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カテゴリ:心房細動:疫学・リスク因子( 258 )

心房細動低リスクの人において抗凝固薬内服は認知症リスクを低下させる;登録研究:EHJ誌から


P:スウェーデンの国民登録研究。2006−2014年に心房細動と登録された患者,CHA2DS2-VAScスコア>1,女性とカウントされない人,以前に認知症または頭蓋内出血の診断を受けている人を除く

E:抗凝固薬 (OAC)使用あり

C:なし

O:認知症の発症

T:後ろ向きコホート

結果:
1)除外後対象患者数91,254例,OAC使用43%

2)OAC使用は補正後の認知症発症リスクを低下させた (HR, 0.62 95% CI, 0.48-081)

3)認知症リスク低下のベネフィトははCHA2DS2-VAScスコア1点(若年者)で見られた

4)OACと虚血性脳卒中や頭蓋内出血とは関係なし

5)OAC使用は複合エンドポイント(認知症,虚血性脳卒中,頭蓋内出血)を低下 (HR, 0.8-8; 95% CI, 0.77-1.00)

6)複合エンドポイントは65歳以上ではOACの利益は少ない。

7)複合エンドポイントはVKAとOACで有意差なし

結論:OACを服用する低リスク心房細動患者の認知症リスクは,非服用者に比べて低い。

### 抗凝固薬が認知症予防に関連ありという趣旨の論文が増えてきましたが,本論文はCHA2DS2-VAScスコア2点未満という,本来抗凝固薬の適応でない人を対象としていることが注目されます。

従来の報告だと,高リスクの人も含まれるため,認知症リスクの高い(と医師が感じた)人がOACを服用する可能性もあるわけで,65歳前からの内服だとその選択バイアスは低くなります。

とはいえRCTではありませんので因果関係を言うのは慎みたいです。しかし認知症のRCTは困難ではありますね。

心房細動と認知症の総説はこちら

広瀬川河畔にたたずむ
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by dobashinaika | 2019-05-31 07:23 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

炭水化物制限と心房細動発症は関連あり:ACC報告より


目的:低炭水化物と心房細動の関係

方法:
・ARICスタディ(NIH監修)。約14000例の22年に渡る追跡中,約1900例の心房細動新規発症
・66項目の食品に付きアンケート
・炭水化物摂取率(総カコリー摂取量にしめる割合)を44.8%未満,44.8-52.4%,52.4&以上の3群に分ける

結果:
1)低炭水化物摂取群は,中間群にくらべ心房細動発症率が18%増
2)高摂取群に比べ16%増

結論:低炭水化物は心房細動新規発症に関連した。

### たまにの出没ですみません。
近々行われるACCの先取り紹介です。
炭水化物制限で心房細動が増える理由として,1)炭水化物制限に伴い野菜や果物,穀物などの抗酸化物質の摂取も少なくなる。2)脂肪,タンパク質摂取が相対的に増える,などが挙げられています。

因果関係はもちろん論じられませんが,やはり炭水化物の過度な制限はよろしくないようですね。

$$$ 遅れましたがひな祭りでスイーツしました報告です。
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by dobashinaika | 2019-03-12 23:10 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

心房細動が新たに見つかった人は,心血管死のリスクが相対的に高い:GARFIELD-AFレジストリ


疑問:心房細動診断後12ヶ月における早期のイベントリスクはなにか?

方法:
・GARFIEFLD-AFレジストリーの解析
・心房細動の診断後最初の12ヶ月における死亡,脳卒中/全身性塞栓症,大出血のリスクを分析
・52014人,前向き解析,2010−2016年

結果:
1)死亡:2140人(4.3/100人年)。うち13.5%(6.8/100人年)は最初の1ヶ月

2)脳卒中/全身性塞栓症:1.3%。2.3%は最初の1ヶ月

3)大出血:0,8%。1.5%は最初の1ヶ月

4)最初の死亡率上昇に最も寄与しているのは心血管死:

5)早期死亡原因;心不全,突然/目撃者のない死亡,急性冠症候群,感染/敗血症,呼吸不全

6)年齢,心不全,以前の脳卒中,肝硬変の既往,血管疾患,中〜高度の腎臓病,糖尿病,北米やラテンアメリカ在住は早期死亡の高リスク

7)ヨーロッパ,アジア在住は低リスクの指標

結論:新規に診断された心房細動においては,診断後の早期死亡,特に心血管死のリスクが高い。これに対しては包括的ケアが重要であり,臨床家は早期死亡の警告サインを見逃してはならない

### 心房細動と診断されてから1年以内に亡くなる人は4.3%で,そのうちの多くが心不全や突然死,急性冠症候群とのことです。結構多いですね。

心房細動のある方に心不全が新たに合併すると予後が悪くなることは,よく知られています。

心房細動が見つかったら,最低限心機能のチェック,冠危険因子のチェックをして,その後も早期サインを見逃さない。そうしたいものです。

$$$ 今日のニャンコ
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by dobashinaika | 2018-12-13 07:12 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

心房細動の登録研究において評価すべき20の項目:Heart Rhythm誌

米国のHeart Rhythm Societyから,心房細動の登録研究で評価すべき項目とその定義に関して研究(提案)がなされています。

Harmonized Outcome Measures for Use in Atrial Fibrillation Patient Registries and Clinical Practice: Endorsed by the Heart Rhythm Society Board of Trustees.Heart Rhythm. 2018 Nov 15. pii: S1547-5271(18)30948-2. doi: 10.1016/j.hrthm.2018.09.021.


米国のthe Agency for Healthcare Research and Quality (AHRQ:米国保健福祉省)とFDA,国立医療図書館のコラボにより作成されたThe Outcome Measures Framework (OMF)に基づいて,生存,臨床応答,イベント,患者報告アウトカム,資源活用の5カテゴリーごとに 評価すべきアウトカムが抽出されました。

20の研究が対象となり,スポンサーが承諾した13研究について解析されました。

解析対象の登録研究は以下です。これまでの代表的なレジストリーが並んでいます。
AFCare
TARGET
Get With The Guidelines—Afib
GARFIELD-AF
GLORIA-AF
LAAO Registry
CDRN Cohort
PINNACLE
GOLD AF
EWOLUTION
TREAT-AF
Reveal LINQ

最小限の評価項目は以下です。
1. 生存
1)全死亡
2)心血管死:突然死,心筋梗塞,不安定狭心症,他の冠動脈疾患,血管死(脳卒中,動脈塞栓,肺塞栓,大動脈瘤破裂,大動脈解離),心不全,不整脈
3)手技関連死:手技30日以内のすべての死亡または手技に引き続いての入院中の死亡。手技による合併症やその治療によるものを含む

2.臨床応答
1)再発:カテーテルアブレーションや薬物療法中に30秒以上持続した心房細動/粗動/頻拍。アブレーション後3ヶ月以内のブランキングピリオド内の発生はアブレーション不成功とは考えない
2)進行:発作性(7日以内)から持続性への進展
3)血栓塞栓症(持続性):脳卒中,TIA,全身性塞栓症

3.重要なイベント
1)脳卒中
2)TIA
3)全身性塞栓症
4)大出血(12ヶ月間,周術期を含まない)
5)心嚢出血(手技後30日以内をふくむ)
6)心筋梗塞
7)心筋梗塞(アブレーション合併症)
8)心不全
9)手技による他の合併症:永続的な障害,死亡,介入治療が必要なもの,入院(30日以内,48時間以上),再発(アブ後,薬物投与後)

4.患者報告
1)QOL:AFEQTなどを用いた心房細動に特異的なツール使用
2)一般的なQOL

5.資源活用
1)全入院
2)特定の入院:心不全,脳卒中,出血,心房細動,再アブレーション,周術期合併3症,他の心血管系原因
3)心房細動あるいが合併症による治療:就労不可,緊急受診,薬剤コスト

### 登録研究では,上記20のポイントを押さえましょう,あるいは押さえているか確認ということです。

$$$ 1週間前の仙台,勾当台公園。今はもう冬支度です。
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by dobashinaika | 2018-11-22 07:19 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

心房細動は発作性から持続性に移行するときにイベントリスクが上昇する:Stroke誌

Paroxysmal to Sustained AF and Increased Adverse Events

Stroke. 2018;0:STROKEAHA.118.021396


臨床上の疑問:発作性から持続性への進行は心房細動患者の有害事象にどのようなインパクトがあるのか?

方法:
・FUSHIMI AFレジストリ
・4045例(発作性1974例,持続性2070例)
・心房細動の進行と有害事象の関係を解析
・平均追跡期間:1105日

結果:
1)発作性→持続性への進行例:252例(4.22/100人年)

2)進行例は,進行しない例,および期間を通じて持続性だった例に比べに比べ脳卒中/全身性塞栓症リスクが明らかに増大(対非進行例 aHR:4.10, 95%CI:1.95-8.24, P=P<0.001)(対長期持続例aHR:2.20, 95%CI:1.11-4.00, P=0.025)

3)進行したあとのイベント率は,長期持続例と同じ (aHR, 1.54; 95% CI, 0.78-2.75, P=0.201)

4)心不全入院についても同様の結果:
対非進行例 (aHR,2.0; 95% CI,1.55-4.52, P<0.001)
対長期持続例 (aHR, 1.81; 95% CI, 1.08-2.88, P=0.026)

結論:心房細動の(タイプの)進行は臨床的な有害事象と関連する。有害事象のリスクは発作性から持続例に移行するとき一過性に上昇し,長期持続化すると減少する。

### 先日共著者の赤尾先生に,このペーパーのことをお聞きして久々に興奮いたしました(笑)。心房細動は発作性から持続性に移行するときにイベントが多い。このことは実は私も前々から薄々感じておりまして,持続化して1年以内くらいで脳卒中になる人が多いとは実感していたのですが,こうしてしっかりしたデータが出てきてやっぱりなあ(やられたなあw)という感じです。

ただし機序としては,たとえば発作が頻回となると左心耳血栓が形成されやすくなるわけですが,洞調律に戻る頻度も増えるのでこのとき左心房がスタンニングから動き出して血栓が飛ぶ頻度も増える,といったことも考えられるわけです。しかしACCのメールマガジンのコメントにもありますように,心房細動の進行と有害事象の進行に共通の病態生理があるためと考えることもできます。

「進行例」の定義は大事ですが,本文が入手できておりませんので明らかになったらまたご紹介します。

いずれにせよ観察研究ですので,因果律を当てはめることはこのままではできません。

ですが,この事実が真実に近いならば,持続化しそうな一歩手前でアブレーションをすることは合理的とも言えますので,その意味で大変貴重な報告と思われます。

※Progressionは進行と訳しましたが,進展などの用語もあるかと思われます。

※追記(2018/10/04):全文を確認したところ,"paroxysmal""persistent""permanent"の定義はESCガイドライン2016に従っています。
また,”Progression of AF”の定義は対的期間中にparoxysmalから"susutained(persistent or permanent)"への変化,です。
”peri-progression period"はparoxysmalからsustainedへ変化するときの1年間,とされています。

$$$ 大阪行ってきました。48年ぶり太陽の塔の内部に潜入しました。感動しました。
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by dobashinaika | 2018-09-20 22:27 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

AF burdenという概念の重要性と限界:Circulation誌

長らくお休みしてすみません。
最近家庭医療の方で仕事やら関心が集中してしまい,ブログから遠ざかっていました。発信はやはり大切でですので,またぼちぼち書いていきます。

この間も論文ウォッチはやってまして,いくつか興味深いネタが溜まっています。
本日は最近最も考えさせられた論説から


ACCのまとめサイトから引用です。

1.現行ガイドラインでは,心房細動の出現は,30秒以上継続し,絶対的に不規則のRR間隔,認識可能で明らかなP波の欠如と定義されている。AF burden(心房細動負担)は,最長の心房細動持続時間,発作回数,ある一定期間での心房細動累積時間など多くの表現方法がある

2.多くの研究は,心房細動を二分法(あるかないか)で評価しており,AF burdenは評価されていない

3.現行ガイドラインでは,抗凝固薬の適応決定に血管系リスク(CHA2DS2-VAScスコアで評価)の使用を勧めており,AF burdenは考えられていない。データの混合はあるが,現在最強のエビデンスは発作性よりも持続性心房細動のほうが高リスクであることが示唆されている

4.AF burdenは,デュアルチャンバー植込み型デバイス(ペースメーカー,ICD)で評価される。ループレコーダーやシングルチャンバーはRR感覚を指標とするので,感度,特異度はデュアルより落ちる。

5.植込み型デバイスからのデータでは,5〜6分の比較的短いAFエピソードでさえ脳卒中のリスクを増やすことが知られている。興味深いことに,植込み型デバイスの患者では多くの虚血性脳卒中が,心房細動エピソードとは関係ない時期に起きている。脳卒中をきたすAF burdenの閾値はわかっていない

6.心房細動は心不全,認知症,心筋梗塞,慢性腎臓病から末期腎不全,心臓突然死,全死亡のような非脳卒中にも関連がある

7.運動不足,肥満,高血圧は心房細動罹患を増やす傾向がある。しかし,動脈硬化あるいはライフスタイルの因子がどれほどAF burdenに寄与しているかは明らかではない

8.体重減少,適正体重維持がAF burden減少に効果がある。強力な降圧がAF burdenを減らすかどうか定かではない。ストレス管理(ヨガ,マインドフルネス)がAF burdenを低下させるかどうかのRCTが求められている

9.一過性のAF burdenの累積あるいはAF密度というコンセプトが提案されてきている。AF密度は全心房細動エピソード中の最小時間によって測定されるもので,仮説に基づく斉一なburdenからどのくらい逸脱しているかで表現される。すなわち同じAF burdenであっても,多くの短い心房細動発作よりも,少なくても長いエピソードのほうがAF密度は高い

10.モニタリング技術の発展はAF burdenの顕著は変化の同定を可能にするであろう

### 以前から疑問に思っていたことをまとめてくれた内容です。同じ心房細動でも,数分間の発作と長時間の発作では脳卒中リスクは違って当然ですが,現行ガイドラインはとにかく心電図で心房細動が見つかれば「心房細動症例」として抗凝固薬適応のまな板に乗ってしまうことになります。持続時間とか発作回数が当然考慮されてなければならないのにおかしい,と思っていました。

しかしそれを正確に測定する手段がないのです。発作性心房細動例全例にループレコーダーを植え込むわけにも行きません。長時間型のホルター心電図も発作性心房細動だけの患者さんには負担です。

この問題,無症候性心房細動の同定問題と同根で評価方法に鍵があるようです。例えば非常に軽量で湿布感覚で貼付できるようなデバイスとか,スマホでAF burdenまでわかれば,CHA2DS2-VAScスコアなども変わってくるかもしれません。

$$$ 居座られましたw
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by dobashinaika | 2018-05-12 05:49 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

心房細動と認知症の関係に関するエキスパートコンセンサス;Europace誌


欧州,米国,アジア太平洋,ラテンアメリカの各不整脈学会による「不整脈と認知症」に関する合同ステートメントが出ています。要点をまとめます。

【心房細動と認知症】
●心房細動と認知機能低下/認知症との関係に関するメタ解析
・横断研究及び前向き研究についての2つのメタ解析では,いずれも心房細動群が非心房細動群に比べ認知症/認知機能低下のリスクは高い(1.7-3.46,倍または2.倍)
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・心房細動のタイプと認知症との関連は明らかではない

●心房細動の治療と認知機能の関係
・心房細動治療と認知症予防との関係に関するRCTなし

・フラミンガム試験では過去30年間で心房細動患者の認知症発症率は低下した

・抗凝固薬及びリスク因子の治療効果と推測される

●心房細動と認知症の関係についてのメカニズム
・脳の形態学的変化(海馬の萎縮,白質の更新号,前頭葉中部萎縮)が指摘されている

●心房細動における認知症予防
・現在抗凝固薬,抗不整脈薬と認知症予防に関する9つの前向き試験が走っている

・一般的なリスク因子(高血圧,糖尿病など)の管理

・心房細動患者の認知症発症予測因子としては,年齢,パーキンソン病,抗凝固薬なし(ハザード比2.08),アルコール中毒が挙げられた。Friberg L, Rosenqvist M. Less dementia with oral anticoagulation in atrial fibrillation. Eur Heart J 2017;39:453–60.

・TTR管理良好は認知症リスク低下に関係した,ワルファリン使用患者のほうが認知症リスクが低下したなどの観察研究があるが,交絡因子も多い。相反する結果の論文もある

・NOACがワルファリンにくらべ脳内相出血を減らすとの報告はあるが,認知機能低下を改善させるかどうかは未だに不明

●心房細動患者における認知機能低下予防のための推奨(いずれも推奨度は‘May do this’ )
・適切な抗凝固療法と脳卒中リスク因子の軽減

・VKAよりもNOACを選択

・VKAの場合はよりよいTTRを目指す

・一般的なリスク因子(喫煙,高血圧,肥満,糖尿病,睡眠時無呼吸)などの管理を行う

・脳血管認知症,アルツハイマー型認知症双方に有効

・認知機能低下を疑わせる心房細動患者には認知機能評価を勧める


### 心房細動患者で認知症リスクが増えることは明らか。抗凝固療法をしないことがリスクを高めることも知られている。しかしながら抗凝固療法が認知機能低下を改善させるか否かについてエビデンスでベルの高いものは今のところない。したがって脳梗塞そのもののリスクを低下させるように背景因子管理や抗凝固療法を適切に行うべき。というメッセージです。

こうしたまとめは大変ありがたいです。

$$$ 日向ぼっこ
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by dobashinaika | 2018-03-25 22:36 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

心房細動は認知機能低下に関連する:米国の長期追跡大規模コホート研究より


概要:
・認知機能低下と心房細動の関係を,これまでにない長期的で大規模なコホートで評価しようとした意義深い論文

方法:
・米国の代表的コホート研究であるARIC-NCS:ARIC Neurocognitive Studyの登録12,515人対象
・AF発症と認知症発症を定期的に評価
・AFは定期的なカルテ検索と心電図検査
・認知症は数年ごとに検査

結果
・認知機能スコア:AFがある人はない人に比べ低下した
・AF発症:認知症リスクの増加に関連(ハザード比:1.23、95%CI:1.04~1.45
)。虚血性脳卒中等の心血管リスクで補正後も同様
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結論:
心房細動は,虚血性脳卒中とは独立に認知機能低下に大きく関連。心房細動治療への介入が認知機能低下を遅らせる可能性あり

### 心房細動が,認知機能低下のリスク因子であることがかなり大きなコホートでも明らかに証明されました。ただ心房細動予防と言っても難しい面があります。心房細動予防は結局生活習慣の改善しかないので,従来からのお題目を並べるに過ぎなくなります。心房細動を早期に発見してアブレーションすれば認知機能低下の抑制に寄与するのか。このあたりが今後のポイントです。

関連のレビューはこちら

$$$ 庭先に目白が突然の来訪。もう春です。
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by dobashinaika | 2018-03-15 21:59 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

発作性心房細動では無症候性は症候性に比べて死亡率が高い。持続性ではその傾向はない:Fushimi AFレジストリから


疑問:Fushimi AFレジストリにおいて無症候性心房細動の特徴とアウトカムはどうか?

方法;
・Fushimi AFレジストリ登録患者対象
・発作性心房細動(1837例)と持続性(1912例)とで,無症候性と症候性の臨床的特徴やアウトカムを比較する

結果
1)発作性群:無症候性は症候性より高齢( 74.1 vs. 71.1歳; p<0.01)で女性が多い(62.1% vs. 55.6%; p<0.01)。CHA2DS2-VAScスコアが高い( 3.37±1.73 vs. 2.99±1.63; p<0.01)。

2)持続性では,各特性に大きな差はなし

3)発作性群においては無症候性の危険因子は,75歳以上,脳卒中/全身性塞栓症の既往,男性,慢性腎臓病。

4)持続性群においては,年齢は無症候性の危険因子ではない

5)発作性群においては,無症候性は症候性より全死亡率が高い。 (hazard ratio [HR], 1.71; 95% confidence interval [CI], 1.31-2.29; p<0.01)

6)持続性では差はなし

結論:発作性心房細動では,無症候性は高齢,男性,合併症の数が脳卒中リスクや死亡リスクに関連していた。これらは持続性では関連がなかった

### これまでも無症候性の方が,アウトカムが良くないとの報告はいくつかありました。治療が遅れる,co-morbidityが多いなどが理由です。
ただし,発作性と持続性で比較したものはなかったように思います。

持続性の場合は,症状の有無はCHA2DS2-VAScスコアなどに関係しないものと思われます。持続性では,むしろ症候性のほうがレートが早かったり,心機能が低下していたりして心不全例が多いからでしょうか。その点,発作性の場合は症状は動悸が主と思われますので,心機能低下とは関係ないといえます。

$$$ 夏の夕暮れ時の往診。涼しいので助かります。
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by dobashinaika | 2017-08-30 00:00 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

新規発症例の心房細動に,肥満,高血圧,喫煙,糖尿病を合併すると心不全のリスクは増加する:JACCHF誌


疑問:新規発症心房細動を有する女性において,心不全発症のリスク因子は何か?

方法:
・米国のWomen’s Health Studyに登録された39876例
・うちベースラインで心血管疾患のない34,736例対象
・心房細動新規発症例における全体の心血管系リスク,予後,心不全発症リスクを評価

結果:
1)心房細動新規発症:1,534例(4.4%),心不全発症:687例(2.0%):平均追跡期間20.6年

2)新規心房細動発症例中:心不全発症226例
大半(82.7%)は心房細動診断時に発症

3)新規心房細動発症例の大半が(39例除く),心不全の既往なし

4)新規心房細動発症例での器質的心疾患合併例は少ない。
左室肥大39%,僧帽弁逆中15%,左房拡大46%

5)心房細動の新規発症は心不全のリスク増加に関連あり:HR 9.03; 95%CI, 7.52-10.85

6)心房細動患者の女性が心不全を発症した場合,全死亡率(HR, 1.83; 95% CI, 1.37-2.45),心血管疾患による死亡率(HR, 2.87; 95% CI, 1.70-4.85)いずれも増加

7)新規発症心房細動が心不全発症に及ぼす寄与危険度:全死亡率9.9% (95% CI, 2.2%-18.3%),心血管疾患による死亡率18.2% (95% CI, 1%-35%)

8)心不全発症のリスク因子;収縮期血圧120以上,BMI30以上,現在喫煙,糖尿病

9)上4つの因子の組み合わせによる心不全への寄与危険度:62% (95% CI, 23%-83%)

10)3または4つのリスク因子を持つ女性に比べ,コントロール良好の女性は心不全発症リスクが少ない
2つの因子=HR0.60; 95% CI, 0.37-0.95; 1つの因子=HR 0.40; 95% CI, 0.25-0.63; 0因子=HR 0.14; 95% CI, 0.07-0.29
a0119856_22104878.gif

結論:女性で心房細動の新規発症例においては,肥満,高血圧,喫煙,糖尿病の合併が心不全発症のリスク因子であった。

### 永続性心房細動に長く罹患していても,心不全になる人とならない人がいるのは,臨床上よく懐く疑問です。本研究は多数例のコホートを用いて,肥満,高血圧,喫煙,糖尿病が重複する人ほど心不全になりやすいことを検証した,大変意味のある研究と思われます。

抗凝固療法が普及してきた今日,以前からも述べておりますように,心不全防止が心房細動治療の主眼目になると思われます。その際,上記のリスクを多く抱えている人ほど心不全には常に気をつけて診療することが勧められると思われます。

本文中では睡眠時無呼吸症候群のリスクも大切とされています。実臨床でも常に気をつけたい点です。

$$$ S市杜王町のマンホール
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by dobashinaika | 2017-08-21 22:15 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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プライマリ・ケア医のための心房細動入門

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治療 2015年 04 月号 [雑誌]

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ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


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