれぞれ異なっている

<SPRINT試験のPICO>
P:50歳以上のリスクを有する9361例(収縮期血圧130〜180)。除外基準;糖尿病,脳卒中の既往,多発性腎嚢胞,6ヶ月以内の著明な蛋白尿,6ヶ月以内の腎不全。左室駆出分画<35%
I:目標収縮期血圧<120
C:目標収縮期血圧<140
O:複合エンドポイント(心筋梗塞,急性冠症候群,脳卒中,急性非代償性心不全)

<結果>
1)ベースライン血圧140/78,平均降圧薬数1.8剤,平均3.26年追跡

2)最終平均血圧:厳格群121.5mmHg ,標準群134.6mmHg

3)使用降圧薬数:厳格群2.8 ,標準群1.8

4)年間イベント率(一次エンドポイント):厳格群1.65% ,標準群2.19%(p < 0.001, NNT 185/年)

5)ベースライン血圧別(≤ 132 mm Hg, 132-145 mm Hg, and ≥ 145 mm Hg)に見ても結果は同等

6)心血管イベント,心不全は厳格群で著明減少。他のアウトカムは不変

7)全死亡:厳格群1.03% ,標準群1.4%(1.03% vs. 1.4%, p = 0.003, NNT 270/年)

8)重篤な合併症は両群で同等

9)低血圧,失神,電解質異常,急性腎不全は厳格群で有意に多い

10)もともと慢性腎臓病のある患者では腎不全の発症率に違いなし

<SPRINT試験の解釈>
・この結果からは,現在140未満でよく管理されている例でも,より厳格に下げたほうが利益が多いことがうかがえる
・この試験では,標準群が既に135未満だった場合,治療を減らすようなプロトコールになっている
・たいていの臨床の場面では治療を減じることはなされない,それ故薬剤を減らされた群では,厳格群の利益がより増強されるようになっている
・今回の結果はACCORD BP試験 (N Engl J Med 2010 Apr 29;362(17):1575)とは対照的
・ACCORD BPとの違い
    1)ACCORD BPは2型糖尿病で高リスク例を含む(SPRINTは含まず)
    2)ACCORD BPでは標準群のイベント減少が予想以下だった。症例数不足の可能性あり
    3)SPRINTは早期打ち切りとなったため,長期間のフォローがない
・全体として120未満の厳格な血圧低下が,心血管イベントを減らし予後を改善
・有害事象が増える場合もあり,症例ごとにベストな管理を目指すべき

### SPRINT試験は,既にかなりのインパクトを持って発表されており今更感もありますが,自己学習のためにまとめました。
実際は心不全の減少が複合エンドポイントの中でも大きな割合のようです。

またこういう試験の特性上高齢者でもADLが良好な方が組み入れられていると思われますが,従来の日本の高齢者者対象試験とは違う結果であり,高齢者のサブグループ解析の結果(到達血圧など)が,詳細にされていないのももっと知りたいポイントです。


J-CLEAR・桑島巌先生コメントはこちら
http://j-clear.jp/teigen5.html

日本高血圧学会のコメント
http://www.jpnsh.jp/topics/475.html

JAMA Forumの論説
http://newsatjama.jama.com/2015/11/18/jama-forum-when-publicity-preempts-peer-review/

ESHの会長からのコメント
http://www.eshonline.org/spotlights/from-the-esh-president/

American Journal ofHypertensionの論説
http://ajh.oxfordjournals.org/content/early/2015/11/23/ajh.hpv190.extract?papetoc

$$$第4日曜恒例の勉強会で東京。羽生くんのポスターが目につきました。
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by dobashinaika | 2015-11-29 23:23 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

ケアネット連載:「救急外来での失神管理10か条」更新しました

ケアネット連載 〜Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~更新いたしました。

最近頻繁に更新されていますので,紹介が追いつきません。

第43回 救急外来での失神管理10か条:ACCまとめサイト(2015/11/4更新)

第42回 血液型O型はダビガトラン投与下でのaPTT延長と関連あり(2015/11/2更新)

第41回 週55時間以上労働は、脳卒中や冠動脈疾患リスクを高める(2015/10/28更新)

第40回 メンタルストレスによる心筋虚血は、運動誘発性心筋虚血よりも多く、女性、未婚男性、独居者でとくに多い(2015/10/16更新)

第39回 高齢者心房細動合併心筋梗塞後のトリプルテラピーはDAPTより大出血が多く効果は同じ(2015/10/07更新)
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ご参照ください(要無料登録)。
by dobashinaika | 2015-11-10 21:57 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

「非心臓手術時の心臓リスク」管理のための10のポイント:JACC誌レビュー

JACCの「非心臓手術時の心臓リスク」に関するレビューですが,それをまたまとめ10か条がACCのメルマガで配信されていますので紹介します。
Cardiac Risk of Noncardiac Surgery
Debabrata Mukherjee, MD, F.A.C.C

もと論文はこちら
Cardiac Risk of Noncardiac Surgery. J Am Coll Cardiol 2015;66:2140-2148.

<非心臓手術時の心臓リスクに関するレビューからの10のキーポイント>
1.周術期の大きな心イベントは1.4〜3.9%

2.多くの手術は待機的なので,このリスクを減らすための戦略を実施する機会(時間?)はある

3.上記イベントリスクのある患者を正確な同定することで,患者にリスクベネフィット比が伝えられ,限られた医療資源の配分,予防介入の効用,将来的なリサーチ分野などをガイドすることになる。

4.死亡や心筋梗塞のような主要心イベントの罹患率は,第一にベースラインリスクに規定される。ACC/AHAガイドラインでは,急性冠症候群と待機的非心臓手術の間はすくなくとも60日間は空けるように推奨している

5.現在のガイドラインでは中度〜重度の大動脈弁逆流については,観血的血行動態および心エコーによるモニターを行い,術後はICU治療が薦められる

6.いくつかの多変量リスクインデックスが有用:NSQIP, MICA, RCRI

7.予防的のためだけの冠動脈再建術は,心イベントリスクの減少のためには,手術によりリスクの高まる患者でさえ勧められない

8.ガイドラインは,以前から服用している患者のβブロッカー継続を勧めている(クラスI)。以前からの収縮期心不全,心筋梗塞,狭心症では大抵の場合恩恵をこうむる

9.抗凝固薬の利益は,ケースごとのその手術における出血リスクに基づく。出血リスク最小限〜ゼロの手術(白内障,小皮膚科的手技)においては,抗凝固薬の継続がリーゾナブル。人工弁及びさらなるリスク(心房細動,静脈血栓塞栓症の既往,左室機能低下,凝固能亢進状態)を有する患者では低分子ヘパリンによるブリッジングが適切かもしれない

10.米国のヘルスケアシステムが対費用効果をより良いゴールとしてみすえるには,もっと研究が必要。患者のアウトカムに標準を合わせた研究は必要

この元論文の肝の表です。参考になれば幸いです。
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$$$ 人のうちの庭を断りなく通過する近所の「うしにゃん」(模様がホルスタイン系なので^)
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by dobashinaika | 2015-11-06 22:06 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

心膜炎の診断と治療についての総説:JAMA誌

Evaluation and Treatment of PericarditisA Systematic Review
Massimo Imazio,et al
JAMA. 2015;314(14):1498-1506. doi:10.1001/jama.2015.1276


JAMAから心膜炎の診断と治療についての総説がでています。
表,Box criteriaについてまとめてみます。

<病因(表1)>
・特発性:15(アフリカ)〜80〜90%(欧米)
・炎症性:
ウィルス(コクサッキー,EB,サイトメガロ,HIV,パルボB19):多くは知られていないもの(30〜50%)
細菌:結核(1〜4%欧州〜70%アフリカ),膿性
その他
・非炎症性:
腫瘍:5〜9=35%
自己免疫性:2〜24%
その他

<診断基準(Box2)>
・急性心膜炎の診断基準:以下の2つ以上を有する
  1)胸痛:鋭い,胸膜性。座ったり前かがみで改善
   2)心膜摩擦音
  3)心電図変化:広範囲のST上昇またはPR下降
  4)新規,または増悪する心嚢液

・再発性心膜炎:以下の3つを全て有する
  1)上記診断基準による急性心膜炎の最初の発作が記録されている
  2)4〜6週以上の無症状期がある
  3)次のサインのうち1つ以上を合併した再発する痛みを伴う心膜炎所見あり:心膜摩擦音,心電図変化,心エコーで新規,または増悪する心嚢液,WBC増加,血沈,CRP上昇

<追加基準(急性再発性問わず)>
・炎症マーカー(例:CRP)上昇
・画像による心膜炎所見:造影MRIによる心膜浮腫,心膜強調

<治療(表2)>
・アスピリン/NSAIDs(エビデンスレベルB):アスピリン750〜1000mgx3,イブプロフェン600mgx3,インドメタシン25〜50mgx3,急性の場合1−2週,再発性の場合2〜4週,その後漸減
・コルヒチン:0.5mgx1(体重70kg以下)〜2,3ヶ月(急性),6ヶ月(再発性)
・ステロイド:プレドニゾロン0.2〜0.5mg,2〜4週
・アザチオプリン:1.5〜2.5mg/kg/d,数ヶ月
・免疫グロブリン静注:400〜500mg/kg/d ,5日間
・Anakinra皮下注:1−2mg/kg/d,上限100mg,数ヶ月

### 特に診断基準はおさらいになります。胸痛と心電図変化で診断をつけることが多いですが,心膜炎の胸痛はacuteもしくはsudden(突然)のこともままあります。心電図変化はaVR誘導以外のST上昇ですが,軽微のこともあり,時系列変化を見なければならないこともあります。

心筋炎を合併することもあり,強い痛みや心嚢液が多い場合は注意が必要と思われます。

$$$ 連休は毎年楽しみにしている調理製菓専門学校の学園祭に行きました。添加物を一切使わない,しかも学生さん制作なので非常にリーゾナブルな値段のすきやき丼。美味でした。学生さんの接遇教育も大変行き届いていて,感服しました。
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by dobashinaika | 2015-10-15 22:05 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

複数の合併症を持つ高齢者にガイドライン通り処方しても効果のある薬剤とは:BMJ誌

Association between guideline recommended drugs and death in older adults with multiple chronic conditions: population based cohort study
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h4984 (Published 02 October 2015)
Mary E Tinetti


目的:複数の慢性疾患を抱える高齢者において,ガイドラインで推奨されている薬剤と死亡率との関連を評価

デザイン;一般住民対象コホート研究

セッティング:米国の65歳以上対象のコホート

参加者:2種類以上の慢性疾患(心房細動,冠動脈疾患,慢性腎臓病,うつ,糖尿病,心不全,脂質異常症,高血圧,血栓塞栓症)を持つ8578人を2011年から追跡

介入:ベータ遮断薬,カルシウム拮抗薬,クロピドグレル,メトホルミン,RAS系阻害薬,SSRI,SNRI,スタチン,サイアザイド,ワルファリン

主要アウトカム:ガイドライン推奨薬の服用者の死亡ハザード比(対非服用者),主要4種の合併症あり

結果:
1)50%以上の参加者が合併疾患に関係なく各ガイドラインの推薬を服用していた

2)全死亡率15%(3年以内)

3)死亡率減少薬:β遮断薬;(ハザード比0.59=心房細動合併,0.68=心不全合併),カルシウム拮抗薬,RAS阻害薬,スタチン

4)上記薬のハザード比は主要4種疾患の合併例でも同等

5)死亡率変化なし:クロピドグレル,メトホルミン,SSRI,SNRI

6)ワルファリンは心房細動例(ハザード比0,65),血栓塞栓症例(0.44)の死亡率を減少

7)合併症の組み合わせによってはワルファリンの死亡リスク減少は低下

結論:心血管系薬の平均的な効果はそれらが関わったRCTの結果と合致していたが,合併疾患によってはいくつかの薬で異なる結果となった。合併疾患のある場合の薬剤効果を決定する因子は,複数合併例への実際の処方のガイドとなるかもしれない。

### 対象の平均年齢は77.4歳。80歳以上が36%。心房細動19%,冠動脈疾患39%,うつ26%,糖尿病40%,心不全20%,脂質異常症77%,高血圧92%,慢性腎臓病12%,血栓塞栓症5.5%でした。

この論文の結果で「死亡率減少」という意味は,β遮断薬を例に取ると,高血圧,脂質異常症,心房細動,冠動脈疾患,うつ,心不全などを単独で持っている例での予後改善効果はこれまでRCTでも認められていて,この研究でもそれが証明されていますが,上記疾患を4つ合併した場合(組み合わせ4種)でもやはり死亡率改善効果があるということです(組み合わせによっては統計学的に95%CIが1をまたぐものもあるが)。

クロピドグレル,SSRI/SNRI,サイアザイドは4種合併症例となると効果がなくなり,メトホルミンも惜しいですが,全て1をまたいでいます。

もちろん選択バイアスがあり一概に結論付けることはできません。しかし各種薬剤のそれぞれのRCTは上記疾患を4種以上も合併す平均77歳のひとなどあまり対象にはなっていないのです。かたや現実世界は80歳以上合併疾患7つ,8つなどザラなわけで,そういう症例への外的妥当性はかなり心もとないというか,エビデンスがないのが実情と思われます。

ですので,こうした研究は非常にありがたいです。高齢者に対するポリファーマシー時,中断か継続かを考える上でも参考になるかもしれません。

$$$ ここ,午前中はやっていないのでしょうか
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by dobashinaika | 2015-10-05 22:03 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

肺塞栓症診断のベストプラクティス6か条:ACPガイドライン委員会のアドバイス

Evaluation of Patients With Suspected Acute Pulmonary Embolism: Best Practice Advice From the Clinical Guidelines Committee of the American College of Physicians
Ali S. Raja et al
Ann Intern Med. Published online 29 September 2015


ACPから急性肺塞栓症疑いの患者の評価に関するベストプラクティスアドバイスがでています。

・肺塞栓症は症状,身体所見が非特異的で診断が難しい。そこで検査がたくさん行われるがCTやD-ダイマーはやり過ぎでありその弊害が出ている。
・過去のエビデンスやガイドラインを基にベストプラクティスと思われるアドバイス全ての臨床家向けに送る

というものです。

ベストプラクティスアドバイス
1)急性肺塞栓症が考えられる患者の検査前確率を確かにするため,妥当性のある予測ルールを使うべきである

2)全ての肺塞栓除外基準に合致した検査前確率の低い患者にDダイマーやCTを施行すべきではない

3)検査前確率が中等度または除外基準に合致しない低検査前確率患者において,最初の診断検査として高感度D-ダイマーを施行すべき

4)画像診断の意思決定のために,50歳以上には年齢に見合ったD-ダイマーの閾値を用いるべきである:年齢x10ng/mL(500以上とするよりも)

5)D-ダイマーが年齢補正閾値より低い患者にCTを施行すべきではない

6)検査前確率が高い患者にCT肺動脈アンジオ(CTPA)を施行すべきである。CTPAが禁忌または行えない患者に換気血流を行うべきである。高検査前確率の患者にD-ダイマーを測定してはならない

先日,Wellsスコアがプライマリケアの現場にも合致するという報告を読んだばかりでした。
http://dobashin.exblog.jp/21629919/

われわれ町医者としては1)の「妥当性のある予測ルール」が最も知りたいところですが,本文ではWellsスコア,Genevaスコアに加え,低リスクを見極めるための Pulmonary Embolism Rule-Out クライテリア(PERC)が勧められています。

<PERC>:全部当てはまれば検査前確率は1%未満
1)50歳未満
2)心拍数100未満
3)酸素飽和度94%未満95%以上(2016年1月6日訂正)
4)両側下腿浮腫なし
5)血痰なし
6)4週以内の手術/外傷なし
7)静脈血栓塞栓症の既往なし
8)エストロゲン使用無し

たしかにWellsスコアはより高リスクな人用のクライテリアという印象で,町医者が出会う症例ではこのPERCは使えそうです(ただこれでは不十分という報告もありますが)。

まとめのアルゴリズムはこれ。
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これ読んだら肺塞栓の診断が俄然自信?が湧いてきました。

$$$ デパートで売っていたスイカ。おいしいのか?
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by dobashinaika | 2015-10-01 22:00 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

日本心臓病学会で実地医家向けにStructured follow-upなどにつき講演しました

本日は横浜で行われた第63回日本心臓病学会で教育講演をさせていただきました。
日曜の早朝にもかかわらず,多くの方々にお集まりいただき感謝申し上げます。

横山内科循環器科医院の横山広行先生からご指名をいただき,実地医家からアカデミアに情報発信できるような内容をとのことでしたが,まだまだそこまでのインパクトはありませんが,最近当院で抗凝固薬の服薬アドヒアランス向上のために多職種かかわりあう,いわゆるstructured follow-upについて,当院で取り組んでいることを,ざっと触れさせていただきました。

以前にも書きましたように,特に高齢者においては

1)高齢者総合評価(CGA),特に認知機能と転倒リスクを把握:おもに看護師

2)患者教育(パンフなどを使用):医師

3)説明を聞いたあとの抗凝固薬に対する患者さんの解釈モデル(特に不安)についてよく聞く;主に看護師

4)毎回の外来でチェックシートを用いて以下の6項目を聴く:看護師
  1.飲み忘れはないか
  2.出血はないか
  3.手足の麻痺,しびれ,ろれつの周りにくさはないか
  4.消化器症状などはないか
  5.他院で抜歯,内視鏡,手術はないか
  6.他院から新しい薬が出ていないか

5)問題症例に関するカンファランス:全職種

という手順で,多職種で手厚く見守ることが患者ー医療者の良好な関係の構築を成立させ,ひいては服薬アドヒアランスの向上に至ると考えています。

まだ手探りの状態ですが,患者,ご家族,医療スタッフ,医師の全てに良い効果をもたらせるよう試行錯誤していきたいと思います。
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by dobashinaika | 2015-09-20 23:40 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

プライマリ・ケア医のための医学研究トップ20<心血管疾患編>:AFP誌

家庭医向け雑誌 American Family Physicianで2014年のプライマリーケア医のためのリサーチ研究トップ20が紹介されています。
いずれも開業医にとって知っておきたい知識ばかりですので,ここでまとめておきます。

Top 20 Research Studies of 2014 for Primary Care Physicians
MARK H. EBELL et al
Am Fam Physician. 2015 Sep 1;92(5):377-383.


最初はやはり心血管疾患から

1.ベースラインリスクは高血圧治療のアウトカムと関連があるのか?

・従来からのコンセプトの再確認

・高リスク患者ほど治療の利益が大きい

・1000人を5年治療すると,最低リスク層に比べてのリスク減少はリスクが多くなるに連れて,14→20→24→38人に減る

Blood pressure-lowering treatment based on cardiovascular risk: a meta-analysis of individual patient data.
Lancet. 2014;384(9943):591-598.


リスク層別化はBPLTTCのデータセットを用いた計算式で算定しているようです。年齢,性別,BMI,血圧,降圧薬,喫煙,糖尿病,心血管イベントの有無なども変数で5年間の心血管リスクを<11%, 11–15%, 15–21%, >21%の4分に層別化しています。血圧は平均で5.4/3.1mmHg程度減っています。

2.心房細動の患者において新しい抗凝固薬はワルファリンに比べて安全でより効果があるのか?

・このメタ解析では,短期的(2年間)効果はワルファリンよりわずかに良い

・しかし虚血性脳卒中予防効果はワルファリンに比べ明らかではなく,消化管出血は増やした。

・短期の追跡や出版バイアスまで考えると,新規薬がワルファリンに優るスラムダンクでは決してない

ワルファリン服用者はTTRの2/3しか費やしていないので,パフォーマンスを高める努力により,資源のより賢い活用につながるかもしれない

Comparison of the efficacyand safety of new oral anticoagulants with warfarin in patients with atrial fibrillation: a meta-analysis of randomised trials.
Lancet. 2014;383(9921):955-962.


この論文に関してのブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/19121121/

3.心房細動患者において,抗凝固薬にアスピリンを追加することはアウトカムを高めるのか,それともか悪くするか?

・多く患者が抗凝固薬もアスピリンが追加されているが,その40%はアスピリンの適応がないとされている(例えばアテローム硬化性疾患がない)

・併用療法は抗凝固薬単独使用より出血リスクを増やす(補正ハザード比1.5)

・この研究はRCTの支持がないにもかかわらず存続している(例外は機械弁患者)

・このケースは「少ない事こそいいこと」という事例であるが,どちらが良いかはRCTが必要

Use and associated risks of concomitant aspirin therapy with oral anticoagulation in patients with atrial fibrillation: insights from the Outcomes Registry for Better Informed Treatment of Atrial Fibrillation (ORBIT-AF) Registry.
Circulation. 2013;128(7):721-728.


漫然とアスピリンを出している患者さんはまだ結構おられますね。

4.急性静脈血栓塞栓症患者にとって,抗凝固薬にNSAIDまたはアスピリンを追加することは出血リスクを高めるのか?

・急性のDVT患者で抗凝固薬服用者にNSAIDまたはアスピリンを追加すると出血リスクが高まる

・リバーロキサバンで見られたが,エノキサパリン+VKAにも見られた

Bleeding risk of patients with acute venous thromboembolism taking nonsteroidal antiinflammatory drugs or aspirin.
JAMA Intern Med. 2014;174(6):947-95


DVTをきたすようなひとはアスピリンやNSAIDを服用していることが多いので,注意すべき点だと思われます。
NSAIDでは臨床上問題となる出血のハザード比が抗凝固薬単独と比べて1,77倍,大出血は2.37倍

5.スタチンにHDLコレステロールを増加する治療を追加すると心血管イベントや前脂肪は減るのか?

・「良いコレステロール」は「役に立つコレステロール」と同義ではない

・スタチンにHDLC低下療法を追加しても心血管イベントや全死亡は減らない

Effect on cardiovascular risk of high density lipoprotein targeted drug treatments niacin, fibrates, and CETP inhibitors: meta-analysis of randomised controlled trials including 117 411 patients
BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g4379


HDLC低下療法とは,ナイアシン,フィブラート,CETP阻害薬のことです。

### やはり家庭医から視線からのレビューが最もしっくりきますね。素晴らしい。

たとえば,NOACのメタ解析。循環器専門医の学会や研究会などに行くとこのメタ解析,NOACは安全でワルファリンに勝るとも劣らないとの主張に使われますが,家庭医目線では"the newer agents are by no means a slam dunk over warfarin”つまりNOACはワルファリンを打ち負かすスラムダンクとは決して言えない,とバッサリやられています。

私,来歴上循環器の学会にも家庭医系の学会にも出席したりSNSを利用したりしますが,両クラスターの温度差を常に感じております。循環器クラスターはもはやNOAC全盛となっていますね。ワルファリンいいよって声は,私と少数の同志の医師とからしか聞こえません。一方家庭医クラスターになると,NOACなんか全然使っていないという声をよく聞きます。そういう先生ほど,ワルファリンの使い方をよく知っておられる感じです。

「至適範囲の2/3しか使っていないんだから,もっとうまく使いこなせば医療資源をもっと賢く使うことになる」。ほんとそのとおり。NOACの普及も良いと思いますが,それと平行してワルファリンの良い使い方についてより広めていくこともまだまだ重要と思います。

$$$ 先日の定禅寺ストリートジャズフェスティバル。木漏れ日さす定禅寺通りです。昨年のジャズフェスでふと耳に止まった音楽が非常に良いリハになったことを思い出しました。
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by dobashinaika | 2015-09-14 22:33 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

肺塞栓症の診断にWells クライテリアはプライマリーケアにおいても有用:BMJ

Diagnostic prediction models for suspected pulmonary embolism: systematic review and independent external validation in primary care
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h4438 (Published 08 September 2015)

目的:肺塞栓症を除外診断する予測モデルがプライマリーケアセッテイングで容易に適応できるかの検証

デザイン:システマティックレビューおよびそれらのモデルのプライマリーケアへの適応度評価のための外的妥当性検討

セッテイング:オランダの300のジェネラリスト

参加者:プライマリーケアで肺塞栓症を疑われた598患者のデータセット

アウトカム:
・系統的文献サーチによる全モデルの鑑別能力(計算及びC統計量から)
・Dダイマーを含むカットオフ値による肺塞栓リスクの高低評価後,感度,特異度,的中度,failure rate(偽陰性/検査陰性)を測定

結果:
1)10個の肺塞栓診断モデルが見つかった

2)次の5つのモデルをプライマリ・ケアデータセットにおいて妥当性評価;Wells, modified Wells, Simplified Wells, revised Geneva, simplified revosed Geneva

3)妥当性;全モデルで同等=C統計量0.75〜0.80

4)感度:88%(simplified revosed Geneva)〜96%(Simplified Wells)

5)特異度:48%(revised Geneva)〜53%(implified revosed Geneva)

6)failure rateは差がある:1.2%(Simplified Wells)〜3.1%(revised Geneva):絶対差1.98%

7)予測モデルにかかわらず,3人の患者では低リスクとして誤って層別化され,専門病院紹介後のみに診断された

結論:5つの肺塞栓診断予測モデルはプライマリ・ケアでも妥当であった。効果は同等だったが,Wellsクライテリアが低誤診率という点で最も優れていた。

### プライマリーケアでの胸痛患者さんを診る上で大変重要と思いご紹介しました。

肺塞栓の診断予測スコアとしてはWellsスコアとGenevaスコアが有名ですが,いずれも救急部門の患者のデータに基づいたものです。診断はプライマリーケアレベルでくだされる場面も多いため,こうしたスコアがプライマリーケアでも適応できるかの検討は実はかなり我々の知りたいところかと思います。

研究方法としては,プライマリーケアにおいて肺塞栓の疑いありとされた患者の各モデルでのスコアを解析して最終的にDダイマー及び専門施設で診断し,各モデルの妥当性を統計学的に解析するというものです。

ちなみにWellsクライテリアは以下で,
1)DVTの症状・身体所見(3点)
2)肺塞栓以外の可能性低い(3点)
3)心拍数>100(1.5点)
4)3日以上の臥床または4週以内の手術歴(1.5点)
5)肺塞栓またはDVTの既往(1.5点)
6)喀血(1点)
7)悪性腫瘍(1点)


Simpledは7点以上で高確率,2〜6点で中等度,1点以下で低確率とする評価法で,Modifiedは5点以上で「らしい」4点以下で「らしくない」とする評価法です。

プライマリーケアレベルでもSimpled Wellsスコアで低リスクかつDダイマー陰性なら肺塞栓の疑い10人中4人は除外できることだそうで,一応押さえておきます。

ただし,Wellsの基準は「肺塞栓以外の可能性低い」とあるのがくせもので,これをどう診抜くかは医師の腕になります。心不全,急性冠症候群,その他の肺疾患,大動脈解離,,,これらが否定的であることで決まってくるということでやはり肺塞栓は除外診断の面が強いのですね。

プライマリーセッティングではDVTの症状や喀血を呈する例はなかなか無く,BMJで今回Wellsがいいと言われても,やっぱりWellsだけでは物足りない気もします。かといって他の心電図所見,SIQIIITIIIなどの感度は低いですので,クライテリアに上げるにはなかなかこれだという所見がない(特にプライマリーケアでは)ということで,やはり肺塞栓,特に低リスク例の診断は難しい,まずその疾患を思い浮かべるところから始めよということかと思います。

改めて言いますが,このように患者のアセスメントスコアの多くはERや入院患者セッテイングで作成された物が多いと思われます。CHADS2スコアからして入院患者ベースです。こうした救急ベースのスコアのプライマリーレベルへの「外的妥当性」を「評価する」という取り組み,非常にありがたいです。こういう研究をもっと読みたいなあ。
by dobashinaika | 2015-09-09 22:52 | 循環器疾患その他 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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