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AIによる心房細動の診断と発症予測:現状と課題:AFNET/EHRAコンセンサス会議から



・人工知能は、教師あり学習と教師なし学習の2つに大別される。
・教師あり学習では、出力や目標が定義されている(例:心電図上の洞調律や心房細動の認識など)。学習プロセスでは、ラベル付けされたデータセットを使用して、分類や回帰の問題を解決する。教
・教師なし学習では、出力の予測やラベル付けされたデータの必要性はない代わりに、パターンや構造を特定し、類似した変数をクラスタリングすることを目的として、生データがモデル化される。
・現在、教師なしディープニューラルネットワークが、最も一般的な方法だが、大規模なデータセットを必要とし、独自の論理プロセスを生成するため、複雑な説明分析手法を必要とするブラックボックスを作り出す

・AFの分野ではAI関連論文が大量に増加しており、2016年以降、PubmedでAFとAIに関する5298件の論文がインデックスされている163。
・増加の理由として第一に、心房細動評価の二本柱である電気信号と画像信号は、機械学習アプローチに適していること。
・第二に、Computing in Cardiology challenge 2017/PhysioNetのような大規模なデータセットの作成が、AIに関する研究の展開を促進したことである164。

・AI技術は、心房細動の発生・再発予測や、マルチモビディティ患者の薬剤治療への反応に関する研究において用いられてきた165。
・例えば、ECG信号とパルスプレチスモグラフィー信号に基づく心房細動検出には、ディープニューラルネットワークが用いられてきた166-168。診断能力は従来のアルゴリズムより高い

・AIの心房細動の心電図診断発症予測についての最近の論文→169
・ 洞調律の標準12チャンネル心電図1枚にから今後31日以内の心房細動を予測能はAIC0.87→170。
・上記アルゴリズムによる、平均寿命7.4年の高齢者のコホートでの、心房細動発症予測能は,臨床情報、ECGパラメータ、および血圧測定を組み合わせた臨床心房細動リスクスコアと同等→171.
・表4は、心房細動の治療にAIを使用する現在進行中の登録試験の一覧。

・これらのアルゴリズムは優れた予測能力がある一方、アルゴリズムがどのように動作し、診断が下されるのかについて十分な知見が得られていないことが多く、検証や一般化可能性に不確実性が残り、日常臨床への導入が危ぶまれる。

<ナレッジギャップとリサーチの余地>
・データの構成とアクセスは、研究および臨床応用の両方にとって大きな課題。
・異なるデータセットには異なるデータ保護規則が適用されるため、特にヨーロッパではアクセス性が制限される。
・データセットは多様なステークホルダー(AIツールを開発・商業化する民間企業や、開発・比較・実装を行う学術機関)によって所有・管理されている。データの利用には、データ保護と利用に関する厳格な法的枠組み(一般データ保護規則や医薬品の臨床試験実施基準など)が適用される。
・再現性のためには、アルゴリズムで生成された予測の検証のために、データアクセシビリティが重要である。また、国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)に従い、科学的透明性を確保するためにも、優れたデータアクセシビリティが要求される
・この文脈では、AIを使用したすべての前向きな臨床試験や登録が、公式の試験登録に記載されることが要求されるべきである。

・残念ながら、欧州内外の学術パートナー間のデータ共有と流通のためのプロセスが現在複雑で無秩序。
・EUは、データ戦略(Strategy for Data | Shaping Europe's digital future (europa.eu))とデジタル資産の管理およびスチュワードシップに関するFAIR(Findability, Accessibility, Interoperability, and Reuse)指導原則について声高に主張しているが、しばしば個々のプロジェクトレベルでは他の欧州および国内の規制と衝突する。
・特に、医療機器規制(MDR)の更新に伴い、診断予測ツールを使用する際の医療責任という基本的な側面も評価する必要がある。

<人工知能の臨床導入を促進するためのステップ>
・AIを用いた調査や応用の結果は、今後ますます利用できるようになるだろう。
・このようなアプリケーションは、当局の正式な規制の承認にとどまらず、その性能と使用方法を心房細動治療の現状と照らし合わせて比較する必要がある。
・このような状況は、ESCやEHRAのような専門学会によって生み出される。
・AIを用いた心房細動検出法の方法論とその意味を理解するには、情報学、計算ネットワーク、生物統計学、法的・医療法的意味合い、医学の分野の専門知識を含む特定の知識(医療経済分析を含む)が必要である。
・ESCやEHRAのような心臓病学会が、ガイダンスを作成のために、このような専門知識を備えたワーキンググループを設立・推進することが推奨される。

### AIによる心房細動の診断や発症予測の目覚ましい進歩とともに,データセットの設定,データの管理,アルゴリズムの透明化など,様々な問題をはらんでいるとの指摘ですね。個人的には,以前から述べているように,無症候性の人に,AIによる予測をどこまで,どうやって伝え,意思決定していくかに関心があります。人々のAIに対する信頼ですね。

$$$
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by dobashinaika | 2023-04-14 07:30 | 心房細動:診断 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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