米国の主要学会による心房細動患者に行うべき医療行為と評価のまとめ:JACC誌
Atrial Fibrillation or Atrial Flutter Clinical Performance and Quality Measures
Heidenreich PA, Solis P, Estes NA III, et al.
ちょっとブログの方お休みを頂いておりました。また今月から再開いたします。
ACC/AHAから心房細動/心房粗動に関する臨床行為と評価に関するまとめが発表されています。
欧米の学会はこうした現場目線の指針を出してくれるのがありがたいです。日本では学会でなく,各分野のオピニオンリーダーと呼ばれる方が商業ベースで解説本を出して,その代わりとなっている感があり,それはそれでわかりやすいのですが,やはり多くの叡智が結集されての現場に即したハンドブックがほしいように思います。
本文は表形式でやや読みにくいのですが,ACCのメルマガが,外来,入院別に行為と評価に分けて4項目でまとめてくれていますので紹介します。
元論文はこちら
2016 ACC/AHA Clinical Performance and Quality Measures for Adults With Atrial Fibrillation or Atrial FlutterA Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Performance Measures
J Am Coll Cardiol. 2016;():. doi:10.1016/j.jacc.2016.03.521
1.行うべき行為:入院患者
・退院前にCHA2DS-VAScスコア評価
・退院前に抗凝固薬処方
・ワルファリン投与患者では退院前にPT-INR測定
2.行うべき行為:外来患者
・CHA2DS-VAScスコア評価
・抗凝固薬処方
・ワルファリン患者では月1回の1PT−INR測定
3.行うべき評価:入院患者
・退院前にβ遮断薬処方(LVEF<40)
・退院前にACE阻害薬/ARB処方(LVEF<40)
・永続性心房細動のリズムコントロールとしての抗不整脈薬の不適切処方がないか
・透析または末期腎不全患者へのドフェチライドまたはソタろールという不適切処方がないか
・人工弁患者への直接トロンビン阻害薬またはXa阻害薬という不適切処方がないか
・冠動脈疾患and/or弁膜症のない症例での抗血小板薬+抗凝固薬の投与がなされていないか
・EF低下心不全に対する非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬が出ていないか
・カテーテルアブレーション後に抗凝固療法がなされているか
・抗凝固療法について,患者と医師でShared decision makingがなされているか
4.行うべき評価:外来患者
・β遮断薬処方(LVEF<40)
・永続性心房細動のリズムコントロールとしての抗不整脈薬の不適切処方がないか
・透析または末期腎不全患者へのドフェチライドまたはソタトールという不適切処方がないか
・人工弁患者への直接トロンビン阻害薬またはXa阻害薬という不適切処方がないか
・人透析または末期腎不全患者への直接トロンビン阻害薬またはXa阻害薬(リバーロキサバン,エドキサバン)という不適切処方がないか
・冠動脈疾患and/or弁膜症のない症例での抗血小板薬+抗凝固薬の投与がなされていないか
・EF低下心不全に対する非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬が出ていないか
・抗凝固療法について,患者と医師でShared decision makingがなされているか
###極めてまっとうなことを言っていると思われます。β遮断薬や入院中のACE,ARBはそうなのかとも思いますが,あとはどれもおさえておくべき内容です。
それにしてもACC/AHAもCHADS2でなくてCHA2DS-VASc重視になったのですね。
$$$今週日曜の猫祭りで仕入れた猫スイーツ。壮観です^^

Heidenreich PA, Solis P, Estes NA III, et al.
ちょっとブログの方お休みを頂いておりました。また今月から再開いたします。
ACC/AHAから心房細動/心房粗動に関する臨床行為と評価に関するまとめが発表されています。
欧米の学会はこうした現場目線の指針を出してくれるのがありがたいです。日本では学会でなく,各分野のオピニオンリーダーと呼ばれる方が商業ベースで解説本を出して,その代わりとなっている感があり,それはそれでわかりやすいのですが,やはり多くの叡智が結集されての現場に即したハンドブックがほしいように思います。
本文は表形式でやや読みにくいのですが,ACCのメルマガが,外来,入院別に行為と評価に分けて4項目でまとめてくれていますので紹介します。
元論文はこちら
2016 ACC/AHA Clinical Performance and Quality Measures for Adults With Atrial Fibrillation or Atrial FlutterA Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Performance Measures
J Am Coll Cardiol. 2016;():. doi:10.1016/j.jacc.2016.03.521
1.行うべき行為:入院患者
・退院前にCHA2DS-VAScスコア評価
・退院前に抗凝固薬処方
・ワルファリン投与患者では退院前にPT-INR測定
2.行うべき行為:外来患者
・CHA2DS-VAScスコア評価
・抗凝固薬処方
・ワルファリン患者では月1回の1PT−INR測定
3.行うべき評価:入院患者
・退院前にβ遮断薬処方(LVEF<40)
・退院前にACE阻害薬/ARB処方(LVEF<40)
・永続性心房細動のリズムコントロールとしての抗不整脈薬の不適切処方がないか
・透析または末期腎不全患者へのドフェチライドまたはソタろールという不適切処方がないか
・人工弁患者への直接トロンビン阻害薬またはXa阻害薬という不適切処方がないか
・冠動脈疾患and/or弁膜症のない症例での抗血小板薬+抗凝固薬の投与がなされていないか
・EF低下心不全に対する非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬が出ていないか
・カテーテルアブレーション後に抗凝固療法がなされているか
・抗凝固療法について,患者と医師でShared decision makingがなされているか
4.行うべき評価:外来患者
・β遮断薬処方(LVEF<40)
・永続性心房細動のリズムコントロールとしての抗不整脈薬の不適切処方がないか
・透析または末期腎不全患者へのドフェチライドまたはソタトールという不適切処方がないか
・人工弁患者への直接トロンビン阻害薬またはXa阻害薬という不適切処方がないか
・人透析または末期腎不全患者への直接トロンビン阻害薬またはXa阻害薬(リバーロキサバン,エドキサバン)という不適切処方がないか
・冠動脈疾患and/or弁膜症のない症例での抗血小板薬+抗凝固薬の投与がなされていないか
・EF低下心不全に対する非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬が出ていないか
・抗凝固療法について,患者と医師でShared decision makingがなされているか
###極めてまっとうなことを言っていると思われます。β遮断薬や入院中のACE,ARBはそうなのかとも思いますが,あとはどれもおさえておくべき内容です。
それにしてもACC/AHAもCHADS2でなくてCHA2DS-VASc重視になったのですね。
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by dobashinaika
| 2016-07-01 17:40
| 心房細動診療:根本原理
|
Comments(0)
土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
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