日本人の弁膜症性心房細動患者のワルファリン管理強度はどのくらいか?:CJ誌
Target Intensity of Anticoagulation With Warfarin in Japanese Patients With Valvular Atrial Fibrillation :– Subanalysis of the J-RHYTHM Registry –
Eitaro Kodani et al
Circulation Journal 12月10日
疑問:日本の弁膜症性心房細動のワーファリン強度はどのくらいか?
方法:
・J-RHYTHMレジストリー登録7816例中、弁膜症性心房細動(僧帽弁狭窄症、機械弁)410例
・イベント発生時または登録終了時のPT-INRを<1.6, 1.6–1.99, 2.0–2.59, 2.6–2.99, ≥3.0の5段階に分類
・平均2年間追跡
結果:
1)弁膜症性心房細動へのワルファリン投与率:99.3%
2)血栓塞栓症:12例2.9%、大出血15例3.7%
3)INR段階別血栓塞栓症発症率:10.3%, 1.6%, 0.6%, 3.0%, and 0.0% (P=0.003 for trend),
4)INR段階別大出血発症率:1.5%, 1.6%, 3.2%, 6.1%, and 21.1% (P<0.001 for trend)
結論:INR1.6~2.6が、日本の弁膜症性心房細動患者において、大出血を増やすことなく血栓塞栓症を防ぐのに適切かもしれない。2.66〜2.99も効果的だが大出血率がやや高い。
### 確認ですが、弁膜症性心房細動の平均INRは2.1±0.5、非弁膜症性では1.9±0.5でした。弁膜症性心房細動におけるINRの分布は、<1.6, 1.6–1.99, 2.0–2.59, 2.6–2.99, ≥3.0の5段階別に見みるとそれぞれ14.3%、32.7%、40.3%、7.6%、5.2%でした。
全体の50%弱で2.0未満、I.6~2.6の間に入る人が73.0%ということで、日本の医師は弁膜症性であっても、大体1.6〜2.6位を目指していることが伺われます。
INR2.6~2.99で突然血栓塞栓症率が3.0%に跳ね上がっていることが解せませんが、このINRはイベント発生時や登録終了時のものなので、とういるせいが取れていないからかもしれません。ただ論文ではTTRを測定した分析もなされていて、それでも同様の結果だったとの事のようです。
やはり、日本人が欧米人よりやや出血傾向の高いことなどが絡んでいるのでしょうか?
ともあれ、弁膜症性の場合これまでなら2.0くらいだと、やや増やそうかという感じなって、その次の月に2.8くらいになっていて、ちょっと出血が心配なんお言うことを繰り返したわけですが、だいたい2の前半で良いとなると、かなり精神的に楽になりますね。
なお日本人の非弁膜症性心房細動のINR強度はこちら
$$$ 今日は冬至。日の出が一番遅い日かというとそうでもないんだそうです。中学の理科の時先生が言っていたのを思い出しました。
住宅街のこうしたなにげない看板、なんとなくいいですね。
Eitaro Kodani et al
Circulation Journal 12月10日
疑問:日本の弁膜症性心房細動のワーファリン強度はどのくらいか?
方法:
・J-RHYTHMレジストリー登録7816例中、弁膜症性心房細動(僧帽弁狭窄症、機械弁)410例
・イベント発生時または登録終了時のPT-INRを<1.6, 1.6–1.99, 2.0–2.59, 2.6–2.99, ≥3.0の5段階に分類
・平均2年間追跡
結果:
1)弁膜症性心房細動へのワルファリン投与率:99.3%
2)血栓塞栓症:12例2.9%、大出血15例3.7%
3)INR段階別血栓塞栓症発症率:10.3%, 1.6%, 0.6%, 3.0%, and 0.0% (P=0.003 for trend),
4)INR段階別大出血発症率:1.5%, 1.6%, 3.2%, 6.1%, and 21.1% (P<0.001 for trend)
結論:INR1.6~2.6が、日本の弁膜症性心房細動患者において、大出血を増やすことなく血栓塞栓症を防ぐのに適切かもしれない。2.66〜2.99も効果的だが大出血率がやや高い。
### 確認ですが、弁膜症性心房細動の平均INRは2.1±0.5、非弁膜症性では1.9±0.5でした。弁膜症性心房細動におけるINRの分布は、<1.6, 1.6–1.99, 2.0–2.59, 2.6–2.99, ≥3.0の5段階別に見みるとそれぞれ14.3%、32.7%、40.3%、7.6%、5.2%でした。
全体の50%弱で2.0未満、I.6~2.6の間に入る人が73.0%ということで、日本の医師は弁膜症性であっても、大体1.6〜2.6位を目指していることが伺われます。
INR2.6~2.99で突然血栓塞栓症率が3.0%に跳ね上がっていることが解せませんが、このINRはイベント発生時や登録終了時のものなので、とういるせいが取れていないからかもしれません。ただ論文ではTTRを測定した分析もなされていて、それでも同様の結果だったとの事のようです。
やはり、日本人が欧米人よりやや出血傾向の高いことなどが絡んでいるのでしょうか?
ともあれ、弁膜症性の場合これまでなら2.0くらいだと、やや増やそうかという感じなって、その次の月に2.8くらいになっていて、ちょっと出血が心配なんお言うことを繰り返したわけですが、だいたい2の前半で良いとなると、かなり精神的に楽になりますね。
なお日本人の非弁膜症性心房細動のINR強度はこちら
$$$ 今日は冬至。日の出が一番遅い日かというとそうでもないんだそうです。中学の理科の時先生が言っていたのを思い出しました。
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by dobashinaika
| 2014-12-22 22:50
| 抗凝固療法:ワーファリン
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
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