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アピキサバンに関する抗凝固薬・抗血小板薬併用のRCT(Augustus試験):NEJM誌


背景:冠動脈疾患を持つ心房細動患者への適切な抗血栓療法は未だ不明確

方法:
・国際的試験,2x2デザイン
・急性冠症候群(ACS)または待機的PCIを施行した心房細動患者
・アピキサバンvs. VKA(ビタミンK阻害薬)/アスピリンvs. プラセボ
のランダム化
・P2Y12阻害薬は共通
・主要エンドポイント:大出血または臨床上問題となる非大出血
・二次エンドポイント:死亡または入院および虚血性イベント

結果:
1)4614例,33カ国

2)2つのアウトカムにおいて2つのランダム化で交互作用なし

3)主要エンドポイント:
・アピキサバン群10.5% vs, VKA群14.7% (HR0.69; 95%CI 0.58 to 0.81; P<0.001,優越性,非劣性とも)
・アスピリン群16.1% vs. プラセボ群9.0% (HR 1.89; 95% CI, 1.59 to 2.24; P<0.001)
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4)二次エンドポイント
・死亡または入院:アピキサバン群でVKA群より有意に低下 (23.5% vs. 27.4%; HR 0.83; 95% CI, 0.74 to 0.93; P=0.002)
・虚血性イベントは同等
・アスピリン群とプラセボ群とは,いずれも有意差なし

結論:P2Y12阻害薬服用中のACSまたはPCI施行心房細動患者においては,アピキサバンあり,アスピリンなしのレジメンが,VKAあり,アスピリンあり,またはその両者に比べて出血が少なく,入院も減らした。虚血性イベントは変わらず。

Supported by Bristol-Myers Squibb and Pfizer.

### アピキサバンの抗凝固+抗血小板薬使用に関するRCT (Augustus試験)です。
試験デザインが変わっていて,アピxVKA,およびアスピリンxプラセボの2種類のRCTを同じ対象者で行っています。出血リスクについて「アピキサバンはVKAに非劣性」、「アスピリンはプラセボに劣性」という2つの独立した仮説を立てているわけです。
まずオープンラベルでアピキサバン(5mgx2)群あるいはVKA(INR2 ~3)群にわけられ、その後二重盲検でアスピリン群あるいはプラセボ群に、ランダムに割り付けられています。
両者にP2Y12阻害薬(90%以上がクロピドグレル)が入っており,アピキサバンは減量基準により2.5mgx2もあり.アスピリンは81mgです。追跡期間6ヶ月です。

このデザインだと,アピxVKA比較のときには両者にアスピリンかプラセボがランダム化されて(※当初「ランダム化されすに」と書いておりましたが,上記のように割付されているようです)入り込んでおり,アスピリンxプラセボ比較のときにもアピかVKAが入り込んでいますが,上記の4通りの組合わせの患者群はそれぞれ1100例強でほぼ同数です。

4群比較(統計的な整合性はわかりませんが)では主要アウトカムとしてはVKA+アスピリン>アピ+アスピリン>VKA+プラセボ>アピ+プラセボの順でした。

同様の試験はダビガトランのRE-DUAL PCI試験,リバーロキサバンのPIONEER AF-PCI試験がありますが,これらはVKAに不利な割付や,NOACが市販の用量外で設定されていたりで,本試験はNOAC vs VKAの公平性の点では一番適切と言えるかもしれません。

3剤併用は半年以内でもなるべく短期にしたい,というトレンドは確立されたと言えるかと思われます。VKAではTTR別のサブグループ解析なども待たれます。

しかしアピキサバンのRCTはAVERROESやARISTOTLE,そして今回のなど頭文字にApixabanのAのつく哲学者や古代の偉人が並びます。Augustusは世界史で習いましたが,パクス・ロマーナの立役者でラテン語で「尊厳ある者」を意味するんだそうです。次回はアダム・スミスかアルバート・アインシュタイン希望。

### 山形のお蕎麦,うまし
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by dobashinaika | 2019-03-21 19:23 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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