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心房細動の早期リズムコントロールは心血管イベントリスク減少と関連あり(EAST-AFNET 4 Trial):AFFIRM試験20年後の逆襲?


P:1年以内発症の心房細動,心血管疾患あり

E:早期リズムコントロール(抗不整脈またはカテーテルアブレーション)

C:限定的なリズムコントロール

O:
有効性:主要アウトカムは、心血管死・脳卒中・心不全または急性冠症候群(ACS)の増悪による入院の複合。副次アウトカムは、年当たりの病院宿泊日数(number of nights spent)

安全性:死亡・脳卒中・リズムコントロール療法に関連した重篤な有害事象の複合。副次アウトカムは症状および左室機能など

結果
1)135医療施設参加。2789例。平均追跡期間5.1年

2)主要有効性アウトカム:
早期リズムコントロール療法群249例(3.9/100人年)、通常ケア群316例(5.0/100人年)(ハザード比:0.79、96%CI:0.66~0.94、p=0.005)
平均(±SD)病院宿泊日数:有意差なし(5.8±21.9 vs.5.1±15.5日/年、p=0.23)
心房細動の早期リズムコントロールは心血管イベントリスク減少と関連あり(EAST-AFNET 4 Trial):AFFIRM試験20年後の逆襲?_a0119856_18340860.png

3)主要安全性アウトカム:有意差なし。リズムコントロール療法に関連した重篤な有害事象:早期リズムコントロール療法群4.9%、通常ケア群1.4%で2年時点の症状および左室機能:有意差なし

結論:発症早期で心血管疾患を持つ心房細動患者において,早期リズムコントロールは通常ケアに比べ心血管有害事象を減らした。

### AFFIRE試験からちょうど20年。新たなリズムvs.レートに関するトライアルです。

今回のEAST-AFNET 4の対象は平均年齢70.3歳,CHA2DS2-VAScスコア3.3点,初回AF38%,発作性36%,持続性26%,診断からの平均期間は36ヶ月,無症候性30%。軽度認知症43%。高血圧88%,心不全28%,弁膜症44%,抗凝固薬90-91%といったプロフィールです。
一方AFFIRMでは,平均69.7歳,高血圧708%,心機能低下26%,初発心房細動1/3です。

リズムコントロール群はガイドラインに従って抗不整脈薬かアブレーションが選択されています。通常ケア群でははじめにレートコントロールが行われました。

2年後の結果として,リズムコントロールはアブレーション19.4%,フレカイニド21.0%,アミオダロン11.8%,ドロネダロン5.9%,プロパフェノン3.8%,何もなし34.9%に対し,レートコントロール群はアブレーションに変わったのが7.0%,薬物療法に変わったのが5.7%でした。
心房細動の早期リズムコントロールは心血管イベントリスク減少と関連あり(EAST-AFNET 4 Trial):AFFIRM試験20年後の逆襲?_a0119856_18321283.png
2年後の洞調律維持率はリズム群で82.1%,レート群で60.5%でした(AFFIRMはリズム群3年後で73.3%,レート群5年後で34.6%)。

AFFIRMとの一番の違いはアブレーション施行例が多いことです。また,発症早期で初発または発作性が多いことも特徴です。その他ドロネダロンを使っている点,抗凝固療法が徹底している点なども違います。

またAFFIRMでは抗不整脈薬の有害事象または無効などでリズム群にクロスオーバーしたのが38%にも及んだのに対し,本トライアルは15%程度でした。

ということで,診断1年以内の特に初発または発作性心房細動であれば,たとえ無症候性であっても積極的に抗不整脈薬あるいはアブレーションという流れにはずみがつきそうです。アブレーションという強力な武器を満を持して登場させたリズムコントロール群の逆襲のようにも見えます。

とはいえ疑問点は結構あります。ドロネダロンは日本では使えない。フレカイニドが一番の多く使われたのに意外に有害事象が少ない。アブレーションの影響とはいえリズム群の19%のみにとどまっている,などです。

そしてより根本的な問題として,この試験が現実世界に適応できたとして,たとえば昨年までは見つからず,今年の健診で検出された発症早期かつ無症状の心房細動とか,生涯初めての心房細動とかに対し,全例にアブレーション含めた介入をするかという点です。これを最初に判断するのは多くの場合プライマリ・ケア医です。

無症状の持続性心房細動の方にアブレーションの話を持ち出すか。初回心房細動でも抗不整脈薬を処方するか。あるいはアブレーションの話をいきなり切り出すか。もうちょっといろいろと”AF bueden”を評価したい,それも患者さんの心理的な負担も含めたburdenを熟慮して介入したいようにも思います。

プライマリ・ケア医のBurdenが増えそうな気がします。

Editorialはこちら
AFFIM試験はこちら

$$$ きょうのにゃんこ
心房細動の早期リズムコントロールは心血管イベントリスク減少と関連あり(EAST-AFNET 4 Trial):AFFIRM試験20年後の逆襲?_a0119856_18225018.jpg


by dobashinaika | 2020-11-02 18:28 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(1)
Commented at 2020-11-21 20:25 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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