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抗凝固薬のリスクスコアは低リスクの場合果たして適切なのか:JACC誌

Benefit of Anticoagulation Unlikely in Patients With Atrial Fibrillation and a CHA2DS2-VASc Score of 1
Leif Friberg
J Am Coll Cardiol. 2015;65(3):225-232


疑問:CHA2DS-VAScスコア1点はリスクなのか?

方法:スウェーデンナショナルヘルスレジストリー登録の心房細動患者140420人。後ろ向き調査。脳卒中の定義は様々

結果:
1)未分類の脳卒中、TIA、肺塞栓を「脳卒中」と同等に扱うと、「虚血性脳卒中」よりも年間44%リスクが高くなる

2)入院時心房細動に関連した脳卒中イベントを含むと、最初の4週間を超えた長期リスクは2倍になる

3)女性では、イベントの定義で年間脳卒中率は0.1〜02%に変動

4)同様に男性では0.5〜0.7%に変動
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結論:心房細動でCHA2DS-VAScスコア1点の患者の虚血性脳卒中リスクは従来報告されているよりも低いかもしれない

### これまで当たり前のように使われてきたCHA2DS2-VAScスコアの根底を覆すような論文です。
CHA2DS2-VAScスコアは1点以上で抗凝固薬推奨とされていますが、1点の場合、もともと低リスクなので非抗凝固薬下での虚血性脳卒中の年間リスクがどの程度あるのが、実は非常に大きな問題なわけです。

ワルファリンの虚血性脳卒中年間対危険減少が0.7くらいで頭蓋内出血増大は0.6〜0.8(NOACでは0.2〜0.5くらい)なので、年間1%というのが、概ね別れめかと思われます。これまでESCのガイドラインの根拠となった論文は0.6〜2.0%超とされており、実はだいぶ幅があるのです。

本論文は、こうした差異が「虚血性脳卒中」の定義に由来することを示しています。

この論文によれば、スウェーデンの昔の登録はTIAや肺塞栓まで"stroke"に加えられており、それらを再解析したようです。またquarantine periodsといって、登録研究では、例えば心房細動を診断された直後のイベントの場合、心房細動以外の理由による可能性やう複数のクリニックでのダブルカウントも考え、イベントとしてカウントしない期間が設けられており、それによってもアウトカムが変わります。

その目で見ると、このコホートではCHA2DS2-VAScスコア1点の虚血性脳卒中リスクは0.9%ですがこれは肺塞栓、TIAなどまで入れたもので、虚血性脳卒中のみの病名コードを取り出すと0.5%になるとのことです。

Editoroal(Singer先生)も面白くて、CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアはきちんとした統計学的モデルに基づいておらず、その予測能は可もなく不可もなくだ、とバッサリ切っています。
Adding Rigor to Stroke Risk Prediction in Atrial Fibrillation
Daniel E. Singer


この辺り、Lip先生はどうreplyするのでしょうか

それにしても、最近日本人の塞栓リスクが考えているより低いとか、各項目によってもリスクに違いがあることなどが指摘されるようになり、いよいよ低リスクへの抗凝固薬を考え直す時期なのかなあと感じます。

$$$ 一瞬外国に見えなくもない?
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by dobashinaika | 2015-01-20 21:56 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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