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European Heart Journalの「不整脈この1年」:NOACリアルワールドデータを評価


あけましておめでとうございます。
本年も「心房細動な日々」をよろしくお願い申し上げます。

新年最初はEuropean Heart Journal恒例の「循環器学この1年」です。
このうち「不整脈&植込み型デバイス」の章の中の「脳卒中予防」を紹介します。
要点箇条書きで行きます。

<肥満パラドックス>
・ARISTOTOLEサブ解析

・17913例対象,1.8年追跡

・BMI高値ほど全死亡は少ない;HR = 0.63; 95% CI = 0.54–0.74

・女性では脳卒中リスクにもこのことが当てはまるが男性では適合しない

・脂肪量と出血は無関係

・説明としては,薬物治療や生活スタイルの変容,より良い予備代謝等が挙げられている

The ‘obesity paradox’ in atrial fibrillation: observations from the ARISTOTLE (Apixaban for Reduction in Stroke and Other Thromboembolic Events in Atrial Fibrillation) trial. Eur Heart J 2016;37:2869–2878.

<エドキサバンの追加情報>
・ワルファリンに対する全死亡低下は,エドキサバン30mg(HR = 0.87; 95% CI = 0.79–0.96, P = 0.006) のほうが60mg (HR = 0.92; 95% CI = 0.83–1.01, P = 0.08)よりも大きい

・30mgでは虚血性脳梗塞が増加し(HR = 1.41; 95% CI = 1.19–1.67, P < 0.001),高用量60mgでは不変にも関わらず全死亡は減っている

・大出血が少ないことがその原因

・抗凝固薬への関心が,血栓塞栓症の予防から心血管合併症全般に向かっていることを示唆する

・他のサブ解析ではエドキサバンが高齢,高転倒リスクでとくに効果と安全性が高いことが示されている

Mortality in Patients with Atrial Fibrillation Randomized to Edoxaban or Warfarin: Insights from the ENGAGE AF-TIMI 48 Trial. Am J Med 2016;129:850–857 e2.
Rivaroxaban vs. vitamin K antagonists for cardioversion in atrial fibrillation. Eur Heart J 2014;35:3346–3355.

<除細動周術期でのNOACの効果と安全性>
・エドキサバン60mgは心房細動除細動周術期でも,ワルファリンと同様の効果と安全性を示した(Ensure AF)。

・除細動後30日において,新たな脳卒中,心筋梗塞,末梢塞栓,心血管死はエドキサバン群(1095例)0.5%に対し,ワルファリン群は1.0%(OR 0.46; 95% CI = 0.12–1.43)

・リバーロキサバンで同様報告あり

ENSURE-AF investigators. Edoxaban versus enoxaparin-warfarin in patients undergoing cardioversion of atrial fibrillation (ENSURE-AF): a randomised, open-label, phase 3b trial. Lancet 2016;388:1995–2003.

<多くのNOACに関するリアルワールドデータ>
・リバーロキサバンではワルファリンに比べ大出血,脳卒中ともに低率。
・REVISIT-US研究ではリバーロキサバン(39%),アピキサバン(37%)とも虚血性脳卒中,頭蓋内出血を減らした。
Real-world evidence of stroke prevention in patients with nonvalvular atrial fibrillation in the United States: the REVISIT-US study. Curr Med Res Opin 2016;32:2047–2053.
・(ダビガトランでも同様報告あり)

・OptumLabs Data Warehouseの解析では,アピキサバン,ダビガトラン,リバーロキサバンはワルファリンに比べ虚血性脳梗塞は低率
・大出血リスクは,リバーロキサバンで同等ダビガトラン,アピキサバンではワルファリンに比べ低率
Effectiveness and Safety of Dabigatran, Rivaroxaban, and Apixaban Versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation. J Am Heart Assoc 2016;5:e003725

・最近のFDAのダビガトランVS.リバーロキサバンのデータでは,血栓塞栓症はダビガトランがリバーロキサバンより低率。頭蓋内出血,頭蓋外出血ともリバーロキサバンがダビガトランより多い。死亡率も多い傾向。
Beneficiaries Treated With Dabigatran or Rivaroxaban for Nonvalvular Atrial Fibrillation. JAMA Intern Med 2016;176:1662–1671.

<まとめ>
・第3相試験とリアルワールドデータとの比較が推奨されているが,統計的なhead-to-headのNOAC間の比較にはがっかりさせられた。

・リアルワールドデータには以下のようなかなりの制約がある:残存交絡因子,短い追跡期間,選択バイアス,アウトカム測定法のばらつき(例:大出血の定義),外部評価の欠如,不完全な追跡

・言えることは,これまでのリアルワールドデータはRCTのアウトカムと同様であるということ。

・それゆえNOACはガイドラインで推奨度クラスI,エビデンスレベルAとなっている。

・一方アスピリンはクラスIIIである。

### 肥満パラドックスを除くと,概ねNOACが各場面,各現実世界でRCTと同等もしくはそれ以上の有効性安全性を示したことが強調されています。「抗凝固薬への関心が,血栓塞栓症の予防から心血管合併症全般に向かっている」これ一番大事と思いました。

$$$ 暮れにこれが届きました。自分への大きなお年玉です(紅白歌合戦のときと同様,知らない人にとってはどうでもいいことなのですけど。。)。
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by dobashinaika | 2017-01-04 22:30 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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