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心房細動治療の13のキーポイント:JAMA誌

Treatment of Atrial Fibrillation
Eric N. Prystowsky et al
JAMA. 2015;314(3):278-288.


不整脈の大御所、 Prystowsky先生による「心房細動治療」の総説です。
あくまで「心房細動」の治療ですので、抗凝固療法は含まれていません。
しかしながら、このテーマをこれだけの分量でまとめることができるのは、さすがです。
しかもありがたいことにACCのメールマガジンで、わかりやすく13箇条にまとめてくれています。
それを紹介いたします。

心房細動治療のレビュー:キーポイント

1)高血圧、肥満、閉塞性睡眠時無呼吸症候群への介入は、心房細動の出現を減らせるかもしれないが、長期間なくすことはできない

2)臨床試験では、高齢者(平均68−70歳)において薬理学的なリズムコントロールはレートコントロールより有利ではないことが示されている

3)いくつかのデータは、65歳未満の若年者においてリズムコントロールは予後の点でレートコントロールより利益はあることを示している

4)リズムコントロールかレートコントロール下の意思決定は症状、年齢、合併症、患者の好みをもとに個別化されるべきである

5)リズムコントロール時の抗不整脈薬は、第一に安全性、第二に有効性に基づくべきである

6)抗不整脈薬は完全に心房細動を抑えることはまでれあり、臨床的な有効性を考えると完全に押される必要もない

7)ドフェチライドは入院患者で開始すべきゆういつの抗不整脈薬である。他の抗不整脈薬は、低リスクの外来患者では時に安全に開始できるかもしれない

8)カテーテルアブレーションは、一般的には薬物療法に適切に反応しない症状のある患者に施行される

9)再施行を入れれば、カテーテルアブレーションの長期成績は約80%

10)数多くのRCTがにおいて、心房細動の出現や症状を抑える効果としては薬物療法よりもカテーテルアブレーションのほうが優れていることが示されている

11)直流除細動は、緊急除細動が必要なときや洞調律回復が必要なときに施行される

12)最も適切な目標心拍数は安静時80/分以下、歩行のような適度な運動時110/分以下である

13)ベータ遮断薬と非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬がレートコントロールによく用いられる

### ほぼ全て納得ですね。レートコントロールの目標心拍数がやや厳しい感じです。あと、日本ではドフェチライドはつかえません。気になったのはそのくらい。
時々読んで復習したいです。

$$$ 今日のにゃんこ。こう暑いとなかなか出てきてくれません。
心房細動治療の13のキーポイント:JAMA誌_a0119856_191438.jpg

by dobashinaika | 2015-07-31 19:04 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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