人気ブログランキング |

心房細動な日々 dobashin.exblog.jpブログトップ | 投稿 European Heart Journalの循環器2019年,心房細動編のまとめ(その2:カテーテルアブレーション)

昨日のESCのまとめその2です。カテーテルアブレーションについてです。

【アブレーション

<臨床アウトカム>
CABANA試験:アブレーションに関する報告は数多いが,最も強く期待されていたのはCABANA試験
・多施設RCT,アブレーションvs.薬物療法
・一次複合エンドポイント(死亡,重症脳卒中,重症出血,心停止)は同等
・この種の試験は,医師がアブレーション候補者をリクルートするので,途中から薬物療法→アブレーションのクロスオーバーが多いのが難点。本研究でも27.5%
・(最終的な)治療法で解析したが場合は予後改善が見られたが,この方法は無作為化の原則を損ないバイアスを増やす

・アブレーションによる微小塞栓は大きなインパクトを与えず,アブそのものは認知機能を改善する(308名,1年追跡)との研究あり

・QOLを一次エンドポイントにした初めての研究では,アブレーションが良好

・クライオアブレーションの知見としては,高周波アブレーションより速く,心嚢液貯留雨が少なく,施設の症例数に関わらずアウトカムに勝るとの報告があった

・登録研究は数多く,スウェーデンの登録研究で合併症,死亡は低率で,心房細動,VT,PVCのアブレーション数は,心房細動の再施行のため増加している
・ヨーロッパの登録研究では,クライオアブレーションは女性には効果的だが,合併症は多かった
・デンマークの登録研究では,心房細動アブレーションの成功率は90%で2年後の再発は13%
・ドイツの登録研究では,心嚢液貯留率0.9%(21141例中)でハイボリューム施設ほど少ない(高周波の場合)

・心筋梗塞後の心室細動ストームに対するアブレーションの報告(多施設110例)では,院内死亡率27%,2年後死亡率36%と高値で施行時間もかかる

・不整脈原性心筋症における反復性心室頻拍のアブレーションに関する後ろ向き試験(110例)では,薬物療法より効果的だが,心外と心内アプローチの両者を使用した

<新マッピング技術>
・複雑な不整脈におけるアブレーション不成功の原因は,メカニズム理解の欠如
・ripple mappingは持続性心房細動(53%vs.従来法39%),心房頻拍,不整脈原性心筋症に伴う心室頻拍に有用
・Non-contact mapping は12ヶ月持続の心房細動に有効(59%)
・STAR mapping systemは,持続性心房細動35例中80%に有効(18ヶ月)
 心房細動な日々 dobashin.exblog.jpブログトップ | 投稿 European Heart Journalの循環器2019年,心房細動編のまとめ(その2:カテーテルアブレーション)_a0119856_08483066.png
・どの方法が普及するのか残された課題である

<エネルギー源>
・ハイパワー短時間高周波はいまのところ悪いアウトカムなし
・電気穿孔法(electroporation)は新エネルギー源として有望
・難治性心室頻拍の高周波アブレーションはイノベーション分野であり19例対象の小試験で有効とされている

<ガイドライン等>
・多くのガイドラインが出版されている
・心室性不整脈のアブレーションガイドラインは,プログラム刺激が予後予測に有効であり,心内電位を用いた方法も推奨している

・不整脈の性差が問題視され,アウトカムの違いはあるにせよ,女性に対するカテーテルアブレーションの適応に影響を与えるべきではない

### CABANA試験を大きく扱っています。この試験はここでも指摘されているように様々な解釈が可能なデザインですね。「”アブレーションを受けるのが適切と医師が思うような症例”では薬物より予後改善効果あり」ということは言えそうです。「誰を誰が適切に思うか」という段階で多くのバイアスが入り込むと思われます。

しかしいろいろなテクノロジーが開発されているのですね。「どの方法が普及するのか残された課題である」と述べられていますが,永遠に解決できない問題のようにも思えてきます。






by dobashinaika | 2020-01-09 08:49 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(35)
(35)
(27)
(27)
(27)
(25)
(24)
(21)
(20)
(20)
(19)
(18)
(16)
(15)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)

ブログパーツ

ライフログ

著作

もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

アジア人のNOAC不適切低用..
at 2020-02-17 07:07
長期ケア施設入所者における抗..
at 2020-02-06 06:58
2019年心房細動関連論文ベ..
at 2020-01-20 08:18
2019年心房細動関連論文ベ..
at 2020-01-11 18:52
アルコール常用者の禁酒は心房..
at 2020-01-10 07:28
心房細動な日々 dobas..
at 2020-01-09 08:49
European Heart..
at 2020-01-08 07:30
AI対応心電図は洞調律から心..
at 2019-12-27 19:03
【Apple Heart S..
at 2019-11-26 07:35
心房細動合併透析患者において..
at 2019-11-21 06:49

検索

記事ランキング

最新のコメント

いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
取り上げていただきありが..
by 大塚俊哉 at 09:53
> 11さん ありがと..
by dobashinaika at 03:12
「とつぜんし」が・・・・..
by 11 at 07:29
> 山川玲子さん 山川..
by dobashinaika at 23:14
運慶展を観た方にWEB小..
by omachi at 19:45
> terryさん ご..
by dobashinaika at 08:38
簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39

以前の記事

2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン