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新型インフルエンザワクチン;そのl効果とリスク

本日、新型インフルエンザワクチンについて、東北放送のテレビ取材を受け、当院での接種の様子がお昼前のニュースで放映されました。本日から、宮城県の健康成人全員がワクチン接種可能となりましたが、予約は今のところ少ないといった内容でした。

最近ワクチンについて、打つべきかどうかの問い合わせがかなり多くあります。未知のウイルス、未知のワクチンであり、安全性や打つことで得られる安心感も一定していないようです。

こんなときまず必要なのはインフルエンザがどのくらいのリスクがあるのか、ワクチンにどのくらいの効果あり副反応があるのか、といったことに関する正しい知識です。現時点で不明な点も多いのですが、これまで数カ月にわたる流行期を通じて、分かったことも数多くあります。そうした点を当院として、分かりやすくまとめました。来院された方にはお配りいたしております。

新型インフルエンザの知識
~リスクを正しく理解するために~


<新型インフルエンザのリスクについて>
・新型インフルで医療機関を受診した数は日本国民の⇒⇒⇒8人に1人(約1539万人)
・受診者の年齢は⇒⇒⇒⇒⇒85%が20歳以下
・このうち入院は⇒⇒⇒⇒⇒⇒1300人に1人
・入院患者のうち健康だった(呼吸器病や心臓病のない)人の割合は⇒⇒⇒⇒⇒⇒65%
・肺炎などの重症者は、入院患者の⇒⇒⇒⇒⇒⇒16人に1人
・死亡したのは受診者の⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒13万人に1人(122人)  うち4割は5歳未満と70歳以上 
厚生労働省のホームページから、平成21年12月中旬までのデータ)

<土橋内科医院のデータ>
・これまでに当院でインフルエンザと診断された方⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒147人
     9歳以下・・・・・・3人
     10歳代・・・・・・35人
     20歳代・・・・・・71人
     30歳代・・・・・・10人
     40歳代・・・・・・13人
     50歳代・・・・・・・5人
     60歳以上・・・・・・1人
・入院された方はゼロです。
(平成21年9月から平成22年1月23日まで)

<最近の感染者の動向>
・12月中旬以降、国内の発生は減少しています。
・しかし、沖縄県など一部の地域では増加傾向を示す地域も見られます。

新型インフルエンザワクチンの基本的知識

<ワクチンの製造方法>
日本では死滅したウイルスを鶏の受精卵に入れて増殖させたものを使用しています(不活化ワクチン)

<ワクチンの効果>
・新型インフルエンザワクチンが、インフルエンザの発病や入院、死亡を少なくしたというデータは今のところありません。
 ⇒なぜなら、ワクチンを打った人と打たない人で比較したデータがまだないからです。

・しかし季節性ワクチンについては、以下のようなデータが確立しています。
 1.65歳未満の発病を10~30%減らす
 2.65歳以上の入院を30~70%減らす
 3.老人施設入所者の死亡を20%減らす
(Fioreらの論文より;Morbidity and Mortality Weekly Report 58(RR-8);1-52,2009)
・ワクチンの効果は4~6か月です。

<ワクチン(国産)の副反応>
・これまでワクチンを打った人(約1640万人)のうち、1万人に1人(0.001%)で副反応が出ました。
・このうち重篤な副反応(ショックなど)は10万人に1人(0.002%)でした。
・参考までに季節性インフルエンザの重篤な副反応は100万人に3人(0.0003%)です。
厚生労働省ホームページから)

<まとめ>
・現在まで、新型インフルエンザは若年者の患者が多い。

・受診者数、死亡者数は例年の季節性インフルエンザと比べ大差はない。

・新型ワクチンの効果は実証されていないが、季節性ワクチンから推測して効果が期待できる

・新型ワクチンの重篤な副反応は極めて少ない

<当院からのメッセージ>
・新型インフルエンザは、人類がこれまで経験したことのない感染症です。

・高齢者はかかりにくい、最近下火である、からといって、まだ決して油断できません。

・ワクチンを打てば100%かからなくなるわけではありません。
しかしワクチンには発病予防、重症化予防(肺炎などになりにくい)に一定の効果があると考えられます。

・ワクチンの副反応はごくまれです。

上記のように数字を羅列されても、「で、ワクチンは打ったほうがいいの?」との疑問がわくかもしれません。データはあくまで自分の体の外側のものであり、注射されるのは自分自身ですから。医療従事者は、患者さんのこのような迷いを軽減させるための存在であるともいえます。

打とうか打つまいか迷っている方がいらっしゃいましたら、ご一報ください、喜んでご相談に応じます。
by dobashinaika | 2010-01-25 23:38 | 新型インフルエンザ | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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