人気ブログランキング |

2010年 02月 28日 ( 2 )

第3回日本心臓ペースメーカー友の会宮城県支部茶話会

本日、第3回のペースメーカー友の会宮城県支部茶話会がありました。ペースメーカーやICDを装着されている患者さまが5~6人で一つの机を囲み、そこに私、東北大学循環器内科の福田浩二先生、日本メドトロニック社仙台支店の金塚さんはじめ2名、の計4名のアドバイザーが加わり、日ごろのペースメーカーに関する疑問や悩む、不安といったものを出し合いました。

私にとってこの会は、ペースメーカー、ICD患者さんの本音や本当に知りたいことがストレートにわかるという点で、大変貴重です。普段患者さんは、医者と一対一で接すると、ついいい患者でいようという気持ちが働き、本音をぶつけてくれないことがあります。何人かの同じ問題を抱えている方と一緒だと、そういった規制が外れて、普段話せなかったこと、医者に言おうとしてもためらってしまったことが、たくさん出てきて、患者さんの心理をつかむうえでも大変勉強になりました。

会の冒頭、事務局は11名だが、体調が悪い方や各人のお仕事のご都合などで、なかなか思うようにマネージメントができないとのお話がありました。顧問としましても、今後今まで以上に協力していきたいと思います、。a0119856_2394748.jpg
by dobashinaika | 2010-02-28 23:10 | ペースメーカー友の会

発作性心房細動の慢性化の予測にはHATCHスコアが有効である。

多くの心房細動患者さんが、初めは年に数回だった発作が、だんだん頻度を増し、ついに慢性化するというストーリーをたどります。ではどんな人が慢性化しやすいのか?それを事前に知っておけば、その因子を是正することで慢性化が防げる可能性があります。多くの発作性心房細動患者を対象に前向きに調べた試験の結果がアメリカの心臓専門誌Journal of American College of Cardiologyの2月23日号(J Am Coll Cardiol 2010 55: 725-731)に掲載されました。

研究の目的)多くの患者を対象に、心房細動の進行を研究し、心房細動の予後(成り行き)を研究する

背景)発作性や持続性心房細動が永続性心房細動に移行するのをよく見る。しかしすべての症例がそのように進行するわけではない。

方法)ヨーロッパの182の病院で研究対象として登録されている心房細動患者5333例のうち、発作性心房細動、あるいは入院中に自然に停止したり、薬物により心房細動が停止したのを初めて認めた患者、計1219人(平均年齢64歳)を対象とした。これらの人を1年間追跡した。

結果)1年間で178人、15%の人が永続性心房細動に移行した。心不全、年齢75歳以上、一過性脳虚血発作または脳梗塞、慢性閉塞性肺疾患、高血圧の5つが、心房細動を永続化させる独立した危険因子であった。これらのうち一過性脳虚血発作または脳梗塞を2点、心不全を2点とし、それ以外を1点とした点数にした場合(この点数をHATCHスコアと名付けた)、5点以上の人は約50%が永続化したのに対し、ゼロの人の移行率は6%であった。永続化した人の入院率や心不全発症率などは高かった。
a0119856_1947271.jpg


結論)かなりの頻度(15%)で発作性の人が永続性に移行した。HATCHスコアは永続化を予測するうえで有用であった。

注;この論文では発作性心房細動とは自然に停止するもの、持続性心房細動は7日以上続き自然には止まらないものと定義されている。

###心房細動は、心房の筋肉がいろいろな理由で線維組織などに変化し、次第に進行します。心房の筋肉を変化させる理由は何でしょうか?ひと口に加齢現象だと片づけがちですが、でも心房細動にならずに一生を終える方のほうが圧倒的に多いのです。その差は一体何でしょうか?その原因は複合的であるということをこの論文では示唆しています。慢性疾患の時代に入り、前世紀のように結核菌→結核といったような一義的な要因で決まる病気は少なくなりました。しかしそれでもなお、どんなことが心房細動の永続化に良くないのかを知りたいと思います。この論文はそうした患者、医師の思いを代弁してくれており、しかもわかりやすい点数まで出してくれています。面白いことに、点数となる項目は心房細動の脳塞栓を予測するCHADS2スコアと、一つしか項目が違いません(HATCHの肺疾患がCHDAS2では糖尿病)。HATCHスコアは今後有用な武器になりそうです。だたCHADS2と違って、何点以上だと治療開始といった指標とは違い、なるべく低くしておいたほうがよいといった意味で受け取るべきでしょう。
 なお、他の多くの研究では年間の慢性化率はもっと低く見積もられているようです。たとえば日本の心房細動研究の第一人者、山下武志先生のデータでは年間5.5%とされています。一つの原因として、本研究では平均年齢が高いことや、薬物による停止を認めた人を含んでいるため、持続性の人が混じっている可能性がある方と思います。

論文のまとめはこちら
by dobashinaika | 2010-02-28 20:06 | 心房細動:疫学・リスク因子


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(35)
(35)
(27)
(27)
(26)
(25)
(24)
(21)
(20)
(20)
(19)
(18)
(16)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)

ブログパーツ

ライフログ

著作

もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

【Apple Heart S..
at 2019-11-26 07:35
心房細動合併透析患者において..
at 2019-11-21 06:49
日本の心房細動患者の死因の半..
at 2019-11-11 07:22
CHA2DS2-VAScスコ..
at 2019-10-30 17:36
中高年開業医におけるヤブ化防..
at 2019-10-18 07:27
日経メディカルオンライン:第..
at 2019-10-15 06:26
新規発症心房細動では服薬アド..
at 2019-10-06 10:47
心房細動診断においてスマホに..
at 2019-09-19 06:30
第17回どばし健康カフェ「心..
at 2019-09-05 08:51
強い症状のない血行動態の安定..
at 2019-09-04 06:36

検索

記事ランキング

最新のコメント

いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
取り上げていただきありが..
by 大塚俊哉 at 09:53
> 11さん ありがと..
by dobashinaika at 03:12
「とつぜんし」が・・・・..
by 11 at 07:29
> 山川玲子さん 山川..
by dobashinaika at 23:14
運慶展を観た方にWEB小..
by omachi at 19:45
> terryさん ご..
by dobashinaika at 08:38
簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39

以前の記事

2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン