JAMA誌の高齢者の脂質異常症診療に関する総説。参考になります。
JAMA 2014;312:1136-1144.
Evaluation and Treatment of Older Patients With Hypercholesterolemia: A Clinical Review
JAMAに高齢者の脂質異常症診療に関する総説が掲載されています。
さいわいJournal scanというサイトで、10の要点にまとめていますので、ご紹介します。
1.西洋では多くのひとが平均80歳を超えるライフスパンを持つ。OECD2010のデータでは米国の80歳男子はあと8.1年、女性は9.7年余命がある。
2.動脈硬化性心血管疾患の予防は遅いと効果が無いか低い
3.現時点で、80歳以上の人にスタチンを処方するか否かを決める際、冠動脈カルシウムスコアや頸動脈MITからの情報に追加するデータはない
4.現在、血漿ホモシステイン値が高齢者の動脈硬化性心疾患予防と関連ありとのデータが有る。70〜82歳の人対象にプラセボとプラバスタチンを無作為化比較したPROSPER試験では、高コレステロールの人で1つの冠動脈イベントに対すNNTは14.8(3,2年)だが、低コレステロールでは64.5
5.現在、80歳以上のひとでスタチンあるいは他の脂質低下薬の使用を支持するRCTはない。75〜80歳のRSTや登録研究からは、二次予防や糖尿病のひとには有効との所見あり
6.75〜80歳の動脈硬化性心血管疾患減少を示すRCTはある。そのためACC/AHAガイドラインでは既にスタチンを服用している75歳上のひとは同薬を継続することを支持している
7.75歳以上の人に、一次予防としてスタチンを初めて処方することは推奨されない
8.高齢者では特にモニタリングは推奨されない。しかしながら、加齢、合併症、薬剤多用、脆弱性増加に伴いイベントリスクは増加する。肝逸脱酵素、CK、血糖の閾値は低くするよう求められる
9.高齢者ではスタチンによる有害事象は増えないので、一次予防としての使用は可能ではある。80歳以上のひとは余命の差に応じて生物学的に多様であり、脆弱性、多剤併用なので、スタチン仕様の決定は個別的であるべき
10. 高齢者にスタチンを考える際は様々な因子を考えるべき。余命、合併症、心血管疾患のリスク、多剤併用を考えるべき
### これは勉強になります。80歳以上の方にスタチンを処方すべきかどうか。これまでずっと出しているひとをどうするか。ある意味アポリア(難問)だったんですが、クリアカットに教えてもらった感じです。
・75〜80歳のひとは、これまで出している場合は継続で良い。一次予防で新たに出す必要はない。
・80歳以上のひとで、二次予防や糖尿病の人ではスタチンを出しても良い
・出す場合のチェックポイントは、「余命、合併症、他のリスク、多剤併用」
このパール群自体守ることで多剤併用を防げそうです。
Evaluation and Treatment of Older Patients With Hypercholesterolemia: A Clinical Review
JAMAに高齢者の脂質異常症診療に関する総説が掲載されています。
さいわいJournal scanというサイトで、10の要点にまとめていますので、ご紹介します。
1.西洋では多くのひとが平均80歳を超えるライフスパンを持つ。OECD2010のデータでは米国の80歳男子はあと8.1年、女性は9.7年余命がある。
2.動脈硬化性心血管疾患の予防は遅いと効果が無いか低い
3.現時点で、80歳以上の人にスタチンを処方するか否かを決める際、冠動脈カルシウムスコアや頸動脈MITからの情報に追加するデータはない
4.現在、血漿ホモシステイン値が高齢者の動脈硬化性心疾患予防と関連ありとのデータが有る。70〜82歳の人対象にプラセボとプラバスタチンを無作為化比較したPROSPER試験では、高コレステロールの人で1つの冠動脈イベントに対すNNTは14.8(3,2年)だが、低コレステロールでは64.5
5.現在、80歳以上のひとでスタチンあるいは他の脂質低下薬の使用を支持するRCTはない。75〜80歳のRSTや登録研究からは、二次予防や糖尿病のひとには有効との所見あり
6.75〜80歳の動脈硬化性心血管疾患減少を示すRCTはある。そのためACC/AHAガイドラインでは既にスタチンを服用している75歳上のひとは同薬を継続することを支持している
7.75歳以上の人に、一次予防としてスタチンを初めて処方することは推奨されない
8.高齢者では特にモニタリングは推奨されない。しかしながら、加齢、合併症、薬剤多用、脆弱性増加に伴いイベントリスクは増加する。肝逸脱酵素、CK、血糖の閾値は低くするよう求められる
9.高齢者ではスタチンによる有害事象は増えないので、一次予防としての使用は可能ではある。80歳以上のひとは余命の差に応じて生物学的に多様であり、脆弱性、多剤併用なので、スタチン仕様の決定は個別的であるべき
10. 高齢者にスタチンを考える際は様々な因子を考えるべき。余命、合併症、心血管疾患のリスク、多剤併用を考えるべき
### これは勉強になります。80歳以上の方にスタチンを処方すべきかどうか。これまでずっと出しているひとをどうするか。ある意味アポリア(難問)だったんですが、クリアカットに教えてもらった感じです。
・75〜80歳のひとは、これまで出している場合は継続で良い。一次予防で新たに出す必要はない。
・80歳以上のひとで、二次予防や糖尿病の人ではスタチンを出しても良い
・出す場合のチェックポイントは、「余命、合併症、他のリスク、多剤併用」
このパール群自体守ることで多剤併用を防げそうです。
by dobashinaika
| 2014-09-26 11:28
| 虚血性心疾患
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
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