救急外来での失神管理10か条:ACCまとめサイト
Syncope clinical management in the emergency department: a consensus from the first international workshop on syncope risk stratification in the emergency departmentGiorgio Costantino, et al
Eur Heart J 2015;Aug 4 DOI: http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehv378 F
ACCのサイトから上記論文のまとめです(要登録)。
Syncope Clinical Management in the Emergency Department
Aug 17, 2015 | Thomas C. Crawford, MD, F.A.C.C.S
【救急外来における失神管理10のポイント】
1.昨今の失神のアプローチは,広範囲で,高コストであり,効果は疑わしい。北米と欧州の多領域の専門家が救急分野での最良のコンセンサスを得ることを目指している。
2.失神の定義:急発症で短時間で自発的な完全回復のある一過性脳低灌流に由来する一過性の意識消失。
3.患者のアセスメント:病歴,身体所見,心電図,臥位及び立位血圧,特殊検査(血液,頚動脈洞マッサージ,エコー,胸部写真,血液ガス)
4.原因不明の失神患者を入院:有害事象を減らすかどうかは不明。入院の意思決定は,コスト,入院にともなって考える有害イベントと入院による効果とを考え合わせるべきである。
5.バイオマーカー:トロポニンやBNPがリスク評価として注目されているが,現時点ではルーチン検査としては勧められない
6.高リスク患者とは以下のうち1つを有する
・労作時失神,臥位での失神,新規発症の胸部不快感を伴う,失神前の動悸を伴う
・突然死の家族歴
・心不全,大動脈狭窄,左室流出路疾患,拡張型心筋症,肥大型心筋症,催不整脈性右室異形成,左室駆出分画<35%,心室性不整脈の既往,冠動脈疾患,先天性心疾患,以前の心筋梗塞,肺高血圧,ICD植え込み
・ヘモグロビン<9,収縮期血圧<90,洞徐脈<40
・新規の左脚ブロック,二束ブロック+第1度房室ブロック,ブルガダ型心電図,急性虚血性変化。新規非洞調律,二束ブロック,QT延長>450ms
7.低リスク患者とは以下の1つ以上を有し高リスク因子を有しない
・40歳未満
・立位での失神,臥位/座位から立った時の失神,失神前の嘔気嘔吐,失神前の熱感,痛みや感情的刺激,咳,排便,排尿に伴うもの
・長年に渡る同じようなエピソード
8.高リスクでも低リスクでもない患者
・低リスクながら他の合併症を持つ
・合併症はないが,神経質なキャラクターがある
・低リスク,高リスク因子共になし
9.中〜高リスク患者は外来でモニターすべき。低リスク例は追加検査は必要なく外来でフォロー
10.以下の所見はモニター上陽性
・心停止3秒以上
・持続性/非持続性心室頻拍(症状有る無しを問わず)
・高度房室ブロック
・徐脈<30(症状有る無しを問わず)
・徐脈<50+症状あり
・頻脈>120+症状あり
### 非常にクリアカットです。
一応血液検査,心電図,胸部写真まで施行する。そのうえで,器質的心疾患やモニター上の不整脈,貧血がなく,40歳未満,立位での失神,臥位/座位から立った時の失神,失神前の嘔気嘔吐,失神前の熱感,痛みや感情的刺激,咳,排便,排尿に伴うもの,長年に渡る同じようなエピソードであれば,原則入院させなくて良い。という極めて実際的な教えですね。
改めて”勉強になります”
$$$ 患者さん手作りのアクセサリーです。きょうはワンコ。
Eur Heart J 2015;Aug 4 DOI: http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehv378 F
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Syncope Clinical Management in the Emergency Department
Aug 17, 2015 | Thomas C. Crawford, MD, F.A.C.C.S
【救急外来における失神管理10のポイント】
1.昨今の失神のアプローチは,広範囲で,高コストであり,効果は疑わしい。北米と欧州の多領域の専門家が救急分野での最良のコンセンサスを得ることを目指している。
2.失神の定義:急発症で短時間で自発的な完全回復のある一過性脳低灌流に由来する一過性の意識消失。
3.患者のアセスメント:病歴,身体所見,心電図,臥位及び立位血圧,特殊検査(血液,頚動脈洞マッサージ,エコー,胸部写真,血液ガス)
4.原因不明の失神患者を入院:有害事象を減らすかどうかは不明。入院の意思決定は,コスト,入院にともなって考える有害イベントと入院による効果とを考え合わせるべきである。
5.バイオマーカー:トロポニンやBNPがリスク評価として注目されているが,現時点ではルーチン検査としては勧められない
6.高リスク患者とは以下のうち1つを有する
・労作時失神,臥位での失神,新規発症の胸部不快感を伴う,失神前の動悸を伴う
・突然死の家族歴
・心不全,大動脈狭窄,左室流出路疾患,拡張型心筋症,肥大型心筋症,催不整脈性右室異形成,左室駆出分画<35%,心室性不整脈の既往,冠動脈疾患,先天性心疾患,以前の心筋梗塞,肺高血圧,ICD植え込み
・ヘモグロビン<9,収縮期血圧<90,洞徐脈<40
・新規の左脚ブロック,二束ブロック+第1度房室ブロック,ブルガダ型心電図,急性虚血性変化。新規非洞調律,二束ブロック,QT延長>450ms
7.低リスク患者とは以下の1つ以上を有し高リスク因子を有しない
・40歳未満
・立位での失神,臥位/座位から立った時の失神,失神前の嘔気嘔吐,失神前の熱感,痛みや感情的刺激,咳,排便,排尿に伴うもの
・長年に渡る同じようなエピソード
8.高リスクでも低リスクでもない患者
・低リスクながら他の合併症を持つ
・合併症はないが,神経質なキャラクターがある
・低リスク,高リスク因子共になし
9.中〜高リスク患者は外来でモニターすべき。低リスク例は追加検査は必要なく外来でフォロー
10.以下の所見はモニター上陽性
・心停止3秒以上
・持続性/非持続性心室頻拍(症状有る無しを問わず)
・高度房室ブロック
・徐脈<30(症状有る無しを問わず)
・徐脈<50+症状あり
・頻脈>120+症状あり
### 非常にクリアカットです。
一応血液検査,心電図,胸部写真まで施行する。そのうえで,器質的心疾患やモニター上の不整脈,貧血がなく,40歳未満,立位での失神,臥位/座位から立った時の失神,失神前の嘔気嘔吐,失神前の熱感,痛みや感情的刺激,咳,排便,排尿に伴うもの,長年に渡る同じようなエピソードであれば,原則入院させなくて良い。という極めて実際的な教えですね。
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by dobashinaika
| 2015-08-28 22:19
| 心臓突然死
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
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