宮城保険医新聞 1354号 より
-診療所外来看護の新しい試み-
総合病院の専門医から開業医に転身して5年がたった。
私は病院時代および現在を通じて、一般的に外来看護に対して不満を持っていた。
すなわち看護師が本来の看護業務をしていないという点である。
とくに開業後の当院での看護師業務は、一日の大半を採血や検査に追われ、時に診察介助をするといったルーチン化した性格のものであった。
これは恐らく日本の診療所における看護のある程度の典型スタイルとも思われる。
そこには医師の私は言うのも僭越であるが、看護師本来の専門性が生かされていないように思われた。
そこで、当院では昨年からまず手始めに、心房細動の患者に対し、看護師による詳細なプロフィール評価を始めた。
心房細動患者の、家族歴、既往歴、家族構成、仕事内容、食事の嗜好などのほか、病気に関し何が知りたいのか、何が不安なのか、何が疑問なのか、また心房細動といわれてどんな気持ちがしたか、発作が起こると生活の上で具体的にどう支障があるのか、等々に関し、1時間程度かけてじっくり看護師が話を聞く時間を設けたのである。
その後徐々に対象を広げ、高血圧や糖尿病など生活習慣病全般の患者に対し初回または2回目の外来の際、完全予約制として、上記のような情報を看護師に収集してもらっている。
これらの情報は電子カルテに記入され、医師と看護師とで患者情報が共有される。
この試みは患者、医師、看護師3者それぞれに大きな効果をもたらした。
患者にとってはじっくり話が聞いてもらえる、特に不安や疑問を時間をかけて聞いてもらえることで満足感が増した。
医師にとっては、何よりワークシェアしたことで仕事が楽になり、また医師に直接言いにくいような患者の不安などを知りえるようになった。
そして看護師にとっては、患者に寄り添いケアするという本来の看護師の専門性が生かすことが少しであってもできるようになり、やりがいを感じられるようになっている。
上記外来を「健康増進外来」と名づけたが、これは岩手県の藤沢町民病院、佐藤元美先生による先進的な取り組みをモデルとしている。
同院では患者一人に担当看護師を付け、月1回継続的に一人の患者に上記のような傾聴共感を旨とする外来を実践している。
スタッフ教育、予約の問題等障壁もあるが、当院でもさらに上記のような取り組みを見習い発展させていきたいと考えている。
総合病院の専門医から開業医に転身して5年がたった。
私は病院時代および現在を通じて、一般的に外来看護に対して不満を持っていた。
すなわち看護師が本来の看護業務をしていないという点である。
とくに開業後の当院での看護師業務は、一日の大半を採血や検査に追われ、時に診察介助をするといったルーチン化した性格のものであった。
これは恐らく日本の診療所における看護のある程度の典型スタイルとも思われる。
そこには医師の私は言うのも僭越であるが、看護師本来の専門性が生かされていないように思われた。
そこで、当院では昨年からまず手始めに、心房細動の患者に対し、看護師による詳細なプロフィール評価を始めた。
心房細動患者の、家族歴、既往歴、家族構成、仕事内容、食事の嗜好などのほか、病気に関し何が知りたいのか、何が不安なのか、何が疑問なのか、また心房細動といわれてどんな気持ちがしたか、発作が起こると生活の上で具体的にどう支障があるのか、等々に関し、1時間程度かけてじっくり看護師が話を聞く時間を設けたのである。
その後徐々に対象を広げ、高血圧や糖尿病など生活習慣病全般の患者に対し初回または2回目の外来の際、完全予約制として、上記のような情報を看護師に収集してもらっている。
これらの情報は電子カルテに記入され、医師と看護師とで患者情報が共有される。
この試みは患者、医師、看護師3者それぞれに大きな効果をもたらした。
患者にとってはじっくり話が聞いてもらえる、特に不安や疑問を時間をかけて聞いてもらえることで満足感が増した。
医師にとっては、何よりワークシェアしたことで仕事が楽になり、また医師に直接言いにくいような患者の不安などを知りえるようになった。
そして看護師にとっては、患者に寄り添いケアするという本来の看護師の専門性が生かすことが少しであってもできるようになり、やりがいを感じられるようになっている。
上記外来を「健康増進外来」と名づけたが、これは岩手県の藤沢町民病院、佐藤元美先生による先進的な取り組みをモデルとしている。
同院では患者一人に担当看護師を付け、月1回継続的に一人の患者に上記のような傾聴共感を旨とする外来を実践している。
スタッフ教育、予約の問題等障壁もあるが、当院でもさらに上記のような取り組みを見習い発展させていきたいと考えている。
by dobashinaika
| 2009-01-05 08:00
| 開業医生活
土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
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