ワルファリンからNOACへの切り替時,出血リスク上昇は認められず:Lancet-H誌
Risk of bleeding and arterial thromboembolism in patients with non-valvular atrial fibrillation either maintained on a vitamin K antagonist or switched to a non-vitamin K-antagonist oral anticoagulant: a retrospective, matched-cohort study
Kim Bouillon et al
Lancet Haematol. 2015 Apr; 2(4):e150-9.
疑問:ワルファリンからNOACへの切り替え時,脳卒中リスクはどうなるのか?
P:French health-care databases登録例のうち,非弁膜症性心房細動を有しVKAを処方されている患者
I:VKAからNOAC(ダビガトラン,リバーロキサバン)への切り替え例
C:VKAのままの例
O:出血(頭蓋内,消化管,その他)
T:matched-cohort study(年齢,性別,PT-INRで補正)
結果:
1)17410例;切り替え群6705例,VKA群10705例
2)平均75歳,女性48%,NOAC切り替え前期間平均8.1ヶ月,平均追跡期間10.0月
3)出血率:切り替え例99例(1%)vs. VKA例193例(2%),p=0.54
4)多変量解析後の切り替え例のハザード比:0.87(0.67-1.13), p=0.30
5)ダビガトランとリバーロキサバンで有意差なし
解釈:VKAからNOACへの切り替えによる出血リスク上昇は見られず。さらなる研究を。
### 4月の論文ですが,何故か今頃流れてきたので目を通しました。
VKAからNOACへの切り替え時は両者がだぶる時間が存在するので,INRに気をつけていても思わぬ出血が懸念されるわけです。実際ROCKT-AF試験などでもワルファリン経験者の出血がやや多くなっているとの報告もあります。
http://dobashin.exblog.jp/17994981/
おそらく上手に切り替えればトラブルは少ないのでしょう。
ただ,この研究で主治医がNOACに切り替える理由は不明ですが,実際NOACに切り替えたくなる症例は,ワルファリンコントロールの悪い症例などが多く,そうした例は出血リスクも多いことが予想されます。
当院ではTTR70%未満の症例で,禁忌でない場合や抗血小板薬2剤併用でない例にNOAC切り替えの方針でずっとやって来ましたが,前にも述べましたようにこのやり方は非常にアウトカム良好です。
注意点としてはやはり切り替えのタイミングですが,うちでは切り替えると決めた時のINRが1.6に近い(1.7〜1.9くらい)の時は0.25mg/日を減らし3日後に来てもらっています。2.0以上の時は0.5mg〜1.0mg減量して3日後受診としています。これでだいたい1.4〜1.5に下がっています。出血や梗塞は今のところゼロです。
$$$ 老舗,熊谷屋さんのクリスマス特性和菓子。ツリーとトナカイは売り切れていました。

当院玄関のツリー。もう少し飾っておきます。

Kim Bouillon et al
Lancet Haematol. 2015 Apr; 2(4):e150-9.
疑問:ワルファリンからNOACへの切り替え時,脳卒中リスクはどうなるのか?
P:French health-care databases登録例のうち,非弁膜症性心房細動を有しVKAを処方されている患者
I:VKAからNOAC(ダビガトラン,リバーロキサバン)への切り替え例
C:VKAのままの例
O:出血(頭蓋内,消化管,その他)
T:matched-cohort study(年齢,性別,PT-INRで補正)
結果:
1)17410例;切り替え群6705例,VKA群10705例
2)平均75歳,女性48%,NOAC切り替え前期間平均8.1ヶ月,平均追跡期間10.0月
3)出血率:切り替え例99例(1%)vs. VKA例193例(2%),p=0.54
4)多変量解析後の切り替え例のハザード比:0.87(0.67-1.13), p=0.30
5)ダビガトランとリバーロキサバンで有意差なし
解釈:VKAからNOACへの切り替えによる出血リスク上昇は見られず。さらなる研究を。
### 4月の論文ですが,何故か今頃流れてきたので目を通しました。
VKAからNOACへの切り替え時は両者がだぶる時間が存在するので,INRに気をつけていても思わぬ出血が懸念されるわけです。実際ROCKT-AF試験などでもワルファリン経験者の出血がやや多くなっているとの報告もあります。
http://dobashin.exblog.jp/17994981/
おそらく上手に切り替えればトラブルは少ないのでしょう。
ただ,この研究で主治医がNOACに切り替える理由は不明ですが,実際NOACに切り替えたくなる症例は,ワルファリンコントロールの悪い症例などが多く,そうした例は出血リスクも多いことが予想されます。
当院ではTTR70%未満の症例で,禁忌でない場合や抗血小板薬2剤併用でない例にNOAC切り替えの方針でずっとやって来ましたが,前にも述べましたようにこのやり方は非常にアウトカム良好です。
注意点としてはやはり切り替えのタイミングですが,うちでは切り替えると決めた時のINRが1.6に近い(1.7〜1.9くらい)の時は0.25mg/日を減らし3日後に来てもらっています。2.0以上の時は0.5mg〜1.0mg減量して3日後受診としています。これでだいたい1.4〜1.5に下がっています。出血や梗塞は今のところゼロです。
$$$ 老舗,熊谷屋さんのクリスマス特性和菓子。ツリーとトナカイは売り切れていました。

当院玄関のツリー。もう少し飾っておきます。

by dobashinaika
| 2015-12-24 21:49
| 抗凝固療法:リアルワールド
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
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●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
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