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2016年 12月 11日 ( 1 )

2016年心房細動関連論文ベスト5


今年も恒例の心房細動論文ベスト5です。
年々抗凝固薬関連の論文もエポックメイキングなものが減りつつあり,また個人的にブログ更新が少なかったこともあって,例年に比べ,カバーしている論文は少ないかもしれません,その点ご容赦ください。

視点はあくまで,私個人の現場に行動変容を起こさせるかどうかで決めております。

第5位:CHA2DS2-VAScスコア2点以上ではアブレーション後も抗凝固はやめないほうが良い
2点以上かどうかには論議の余地がありますが,かなり参考にすべき論点と思います。
JAMA Cardiol. Published online November 23, 2016. doi:10.1001/jamacardio.2016.4179


第4位:心房細動の死因は突然死や心不全が多く,脳卒中は少数
その他にも同様の報告が数多く出てきており,すでにポスト抗凝固時代と言ってよいかと思います。
JACC Volume 68, Issue 23, December 2016 DOI: 10.1016/j.jacc.2016.09.944

第3位:抗凝固薬を中止すると血栓塞栓症リスクは20倍に増加
とくにNOACをやめてしまう場合,非常にリスキーになるということを明示してくれた教訓的な論文
PLOS ONE | DOI:10.1371/journal.pone.0156943 June 9, 2016

第2位:抗凝固療法家の血圧は136mmHg未満にすべき
これまでのBAT研究では130/85でちょっと厳しいかと思っていました。ちょっと安心できるデータ。
J Am Heart Assoc.2016; 5: e004075originally published September 12, 2016

第1位:欧州心臓病学会のガイドライン改定
より多職種で,包括的にマネージメントするというコンセプトが明確に打ち出されました。
こうした斜め45度からの視点を提示できるESCには大リスペクトです。
また,PCI後の抗凝固,脳梗塞後の抗凝固など臨床上欲しかった指針も明確してくれていて,大助かりです。
2016 ESC Guidelines for the management of atrial fibrillation developed in collaboration with EACTS

番外編(次点)
・ポリファーマシーほど抗凝固薬による出血が増える
これも臨床でよくよく考えないといけないポイント
Polypharmacy and effects of apixaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation: post hoc analysis of the ARISTOTLE trial
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i2868 (Published 15 June 2016)


・90歳以上の人への抗凝固療法のリスクと効果
意外と出血より塞栓症が多いということを知っておく必要がある
Risk of Bleeding and Thrombosis in Patients 70 Years Or Older Using Vitamin K Antagonists
JAMA Intern Med. Published online July 05, 2016.


・NOACの大規模リアルワールドデータ
多くのRWD(リアルワールドデータ)が続々でてきました。概ねRCTに準じるような内容です。
Comparative effectiveness and safety of non-vitamin K antagonist oral anticoagulants and warfarin in patients with atrial fibrillation: propensity weighted nationwide cohort study
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i3189 (Published 16 June 2016)


もっと番外編(開業医にはそれほどピンとこないが,世の中的にはインパクトがあるだろう等と思われるもの)
・PCI後のNOACとワルファリンの比較(PIONEER−AF試験)
話題の論文ではありますが,読めば読むほど日本の日常臨床への適応に難しさと疑問が湧いてくる気も致します
http://dobashin.exblog.jp/23369564/

・クライオアブレーションの効果と安全性
http://dobashin.exblog.jp/23369564/

・Xa阻害薬の中和薬
http://dobashin.exblog.jp/23251422/

・アブレーションが心房細動の予後も改善する
http://dobashin.exblog.jp/22772859/

### ということでこう振り返ってみると今年はリアルワールドのデータ,それも臨床に役立つお役立ちな論文が意外と多かったように思います。
来年からも現場役立ち度の高い論文をセレクトして読んでいこうと思います。

$$$ 様々な名言を残した真田丸も来週最終回ですね。黙れ小童とずんだ餅にしびれました。
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by dobashinaika | 2016-12-11 22:28 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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