人気ブログランキング |

2013年 10月 19日 ( 2 )

米国FDAへの副作用直接報告2012年の1位はダビガトラン、2位はワルファリン

いつもツイッター上で貴重な医療情報を提供してくださる宇津貴史@Office_jさんからの情報です。

2012年1年間にアメリカFDAに直接報告された薬剤の副作用報告の概要です。
米国のNPOのISMP(Institute for safe medication practices)の集計です。
http://www.ismp.org/quarterwatch/pdfs/2012Q4.pdf

・2012年には201,310件の直接報告あり(全体の10%)

-1位:ダビガトラン 683例  出血
-2位:ワルファリン 492例  出血
-3位:リシノプリル 378例  血管浮腫、蕁麻疹
-4位:レボフロキサシン 330例  腱、関節障害
-5位:ヂュロキセチン 302例  離脱症候群
-10位:リバーロキサバン

さらに製薬会社からの情報に基づく副作用は以下のようになっています。
a0119856_23395275.png

老人における薬剤の副作用のための緊急入院でワルファリンによる出血で34%(致死性3.6%)に登ったとのことです。

予想されていたこととはいえ、やはり抗凝固薬の席巻ぶりとハイリスクぶりを改めて目の当たりにする思いですね。

当初はダビガトランの副作用の重大性を過小評価していた感のあるFDAが、安全性重視のアクションを起こしている経緯も示されています。

日本では各製薬会社の市販後調査で、副作用情報をみることができますが、このような「まとめサイト」があるとよりわかりやすいわけですが。
by dobashinaika | 2013-10-19 23:41 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

エリキュースとリバーロキサバンの市販直後調査から見えてくるもの

エリキュースに関する「市販直後調査」とイグザレルトに関する「安全性情報集積状況」が出ています。(後者はやや以前に出ていたようですが、気付かずにおりました)

エリキュースに関しては発売後から6ヶ月間の報告です。
http://www.eliquis.jp/resource/1381813286000/eliquis/direction/report3.html#1

・推定投与例8,000例
・副作用による死亡報告なし
・出血関連副作用62例、うち36例(58%)が75歳以上
・重篤な出血事象は11例
-CCr15以下が1例、30以下が1例、未測定が2例。
- 6例が抗血小板薬併用例
- 6例は投与から2週間以内
・大出血8例中6例はHAS-BLEDスコア3点以上
・4例の症例概要によれば
-脳梗塞発症翌日からの投与例
-転倒に伴う外傷性くも膜下出血(80代女性)
-シロスタゾール+クロピドグレルの3剤併用例
-アスピリンとの併用による消化管出血

イグザレルトに関しては平成24年4月〜25年3月までの副作用収集です。
http://xarelto.jp/ja/home/product-information-area/product-overview/

・推定投与例35,000例
・副作用を有し、転帰死亡が17例
・出血関連副作用326例
・重篤な出血事象は69例、従来までのも合わせると178例
-CCrが15〜29が12例、未測定が51例
-CCr15未満にもかかわらず5mg/日投与が8例
- 178例中112例が75歳以上
-39例が抗血小板薬併用
・虚血関連事象(脳梗塞12例など)24例
- CCr50以上にもかかわらず10mg投与が5例
・重篤出血の症例概要は
-CCr25、10mg、80台男性、気道出血で死亡
-被殻出血の既往、15mg、70台男性、脳幹出血で死亡
- シロスタゾール内服、15mg、80代女性、脳出血
-プラザキサ220内服下で心原性脳塞栓→イグザレルト15に変更、1ヶ月後に消化管出血

### こうした現場からの報告は自主報告ですので、頻度を論議するのはナンセンスです。
「どのような症例にどう投与すると重篤な事象をきたしてしまうことがあるのか」を学ぶためのものだと思います。

やはり両薬とも、未だに「間違った使い方」をしていれば大変なことになるということを実感します。
・腎機能禁忌または未測定例
・腎機能が良好にもかかわらず低用量使用例
両薬ともプラザキサよりは、腎機能低下例への垣根がやや低いと思われますが、とはいえそれでもルール通りに使わなければダメなわけで、安易な使用は許されないと思われます。

とくに、「何も理由がないのに低用量からの投与」は慎むべきです。
バイエル薬品からの情報提供では、「特定使用成績調査」の1,000例の中間報告において、
CCr50以上なのに10mgが252例にも投与されています。そのうち187例は「高齢」という理由だけです。

エリキュースの2.5mgもそうですが、理由なく低用量から始めるのはプラザキサ110mgから開始する癖が付いているからだと思われます。よく言われるように、イグザレルト、エリキュースの両薬の低用量は、プラザキサと違い、大規模試験での単独群が設定されていない、エビデンスの非常に乏しい用量ですので、現時点でできるだけ使いたくないと思われます。

また抗血小板薬の併用も多く報告されていますし、出血既往その他出血リスクの高い例はやはり注意です。

このような現場(あえてリアル・ワールドと言わない)からの情報は得るものが多いですね。
by dobashinaika | 2013-10-19 00:12 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(35)
(35)
(27)
(27)
(26)
(25)
(24)
(21)
(20)
(20)
(19)
(18)
(16)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)

ブログパーツ

ライフログ

著作

もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

【Apple Heart S..
at 2019-11-26 07:35
心房細動合併透析患者において..
at 2019-11-21 06:49
日本の心房細動患者の死因の半..
at 2019-11-11 07:22
CHA2DS2-VAScスコ..
at 2019-10-30 17:36
中高年開業医におけるヤブ化防..
at 2019-10-18 07:27
日経メディカルオンライン:第..
at 2019-10-15 06:26
新規発症心房細動では服薬アド..
at 2019-10-06 10:47
心房細動診断においてスマホに..
at 2019-09-19 06:30
第17回どばし健康カフェ「心..
at 2019-09-05 08:51
強い症状のない血行動態の安定..
at 2019-09-04 06:36

検索

記事ランキング

最新のコメント

いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
取り上げていただきありが..
by 大塚俊哉 at 09:53
> 11さん ありがと..
by dobashinaika at 03:12
「とつぜんし」が・・・・..
by 11 at 07:29
> 山川玲子さん 山川..
by dobashinaika at 23:14
運慶展を観た方にWEB小..
by omachi at 19:45
> terryさん ご..
by dobashinaika at 08:38
簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39

以前の記事

2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン