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カテゴリ:心房細動:診断( 51 )

心房細動のスクリーニングの効果と問題点(PROFIL-FA study):欧州心臓病学会より

昨日終わった欧州心臓病学会のニュースから興味深い発表です。

the French PROFIL-FA study
・600以上のGPにより65歳以上の患者4,592人をスクリーニング
・585人が専門医に紹介され、129人が心房細動と診断された
・脈の不整(検脈)と動悸、失神、息切れ、胸痛について問診

・オッズ比:
不整な脈拍:12.0、p<0.0001
脳卒中/TIAの既往または末梢塞栓症:2.0、p<0.07
上記症状のうち2つ以上:2.3、p<0.0008
・脈不整の感度75.2%、症状2つ以上の感度80%
・脈と症状の組み合わせでさらに75人の心房細動を診断
・”我々のデータは、心房細動の診断において脈を取ることの困難さを表している”

知られているように、ESCのガイドラインのはじめの方に「65以上の外来患者の脈をとれ」と推奨されています。
根拠としては、大きなものは以下で、GPで65歳以上の人の脈を取れば、大体1.4%くらいの人が新たに見つかると言われています。
http://dobashin.exblog.jp/17677394/
この発表では2.8%で多いですね。

この発表の最後の結論は、感度は75%で低いことを問題にしていると思います。
ただ単に脈を取るだけですので、その感度はあまり高くない=偽陰性が多い、つまり脈が正常でも発作性の人だとか、脈が飛んでいても心房細動と気づかないでしまうなどの見逃しはありうるということだと思われます。

脳卒中後の検脈ではプロが取れば感度はかなり高いことも言われていますが。
http://dobashin.exblog.jp/20042722/

わたしも確かに脈をとれとれと言っていますが、実際は見逃しも多数あることは頭の片隅に入れておいたほうがいいですね。問診も重要ということですね。
by dobashinaika | 2014-09-04 22:00 | 心房細動:診断 | Comments(0)

ケアネット連載:心房細動な日々~ダイジェスト版~:長時間モニターで心房細動がどのくらい見つかるか

ケアネット、「Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~ 」が更新されています。

今回は「長時間モニターすると原因不明の脳卒中の何割に心房細動がみつかるか?」というタイトルでNEJMで最近話題となったループレコーダーによる隠れ心房細動の診断について取り上げています。

ご笑覧ください。
http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0009.html
(無料登録が必要です)
ケアネット連載:心房細動な日々~ダイジェスト版~:長時間モニターで心房細動がどのくらい見つかるか_a0119856_23294557.png

by dobashinaika | 2014-07-31 23:32 | 心房細動:診断 | Comments(0)

脳卒中後の心房細動を見つけるのに脈を取ることが有用:Stroke誌

Neurology 10.1212/WNL.0000000000000690

Peripheral pulse measurement after ischemic strokeA feasibility study
Bernd Kallmünzer et al


方法:
・三次脳卒中センター患者を含む脳卒中後患者256名
・患者さん、及びその家族に脈拍の測り方と心房細動の脈の特徴を教育
・参加者の脈を医療のプロと患者とが同時に測り、心電図所見と比較

結果:
1)脈拍測定の感度:医療プロ96.5%、患者家族76.5%、患者自身54.1%

2)脈拍測定の特異度:医療プロ94.0%、患者家族92.9%、患者自身96.2%

3)患者自身の測定時:偽陽性率=6例、2.7%、陽性的中率76.9%、陰性的中率90.0%

結論:脳卒中後の心房細動患者の心電図診断に至るガイドとして、末梢の脈を取ることが簡便で有用であり、非侵襲的な第一選択のスクリーニングとして、低い偽陽性率をもって提示された。

このデータは前向き試験の存立根拠となりうるし、現に進行中であるエビデンスレベル:クラスI

###偽陽性が2.7%とはすばらしいです。感度が低いのは、心房細動なのに心房細動と診断されない事が多いことを示しますが、やはり脈が飛び飛びでも、意外と不規則性には気づきにくい場合が多いからだと思われます。逆に、脈が整であれば、それを心房細動と診断することは少ないということになります。おそらく心房期外収縮の連発などが偽陽性となるものと思います。

ペースメーカー患者さんに自脈を取ることをよく勧めますが、かなり脈が取りにくい人でも、ペースメーカーの状態を知ることの大切さがわかっているため、何回も脈を取ることで、習熟されてくることを実感します。同様に心房細動と診断することの重要性を、患者さんによくわかってもらうことがこのプロジェクトの鍵を握るのかと思います。

なかなかわかりにくい方がおられるのも事実ですが。。

関連論文
http://dobashin.exblog.jp/17677394/
by dobashinaika | 2014-07-28 20:04 | 心房細動:診断 | Comments(0)

長時間モニターすると原因不明の脳卒中の何割に心房細動がみつかるのか?:NEJM誌から2論文

NEJM 6月26日号

Atrial Fibrillation in Patients with Cryptogenic Stroke
David J. Gladstone et al
N Engl J Med 2014; 370:2467-2477


疑問:原因不明の脳卒中のうちどのくらいが心原性なのか?

P:55歳以上で心房細動がなく、過去6ヶ月以内の原因不明(ホルター心電図後も)の脳卒中/TIA患者

E:30日間のイベントレコーダー(介入群)

C:従来のホルター心電図(対照群)

O:一次エンドポイント:新たな心房細動の同定(30秒以上、登録90日以内)、二次エンドポイント:2.5分以上の心房細動と90日後における抗凝固療法

結果:
1)30秒以上の心房細動;介入群16.1%(45/280)vs. 対照群3.2%:絶対リスク差12.9%;P<0.001、NNS(number neeeded to screen)=8
2)2.5分以上の心房細動;介入群9.9%(28/280)vs. 対照群2.5%:絶対リスク差7.4%;P<0.001
3)90日までに抗凝固薬を処方された例;介入群18.6%(52/280)vs. 対照群11.1%:絶対リスク差7.5%;P=0.01
長時間モニターすると原因不明の脳卒中の何割に心房細動がみつかるのか?:NEJM誌から2論文_a0119856_1857174.png


結論;55歳以上の原因不明の脳卒中においては、発作性心房細動は普通。30日間の非侵襲的なホルター心電図は、通常の24時間ホルター心電図に比べ5倍の心房細動を同定死、抗凝固薬処方を2倍増やした。

### 今週号のNEJMは、昨日の当ブログに呼応するかのように心房細動の診断に関するペーパーが2題掲載されています。

まずはEMBRASE試験から
30日間イベント・モニターはBraemar社のER910AF Cardiac Event Monitorという1チャネルモニターを使用していますね。上半身2ヶ所に電極を装着して、RR間隔が不整の時をセンスして、遠隔転送されるシステムのようです。こちらを参照ください。
http://www.davismedical.com/Braemar-ER910-Cardiac-Event-Monitor---1-Channel634745048942864134

これを使うと、従来の24時間ホルターよりも5倍の16%の頻度で心房細動が見つかるとのことです。
この研究の臨床的意義は大変大きいです。なぜなら脳卒中語の抗血栓療法は通常なら抗血小板薬ですが、心原性脳梗塞であれば抗凝固薬でないと再発は防ぎきれないからです。ということで、特に心原性脳塞栓を疑わせるような、急発症で比較的大梗塞の場合は、何が何でも心房細動を同定したいところだと思います。

実際には、臨床的に心原性脳塞栓を疑わせれば心房細動の記録がなくても抗凝固薬が処方されるケースも多いと思いますが、しっかりと証拠があるに越したことはありません。

デバイスが簡便であれば、これから実用化されるものと期待されます。ただし正確な心房細動の持続時間までは検討していませんし、30分秒以上が1回でも記録されれば、試験はそこで終了と思われますので、そこはlimitationかと思われます。

もう一つのCRYSTAL AF試験の方は、メドトロニック社の植込み型モニターを皮膚の下に植えこんで記録するというものです。これは心房細動の記録はほぼ完璧かと思われます。これを12ヶ月植えこんで30秒以上の心房細動を同定するというものです。
http://www.medtronicdiagnostics.com/us/cardiac-monitors/Reveal-XT-ICM-Device/index.htm
長時間モニターすると原因不明の脳卒中の何割に心房細動がみつかるのか?:NEJM誌から2論文_a0119856_18581992.png


こちらは6ヶ月までで植え込み群は8.9%(対照群1.4%)、12ヶ月までで植込群12,4%(対照群2.0%)に心房細動が見つかっています。対象は40歳以上の90日以内に生じた原因不明の脳卒中/TIA症例です。

両試験とも対照群を置いたところが、これまで研究とは格段の信頼性があるわけですが、両者の発見率の違いが気になりますね。
Editorialでは、年齢の違いに由来するのではと言っています。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe1405046

ただし、侵襲性やコストの面から、実際には植込み型モニターは普及しないだろうと思います。
また、Editorialによれば、CRYSTAL AFの方で3年まで見た場合の同定率でも3割位とのことですから、原因不明の脳卒中は、体の中にモニターを植えこんでさえ多くの人で原因がわからないことになります。
もっと別なマーカーが必要のように思われます。

もうひとつ,この2論文を読んで再考が必要と思うのは、カテーテルアブレーション後のフォローアップです。実は24時間心電図だけでは全然甘いのではないかと思わせられます。

これまでの脳卒中後の心房細動同定に関するシステマチックレビューはこちら
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24385275?dopt=Abstract

無症候性心房細動のスクリーニングデバイスの総説はこちら
http://dobashin.exblog.jp/14712190/

植え込み型モニターの論文
http://dobashin.exblog.jp/14712190/
by dobashinaika | 2014-06-26 18:59 | 心房細動:診断 | Comments(0)

心房細動の早期発見っていいことなの?偶然見つかった心房細動の予後:T/H誌

Thrombosis and Haemostasis 6月18日オンライン

Adverse prognosis of incidentally detected ambulatory atrial fibrillationA cohort study
C. Martine et al


疑問: ホルターで偶然見つかった心房細動の予後と抗凝固薬への反応はどうか?

P:UK Clinical Practice Research Datalink登録患者(GP通院):3年追跡

E:ホルター心電図で偶然心房細動が見つかった5555例;平均70.9歳、女性38.4%

C:年齢、性別マッチの心房細動無し群24705例

O:脳卒中、全死亡、心筋梗塞、大出血、抗凝固薬の効果

結果:
1)AF群はCHA2DS-VAScスコア平均2.5点、73%以上が2点以上

2)脳卒中:AF群19.4(17.1−21.9)/1000人年 vs. 対照群8.4(7.7−9.1);p<0.001

3)死亡率:AF群40.1(36.8−43.6)/1000人年 vs. 対照群20.9(19.8−22.0);p<0.001

4)心筋梗塞:AF群9.0(7.5−10.8)/1000人年 vs. 対照群6.5(5.9−7.2);p<0.001

5)全アウトカムは年齢とともに増加

6)抗凝固薬±抗血小板薬服薬:51.0%

7)抗凝固薬±抗血小板薬内服のアウトカムに及ぼす影響(ハザード比)
脳卒中0,35、死亡0.56

8)抗血小板薬のみはアウトカムに影響せず。大出血が若干増加

結論:偶然見つかった無症候性心房細動は、明らかに脳卒中や死亡が多かった。抗凝固薬はそれらの抑制に効果があったが抗血小板薬はなし。
この研究は診断されていない心房細動のスクリーニングの費用対効果を正当化する

###除外基準として、心疾患の既往、抗不整脈薬、抗凝固薬の服用、入院中の記録、動悸などの症状のあるときの心電図などがあります。
本当に偶然発見された無症候性の心房細動が対象ということです。

というこで、大変インパクトのある研究ですね。無症候性心房細動のあるなしで、脳卒中、死亡率とも2倍くらい発現率が違っています。さらに抗凝固薬がそのリスクをかなり減らすというものです。

これまで早期発見が大切というデータは同雑誌からいくつか出ておりましが、対照群との比較でアウトカムまでしっかり追った研究は初めてです。

さて、「早期発見」はほんとうに良いことでしょうか?
がん検診については全てのがん検診が一般住民というpopulationにおいて死亡率を減らすわけではないことが示されていますね。がんを早期に発見して早期に手術などを行った場合、その後長期に渡る手術後生活までトータルに考えた場合、必ずしも予後を良くしないという理屈ですね。

心房細動はどうでしょうか?CHADS2スコアが例えば2点以上であれば、出血リスクは梗塞リスクを下回るから、それはできるだけ早く介入して抗凝固薬を飲んだほうがいい。がん検診とはちょっと違う。そういう気もします。本論文はそうした推測を裏付けるデータかもしれません。

ですが、、早期発見には別な問題が横たわります。無症候性の人にハイリスクな抗凝固薬を長期にわたって飲むことに合意形成が得られるかということです。特に若い方。65歳高血圧、ホルターでたまたま心房細動が見つかった。この人に抗凝固薬を出しますかということです。症状がなにもないのに、です。

出血リスクの重大性を聴いて尻込みをする人もいるかもしれません、そのストレスも過小評価できません。
そう考えると、がん検診と同じように、本来は前向きの無作為試験(無理なら前向きコホート)を行ってできるだけバイアスを振り払う必要があると思われます。

早期発見ということに関しては、あくまで慎重なんですねー。私の場合。
by dobashinaika | 2014-06-25 23:01 | 心房細動:診断 | Comments(0)

医師による心房細動の分類は正確ではない?:JACC誌

Clinical Classifications of Atrial Fibrillation Poorly Reflect its Temporal Persistence: Insights From 1195 Patients Continuously Monitored with Implantable Devices
Efstratios I. Charitos et al
J Am Coll Cardiol. 2014;():. doi:10.1016/j.jacc.2014.04.019


【疑問】医師の下す心房細動の分類は本当なのだろうか?

【方法】
・植えこみ型デバイス装着中の1195例(永続性除く):平均73歳、追跡349日
・アブレ−ション患者、除細動患者は除く
・心房細動累積時間、臨床家とデバイスの間の心房細動の分類の一致度を検討

【結果】
1)臨床的心房細動分類とデバイスよる心房細動の一時的な持続性心房細動との合致は見られず。
(Cohen's kappa:0.12[0.05-0.18]).

2) 高EF(オッズ比0.97)、冠動脈疾患(OR0.53)、は心房細動累積時間同様、持続性心房細動として分類される可能性が低いこととそれぞれ関連している。

【結論】現在の心房細動臨床分類と一時的持続性心房細動とは関連が少ない。患者の特性が分類に直接的な影響を与えた。同一カテゴリーに分類された患者は、もともと心房細動の一時的持続化という点で異質性を持っていた。さらなる研究必要

###今回の論文ですがアブストラクトの直訳だけでは何を言っているのかわかりませんね。

この論文は、医師が臨床的に「発作性」「持続性」「永続性」を分類したのと、ペースメーカー等のデバイスを使って心内心電図に基づいて分類したのとでは、相違があるということを言いたいのです。

医師は事前に、AHA分類に基づいて「発作性=7日以下持続」「持続性=7日以上を超える」「永続性=除細動不能」と診断し、デバイスでは「心房細動なし=AFが5分以上の日がない」「発作性=AFが5分以上の日が少なくとも1日はあり、持続は7日未満」「持続性=23時間以上の心房細動が7日を超える」「永続性=終日23時間超えまたは心房細動が95%超え)と分類します。

このようなクライテリアに基づき分析したところ、
医師の診断による「発作性」1092例→デバイス診断ではAFなし377例、発作性509例、持続性183例、永続性22例
医師の診断による「持続性」104例→デバイス診断ではAFなし22例、発作性34例、持続性34例、永続性14例
だったとのことです。

これは久々にめちゃ面白い論文ですねー。

まず事前に心房細動と診断されたのに1年近く心房細動がでないひとが1195人のうち399人もいる。また永続性はいなかったのに実際には36人もいた。そして、一時的な持続性、つまり7日以上続いていたのに発作性とされてしまうケースがなかなり多い。そういう「軽めに」診断されてしまう人ではEFが良くて冠動脈疾患のひとが多い、というわけです。

たとえば、ある日発作性心房細動と診断している患者さんに、今月何回発作があったかとは聴きますが、その具体的持続時間ははっきりしないことが多いし、また症状は必ずしも正確な持続時間を表さないため、「発作は7日以内で治まっている」と思っていた方が、実は7日以上続く心房細動を持っていることもあるということかと思います。

しかもそのバイアスに心機能や冠動脈疾患が影響しているというところまで分析していて、オモロイの一言です。

この論文はこれまでリズムコントロールやアブレーションの適応、データのまとめ方に一石を投じるかもしれません。
たとえば、日本循環器学会のガイドラインなどでも、薬理学的除細動や再発予防は「発作性」「持続性」で分けて書いてありますが、その分類自体、医者の臨床的な分け方では不正確かもしれないということになります。

また持続性心房細動のカテーテルアブレーションの成績が、最近発表されますが、この中には、実は発作性が混じっていたりするかもしれません。

ともあれ、全心房細動に1年間もループレコーダーを植えこむわけには行かず、まあ、問診と心電図から今後も分けていくほかはないし、分類とはそもそもこのような社会構成的な(?)ものだと割り切るしかないのかもしれません。
その最たるものがCHADS2スコアですね。

なお、FDAからダビガトランのリアル・ワールドデータがでていて、注目ではありますが、これは明日に。
by dobashinaika | 2014-05-14 23:12 | 心房細動:診断 | Comments(0)

iPhoneで心電図を記録することによる心房細動スクリーニングの有用性と費用対効果:T/H誌

Thrombosis and Haemostasis 4月1日付オンライン版より

Feasibility and cost effectiveness of stroke prevention through community screening for atrial fibrillation using iPhone ECG in pharmacies
The SEARCH-AF study
Nicole Lowres et al


【疑問】iPhoneによる心房細動スクリーニングの有用性と費用対効果はどうなのか?

【方法】
・オーストラリア・シドニーの10の登録薬局を受診した65歳以上のすべての患者(末期患者、重度認知症などは除外)
・脈を取る(30秒間) 、およびiPhoneによるI誘導のハンドヘルド心電図=iECG(30〜60秒)(AliveCor Heart Monitor)
・心房細動が記録されたら、GPに紹介
・本スクリーニングの費用対効果を算定
65歳以上の心房細動有病率4.4%、罹患率1.4%、デバイスの感度98.5%、特異度91.4%
スクリーニング1回のコストを$AUD20(20オーストラリアドル)、GP紹介から心電図施行までを$AUD252
ワルファリンによる治療とモニタリングを$AUD803.80/年で算定

【結果】
1)1000人登録:平均76歳、女性44%。全員CHA2DS-VAScスコア2点以上

2)心房細動罹患率(年間)6.7%。新たな心房細動発見は1.5%で全員CHA2DS-VAScスコア2点以上

3)iECGによる感度は98.5%、特異度は91.4%

4)ワルファリンのアドヒアランスを55%にした場合増分対費用効果比は1QUALYあたり$AUD5988(約57万円)。脳卒中1人予防あたり$AUD30481(約293万円)

5)感度分析ではアドヒアランスが増すに連れて費用対効果も向上する

【結論】薬局におけるiECGを用いた心房細動スクリーニングは適切であり費用対効果が良い。新たに見つかった心房細動の血栓塞栓リスクは高く大きいため、地域での心房細動スクリーニングのベネフィットが強調される。地域iECF心房細動スクリーニングのガイドライン推奨を考えるべきである。

### ついにここまで来ましたね。以前心房細動診断は、ハイリスクストラテジーからポピュレーションストラテジーに変わるだろうと言っていたのですが、もはや現実は先を行っています。デバイスの概要は以前紹介しました。
http://dobashin.exblog.jp/17451920/
iPhoneで心電図を記録することによる心房細動スクリーニングの有用性と費用対効果:T/H誌_a0119856_2001077.jpg


薬局で薬剤師の先生により、脈をとってiPhoneを使えば、年間1,5%の人に心房細動があらたに見つかる。そして1人の脳卒中を予防するのに293万円(豪ドル=96円で計算)の費用が見込まれる、と書くとかなり良さそうな戦略に見えます。

日本では薬剤師さんの権限はここまでありませんが、オーストラリアは医師の診察なしでも、処方箋が出せて患者さんは薬局にそれを持っていけば薬が手に入るようになっているのでしょうか。日本では医師が診察時に脈を取れば良い話かもしれません。

iPhoneアプリによる心房細動診断ですが、実はもう日本ではもっと簡単なデバイスが開発されています。
https://itunes.apple.com/jp/app/hatorizumu-nao-geng-saino/id772332884?mt=8

こちらは指にカメラ・レンズを当てるだけで脈拍がグラフ化されるという、ある意味画期的かもしれません。
日本の若手医師による開発ですが、感度特異度を知りたいところです。
iPhoneで心電図を記録することによる心房細動スクリーニングの有用性と費用対効果:T/H誌_a0119856_2011866.jpg

by dobashinaika | 2014-04-01 20:01 | 心房細動:診断 | Comments(0)

植え込み型デバイスによる”隠れ心房細動”の同定2題:Circ誌、EHJ誌

植込み型デバイスによるsubclinical AFいわゆる隠れ心房細動に関する報告が2つ上がっています。
簡単にまとめます。

一つは3月14日付けCirculationオンライン版

Temporal Relationship between Subclinical Atrial Fibrillation and Embolic EventsMichela Brambatti et al
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.007825


・以前もNEJMで報告があったASSERT研究から
・65歳以上の2580人(ペースメーカー、ICD);高血圧あり。心房細動既往なし
・6分超の心房細動記録例と脳卒中/全身性塞栓症は関連あり
・脳卒中/全身性塞栓症症例51例のうち26例51%が潜在性(無症候性)心房細動
・18例35%は脳卒中/全身性塞栓症前に潜在性心房細動を記録
・4例8%はイベント前30日以内に記録されていた
・4例は脳卒中発症時に記録された
・イベント30日以上前に記録された無症候性心房細動14例において、最近の心房細動エピソードは平均339日前
・8例16%では脳卒中後にのみ記録:イベント前平均228日間モニターにもかかわらず

【結論】
潜在性心房細動と脳卒中/全身性塞栓症は相関するが、イベント前1ヶ月以内の心房細動は非常に少ない

もう一つはEuropean Heart Journal 2月21日号より

Device-detected atrial fibrillation and risk for stroke: an analysis of >10 000 patients from the SOS AF project (Stroke preventiOn Strategies based on Atrial Fibrillation information from implanted devices)
Giuseppe Boriani et al
Eur Heart J (2014) 35 (8): 508-516.doi: 10.1093/eurheartj/eht491


・5つの研究のメタ解析
・3ヶ月以上追跡できたペースメーカーまたはICD例。慢性心房細動は除く
・10,016例。平均70歳、平均24ヶ月追跡
・少なくとも1日以上5分以上〜最大6ヶ月(中間4分位1.3−1.4)における心房細動検出率:10,016例43%
・心房細動累積時間は虚血性脳卒中の予測因子
・心房細動累積時間の閾値を検討すると、虚血性脳卒中のハザード比は1時間で最大:HR2.11(1.22-3.64) ,p=0.008

【結論】
デバイスで同定される心房細動累積時間と虚血性脳卒中リスクは相関。抗凝固療法意思決定の参考になる。

###いずれも興味深いですね。ASSERTのほうでは、イベント発症前に心房細動が出現するのは8%の症例にしかすぎないとのことですね。あとは、1年位前に記録されている例が多いとのことで、心原性脳塞栓を予測することの困難さを改めて知る思いです。
以前の同研究についてのブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/pg/blog_view.asp?srl=14403465&nid=dobashin

メタ解析では、心房細動累積1時間を超えてくると塞栓症を起こしやすくなるということで、従来考えられているより抗凝固療法は早めに行うべきかもしれません。NOACはその点有利かも。
またデバイス植え込み例というバイアスはあるにしても、43%の症例で心房細動が記録されるというのも”隠れ心房細動”の多さを感じさせます。

今週末は日本循環器学会があり、発表の予定もあるので、ブログはあっさりいきます。
by dobashinaika | 2014-03-18 20:11 | 心房細動:診断 | Comments(0)

3月9日は脈の日:「心房細動週間」が提唱されました

3月4日、日本脳卒中協会と日本不整脈学会は3月9日を「脈の日」、3(みゃ) 月9(く)日、とし、3月9日から1周間を「心房細動週間」として、心房細動に関する市民啓発活動を実施することに決定したとのことです。

http://jsa-web.org/pulse/index.html
http://jhrs.or.jp/pdf/com_general201403_01.pdf

どのような啓発活動になるのか、注目したいと思います。
なかなか自分で脈を取ることはなれないと難しいですね。

なおこのことが発表された3月4日は、2004年に長嶋茂雄さんが脳梗塞を発症した日ですね。
奇しくもです。

私は「ありがとうの日」を思い浮かべしまいました。
by dobashinaika | 2014-03-05 22:12 | 心房細動:診断 | Comments(0)

脳卒中発症直後のホルター心電図で”隠れ心房細動”が4.4%に見つかる:Stroke誌

Stroke 10月15日オンライン版より

Improved Detection of Silent Atrial Fibrillation Using 72-Hour Holter ECG in Patients With Ischemic StrokeA Prospective Multicenter Cohort Studydoi: 10.1161/STROKEAHA.113.001884

【疑問】 心房細動が記録されていない脳卒中患者のうち、どのくらいの人が心房細動を持っているのか(隠れ心房細動)?

【方法】
・多施設前向きコホート研究
・脳卒中または一過性脳虚血発作後の生存者で、心房細動が記録されていない症例。
・入院直後72時間ホルター心電図。ドイツの二次医療施設9施設。2010年3月〜2011年1月まで登録


【結果】
1)1135人登録:平均67際、45%女性、29%TIA

2)”隠れ心房細動”は49例4.3%(3.4〜5.2%)に認められた

3)はじめの24時間で見つかったのは29例2.6%。他の20例は72時間記録で初めて見つかった

4)NNS (Number Needed to screen):55(35〜123)人=何人検査すると1人心房細動がみつかるか

5)”隠れ心房細動”は比較的高齢で脳卒中の既往例が多い

6)本研究の比率はTOAST試験と同様

【結果】脳卒中/TIA後症例では、72時間心電図モニターは実行可能であり、隠れ発作性心房細動の診断率を向上させる。


### 4月のT/H誌に、一般外来で脈をとるだけでも1%の診断率が1.4%にアップするとの論文を紹介しました。
http://dobashin.exblog.jp/17677394/

今回、さすがに脳卒中直後で、しかも72時間ホルターをやれば4.3%の人に心房細動が見つかるとのことです。

全例心原性脳塞栓ではないと思われますが、この数字、もっとホルターの施行時間を増やせば、当然多くなるものと思われます。

ただ、発症直後は、再発も大きことも考えられますので、最初の72時間くらいがやはり良いのかもしれません。

特に夜間発症例でみつかりやすいというデータも有りますね
http://stroke.ahajournals.org/content/early/2013/10/15/STROKEAHA.113.001884.abstract.html?papetoc


”隠れ心房細動”探しの旅は、今後ますます盛況になるものと思われます。
by dobashinaika | 2013-10-17 17:56 | 心房細動:診断 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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