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2015年 02月 13日 ( 1 )

日本人の低体重心房細動患者は脳卒中/全身性塞栓症が多いが出血は多くない:Circ J

Low Body Weight Is Associated With the Incidence of Stroke in Atrial Fibrillation Patients
– Insight From the Fushimi AF Registry –
Yasuhiro Hamatani et al
Circ J 2月13日

疑問;比較的低体重である日本人心房細動患者に、欧米の脳卒中リスクを当てはめて良いのか

方法:
・Fushimi AF Registryのサブ解析
・体重とそのフォローアップデータを活用し得た2945例対象
・平均追跡期間:746日
・体重50kg以下の低体重群と非低体重群の背景と脳卒中罹患率を比較

結果:
1)低体重群:788例26.8%

2)低体重群は、女性、高齢者、高CHADS2スコアが多い

3)脳卒中/全身性塞栓症罹患率:低体重群ハザード比2.19 (1.57-3.04; P<0.01)

4)大出血:低体重群ハザード比1.05 (0.64-1.68; P=0.84)

5)年齢、性別、抗凝固薬内服のサブグループごと同様傾向あり

6)プロペンシティスコアマッチング後の相関はさらに強まる

結論:低体重群は高リスクであり、脳卒中/全身性塞栓症の高罹患群である。にも関わらず大出血は特に高くはない。

### 大変興味深い結果です。以前からこの件に関しては大いに疑問を持っていました。だいたい欧米の大規模試験参加者の平均体重はみんな80kg以上なんですね。RELYが83kg, ROCKET AF、ATRISTOTLE, ENGAGE AFがそれぞれ82kgです。これに対し例えば日本人のみを対象としたJ-ROCKETAFは64kg, そしてこのFushimiに至っては59.1kgです。これだけ体重が平均20kg以上も違うのにイグザレルトを除いて欧米と同じ投与量で良いのかという根本的な問題は、実はこれまであまり取り上げられていなかったように思われます。

今回の患者背景を見ますと、低体重群は女性が78%、年齢はほぼ平均80歳、血圧低め、喫煙なし、といった特徴があり、まさにクリニックに毎日通院される、日本人の高齢やせ型体型のご婦人を思い浮かべることができます。

ただ意外だったのは脳卒中/全身性塞栓症が低体重で多い(年3.9%vs. 非低体重1.8%)のに対し、大出血は同等(両者1.7% )でした。低体重なので、ちょっと考えただけだと同じ薬剤の用量では出血が増えるように思われます。実際RELYやJ-ROCKETでも低体重で出血率が高いとの結果出ています。

今回は、抗凝固薬の多くがワルファリンでしたので、低体重例ではより慎重で低用量投与がされた可能性はあります。

一方脳卒中/全身性塞栓症が多かった理由としたは、Discussionではもともと重大疾患が合併しいていた、心房の線維化、血管内皮障害、全身の炎症の関与などが挙げられています。また本文の表を見るとINRの値こそ同じでしたが、低体重群の抗凝固薬処方率は46%で非低体重群の58%より有意に低かったようです。体重が低いために抗凝固薬がやや控えられたのかもしれません。

では、もう少し低体重群ではワルファリンの強度を上げたほうが良いかというとこれも怖いです、ではNOACかというとおそらくイグザレルトもエリキュースも低体重群では低用量処方が多くなると思われますが、これに関するエビデンスは極貧ですので、どちらにしもて大変悩むところです。

とにかく低体重の方には、これまで以上に気を配る必要があると思われます。

$$$ 下弦から1日経ったモーニングムーン。青空にしっかり楔を打っていますが、でも朝月ってなんとなく取り残されたような感じが漂っています。まさに残月。
a0119856_227471.jpg

といったところで取り残された今日のおとしもの。
a0119856_2274399.jpg

by dobashinaika | 2015-02-13 22:10 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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