抗凝固療法での「非弁膜症性心房細動」という言葉は紛らわしい:Circ誌
Apixaban Compared with Warfarin in Patients With Atrial Fibrillation and Valvular Heart Disease: Findings From the ARISTOTLE Trial
Alvaro Avezum et al
Circulation Published online before print June 23, 2015
アリストテレス試験サブ解析
・登録患者18201人中、中等〜重症弁膜症または人工弁手術患者4804人26.4%
・脳卒中/全身性塞栓症:弁膜症有る無しでのアピキサバンvsワルファリンのハザード比:
弁膜症あり0.70、弁膜症なし0.84;交互作用p=0.38
・大出血:
弁膜症あり0.79、弁膜症なし0.65;交互作用p=0,23
・死亡率:
弁膜症あり1.01 、弁膜症なし0.84;交互作用p=0.10
結論:アリストテレス試験の「非弁膜症性」と呼ばれる患者の4分の1に中等度〜重症弁膜症患者が存在する。脳卒中/全身性塞栓症、大出血、死亡率の低下効果について、アピキサバンのワルファリンを上回る効果は弁膜症の有無に無関係
###アリストテレス試験では、重症僧帽弁狭窄症と人工弁患者は除外基準ですが、その他の弁膜症疾患は組入れられており全体の26%にも登ります。
具体的には、僧帽弁閉鎖不全症74.4%、軽症僧帽弁狭窄症2.7%、大動脈弁閉鎖不全症23.9%、大動脈弁狭窄症8.0%、三尖弁閉鎖不全症44.2%、弁膜症手術の既往5.2%です。
RE-ALIGN試験で、ダビガトランの人工弁での効果と安全性は否定されてしまいましたが、この論文は人工弁と重症僧帽弁狭窄症以外の弁膜症はNOACでも良さそうだという趣旨です。まあ人工弁以外であれば、僧帽弁逆流や大動脈弁膜症だとNOACの分が悪くなるメカニズムは思いつきませんので、ある意味当たり前の結果とも言えます。
この論文で言いたいのは、よく「非弁膜症性」と言われ、保険病名もそうつけていないとカットされる場合まであるわけですが、その命名の仕方はおかしいのではということだろうと思います。私、保険の審査をしていたころも良く保険者から「僧帽弁閉鎖不全」や「大動脈弁狭窄症」の病名があるひとのNOACについて再審査が回ってきていました。
日本の2013年のガイドラインでようやく「非弁膜症」=「僧帽弁狭窄症以外+人工弁以外」と明記されましたが、やはり紛らわしい感が拭えません。各メーカーの添付文書も「心房細動、ただし人工弁と僧帽弁狭窄症合併は除く」とでも明記したほうが紛らわしくないと思います。
$$$ 先日大好きなブ◯タモリの取材が当院近くの四ツ谷用水を中心にあったとの情報をゲットしました。そういえば、散歩道途中の四ツ谷用水、数週間前は草ボーボーでしたが、今日はきれいに刈り込んでありました。
Alvaro Avezum et al
Circulation Published online before print June 23, 2015
アリストテレス試験サブ解析
・登録患者18201人中、中等〜重症弁膜症または人工弁手術患者4804人26.4%
・脳卒中/全身性塞栓症:弁膜症有る無しでのアピキサバンvsワルファリンのハザード比:
弁膜症あり0.70、弁膜症なし0.84;交互作用p=0.38
・大出血:
弁膜症あり0.79、弁膜症なし0.65;交互作用p=0,23
・死亡率:
弁膜症あり1.01 、弁膜症なし0.84;交互作用p=0.10
結論:アリストテレス試験の「非弁膜症性」と呼ばれる患者の4分の1に中等度〜重症弁膜症患者が存在する。脳卒中/全身性塞栓症、大出血、死亡率の低下効果について、アピキサバンのワルファリンを上回る効果は弁膜症の有無に無関係
###アリストテレス試験では、重症僧帽弁狭窄症と人工弁患者は除外基準ですが、その他の弁膜症疾患は組入れられており全体の26%にも登ります。
具体的には、僧帽弁閉鎖不全症74.4%、軽症僧帽弁狭窄症2.7%、大動脈弁閉鎖不全症23.9%、大動脈弁狭窄症8.0%、三尖弁閉鎖不全症44.2%、弁膜症手術の既往5.2%です。
RE-ALIGN試験で、ダビガトランの人工弁での効果と安全性は否定されてしまいましたが、この論文は人工弁と重症僧帽弁狭窄症以外の弁膜症はNOACでも良さそうだという趣旨です。まあ人工弁以外であれば、僧帽弁逆流や大動脈弁膜症だとNOACの分が悪くなるメカニズムは思いつきませんので、ある意味当たり前の結果とも言えます。
この論文で言いたいのは、よく「非弁膜症性」と言われ、保険病名もそうつけていないとカットされる場合まであるわけですが、その命名の仕方はおかしいのではということだろうと思います。私、保険の審査をしていたころも良く保険者から「僧帽弁閉鎖不全」や「大動脈弁狭窄症」の病名があるひとのNOACについて再審査が回ってきていました。
日本の2013年のガイドラインでようやく「非弁膜症」=「僧帽弁狭窄症以外+人工弁以外」と明記されましたが、やはり紛らわしい感が拭えません。各メーカーの添付文書も「心房細動、ただし人工弁と僧帽弁狭窄症合併は除く」とでも明記したほうが紛らわしくないと思います。
$$$ 先日大好きなブ◯タモリの取材が当院近くの四ツ谷用水を中心にあったとの情報をゲットしました。そういえば、散歩道途中の四ツ谷用水、数週間前は草ボーボーでしたが、今日はきれいに刈り込んでありました。
by dobashinaika
| 2015-06-30 22:14
| 抗凝固療法:アピキサバン
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
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