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2013年 03月 17日 ( 5 )

新規抗凝固薬を出すときは必ず体重測定を:リバーロキサバンの特定使用成績より

昨日のブログで書かせていただいた、リバーロキサバンの特定使用成績調査ですが、バイエル薬品の担当の方に話を伺ったところ、クレアチニンクリアランス未測定例の中には、患者さんの体重の記載がないケースカード(実際にはネット上)があったとのことです。

たしかに、当院では、診察室の机の目の前に体重計があるので、糖尿病患者さん、心臓病患者さん,特に心不全の既往のある方は、外来で毎回体重を測ってはいますが、長らく見ていて落ち着いている患者さん、たとえばずっとワルファリンを飲んでいてINR測定目的で通っている方などは、新患でなければなかなか測りません。ある程度体格がしっかりしていると、まあ大丈夫だという感じで測定がおろそかになるといったことがあるのかもしれません。あまりにも身体属性として当たり前のことなので、かえって測定を怠る医療機関もあると思われます。

抗凝固薬を新たに出す場合、体重測定を忘れずに。もちろんクレアチニンも。
by dobashinaika | 2013-03-17 23:30 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

第77回日本循環器学会3日目見聞記(2):新規抗凝固薬で実は一番大切なこと

3日目、医療安全・医療倫理に関する講演会(これまた非常に面白かったです。特に大阪大学の中島和江先生。薬科大学から阪大医学部、ハーバードの公衆衛生大学院というすごい経歴ながらノンテクニカルスキルに関するスーパーわかりやすいレクチャー。こちら参照
http://www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/home/hp-cqm/ingai/index.html
を聴いた後、教育セッション「新しい抗凝固薬の臨床」を聴きました。

個人的には東海大学の富田愛子先生の「オーストラリアのNOACの使用実態」が面白かったですね。なぜなら、いま現場でNOACを使う上で最も大きな悩みの種はモニタリングでもエビデンスでもなくて、ズバリ、コストだからです。患者さんも医師も、高いから飲まない、飲めない、出さない、出せないのです。たとえば老健施設に一時入所した場合、医療費は施設持ちです。300mg/日だと
1ヶ月15,480円にもなる薬は施設入所者には出せません。

富田先生はオーストラリアでGPの経験があるのとことです。オーストラリアはイギリス式のプライマリケアシステムでGPがアクセスパーソンです。ワルファリン管理はほとんどGPが行い、Cardiologistは年1回INRをチェックするのみです。 心房細動例の46 %に抗凝固薬が処方され、74%が治療域に入っています。ダビガトランはNVAFにおいては医療保険にあたる国民薬品給付システム(PBS)リストに入っていないため、月12,000円全額自己負担になります。これでは大変なので、薬剤普及プログラム(PFP)があり、発売6ヶ月、製薬会社が登録患者に無償で薬剤を提供し、医師が直接患者さんに手渡す方式がとられています。

効果を理解している患者さんがダビガトランのPFPに5ヶ月で27000人も殺到したとのことです。このシステムは市販後調査などが容易な反面、6ヶ月以降はまた自費になるなど問題も多いとのことです。

富田先生はテキストで、「治療法を選択するときは患者のライフスタイル、経済状況も検討しなければならない.ジェネラルプラクティスは生活の流れ、家庭環境、経済状況、家族歴、既往歴、診断結果、内服中の薬などのデータを収集し、循環器専門医に伝える役目がある」と書かれていますが、まさにその通り!です。肉体労働なのか、納豆や野菜を多く食べるのか、転倒リスクはあるのか、3割負担かどうか、経済状況はどうか。他にも高い薬を出していないかどうか。こうしたポイントを知ることが、CCrやAPTTを測るのと同じくらい大事です。ほんとに。
by dobashinaika | 2013-03-17 23:07 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

第77回日本循環器学会3日目見聞記(1):新規抗凝固薬の大規模試験責任者3人による討論

日循3日間、どっぷり抗凝固薬に浸かってきました(笑)。

今日は午前中Meet the expert10でRE-LYのConnolly Stuart先生(マクマスター大学)、J-Rocket AFの堀正二先生(大阪府立成人病センター)、Alexander John先生(Duke大学)によるディスカッションがありました。

前半は各先生から各試験の概要、特にサブ解析に関して解説がありました。後半時間が余ったので、座長の後藤信哉先生の計らいで3先生のスリーショットによるパネルディスカッションとなりました。新規抗凝固薬の大規模試験開発推進者であるの3先生の掛け合いはなかなかにききごたえがありました。

RE-LYは用量設定から既に2アームに分かれての試験であるのに対し、他の2つは低用量処方に関しては腎機能低下例に対しての付帯事項であること。Rocket-AFはCHADS2スコア高値例対象であること。アリストテレスの低用量設定のみ計算式を用いていないこと。などなどが話題となりました。

EBM watcherとしては面白かったのですが、いかんせん英語による討論だったことと、試験デザインや試験の解釈に話題が及んでいて(当たり前ですが)、プライマリケア従事者にはちょっと距離があったかなと思いました。こういう議論、10数年前勤務医時代にEBMをかじり始めた頃はすごく面白かったのですが、最近関心が複雑系(臨床試験もそれはそれで別の意味で複雑系ですが)の方に向いているので、どうもマニアックに聞こえてしまうのです。これはいけない傾向ですね。サイエンスはサイエンスとしてきっちり、見ていかないとですね。

個人的にはAlexander先生が強調していた、アリストテレスのサブ解析で全身塞栓症はCCr低値でアピキサバン、ワルファリン両者とも多いのに対し、大出血はCCr低値ではアピキサバンの方が発症率が低いという点が気になります。以前のブログでも取り上げました。
http://dobashin.exblog.jp/16869630/

高齢者でCCr30くらいの人で抗凝固薬適応の人はいっぱいいるし、今後増えるからです。実臨床で腎機能低下例に対しNOACがどう使われているのか、注目したいです。
by dobashinaika | 2013-03-17 22:04 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

第77回日本循環器学会学術集会2日目見聞記(4)日本のメガ施設でのダビガトラン使用経験

2日目のシンポジウム12「新たな抗血栓療法のEBM」から前半3題のダビガトランに関する演題を聞きました。

なお以下の内容は、小田倉が受け取った情報を記すもので、文責はすべて小田倉にあります。内容の誤りはご指摘いただければ幸いです。

*国立循環器病センターからのダビガトランの使用報告
・406例、平均67歳、220mgが259人、チャズ0,1が60%
・APTT80以上なし。採血時間とAPTTには関係なし
・【イベント】
脳梗塞1、下肢塞栓1.死亡1(悪性腫瘍)
脳梗塞の1例:60歳チャズ1点。アブレーションで前日から休薬、翌日に脳梗塞
下肢塞栓の1例:内視鏡検査のため3日間休薬中に発症
大出血なし。小出血11.出血例は非出血例に比べAPTT高め
服薬中腎機能低下4例:CCr60くらいから20~38くらいに低下

*大阪大学からのダビガトランの減量に関する報告
・STACIN研究:6施設から心房細動例618人登録
・ダビトラン特有の減量因子(CCr50未満、70歳以上、出血の既往)をいくつ持つかを検討
・2~3因子あり例が35%
・チャズ3点以上でこの因子を持つ例が多い(40%以上)

*倉敷中央病院からのAPTTに関する報告
・466例、平均70.9歳。うち外来フォロー275人対象
・APTTは投与後平均59日に測定。(基準値30.3~45.4)
・【イベント】
塞栓症6人(脳梗塞4、下肢1、SMA塞栓1)
出血1.8%(頭蓋内出血1)
・出血例はAPTT63秒以上、CCr61.3以下
・APTT70以上で有意に出血多い
・APTT分布様式はピーク採血例とトラフ採血とで差なし
・トラフ時採血群ではaPTT70以上での出血が有意に多かった
・最初の90日(150日)に出血事象が集中

###休薬は危険、減量因子多数は薬変更考慮、APTT値は採血時間にあまり関係ない(あるのだろうが臨床的にピークかトラフか区別できない)。APTT高値は危険

といったところが落とし所だったかと思われます。

全体の感想は3日目終わってからアップします。
by dobashinaika | 2013-03-17 07:57 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

第77回日本循環器学会学術集会2日目見聞記(3)15日のリバーロキサバン特定使用成績調査発表

15日に行われたLate Breaking Cohort Studies1からです。今回からRCTでなく登録研究などもLate Breakingセッションが設けられたようです。

イグザレルトの特定使用成績調査(PMS)に関する中間報告がありましたが、私、他のセッションに出席しており実地見分しておりません。しかしながら無視できない話題のため「メディカルトリビューン」社が会場で配布している学会公認のNews Flashの情報をご紹介いたします。

・2013年1月13日時点で3379例登録(当院も何例か登録していたと思いました)。
・登録後6カ月経過し調査票が回収され133例の解析
・11例で出血性副作用
・重大な出血は1例(胃腸出血)
・CCr15未満の使用は確認されなかった
・CCr30未満の安全性未確立例への処方が78例(2.3%)
・CCr不明例が516例(15.3%)

これは処方した患者さんを医療機関が登録するもので、以前出た市販直後調査とは別のものと思われます。
http://dobashin.exblog.jp/17022781/

しかしながら市販後調査でも腎機能超低下例に使われていたことが報告されております。
とにかくCCr不明!例があるというのには驚きです。しかも500例以上も。

先ごろ出たプラザキサ適正使用のお願いのときにはeGFRをCCrと誤解したような症例が報告されていました。

そもそもわれわれ内科医、循環器医(非腎臓専門医)はこれまでCCrというものには大変なじみが薄かったのです。抗菌薬、フィブラート、抗不整脈薬など腎機能を気にしなければいけない薬剤は多々ありますが、おsれらとてまあここまで厳しくCCrの細かい数字をチェックするように言われている薬はほかにありません。

いっぽうCKDの普及以来eGFRにはわれわれは昨今かなり慣れ親しんできております。

とはいえ、まあしつこいようですが、全然チェックしないというのはアウトです。

3379例中133例と大変少数の報告なので、もっと全容が知りたいところですが、たとえば処方箋へのCCr記載を添付文書上で義務づけるなどの措置はできないものでしょうか。
by dobashinaika | 2013-03-17 00:03 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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