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薬剤師の介入によるダビガトランのアドヒアランスの改善:心房細動多職種包括管理の時代

Site-Level Variation in and Practices Associated With Dabigatran Adherence
Supriya Shore eta l
JAMA. 2015;313(14):1443-1450


デザイン、セッティング、参加者:
・後ろ向き量的データ、横断的質的研究
・20人以上のダビガトランの処方経験を持つ67の退役軍人医療施設
・2010〜2012年、4863人、1施設平均51人
・41の薬局から47人の薬剤師が参加

介入:医療施設ごとの適切な患者選択(の有無)、薬剤師主導の患者教育、有害事象やアドヒアランスのモニタリング

評価項目:ダビガトランのアドヒアランス:proportion of days covered

結果:
1)アドヒアランスの平均:74%(中間四分位66〜80%)

2)施設ごとのアドヒアランスの変化の平均オッズ比:1.57

3)適切な患者選択を行っている医療施設31、薬剤師主導の患者教育30施設、薬剤師主導のモニタリング28施設

4)アドヒアランスの良い患者の割合:患者選択(75% vs 69%),患者教育(76% vs 66%)、モニタリング(77% vs 65%)を施行している施設が多い

5)薬剤師主導の患者教育とアドヒアランスの関連は統計的に優位でない:相対危険0.94; 95% CI, 0.83-1.06

6)適切な患者選択(相対危険1.14)、患者モニタリング(相対危険1.25)はアドヒアランスに関連

7)臨床家が共同してのアドヒアランの良くない患者の長期のモニター及び集中的ケアはアドヒアランスを高めた

結論:ダビガトラン服用中の非弁膜症性心房細動においては、ダビガトランのアドヒアランスは退役軍人の医療施設ごとに格差あり。薬剤師ベースの特異的な活動はアドヒアランス向上に大きく寄与した。

### 薬剤師の介入は、ダビガトランの適応の検討、薬剤適応、有害事象、アドヒアランスの重要性、誤服薬、転倒リスク、薬物相互作用、適切な量についての教育、有害事象道の迅速なモニタリングと出血への対処などからなっています。

アドヒアランスの計算方法は、proportion of days coveredすなわち服薬がカバーされる日の割合=きちんと処方箋通りに飲んだ日の全処方日数に対する割合で表しています。平均74%というのはNOACとしてはいいのかどうか。

この論文も多職種共同による心房細動治療管理の重要性を示唆しています。私、最近、もう抗凝固療法の適応決定、薬の使い分け、リスクヘッジなどを医師だけで行う時代は終わったとづくづく思うわけです。というより一つの疾患を医師が主導してやっていけると思い込んだ時代はもう終わりで、すべからく医療は,もちろん外来診療においても疾患管理しかも多職種による包括的な疾患管理でやっていく時代だと思います。

特に様々な問題を抱えるアドヒアランスの良くない患者さんに対し、医師が適応をあれこれ考え、抗凝固薬の使い分けをあーでもないと考えるだけでは、せいぜい65%程度のアドヒアランスしか得られないのですね。ワーファリンとNOACの年間脳卒中発症率や頭蓋内出血率の僅差を競ってみても、アドヒアランス30%以上低下という数を目にすると、あれ?と思ってしまいます。

心房細動に限らず、あらゆる疾患に、薬剤適応からモニタリング、患者教育に至るまで薬剤師、看護師、栄養士など多職種が関わっていく、そういう体制を作りたいものです。

$$$ 亘理町に行った時にゲット。はらっこめしプリン。はらこはタピオカでした。私は食べませんでしたが美味しいらしいです。
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by dobashinaika | 2015-04-15 23:46 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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