日本の実臨床におけるNOACの効果(J-RHYTHMレジストリー2):仙台で開催中の日本循環器学会より
Beneficial Effect of Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants in Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation– Results of the J-RHYTHM Registry 2 –
Circulation Journal: Advanced Publication 2016/3/18
疑問:日本のリアル・ワールドにおけるNOACの効果はどうか
方法:
・J-RHYTHM Registryをさらに3年間延長しての多施設,前向き,観察研究
・登録施設での外来の心房細動症例を連続登録
・5年追跡
結果:
1)6616例,男71.0%,69.7歳,CHADS2スコア平均1.7点
2)ワルファリン3964人,NOAC923人,抗凝固薬なし753人,データなし976人
3)血栓塞栓症:ワルファリン4.9%,NOAC2.1%,抗凝固薬なし6.0%
4)大出血:ワルファリン5.9%,NOAC2.4%,抗凝固薬なし4.8%
5)全死亡:ワルファリン5.8%,NOAC1.4%,抗凝固薬なし13.9%(P<0.001 for each)
6)ワルファリン群(CHA2DS2-VAScスコア,抗血小板薬補正後):全死亡において抗凝固薬なし群より良好(OR 0.30, 95%CI 0.23–0.39, P<0.001)
7)NOAC群:全てのイベントで良好。血栓塞栓症(OR 0.42, 95% CI 0.24–0.74, P=0.003),大出血(OR 0.53, 95% CI 0.31–0.93, P=0.027),全死亡(OR 0.10, 95% CI 0.06–0.18, P<0.001)

結論:NOACは日本の全てのタイプの非弁膜症性心房細動におけるイベント率を改善する可能性がある
### 現在仙台で行われている第70回日本循環器学会のLate Breaking Cohort Studyで昨日(3月18日)発表されたJ-RYTHTM Registryの延長スタディです。2012年から2014年の3年間のデータですのでNOAC時代に入ってからのデータとなります。
NOACがいいということですが,まず登録研究ですので患者背景が違います。年齢はワルファリン群70.1歳,NOAC群67.1歳で有意にNOAC群が若く,CHADS2スコアもワルファリン群1.7点,NOAC群1.4点です。他にもNOAC群の方が発作性が多く,心不全が少なく,75歳以上が少ないというように,全体的にNOAC群の方が低リスク例に投与されているということができます(CHADS2スコア0点が21.0%もあります)。
NOACの内訳はダビガトラン4.9%,リバーロキサバン6.1%,アピキサバン2.8%です。2012年から2014年にかけてワルファリン群75.4%→63.6%でしたが,NOAC群6.1%→20.4%と増えており,全体のnは減少していますので,ワルファリンからNOACに切り替えた症例が多いことがうかがえます。
現在大きな病院で行われているようなNOACの適応基準でNOACを投与していれば,NOACは大変良いと考えます。
$$$ 今までにないほど仙台国際センターも,地下鉄駅も人と熱気であふれていました。展示棟の存在が大きいですね。非常に大きなスペースで驚きました。
私のところからは歩いても行けるのですが,遠方の方は宿泊が大変と聞いています。今日あたりも街は循環器の先生であふれているでしょうか。

Circulation Journal: Advanced Publication 2016/3/18
疑問:日本のリアル・ワールドにおけるNOACの効果はどうか
方法:
・J-RHYTHM Registryをさらに3年間延長しての多施設,前向き,観察研究
・登録施設での外来の心房細動症例を連続登録
・5年追跡
結果:
1)6616例,男71.0%,69.7歳,CHADS2スコア平均1.7点
2)ワルファリン3964人,NOAC923人,抗凝固薬なし753人,データなし976人
3)血栓塞栓症:ワルファリン4.9%,NOAC2.1%,抗凝固薬なし6.0%
4)大出血:ワルファリン5.9%,NOAC2.4%,抗凝固薬なし4.8%
5)全死亡:ワルファリン5.8%,NOAC1.4%,抗凝固薬なし13.9%(P<0.001 for each)
6)ワルファリン群(CHA2DS2-VAScスコア,抗血小板薬補正後):全死亡において抗凝固薬なし群より良好(OR 0.30, 95%CI 0.23–0.39, P<0.001)
7)NOAC群:全てのイベントで良好。血栓塞栓症(OR 0.42, 95% CI 0.24–0.74, P=0.003),大出血(OR 0.53, 95% CI 0.31–0.93, P=0.027),全死亡(OR 0.10, 95% CI 0.06–0.18, P<0.001)

結論:NOACは日本の全てのタイプの非弁膜症性心房細動におけるイベント率を改善する可能性がある
### 現在仙台で行われている第70回日本循環器学会のLate Breaking Cohort Studyで昨日(3月18日)発表されたJ-RYTHTM Registryの延長スタディです。2012年から2014年の3年間のデータですのでNOAC時代に入ってからのデータとなります。
NOACがいいということですが,まず登録研究ですので患者背景が違います。年齢はワルファリン群70.1歳,NOAC群67.1歳で有意にNOAC群が若く,CHADS2スコアもワルファリン群1.7点,NOAC群1.4点です。他にもNOAC群の方が発作性が多く,心不全が少なく,75歳以上が少ないというように,全体的にNOAC群の方が低リスク例に投与されているということができます(CHADS2スコア0点が21.0%もあります)。
NOACの内訳はダビガトラン4.9%,リバーロキサバン6.1%,アピキサバン2.8%です。2012年から2014年にかけてワルファリン群75.4%→63.6%でしたが,NOAC群6.1%→20.4%と増えており,全体のnは減少していますので,ワルファリンからNOACに切り替えた症例が多いことがうかがえます。
現在大きな病院で行われているようなNOACの適応基準でNOACを投与していれば,NOACは大変良いと考えます。
$$$ 今までにないほど仙台国際センターも,地下鉄駅も人と熱気であふれていました。展示棟の存在が大きいですね。非常に大きなスペースで驚きました。
私のところからは歩いても行けるのですが,遠方の方は宿泊が大変と聞いています。今日あたりも街は循環器の先生であふれているでしょうか。

by dobashinaika
| 2016-03-19 18:37
| 抗凝固療法:リアルワールド
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
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