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カテゴリ:心房細動:アブレーション( 89 )

カテーテルアブレーションは,薬物療法に比べ心不全合併心房細動症例の生存率,再入院,QOLを改善させた。RCTプール解析:EHJ誌


目的:心不全合併心房細動患者のリスムコントロールに関する有効性,安全師を評価する

方法:
・プール解析
・Subset A:抗不整脈薬(AADs) vs. レートコントロール
・Subset B :カテーテルアブレーション vs. 薬物療法
・一次評価項目:全死亡,再入院,脳卒中,血栓塞栓イベント

結果:
1)11試験,3598症例,Subset A:2486, Subset B:1112

2)AADsはレートコントロールに比べ:
全死亡は同等(OR: 0.96, P = 0.65)
再入院は高率 (OR: 1.25, P = 0.01)
血栓塞栓症は同等(OR: 0.91, P = 0.76,)
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3)カテーテルアブレーションは薬物療法に比べ:
死亡率は明らかに低い(OR: 0.51, P = 0.0003)
再入院は低率 (OR: 0.44, P = 0.003)
脳卒中イベントは同等 (OR: 0.59, P = 0.27)
左室EFは著明改善(weighted mean difference (WMD): 6.8%, P = 0.0004)
心房細動再発は低率 (29.6% vs. 80.1%, OR: 0.04, P < 0.00001)
QOLは改善 (Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire score) (WMD: −9.1, P = 0.007).
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結論:リズムコントロールとしてのカテーテルアブレーションは,心不全合併心房細動症例の生存率,再入院を大幅に改善し,洞調律維持を改善させた。これには心機能保持が関与している。QOLも改善した。

### Subset AにはRACE, AFFIRM, AF-CHF, CAFEといった古典的なRCTがふくまれています。Subset Bには最近のCASTLE-AFとCABANAのサブグループ解析も含まれています。

AADかレートコントロールかは,当然の結果と推測できます。一方カテアブvs. 薬物療法では,死亡率,脳卒中等が同じであるとしたCABANA試験の結果に沿ったものではないようです。

ただし,このプール解析にはCABANAのデータは全死亡にしか利用されておらず,再入院,脳卒中には反映されていないようです。CABANAも,薬物群の25%強がアブレーションも施行されており,on treatment解析ではアウトカムは改善されていたのでそこは考える必要があると思われます。

Subset AとBの患者背景違いのひとつは年齢です。Aは平均68才,Bは64才。気になる心機能はAがNYHA II-IV,BがLVEF 30.1%となっています。

今回の結果から単純にストーリーを考えれば,心機能低下例でも比較的早いうちからアブレーションを行えば,心機能改善が見込まれ,このため死亡率が改善する。QOLも改善する,とも読み解けます。

ですが,個々の症例ではカテーテルアブレーションをいつ行うか?常に悩みます。よリ早ければそれに越したことはないのでしょうが,症状に乏しい人にどうアプローチするか。また客観的指標はなにか。まだまだ論議すべき点は多いように思います。

いずれにせよリズムかレートか,アブレーションは良いのかを考える上で参照すべきプール解析です。

by dobashinaika | 2019-08-02 08:29 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

アブレーションは心房細動のQOLを有意に改善させるが,ループレコーダーを使うと75%で再発している:CAPTAF試験


P:6ヶ月以上の心房細動治療(1種以上の抗不整脈薬またはβ遮断薬に対し)抵抗性を示す30-70歳の患者155例。北欧の5大学病院。6ヶ月以内の症候性心房細動,心電図上12ヶ月以内に1回以上の発作性心房細動,2ヶ月以内に2回以上の持続性心房細動の除細動歴
除外基準:LVEF<35%,左房径>60mm,心室ペーシング依存,アブレーション歴あり

E:カテーテルアブレーション

C:服薬歴のない抗不整脈薬

O:主要=総合的健康状態 (GH)サブスケールスコア(MOS SF-36,最悪0〜最良100 ),副次=植込み型心臓モニターによる心房細動負荷(時間割合)など。アブレーション3ヶ月間が分析から除外

結果:
1)155例(アブ79例,抗不整脈薬76例),平均56.1歳

2)アブ群再施行14例,くすり群1剤治療抵抗43例

3)GHスコア:有意にアブ群が改善(群間差:8.9ポイント、95%CI:3.1~14.7、p=0.003)
アブ群:61.8ポイント→73.9ポイント
くすり群:62.7→65.4ポイント

4)12ヶ月後のAF負荷:有意にアブ群で改善(群間差:-6.8ポイント、95%CI:-12.9~-0.7、p=0.03)
アブ群:24.9%→5.5%
くすり群:23.3%→11.5%

5)MOS SF-36のサブスケール7つのうち5つで有意にアブ群で改善

6)主要有害事象:アブ群 尿路性敗血症(5.1%),くすり群 心房性不整脈(3.9%)

結論:症候性心房細動において,カテーテルアブレーションは抗不整脈薬に比べ12ヶ月後のQOLを有意に改善した。盲検試験ではないが,カテーテルアブレーションはQOLを改善させる可能性あり。

### QOLに注目したアブレーションvs抗不整脈のRCTです。予想通りアブ群で大きな改善が見られており,その原因はAFの時間的な負荷が大幅に減少したからだと思われます。

しかし一番驚いたのは,全例植え込み型ループレコーダーを導入して心房細動の再発をチェックした点です。それによると心房細動の非再発率はホルター心電図ではアブ群84.9%,くすり群78.4%だったのに対し,ループレコーダーではなんとそれぞれ25.3%,29.7%でした(しかもどちらのデバイスも有意差なし)。
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これを正直にとらえると,アブレーションしても再発しないのは1/4しかいない!ということになります(薬でも同じ)。もちろん合計の時間(バーデン)はアブのほうがかなり少なくなり感じなくはなりますが,ループレコーダーで正確に評価するとかなり再発してるのだということがわかります。

ただし,「再発」の定義はループレコーダーが2分以上持続,ホルターが1分以上ですので,短時間の症例も含まれることにはなっています。

どのくらい持続すると血栓ができるのかという議論にはなりますが,アブレーション後に抗凝固薬を中止することは推奨されない根拠にはなる(とくにCHA2DS2-VASc高リスク例)と思われます。また今後のアブレーション後再発の評価は(少なくとも論文レベルでは)ループレコーダーの使用がデフォルトになっていくのかもしれません。

これまで心房細動の評価は自覚症状,時々の心電図とホルターなどしか用いられてこなかった中で,数多くの臨床試験が成り立ってきたわけですが,本試験はテクノロジーが人の行動様式を変えていく有様をまた見せつけられる思いがします。

$$$ 眠るにはいいい季節
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by dobashinaika | 2019-06-01 07:28 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

待望のCABANA試験(心房細動対象,カテアブvs薬物療法のRCT)発表されました:JAMA誌


疑問:心房細動の患者におけるカテーテルアブレーションは,薬物療法に比べ,心血管イベントや死亡を減らすのか

P:世界10カ国,126施設から登録された心房細動2204例。65歳以上,1つ以上のリスク

E:カテーテルアブレーション(肺静脈隔離術+追加焼灼)

C:薬物療法(ガイドラインに基づいた標準的なリズム/レ−トコントロール)

O:主要エンドポイント(全死亡,後遺症のある脳卒中,重篤な出血,心停止)
二次エンドポイント;13あり(論文公開されたのは全死亡,心血管入院,心房細動再発)

結果:
1)平均年齢68歳,女性37.2%,発作性42.9%,持続性57.1%),試験完遂率89.3%,追跡期間平均48.5ヶ月

2)カテアブ群中90.8%がアブ施行。薬物群中27.5%がカテアブも受ける

3)主要エンドポイント:
アブ群8.0% vs. 薬物群9.2%:HR0.86 95%CI 0.65-1.15;P= .30
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4)二次エンドポイント
4-1)全死亡:アブ群5.2% vs. 薬物群6.1%:HR0.85,95%CI 0.60-1.21;P= .38
4-2)死亡または心血管入院:アブ群51.7% vs. 薬物群58.1%:HR0.83, 95%CI 0.74-0.93;P= .001
4-3))心房細動再発:アブ群49.9% vs. 薬物群69.5%:HR0.52, 95%CI 0.45
-0.60;P<.001

結論:心房細動患者において,カテーテルアブレーションは薬物療法に比べ,全死亡,後遺症のある脳卒中,重篤な出血,心停止という主要エンドポイントを明らかには減少させなかった。しかしながらこの結果は,予測されたよりも低いイベント率と治療のクロスオーバーが影響しており,結果の解釈には注意が必要である。

### すでに学会発表されていますが,待望のCABANA試験の論文化です。クロスオーバー,特に薬物群でアブも施行した例が27.5%もいるので,その人はアブでアウトカムが良くなった可能性もあります。

一方最終的にアブ群の26.5%で抗不整脈薬を服用していました。

ということでon-treatment解析をするとアブ群のHR 0.67 (95%CI0.50-0.89)となります。
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患者背景としては発作性が47%と半分以下で,一般的にカテアブの第一選択となる発作性心房細動よりは心房細動としては進行しているケースが対象と思われます。そのせいかアブ群の再発率が49.9%とかなり高い印象です。

薬物群の薬物療法の内訳は,抗不整脈薬が88.4%で処方され,1剤が545例と半分程度で,種類はアミオダロン以外のI群薬も使用されています。レートコントロールは85%で施行されβブロッカーが多いようでした。

また同時に発表された12ヶ月後のQOLをアウトカムとする論文では,アブ群で明らかにQOLの改善が示されています。

結果の解釈は難しいですね。何より,今では発作性,若年者では第1選択となっており,そうした人の予後をまず知りたいところですが,多分短期間ではアウトカムが少ないしランダム化すること自体難しいと思われます。

しかしながら,本論文はそうしたQOL改善をまずは主眼としアブをする例のみならず,むしろ持続性も含めた心房細動に対してカテアブの予後改善効果が期待できるかを問うもので,非常に本質的なトライアルと考えられます。

今回の論文からは生命予後改善を目的としたアブレーションというコンセプトは証明されなかったが,カテーテルアブレーションの価値自体が否定されたものではない。従来の症状改善を第一の適応とすることは依然として支持する内容であったと考えられます。

全例アブ!ということを支持しない結果でやや安心しています。。。

EHJの昨年のまとめコメントも参照ください。

$$$ 上野公園の早咲きの桜,満開でした。
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by dobashinaika | 2019-03-17 23:00 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

心臓病学2018〜この1年〜心房細動,心房細動アブレーション編:EHJ誌より


EHJのThe year in cardiology 2018: arrhythmias and cardiac devicesを読みます。
2018年に出版された心房細動関連論文からトピックとなったもののまとめです。
今回は心房細動,心房細動アブレーション編。5つの重要試験が紹介されています。

P:心房細動3013例中クライテリアに当てはまる363例:心不全(LVEF35%以下、ICDまたはCRT装着)、発作性持続性問わず
E:カテーテルアブレーション
C:従来治療
O:一次エンドポイント:全死亡、心不全増悪
結果:
1)一次エンドポイント=アブレーション群で38%減少(HR0.62. 95%CI0.43-0.87;P=0.007)
2)アブ群で心不全増悪減少(HR 0.56, 95% CI 0.37–0.83; P = 0.004)
3)アブ群で全死亡減少(HR 0.53, 95% CI 0.32–0.86; P = 0.011)
4)アブ群でLVEFが7%改善(12ヶ月後)
5)心房細動発作のない時間はアブ群が2倍(5年)
6)アブ群の1.7%で心嚢液貯留

【CAVANA試験(学会発表)】:この年最も待ち望まれていた試験
P:65歳以上または64歳未満で1つ以上の危険因子を持つ心房細動患者
E:カテーテルアブレーション
C:薬物治療
O:一次エンドポイント:死亡、重篤な脳卒中、重篤な出血、心停止
結果:
1)平均67.5歳。発作性43%、持続性47%、長期持続性10%
2)一次エンドポイント:両群間に有意差なし(the pre-specified intention to treat analysi)(8% for ablation vs. 9.2% for drugs, P = NS)
3)全死亡:有意差なし(5.2 vs. 6.1% respectively, P = NS)
4)死亡または心血管系の入院:アブ群で低下 (51.7% vs. 58.1%, P = 0.001)
5)アブレーションは心房細動を47%減らし、アブ群の60%は心房細動なしとなった
6)副作用:アブ群9% VS. 薬物群4%

  • 結局のところこの試験はネガティヴに終わった。
  • ITT解析ではクロスオーバーが多かった(薬物群の27.5%はアブレーションを受け、アブ群の9.2%はアブレーションを受けず)。
  • 何れにしてもカテーテルアブレーションの価値を否定するものではない。
  • 2017年の専門家提言ではESC,ACCのガイドライン同様、カテーテルアブレーションはQOL改善のための第一選択であると明言されている。
  • CASTLE-AFもCAVANAもこれらのガイドランを支持するものである。
  • しかしアブレーションが全死亡や重篤な脳卒中、重篤な出血、心停止を抑制するというコンセプトは証明されていない。
  • ただ、EAST試験(最終的アウトカムを扱う)待ちではあっても、心房細動が心血管イベントの「厄介なバイスタンダー」というより,より重要な役割を担っていることを示すエビデンスが徐々に蓄積されつつある。
  • 結果としてカテーテルアブレーションが単なる症状緩和の手段という以上の可能性が提示されるかもしれない。

・2005年ー2014年。初回アブレーション例5420人
・1年間再発率:2005-2006年=45%、2013-2014年=31%
・再発予測因子:2年以上の持続、女性、高血圧、アブ前1年以内の除細動
・この結果は驚くに値しない、この論文は「リアルワールド」の知見と(アブのアウトカムの)改善傾向を示している。

・アブレーション後3ヶ月の抗不整脈薬を止めるべきか、継続すべきか
・継続群で再発が有意に少ない:2.7% vs. 16.9%
・心房細動の疫学病理学的意義は複雑で、アブレーション自体はそれらすべての機序をコントロールできないことを示している。

【RACE3試験】 ブログ記事はこちら
P:軽症/中等症心不全合併早期持続性心房細動。リズム治療は継続
E:背景への介入:ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、スタチン、ACE阻害薬、心臓リハ(身体活動、ダイエット、カウンセリング)
C:従来治療
O:1年後の7日間ホルター心電図で洞調律維持
結果:介入群75% vs. 従来群63%, P=0.042

  • この試験は心房細動患者におけるリスク因子介入の重要性を世界的に呼びかけた点で重要。

### いずれも今後の心房細動治療を方向付けるトライアルです。
アブレーションは重症心不全の予後改善に寄与し、未だ不明な点はあるが心房細動全体の予後にも好影響はありそう。背景因子への介入が基本的に大事
というのがトレンドのようです。

次回は抗凝固療法について読みます。

$$$ iPhoneで撮った部分日食。あまり綺麗に撮れず
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by dobashinaika | 2019-01-06 12:38 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

クライオバルーンアブレーションはRFに比べ再アブレーション率が低く手技時間は短い:EP誌より


目的:第二世代クライオバルーンアブレーションとイリゲートRFアブレーションのアウトカム&安全性比較

方法:
・4657例。初回アブレーション
・クライオ982例,RF3675例
・スウェーデンのレジストリーおよびEHRA長期レジストリー
・主要評価項目;再アブレーション(12ヶ月間)
・副次評価項目:手技時間,頻拍再発,合併症率

結果:
1)再アブレーション:クライオで有意に少ない:7.8% vs. 11%, P = 0.005

2)頻拍再発率(30秒):同等: 70.2 % vs. 68.2%, P = 0.44

3)心房細動のタイプ,適応病変での差はなし

4)「発作性」はクライオでの再アブ低下の指標: hazard ratio 0.56 (P = 0.041)

5)手技時間;クライオが有意に短い: 133.6 ± 45.2 min vs. 174.6 ± 58.2 min, P < 0.001

6)合併症率;同等:53/982 (5.4%) vs. 191/3675 (5.2%), CRYO vs. RF, P = 0.806.

結論:クライオバルーンアブレーションはRFアブレーションに比べ,再アブレーション率が低く,手技時間は短かった。このことは登録研究というリミテーションにもかかわらず,手技選択上重要な視点である

### 最近はアブレーションを依頼すると,ほとんどクライオが行われていて,再発は以前より確かに少ない実感があります。施行されている先生方に聞いてもみなクライオの良さを強調されますね。アブ初心者医師でも可能であるとのことも聞きます。

一方でこうした注意喚起もあるようです。現場での声を聞いてみたいところです。

$$$ フェルメール。静謐というより緊張と凝縮なんです。私にとっては
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by dobashinaika | 2018-11-07 06:15 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

心不全合併心房細動に対するカテーテルアブレーションは死亡+入院リスク軽減に関連あり:NEJM誌


P:症候性の発作性/持続性AF例に左室駆出率(EF)35%以下・NYHA分類Ⅱ度以上の心不全を合併し、ICD/CRT-Dが既に植え込まれていた397例

E:心房細動アブレーション170例

C:標準治療184例

O:主要評価項目:全死亡or心不全増悪による入院

T:RCT,平均追跡期間37.8ヶ月

結果:
1)平均年齢は64歳、約9割がNYHA分類Ⅱ度とⅢ度、AFの病型は30~35%が発作性、65~70%が持続性

2)主要評価項目:アブレーション追加群HR:0.62,95%CI:0.43~0.87, P=0.007
総死亡:HR:0.53, 95%CI :0.32~0.86, P=0.01
心不全入院:HR:0.56, 95%CI :0.37~0.83. P=0.004
心血管死:HR:0.56, 95%CI :0.29~0.84, P=0.009
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結論:心不全合併心房細動に対するカテーテルアブレーションは,標準治療に比べ,全死亡+心不全増悪入院のリスク低下に関係していた。

### CASTLE-AF試験です。カテーテルアブレーションが生命予後を良くするのかに関してのRCTはこれまで大きなものはなく,その意味で大変大きな研究といえます。

とくに抗凝固時代においては心房細動の死因として心不全に目が向けられており,β遮断薬は予後改善効果が少ないことも示されておりますため,大変注目したいところです。

Limitationはたくさん。なによりアブが対象なので,ブラインドできない点です。しかも入院というソフトエンドポイントを含んでおり,バイアスははいりやすいです。ただ,二次評価項目では,死亡単独でも差はついているようです。

今後,心不全のある人ほど,アブをやった方が良いという流れの先鞭をつける論文かもしれません。熟読が必要です。

$$$ 椿貞雄の方がかわいい絵でした。
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by dobashinaika | 2018-02-07 23:25 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

カテーテルアブレーション時,ダビガトラン継続下での出血はワルファリンに比べて少ない:NEJM誌


疑問:NOACを中止することなくアブレーションを施行できるか?

方法:
・ランダム化、オープンラベル、多施設、解析者は盲検化
・発作性心房細動あるいは持続心房細動のカテーテルアブレーション時、ダビガトラン150mgx2 vs.ワルファリン(INR2-3)
・抗凝固薬4-8週中止せず継続後アブレーション施行。アブ後8週間抗凝固薬施行
・一次エンドポイント:アブレーション中または8週後までの大出血
・二次エンドポイント:血栓塞栓症、他の出血イベント

結果:
1)登録704人、104施設、635人施行、ベースラインリスク同等

2)大出血:ダビガトラン5人(1.6%)vs. ワルファリン22人(6.9%):絶対リスク差-5.3(95%CI -8.4–2.2; P<0.001)

3)ダビガトランは心タンポナーデ、血腫の増大がワルファリンより多い少ない。(2017.3.31訂正)

4)小出血は同等。血栓塞栓症はワルファリン群で1例
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結論:アブレーション時、ダビガトラン(中断なし)の方がワルファリン(中断なし)よりも出血合併症が少ない。

スポンサー:Supported by Boehringer Ingelheim.

### これまでアブレーション時のNOACとワルファリンの比較は,観察研究が多く,リバーロキサバンでランダマイズドトライアルはありましたが,イベント数が少なく何とも言えない感じでした。

日本でのリバーロキサバンのデータもありますが,イベント発症率には差はなかったようです。こちらは登録研究で無作為化ではありません。

特に心タンポナーデと血腫が少なかったことについて,筆者らはトロンビンの直接阻害のため,あるいは半減期が短いことなどからVII因子が保たれ安定した抗凝固効果が得られる方としています。また中和薬があるのも利点としていますが,この試験では1例も使われなかったようです。

現時点ではNOAC継続でアブレーションをする現場が多いでしょうから,エビデンス的裏付けになると思われます。直接トロンビン阻害薬は消化管でなければ局所の出血は少ないでしょうか。Xa阻害薬ではどうか。

$$$ 最近はこればかり。ゴジラは多分速効性のあるNOACを欲しがるでしょう。 値段はさておき。
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by dobashinaika | 2017-03-28 23:43 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

心房細動アブレーション後は抗凝固薬はいらなくなるのか?:JAMAC誌


Assessment of Use vs Discontinuation of Oral Anticoagulation After Pulmonary Vein Isolation in Patients With Atrial Fibrillation
JAMA Cardiol. Published online November 23, 2016. doi:10.1001/jamacardio.2016.4179


疑問:肺静脈アブレーション後も抗凝固療法は必要か?

P:肺静脈隔離術を施行した患者。スウェーデン国内登録。1585例
10のアブレーション専門施設で全体の94%

I:アブレーション後ワルファリン継続

C:ワルファリン中止

O:虚血性脳卒中,頭蓋内出血,死亡

結果:
1)平均年齢59.0歳。CHA2DS-VAScスコア1.5点。

2)1年以内ワルファリン中止患者360例30.6.%

3)虚血性脳卒中:CHA2DS-VAScスコア2点以上において,ワルファリン中止群で高率(年間1.6%vs. 0.3%,
P=0.046)
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4)CHA2DS-VAScスコア2点以上または脳卒中の既往は特に高率(前者ハザード比4.6;95%CI1.2-17.2;
P=0.02,後者ハザード比13.7,2.0−91.9;P=0.007)

(論文の結論):高リスク例,特に虚血性脳卒中既往例で肺静脈隔離術後にワルファリンを止めることは安全ではない。

Critical Appraisal
・研究デザイン:後ろ向きコホート研究
・研究目的:予後
・追跡期間:平均2.6年:概ね十分

### PVアブレーション後,抗凝固薬をやめられればアブレーションのベネフィットは絶大です。理論的にはアブレーションで心房細動が完全になくなれば抗凝固薬はいらなくなるように思います。実際には無症候性に再発していることがあるため,高リスク例では抗凝固薬を継続するというのがこれまでのガイドライン等でのrecommendationだったかと思います。

今回は多数例で後ろ向きに検討したものですが,高リスク例,特の脳卒中の既往のある例ではワルファリンをやめると虚血性脳卒中が増えるというものでした。CHA2DS2-VAScスコアの元論文では,アブレーションに関係なくCHA2DS2-VAScスコア別の年間脳梗塞発症率は2点で2.2%,3点で3.2%,4点で4.0%であり,今回の1.6%はこれまでよりも低いものです。やはりアブだけでもすこし脳梗塞は減るようです。ただ,ワルファリンを追加すれば年間0.3%と,もうほとんどゼロに近い数値となっています。

一番のLimitationはワルファリンをやめた理由があまり明らかに記載されていないことです。おそらく主治医判断でその理由は恣意的であろうかと思われます。アブが非常にうまく言って再発の可能性が低いと主治医が思ったとか,低リスクなので中止したとか。

とは言え,先行研究ともアウトカムは合致しており,高リスク特に脳卒中既往例では抗凝固継続というのは臨床で使うべきメッセージと思われます。
こうしたデータはまだNOACではまとまって出せないでしょう。NOACでも同等の成績が考えられますが,これだけ発症数が少なければNOACでなくてもいい気もします。

$$$ 師走ですね
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by dobashinaika | 2016-12-02 23:56 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

リバーロキサバン投与中の心房細動アブレーション周術期のイベント率はワルファリンと同じ(日本発):CJ誌

Efficacy and Safety of Rivaroxaban and Warfarin in the Perioperative Period of Catheter Ablation for Atrial Fibrillation – Outcome Analysis From a Prospective Multicenter Registry Study in Japan –
Circa J 2016; 80: 2296-2301


疑問:心房細動アブレーション周術期においてNOACはワルファリンより優れているのか

方法:
・日本の医療施設で,リバーロキサバンあるいはワルファリンを投与中に心房細動のカテーテルアブレーションを予定された2つの前向き登録を比較
・主要評価項目:アブレーション後30日以内の血栓塞栓症および大出血

結果:
1)リバーロキサバン1118例(平均65歳),ワルファリン204例(69歳):各42, 22施設

2)リバーロキサバン群:
・主要イベント数:7例0.6%(血栓塞栓症2,大出血5)
・小出血:27例2.4%
・非ヘパリンブリッジ時のイベント数はヘパリンブリッジ時より明らかに低い

3)ワルファリン群:
・主要イベント数3例1.5%(全例大出血)

4)両群間:補正後イベント率に有意差なし

結論:日本における心房細動アブレーション周術期の血栓塞栓症及び大出血率は,リバーロキサバン投与時とワルファリンとで同じである。

### 異なる登録研究を比較しているため,患者背景が異なります。ワルファリン群のほうが高齢,低体重,合併疾患多い,慢性多い,CHADS2スコアCHA2DS-VAScスコア高値となっています。補正後データが有るとはいえ,この点は注意。

イベント数が両群とも極小なので,主要評価項目の差はつかないと思われますが,少なくとも同じとなると,オンオフが簡単なNOACが良いようにも思われます。

ただ,オンオフ事にリスクがあると思われるワルファリンはリバーロキサバンと大差なかったということで,よりハイリスク例に投与されていることも考えると,逆にいえばやりワルファリン偉いということにもなるかもしれません(笑)。

ヘパリンブリッジの結果は興味深いです。非ブリッジ時のほうがイベントが少ないとのことですが,ほとんどが小出血で,ヘパリンブリッジをしなくても血栓塞栓症は1例しかありませんでした。筆者らも「心房細動アブレーション前のヘパリンブリッジは血栓塞栓症ハイリスク例以外は避けるべき」としています。

$$$ 毎朝散歩していますと,冬手袋が片方だけ(時に両方)落ちているのに遭遇します。名付けて「片手落ち」(放送禁止用語だったらごめんなさい)。今シーズン最初の片手落ちです。
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by dobashinaika | 2016-10-28 18:57 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

心房細動に対するクライオ(冷凍凝固)アブレーション:日本初のマルチセンター登録研究

Safety and Efficacy of Cryoballoon Ablation for Paroxysmal Atrial Fibrillation in Japan – Results From the Japanese Prospective Post-Market Surveillance Study –
Circ J 2016; 80: 1744–1749

目的:日本における発作性心房細動がに対するクライオアブレーションの市販後成績を明らかにする

方法;
・市販後6ヶ月時点
・616人,平均年齢63歳,日本の33医療施設
・発作性心房細動の607例につき解析,特に328例では6ヶ月間の一次有効率を解析

結果;
1)肺静脈隔離成功:99.8%,ブランキング時期の再アブレーション:0.3%

2)6ヶ月間イベントフリー率:91.6%

3)有害事象
     横隔膜神経麻痺:9例1.5%。6例は6ヶ月以内に回復
     心嚢液:5例0.8%
     心タンポナーデ:4例0.6%
     死亡:1例,肺炎,手術後6日

結論:クライオアブレーションは,日本の発作性心房細動患者に対して安全かつ有効である。手技後6ヶ月間の心房細動フリー率は88.4%だった。

###
メドトロニック社製の第2世代のクライオバルーンに関する,日本で初めてのマルチセンター登録研究です。6ヶ月間のフォローですが,いいようですね。

グローバルな無作為化試験についてはこちら
http://dobashin.exblog.jp/22897794/

$$$ 七夕の竹を使った送り火です。お盆が終われば秋が足を早めて忍び寄ります。
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by dobashinaika | 2016-08-18 22:28 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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