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抗凝固薬の継続率はNOACのほうがワルファリンより良好:T/H誌

Therapy persistence in newly diagnosed non-valvular atrial fibrillation treated with warfarin or NOAC
C. Martinez et al
Thrombosis and Haemostasis http://dx.doi.org/10.1160/TH15-04-0350


目的;新規発症心房細動例の抗凝固薬開始1年後のNOACとVKAのパーシスタンス(忍容性)を評価

方法:
・抗凝固薬ナイーブの新規発症非弁膜症性心房細動27514例(オーストラリア)
・平均74.2歳、平均追跡期間1.9年
・2011年1月〜2014年5月に登録。2015年1月まで追跡

結果:
1)発症90日以内の抗凝固薬開始:全体の48.1%

2)VKA12307人、NOAC914人(リバーロキサバン、ダビガトラン、アピキサバン)

3)NOAC処方率:0%(2011年1月)→27.0%(2014年1月)

4)CHA2DS-VAScスコア2点以上の抗凝固薬処方率:41.2%→65.5%

5)処方12ヶ月後の継続率:VKA63.6% vs. NOAC79.2%; p<0.0001

6)CHA2DS-VAScスコア2点以上の人の12ヶ月継続率:VKA65.3% vs. NOAC83.0%; p<0.0001

7)各CHA2DS-VAScスコア別でこの傾向は変わらず

結論:NOACの処方継続率はVKAに比べて明らかに高い。この事のみで心原性脳梗塞を減らすことが可能。NOAC推奨のガイドライン順守が心原性脳梗塞を減少させる

### 平均年齢は74歳。平均CHADS2スコアは両群とも1.9点、CHA2DS-VAScスコアは2.8点です。NOACの内訳はダビガトラン347例、リバーロキサバン454例(アピキサバンは記載がないが引き算すると113例)で、継続率はダビガトラン73.1%に対し、リバーロキサバンは83.7%と良好でした。

当院のデータはといいますと、2011年3月から2015年4月までに新規投与したNOAC症例の継続率は、ダビトラン66%、リバーロキサバン77%、アピキサバン91%でした。ただしダビガトランは、発売当初他のNOACがないところで投与していることもあり、現在から振り返ってみれば適応が甘いと思われます。またアピキサバンは症例数が少なく追跡期間も短いため継続率がいまのところ良好にみえると考えてください。

一方当院のワルファリンの新規投与例での継続率はまだ算出しておりませんが、TTRが良好なため(概ね70%以上)ワルファリンからNOACに切り替えずにずっと投与している症例の継続率は86%とかなり良好でした。

思うに、ワルファリンにずっと慣れていてTTRも良好なひとは、アドヒアランスもかなり良い。その理由としてはワルファリンは非常に特殊な薬ですが、そのことがかえって患者さんに飲み忘れてはいけない、特別は薬であるという印象を強く与えるのではないかと思われます。また3.5錠などと多数の錠数を飲むことは、NOACのように1つぶだけ飲むというような軽い感じとは違うわけで、そのことも飲み忘れが少なくなる原因かと思います。

またNOACはワルファリンにくらべて皮下出血が多く、一部消化管出血も結構見られることで変更を余儀なくされることも少なくありません。

一方新規導入の場合は、ワルファリンは食事、採血、併用薬剤など何かと面倒なアイテム満載ですので、そこで挫折する人は多いものと思われます。

旦起動に乗ってしまったら、ワルファリンも非常にアドヒアランスは良好。ただし新規導入ではやはりNOACのほうがやや優れる。さらにただしたとえアドヒアランスが良好なNOACといえども、ワルファリンに戻る症例も少なくない(出血やコストの点で)。いまのところこんなふうに考えています。

$$$ 夏の朝もやの中 、佇む今日のニャンコ
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ここです。
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by dobashinaika | 2015-08-10 22:00 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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