人気ブログランキング |

2014年 07月 02日 ( 2 )

心房細動の治療とそのアウトカムに性差はあるのか?:Europace誌

Europace (2014)doi: 10.1093/europace/euu155
Sex-related differences in presentation, treatment, and outcome of patients with atrial fibrillation in Europe: a report from the Euro Observational Research Programme Pilot survey on Atrial FibrillationGregory
Y.H. Lip et al


疑問:現実世界では、心房細動の疫学、治療、アウトカムに性差はあるのか?

背景:女性は症候性が多く、65歳以上では血栓塞栓症の高リスクである

方法:EPRP-AFパイロット試験3119例対象

結果:
1)女性のほうが高齢:P<0.0001:75歳以上が多い

2)女性のほうが心不全、高血圧合併が多い

3)女性の心不全はEFが保たれている例が多い:P<0.0001。弁膜症が多い:P=0.0003

4)女性のほうが症状の強い例が多い:EHRAクラスIII, IV;P=0.0012

5)最も多い症状は動悸 (P<0.0001)、おそれ/不安(P=0.0007)、呼吸困難、胸痛、疲労などは同等

6)健康状態スコアは女性で有意低い;とくに精神的、身体的スコア;P<0.0001。性的行動は差なし

7)女性は電気的除細動少ない:18.5% vs. 25.5%, P<0.0001

8)女性はレートコントロールを受ける率が高い;P=0.002

9)生存退院例においては、女性のビタミンK阻害薬の禁忌例は23.8%

10)CHA2DS2-VAScスコア2点以上:女性は94.7%、男性は74.5%: P<0.0001

11)CHA2DS2-VAScスコア2点以上での抗凝固薬使用:女性95.3%、男性76.2%: P<0.0001

12) HAS-BLEDスコア3点以上:女性12.2%、男性14.5%

13)女性におけるVKA使用の規定因子:CHA2DS2-VAScスコア、低HAS-BLEDスコア、人工弁

結論:EORP-AFパイロットサーベイは心房細動の臨床像と管理における性差データを提示。女性は男性に比べ高齢でより症状が強くレートコントロールをより多く受けていた。また全体として脳卒中リスクが高かかったが抗凝固療法は高率に受けていた。

### まずは、心房細動と性差の関係に関する以前のブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/15968375/
http://dobashin.exblog.jp/18990510/

欧米では、この論文のように、女性のほうが心房細動を持つ重症例が多く、ワーファリン内服家での脳血管障害も多いことが報告されています。
このあたりがCHA2DS2-VAScスコアに女性が入っている所以かと思います。

ただ、この論文で塞栓のリスクが高いとありますが、もともとCHA2DS2-VAScスコアの項目の1つの「女性」が入っているので、男性より高いのは当たり前で、これは一種のトートロジーですね。

最近出た抗凝固療法と性差についての総説はこちら
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jth.12529/abstract
by dobashinaika | 2014-07-02 23:02 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

新規経口抗凝固薬は現実世界で適切に使われているのか?:AP誌

Ann Pharmacother June 30, 2014
Appropriateness of Prescribing Dabigatran Etexilate and Rivaroxaban in Patients With Nonvalvular Atrial FibrillationA Prospective Study
Anne-Sophie Larock et al


疑問:NOACは現実世界では適正に使用されているのか?

方法;
・ベルギーの薬局グループで2013年4月〜10月まで処方されたダビガトランとリバーロキサバンの使用適切性を調査
・the Medication Appropriateness Indexの10項目のうち9項目で評価
・一次アウトカム;不適切処方、二次アウトカム:不適切の内容と有害事象の頻度、薬剤師の介入

結果:
1)対象69人

2)1項目を満たす例:16人23%

3)2項目以上を満たす例:18例26%

4)不適正の内容
・不適正な(薬剤)選択:28%
・誤った用量:26%
・非現実的な処方様式:26%

5)有害事象:51%に認められた:TIA8例含む

6)薬剤師の介入:48回:94%は医師に受け入れられた

結論:ダビガトランとリバーロキサバンの不適切使用はよくあり、有害事象につながる可能性あり。ヘルスケア従事者と患者への再教育必要。薬剤師とのコラボがことを好転させる。

### 「不適切」の中身が問題ですね。不適切な選択とは、腎機能、併用薬剤禁忌などでしょうか。全文入手しだいまた報告します。

それにしても有害事象51%って多いですね。皮下出血も含んでいるのでしょうか。薬剤師の役割は大変大事だと思います。
by dobashinaika | 2014-07-02 22:16 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(35)
(35)
(27)
(27)
(26)
(25)
(24)
(21)
(20)
(20)
(19)
(18)
(16)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)

ブログパーツ

ライフログ

著作

もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

【Apple Heart S..
at 2019-11-26 07:35
心房細動合併透析患者において..
at 2019-11-21 06:49
日本の心房細動患者の死因の半..
at 2019-11-11 07:22
CHA2DS2-VAScスコ..
at 2019-10-30 17:36
中高年開業医におけるヤブ化防..
at 2019-10-18 07:27
日経メディカルオンライン:第..
at 2019-10-15 06:26
新規発症心房細動では服薬アド..
at 2019-10-06 10:47
心房細動診断においてスマホに..
at 2019-09-19 06:30
第17回どばし健康カフェ「心..
at 2019-09-05 08:51
強い症状のない血行動態の安定..
at 2019-09-04 06:36

検索

記事ランキング

最新のコメント

いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
取り上げていただきありが..
by 大塚俊哉 at 09:53
> 11さん ありがと..
by dobashinaika at 03:12
「とつぜんし」が・・・・..
by 11 at 07:29
> 山川玲子さん 山川..
by dobashinaika at 23:14
運慶展を観た方にWEB小..
by omachi at 19:45
> terryさん ご..
by dobashinaika at 08:38
簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39

以前の記事

2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン