心房細動アブレ−ション前後でワルファリンを継続すべきか?:Circulation誌
Circulation 4月17日オンライン版
Periprocedural Stroke and Bleeding Complications in Patients undergoing Catheter Ablation of Atrial Fibrillation with Different Anticoagulation Management: Results from the "COMPARE" Randomized Trial
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.00642
Luigi Di Biase et al
【疑問】心房細動のカテーテルアブレ−ション前後でワルファリンを継続すべきか
P:CHADS2スコア1点以上の心房細動アブレーション施行者
E:ワルファリン中止+ヘパリンブリッジ
C:ワルファリン継続
O:血栓塞栓イベント:アブレーション後48時間以内
T:オープンラベル、ランダム化比較試験。米国の多施設研究
【結果】
1)1584人登録。中止群790人、継続群794人。背景に差なし
2)血栓塞栓イベント:有意に中止群で多い (p<0.001)
中止群39例:脳卒中29,TIA10:発作性2,持続性4,長期持続性33
継続群2例:前例長期持続性
3)ワルファリン中止は血栓塞栓イベントの強力な予測因子:オッズ比13(3.1−55.6, p<0.001)
【結論】この試験はアブレーション周術期のワルファリン継続が、ワルファリン中止+ヘパリンブリッジに比べ脳卒中や小出血を減らすことを示した初めてのランダム化試験である。
### 確認ですが中止群はアブ前2−3日でワルファリン中止し、当日まで低分子ヘパリンブリッジとエノキサパリン1日2回投与しています。術後は3ジアkンゴからエノキサパリン投与開始、INRが2以上になったら中止としています。継続群では当日1INRが3.5以上の症例は除外されています。
また出血合併症は、中止群7例、継続群4例でどちらも心嚢液貯留でしたが有意差なしでした。(むしろ継続群で少ない傾向)
血栓塞栓イベントはCHADS2スコア高点及び長期持続性で多かったようです。
なかなかインパクトの有る結果です。日本ではINRがもっと低めですから塞栓症イベントで差が開かないかもしれませんが、やはりヘパリンブリッジは症例により危険が伴うのかもしれません。上記の症例では特にワルファリン継続を考えるべきかもしれません。
NOACでどうかが興味深いですが、筆者はNOACに解釈を広げるべきでないと諭していますね。
Periprocedural Stroke and Bleeding Complications in Patients undergoing Catheter Ablation of Atrial Fibrillation with Different Anticoagulation Management: Results from the "COMPARE" Randomized Trial
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.00642
Luigi Di Biase et al
【疑問】心房細動のカテーテルアブレ−ション前後でワルファリンを継続すべきか
P:CHADS2スコア1点以上の心房細動アブレーション施行者
E:ワルファリン中止+ヘパリンブリッジ
C:ワルファリン継続
O:血栓塞栓イベント:アブレーション後48時間以内
T:オープンラベル、ランダム化比較試験。米国の多施設研究
【結果】
1)1584人登録。中止群790人、継続群794人。背景に差なし
2)血栓塞栓イベント:有意に中止群で多い (p<0.001)
中止群39例:脳卒中29,TIA10:発作性2,持続性4,長期持続性33
継続群2例:前例長期持続性
3)ワルファリン中止は血栓塞栓イベントの強力な予測因子:オッズ比13(3.1−55.6, p<0.001)
【結論】この試験はアブレーション周術期のワルファリン継続が、ワルファリン中止+ヘパリンブリッジに比べ脳卒中や小出血を減らすことを示した初めてのランダム化試験である。
### 確認ですが中止群はアブ前2−3日でワルファリン中止し、当日まで低分子ヘパリンブリッジとエノキサパリン1日2回投与しています。術後は3ジアkンゴからエノキサパリン投与開始、INRが2以上になったら中止としています。継続群では当日1INRが3.5以上の症例は除外されています。
また出血合併症は、中止群7例、継続群4例でどちらも心嚢液貯留でしたが有意差なしでした。(むしろ継続群で少ない傾向)
血栓塞栓イベントはCHADS2スコア高点及び長期持続性で多かったようです。
なかなかインパクトの有る結果です。日本ではINRがもっと低めですから塞栓症イベントで差が開かないかもしれませんが、やはりヘパリンブリッジは症例により危険が伴うのかもしれません。上記の症例では特にワルファリン継続を考えるべきかもしれません。
NOACでどうかが興味深いですが、筆者はNOACに解釈を広げるべきでないと諭していますね。
by dobashinaika
| 2014-04-21 17:19
| 心房細動:アブレーション
|
Comments(0)
土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
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●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
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