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心房細動におけるShared Decision Making(2):Circulation誌

昨日からの続き。心房細動におけるSDMその2です。

Shared Decision Making in Atrial Fibrillation
Where We Are and Where We Should Be Going
Luke Seaburg et al
Circulation. 129: 704-710


【SDM: 何がSDMで何がSDMでないか】
・SDMのゴールは患者が利用できるベストなエビデンスと価値、選好にマッチしたケアを受けたいという欲求が増加すること
・患者がSDMに参加する際、そのプロセスと決定事項の質を評価することで、医師ー患者の出会いの質を評価することができる
・プロセスの評価ではその決定がなされる必要性を(選択肢を提示された)患者が理解できるかどうかが問われる
・決定事項の評価は患者の述べたゴールと最終決定における価値がいかに整理されたかによる

・意思決定は多くは患者の生活においてくだされ、意志決定のプロセスは多数存在する(表2)
・医師は実行に値するような合理的なエビデンスベーストの選択肢を、賛否両論あるエビデンス、彼らの好みや患者との協議したこととともにを提示しなければならない
・患者は希望する範囲で、彼らの価値観や好みをはっきりさせ、医師との合意に到達するというそのプロセスに関わる
・SDMはインフォームドコンセント(IC)と同様、プロセスなのであるが、ICがいくつかの可能な行為のうちからの決定言うよりも与えられた行為ヘの許可といった意味合いを含む点で異なっている
・ICでの意思決定とは、患者が技術的な情報を得、医師の追加の情報なしに最終決定がなされる
・SDMは多数の合理的な選択肢があり、患者が各選択肢のベネフィトやリスク、負担、コストに対して抱く相対的な価値観によって選択がなされるという点で、最適な意思決定である。
・このことは、上質なエビデンスがあるときも、エビデンスに乏しい場合でも成り立つ

・SDMはその強度の点で限界あり
・SDMは唯一の正しい答えがあるときやある選択肢型に比べて明らかに有意であるときは有効でない
・このようなときはICまたは動機付けのためのインタービューという形式を使う
・エビデンスや技術や薬が進化するように、より上質な技術や治療が医師ー患者間の会話の性質を進化させ変化させることが可能
・今のところ、心房細動治療ではどれがより有意か、患者にとって好ましいかは不明
・これはSDMに理想的に適した状況である

・たとえSDMが理想であっても、実行のためのいくつかの実践的取り組みはある
・医師はSDMをサポートする性向やスキル、時間、ツールを持っていない
・心房細動は選択肢が複雑でありいくつかのアウトカム(好ましい、好ましくない両方の)をとりうる
・心房細動では、レートコントロール(アブレーション&ペースを含む)やリズムコントロール(アブレーションを含む)のための選択肢がある
・理想的には、医師が患者と、彼らの個別化されたリスクとベネフィットを共有できれば良い
・ヘルスリテラシーの各患者間の幅が広いので、こうした情報を示すことは簡単ではない
・こうした複雑な状況では意思決定支援は、大変重要なツールとなる
・また他の疾患の経験が、心房細動の意思決定支援をどうデザインしテストするかのヒントとなる

【意思決定支援】
・意思決定支援のツールはリスクベネフィット理解の手助けとなる
・それらはわかりやすい図表の形で、数ある情報のうち最近のエビデンスに基づく統計的な情報を提示してくれる
・支援ツールはQOL、生存率、脳卒中、致死的出血について、個々の患者ごとの個別的なリスクを評価してくれる
・これらのツールは、双方向性にデザインされているので、標準的な情報媒体とは区別されることに注目
・支援ツールは患者さんの受診の際に使われるようにデザインされている
・それら会話を促進させる点で効果的
心房細動におけるShared Decision Making(2):Circulation誌_a0119856_0102919.png

・支援ツールは、リスクベネフィットの個別化が重要なのでスコアリングの形をとる
・よく知られているのがCHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコア、HEMORR2HAGESスコア、HAS-BLEDスコア、ATRIAスコア

###またまた総論的な話の羅列で恐縮です。私にとっては大変興味深く、後で何回も読み返したいこともあり、いちいち言ってることを咀嚼しながら読んでいたら、ここで全部訳しておきたい気分にかられてしまいました。

ただし最後の支援ツールは、よく欧米の教科書に出てきますが、絶対リスクを示すことで、事の重要性が過小評価されるリスクが有ると思われます。

この辺、抗凝固療法の意思決定時具体的にどうするのか。次回各論で出てくるかもれません。

ちなみに拙著では、その辺の説明の仕方について言及していますので興味ある方は参照ください。
by dobashinaika | 2014-05-07 00:12 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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