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2016年 11月 07日 ( 1 )

どうすれば心房細動にならないか:欧州の学会からの提言:Europace誌


欧州不整脈協会 (EHRA)/欧州心血管及びリハビリテーション協会(EACPR)による心房細動予防に関するポジションペーパーです。
米国,アジア太平洋の各不整脈学会からも支持を受けています。

European Heart Rhythm Association (EHRA)/European Association of Cardiovascular Prevention and Rehabilitation (EACPR) position paper on how to prevent atrial fibrillation endorsed by the Heart Rhythm Society (HRS) and Asia Pacific Heart Rhythm Society (APHRS)
Europace doi:10.1093/europace/euw242


サマリーの表を日本語訳します。

<心房細動予防に関するコンセンサスステートメントI:危険因子とライフスタイルの変容(各危険因子/トリガーと臨床上の推奨)>

肥満
体重過多/肥満患者は,心房細動発症のリスクとそれに続く脳卒中及び死亡のリスクがより大きいことを伝える
BMI超過または肥満の場合は,BMIの評価とライフスタイルプログラムを開始する

ダイエット
心房細動予防のために,健康的な食事とライフスタイルを勧める
オリーブオイルリッチな地中海ダイエットは心房細動とその合併症を減らす

血清脂質,魚類摂取
低HDL(40以下)と高中性脂肪(200以上)は,心房細動とその合併症のリスクであることを伝える
脂質異常症患者には,野菜,果物,全粒穀物(低脂肪食,家禽,魚,豆,非熱帯性野菜油,ナッツ)の摂取,スイーツ,果汁飲料,赤肉の制限を勧める

閉塞性睡眠時無呼吸
閉塞性睡眠時無呼吸の患者は心房細動とその合併症リスクが高いことを知らせる
いびき,日中の疲れなどのOSAの可能性のある問診により評価。必要なら専門施設に紹介

高血圧
管理不良な高血圧は心房細動リスクに関連あり
リスクを適切に評価する
心房細動リスクを減らすために血圧をコントロールする

糖尿病
糖尿病の長期罹患と血糖管理不良じは心房細動リスクを増加させる
心房細動リスクを減らすために糖尿病をコントロールする

喫煙
子供,若者,老人に喫煙しないよう強く指導する
喫煙者には禁煙開始をサポートする
根源的予防:喫煙を開始しないためのの努力をサポート
一次予防:喫煙中止の支援
二次予防:心房細動の頻度,持続時間,症状を軽減するための禁煙

大気汚染
慢性暴露による関連はない;心房細動になりやすい患者はシビアな大気汚染は避けるべきである

カフェイン
リスクは増えない。ヘビー摂取者であってもむしろ減らす

アルコール
中等度〜大量接摂取及び大酒家は心房細動リスクが増加
大量飲酒(1機会で4杯(女性)または5杯(男性)以上
1日2杯以上(男性)または1杯以上(女性)飲まないように指導
アルコール消費の詳細な病歴を聴く

薬剤
多くの薬剤が心房細動を増加させる
20%以上:ドブタミン,シスプラチン,
5〜20%;アントラサイクリン,メルファラン,インターロイキン,NSAIDS,ビスフォスフォネート,
5%未満:アデノシン,鉱質ステロイド,アミノフィリン,向精神薬,イバブラジン,オンダンセトロン
心房細動新規発症患者の薬歴を調べ,影響がないか見極める

レクレーショナル ドラッグ
大麻,ecstasy and anabolic–androgenic steroidsは心房細動リスクを増やす
新規発症では,それらの服薬歴を調査する
やめるように説得する

精神的ストレス
明らかなストレス,特にうつ,不安を明らかにし,適切に治療することが,不適切な生活スタイル選択 (喫煙,アルコール多飲,過食,運動不足)やアドヒアランス低下を避けることになる。それらの放置は心房細動周辺の他のリスクや慢性疾患へと進展する

身体活動
毎日の中等度の運動を勧める

<心房細動予防に関するコンセンサスステートメントII:合併疾患の管理>

甲状腺機能亢進症
顕性及び不顕性甲状腺機能亢進症は心房細動リスクを増やす
甲状腺機能をコントロールする
合併心疾患と危険因子を治療する

上室性頻拍 (SVT)
SVTと発作性心房細動合併例ではSVTをアブレーションし,必要なら心房細動に対し薬剤投与またはアブレーションを施行する
孤立性心房細動ではSVTが下地に無いかをチェックする

術後心房細動
β遮断薬とアミオダロンを用いる

アップストリーム治療
なし

<心房細動予防のためのライフスタイルアプローチ>
a0119856_22393352.png

適度な運動
健康的な体重
タバコ,レクレーションドラッグの中止
アルコール減量
その他:ライフスタイルの積極的変容,血圧管理,糖尿病管理,肥満治療,閉塞性睡眠時無呼吸の治療

### 心房細動のみならず全ての動脈硬化性疾患に当てはまる内容です。

アルコールは中等量でも良くない。大気汚染は今のところ関連はない,NSAIDs,ビスホスホネートなどにも注意,などが目につきました。

$$$ポーラ美術館展。印象派以降の美術史のおさらいでした。
a0119856_22321516.jpg

by dobashinaika | 2016-11-07 22:30 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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