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無症候性心房細動は有症候性よりも持続性に移行しやすい:Circulation J誌

Circ J 2014; 78: 1121–1126
Progression to the Persistent Form in Asymptomatic Paroxysmal Atrial Fibrillation
Keitaro Senoo et al


【疑問】発作性心房細動は有症候性より無症候性の方が慢性化しやすいのか?

P:心臓血管研究所(日本)のShinken Databaseに登録された19,994例中、発作性心房細動と診断された1,176例

E/C:初回受診時無症候性/有症候性

O:持続性心房細動への移行

【結果】
1)115例、年率6%で持続性心房細動へ移行:平均追跡期間1213日

2)無症候性(n=468)jは有症候性よりも低リスクプロファイル

3)無症候性の方が有症候性より持続性への移行多い:ハザード比(非補正)1.611(1.087−2.389.p=0.018)

4)無症候性、男性、心筋症が、持続性移行への独立危険因子

5)無症候性では肺静脈隔離施行が少ない

6)無症候性心房細動x肺静脈隔離術なしは持続化のもう一つの危険因子

7)有症候性、無症候性で、予後は同じ

【結論】
低リスクプロファイルにも関わらず、無症候発作性心房細動患者は、症候性心房細動に比べて持続性に進行しやすかった。この逆説的な結果はリズムコントロールを含積極的管理がなされないことの帰結かもしれない

### 昨年報告されておりますBelgrade AF studyを山下先生のグループの妹尾先生がShinken Databaseで検証された論文です。

無症候性心房細動が、低リスクにもかかわらず持続化リスクが大きい原因として、筆者らはアブレーションなどの治療介入が遅れることなどを原因として推察しています。
たしかに、無症候性心房細動の方は、無症候であるがゆえにたとえたまたま健診などで発作時心電図が見つかったとしても医療機関を受診されず、その後持続化してから改めて治療が開始されるということはしばしば経験します。例えば50代くらいの方などでも、動悸などが全くないのに健診で心房細動がはじめてみつかり、じつはもう持続性だったという方もよく見かけます。

「無症候性」の定義はShinken Databaseに登録された方、つまり何らかの理由で循環器専門の医療施設を受診し、ある外来での心電図で心房細動が記録されたにもかかわらず無症候であった方です。ですので、医療機関に全くかかっていない人とは多少populationが違いますね。まあしかしながら、全くの無症状の人は病院に行かないわけですので、世界の全無症候性心房細動例の何%が持続化するかというのは、知ることの不可能な命題ですので(ある一般住民コホートに一定期間ループレコーダーなどを装着してもらい、無症候性心房細動があった人を長期間前向き追跡するなどすれば別ですが、、、ムリですね)、方法論としては、これしかないように思います。

Belgrade AF studyでは10年追跡で虚血性脳卒中も無症候性心房細動で多かったとのことですが、本論文は予後は同じようです。この違いも興味あるところです。

非常にきれいな結果で、無症候性心房細動患者さんをもっと積極的に見つけなければならないことを痛感させられます。
by dobashinaika | 2014-05-24 00:18 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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