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2014年 04月 11日 ( 2 )

心房細動発症とNSAIDの関係:BMJ Openより

BMJ Open 4月8日付けオンライン版より

Non-steroidal anti-inflammatory drugs and the risk of atrial fibrillation: a population-based follow-up study
BMJ Open 2014;4:e004059 doi:10.1136/bmjopen-2013-004059
Bouwe P Krijthe et al


【疑問】非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は心房細動リスクを高めるのか?

P:ロッテルダム研究に登録された一般住民コホートのうちベースラインで心房細動が認められない8423人

E:NSAIDsの使用あり

C:NSAIDsの使用なし

O:心房細動発症

【結果】
1)平均68.5歳、女性58%。平均追跡期間12.9年

2)心房細動:857人

3)現在のNSAIDs使用は心房細動リスクを増加させた:ハザード比1.76 (1.07~2.88)

4)最近のNSAIDs使用(中止後30日以内)は心房細動リスクを増加させた:ハザード比1.84 (1.34~2.51):年生、性別、他の交絡因子で補正

【結論】NSAIDsの使用は心房細動リスクを増加に関連あり。さらなる研究必要

### 確認事項として心房細動の診断は定期的な心電図記録、家庭医による情報、退院時のカルテ(全国的登録)からなされています。

以前からいくつかの症例対照研究などで同様の結果がしされてもおり、また関連はないとする報告もあったようです。
メカニズムとしてはcyclo-oxygenaseの抑制が体液貯留による血圧上昇、末梢血管抵抗増加、利尿作用や降圧薬の効果減弱をもたらすことや、COXの阻害が遠位ネフロンでのナトリウム分泌を抑え、血清ナトリウム値に変動をも当たらすことなどが説明としてあげられています。

NSAIDsの使用期間が気になりますが、表では最近の15〜30日の使用の群が最もハザード比が高く、30日を超えている例は関連がないようです。ただしこの群はnが少ないです。

心房細動診断は大規模コホートとしては手厚いように思いますが、全体にイベント数が少ない、NSAIDsの投与の理由や期間が今ひとつ不明な点、そしてもちろん処理していない交絡因子などの限界はもちろんあります。
by dobashinaika | 2014-04-11 23:24 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

心臓病患者における抗凝固薬+抗血小板薬3剤併用についての総説:EHJ誌

EHJ 1月21日号より

Triple antithrombotic therapy in cardiac patients: more questions than answers
Eur Heart J (2014) 35 (4): 216-223


1月にEuropean Heart Journalに掲載されたいわゆるトリプルテラピー(TT:抗凝固薬+抗血小板薬2剤)に関する総説です。
これまで気が付かずに折りましたが、参考になる内容なのでご紹介します。

図表やまとめがわかりやすいのですが、最後の著者の個人的見解と推奨を訳します。

・抗凝固薬、抗血小板薬併用中は消化管出血軽減のためプロトンポンプ阻害薬を併用

・心房細動患者に、冠動脈ステントを植え込む場合、急性冠症候群、待機的にかかわらず、ベアメタルステントを用いるべき。特に患者の出血リスクが高いまたは手術が計画されている人の場合。BMSではTTを1ヶ月施行後、抗凝固薬(INR2-3)単独(好ましい)または治療医の判断でアスピリン併用を行う

・もし心房細動患者に薬剤溶出ステントを挿入する場合は、出血リスクを減らすため、トリプルテラピーの期間をできるだけ短くすべき。
低〜中等度出血リスクの場合、ガイドラインではWOEST試験(アスピリンは必要ないであろうとの結論)を元に、TTは6ヶ月までとしている
われわれは、WOEST試験からアスピリンを完全に見限ることには確証が持てない。その代わり、アスピリンの使用期間を短くし、TTを1ヶ月まで短縮すべき。
心房細動患者でステント候補者は、その70%が本質的に出血リスクの上昇があるので、TTを1ヶ月まで減らすためのさらなる注意喚起が必要

・TT終了後、ワルファリン+クロピドグレルをINR2〜2.5にした上で計1年間継続。心房細動への抗凝固療法は常に必要

・併用時はPT-INRを2〜2.5に維持すべき。頻回のコントロール必要

・TTでのNOACは、現時点で推奨されない。リバーロキサバンの低用量併用が好まれるが、現時点では現存するデータの外挿によりこの方法は支持されている

・第3世代P2Y12阻害薬は、出血リスクが期せずして高いので、TTが必要な際は避けるべき

・低血栓塞栓リスク患者では、ACTIVE Wのサブ解析で、ワルファリンナイーブ患者は虚血性脳卒中イベントが同等だが、DAPTはワルファリンに比べ、はじめの6カ月の出血率は顕著に減少した

・このように短期間において,ステント植え込み前にワルファリンが投与されていないCHA2DS2-VAScスコア(0ー1)が低い患者では、DAPTがTTの代わりとなる

###大変良くまとまっていますね。わかりやすい。参考にしたいと思います。
by dobashinaika | 2014-04-11 00:42 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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