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2013年 03月 16日 ( 2 )

第77回日本循環器学会2日目見聞記(2):心房細動に対する切らない”外科手術

本日午前中は、今個人的に最も注目している治療法である、胸腔鏡下心房細動治療に関する発表を聞きました。(FRS-045)

演者の都立多摩総合医療センター心臓血管外科・大塚俊哉先生(大学の1年先輩であることが最近発覚)の術式はすでにJACCで発表され当ブログでもご紹介いたしましたが、完全胸腔鏡下で、左心耳を切除する方法で、これにより左心耳血栓形成の防止及び抗凝固薬からの解放を目的とするものです。
http://dobashin.exblog.jp/17381555/

・心外膜からの肺静脈隔離+神経叢除神経+左心耳切除(A群88例)と左心耳切除のみ群(B群30例)で比較
・B群はVAScスコア平均5.5点で、血栓塞栓症既往例。21例は血栓塞栓症直後の切除。20例はワーファリン不適例
・手術関連死、大きな合併症なし
・A群のAFフリー率77%(1年)、B群は全例抗凝固薬中止後塞栓症なし(平均21カ月)

### とくにB群の手術時間平均38分!というのに、個人的には驚嘆いたしました。これは、ひそかに画期的治療だと思うのです。塞栓血栓症で悩んでいた人が合併症なし。塞栓症なし。抗凝固薬なしの世界に突入できるわけです。抗凝固薬フリーとの内容に対する家坂先生(座長)のcongratulations!の言葉に拍手が沸き起こったのもうなづけると思います。

いまのところ、塞栓症の既往があり、ワーファリン不適例や高リスク例に施行されていますが、将来、症例が蓄積されれば、CHADS2スコア低値例やいわゆる孤立性心房細動へと適応拡大が見通せると思うのです。特に抗凝固薬フリーということになれば40代、50代の方で、今後数十年抗凝固薬を飲まねばならない人にとって、左心耳だけ切ってしまって、塞栓症と出血リスクからの早めの離脱が期待できるかもしれません。

A群の治療法ももっと進化すればイベントフリー率のさらなる向上の可能性が考えられます。すくなくともカテーテルアブレーションに匹敵あるいは上回る成績が期待できるのでないしょうでか。
ある意味、アブレーションクラスタにとっても脅威になってくるかも知れません。

WATCHMANデバイスの有効性、安全性がしっかり確立されておらず、日本での見通しなど全然立っていないのに対し、すでに何十例もやられているのです。

実は、セッション後,長時間にわたり大塚先生とお話しさせていただく機会を得ることができ、今後も大変将来性の高い手術であることがよく理解できました。その詳細は企業秘密に近いようなので(笑)ちょっと明らかにはできませんが。
とにかく心房細動になったら、VAScスコアを適応する場合65歳以上で全例抗凝固薬ですし、そうでなくても50代くらいで高血圧(まさに私がそう)でも抗凝固薬です。その前にその元を断つ。‐まさに根治療法だと思うのは私だけではないはずです。

今のところは適応は限定されていますので、今後どのような症例に適応すべきかという点や長期成績、技術の普及など懸案事項はありますが、同時に期待すべきポイントでもあります。
術式の紹介はこちらの都立多摩総合医療センターのホームページで
http://www.fuchu-hp.fuchu.tokyo.jp/medical/shinzou_geka_g1.html
by dobashinaika | 2013-03-16 23:32 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(1)

第77回日本循環器学会学術集会2日目見聞記(1)日野原重明先生・百一賀記念講演会

まずは日野原重明先生の百一賀記念講演会から

日野原先生は10日前に胸椎11番目を圧迫骨折されたそうですが、聖路加国際病院整形外科の優秀な技術による手術の結果、3日後には秋田などの講演に出かけられていたとのことです。

まさに驚異としか言いようがありません。

講演中はもちろん終始立って、とうとうとよどみなく、ウィリアム・オスラー先生の言葉引きながら、「医療プロフェッショナルの育成」に関しお話しされました。

総合医、家庭の資質を身につけよ、患者さんへも含めた教育者であれ、等々全医療者が耳を傾けるべき箴言かもしれません。

来年もまたこの学会で講演を拝聴するのを楽しみにしたいと思います。

第77回日本循環器学会学術集会2日目見聞記(1)日野原重明先生・百一賀記念講演会_a0119856_194359100.jpg

by dobashinaika | 2013-03-16 19:45 | 開業医の勉強 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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