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2019年 03月 06日 ( 1 )

医学書院の雑誌「総合診療」3月号特集「あなたのギモンに答えます! 循環器診療のハードルを下げるQ&A31」企画担当させていただきました。

今月ははからずも,南山堂の「治療」に続きまして,医学書院の「総合診療」3月号でも企画を務めさせていただきました

特集”あなたのギモンに答えます! 循環器診療のハードルを下げるQ&A31”です。

「日常的に多くの疑問がわいてくるが,、なかなか正解に至れない」このくすぶり感をなるべく払拭できるようにギモンを設定しています。

ですが,疑問とか問題というのは解決するよりまず,何が問題なのかを設定すること,これがもっとも難しいということを本企画を通して改めて痛感しています。

疑問の設定ならびに執筆者の人選では,多くの吟味を重ね,編集の方のアドバイスを多数いただきました。

それだけに本ができたときの喜びはひとしおです。この場をお借りして改めて御礼申し上げます。


多くの方に手にとっていただければ幸いです。


### 巻頭言だけ,ご紹介させていただければ幸いです。

工学知」と「人文知」を橋渡しする共通言語が欲しい

 最新のテクノロジーを用いれば、3Dマッピングによりモニター上にバーチャルなヒトの心房を描き、異常な電気的興奮の最早期部位を正確にとらえることができる。圧センサー付きのカテーテルと高周波電流を用いれば、その部位を安全に焼灼することは、もはや困難なことではない。

 カテーテルアブレーションの現場に一歩足を踏み入れたなら、たとえ循環器専門医といえども、それに慣れ親しんでいなければ、そこで描かれるコンピューターグラフィックさながらの画像の斬新さに驚嘆し、交わされる言葉は宇宙語のように感じられるだろう。

 実はこれは、先日私が紹介した患者さんが循環器専門施設でカテーテルアブレーションを受けた際にカテ室を見学した時に味わった「感じ」である。私自身、術者として初期のアブレーション治療の経験があるとはいえ、診療所勤務となって十数年が経ち、この間のテクノロジーの進歩はまさにイノベーションの連続と呼ぶべき驚嘆すべきものと感じられる。ちなみにこの日、60秒の高周波を1回カテーテルに流すだけで、その患者さんの十数年来の悩みは一瞬にして消失したのであった。

 その方は、長年「お腹のあたりから空気が抜ける感じ」を訴えて、私の診療所に通院されていた。消化器疾患や各種全身疾患を考え、さまざまな検査を行ったが診断できず苦慮していた。ある日、よもやと思いHolter心電図を施行したところ、心拍数150回/分、数秒間で出ては消える反復性の心房頻拍が見つかったのである。しかし、そこから専門医紹介までがまた長い道のりで、「空気が抜ける感じ」が心臓の疾患であることになかなか納得されず、紆余曲折を経てようやくカテーテル治療にまで漕ぎ着けたのであった。

 カテ室で語られる超専門的な言語。それに対して患者さんが診察室で語る「空気が抜ける感じ」や、カテーテルについて対話する時に用いられる自然言語。両者の間には、想像を絶するほどのギャップを感じざるをえない。それは、専門医から診療所医師に転身した時に感じた「理系から文系に移った時のような」ギャップであり、または「工学知」と「人文知」のギャップと言っていいのかもしれない。

 今の時代、この自然言語を超専門語に変換する装置(あるいはその反対)、もしくは「工学知」と「人文知」との共通言語が、最も必要とされていると言えるのではないか。この共通言語を獲得するのは、たやすいことではないだろう。深い知性や経験が必要となる。この1冊で、そんな言語が提供できるとは到底思えない。けれども、その共通言語の「いろは」だけでもつかんでいただければこれ以上のことはない。そう考えながら企画させていただいた次第である。

(総合診療2019年03月号 (通常号) ( Vol.29 No.3) Editorial より)


https://www.igaku-shoin.co.jp/journalDetail.do?journal=91702

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by dobashinaika | 2019-03-06 22:21 | 循環器疾患その他 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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