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心房細動の死亡率もアブレーションの再セッション率も社会経済的要因に規定される:IJC誌

Neighbourhood socio-economic status and all-cause mortality in adults with atrial fibrillation: A cohort study of patients treated in primary care in Sweden
Per Wändel et al
International Journal of Cardiology doi: 10.1016/j.ijcard.2015.09.027


目的:プライマリケアレベルの心房細動症例の全死亡率に及ぼす,近隣の人の社会経済的状態のインパクトを検討

方法:
・75のプライマリケア施設,45歳以上の心房細動性12,283例
・社会経済的状態(年齢,教育レベル,結婚,近隣の状態の変化,心血管系合併症,抗凝固療法,スタチン療法)

結果:
1)全死亡率は,近隣の人(男性)の社会経済的状態が最も低い層において,中間の層より有意に死亡率が高い:HR 1.49, 95% CI 1.13–1.96

2)死亡までの時間の速い層10%の死亡までの時間は,低い層(男性)において中間の層より1.45倍速い

結論:近隣のひとの心血管疾患やその死亡率の上昇に及ぼす影響は重要な臨床的健康的課題。政策決定者への一助となる情報である

### スウェーデンの研究ですが,近隣のひととはストックホルムでは周囲2000人,その他の地域では1000人位の集団を想定しいるようです。

健康に最も影響を与える因子は,食生活,運動,年齢などがすぐ思いつきますが,実は社会経済的要因が非常に大きいとはよく言われます。
例えばこの研究では,ワルファリンの使用は高レベル層で61.3%に対して低レベル層では49.5%と優位に低くなっています。もしNOACだったらかなりの差が出ることも予想されますね。

最近読んだ心房細動アブレーションのセカンドセッション施行に影響する因子は,「年齢(55歳以下)」と「高収入」だったとする研究もありました。
Trends and Predictors of Repeat Catheter Ablation for Atrial Fibrillation
Am Heart J


格差社会が顕在化すればするほど,ますます生涯に渡る累積医療費が高いこうした慢性疾患の予後が社会経済的な要因に左右される状況になるように思います。やっぱりNOACはもっとやすくなってほしい。

$$$ 今日はとある打ち合わせ。近所の老舗のお店。外が見えないほどの干し柿。いただきました。美味。
心房細動の死亡率もアブレーションの再セッション率も社会経済的要因に規定される:IJC誌_a0119856_214648100.jpg

心房細動の死亡率もアブレーションの再セッション率も社会経済的要因に規定される:IJC誌_a0119856_2147444.jpg

by dobashinaika | 2015-10-29 21:48 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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