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iPhoneで心電図を記録することによる心房細動スクリーニングの有用性と費用対効果:T/H誌

Thrombosis and Haemostasis 4月1日付オンライン版より

Feasibility and cost effectiveness of stroke prevention through community screening for atrial fibrillation using iPhone ECG in pharmacies
The SEARCH-AF study
Nicole Lowres et al


【疑問】iPhoneによる心房細動スクリーニングの有用性と費用対効果はどうなのか?

【方法】
・オーストラリア・シドニーの10の登録薬局を受診した65歳以上のすべての患者(末期患者、重度認知症などは除外)
・脈を取る(30秒間) 、およびiPhoneによるI誘導のハンドヘルド心電図=iECG(30〜60秒)(AliveCor Heart Monitor)
・心房細動が記録されたら、GPに紹介
・本スクリーニングの費用対効果を算定
65歳以上の心房細動有病率4.4%、罹患率1.4%、デバイスの感度98.5%、特異度91.4%
スクリーニング1回のコストを$AUD20(20オーストラリアドル)、GP紹介から心電図施行までを$AUD252
ワルファリンによる治療とモニタリングを$AUD803.80/年で算定

【結果】
1)1000人登録:平均76歳、女性44%。全員CHA2DS-VAScスコア2点以上

2)心房細動罹患率(年間)6.7%。新たな心房細動発見は1.5%で全員CHA2DS-VAScスコア2点以上

3)iECGによる感度は98.5%、特異度は91.4%

4)ワルファリンのアドヒアランスを55%にした場合増分対費用効果比は1QUALYあたり$AUD5988(約57万円)。脳卒中1人予防あたり$AUD30481(約293万円)

5)感度分析ではアドヒアランスが増すに連れて費用対効果も向上する

【結論】薬局におけるiECGを用いた心房細動スクリーニングは適切であり費用対効果が良い。新たに見つかった心房細動の血栓塞栓リスクは高く大きいため、地域での心房細動スクリーニングのベネフィットが強調される。地域iECF心房細動スクリーニングのガイドライン推奨を考えるべきである。

### ついにここまで来ましたね。以前心房細動診断は、ハイリスクストラテジーからポピュレーションストラテジーに変わるだろうと言っていたのですが、もはや現実は先を行っています。デバイスの概要は以前紹介しました。
http://dobashin.exblog.jp/17451920/
iPhoneで心電図を記録することによる心房細動スクリーニングの有用性と費用対効果:T/H誌_a0119856_2001077.jpg


薬局で薬剤師の先生により、脈をとってiPhoneを使えば、年間1,5%の人に心房細動があらたに見つかる。そして1人の脳卒中を予防するのに293万円(豪ドル=96円で計算)の費用が見込まれる、と書くとかなり良さそうな戦略に見えます。

日本では薬剤師さんの権限はここまでありませんが、オーストラリアは医師の診察なしでも、処方箋が出せて患者さんは薬局にそれを持っていけば薬が手に入るようになっているのでしょうか。日本では医師が診察時に脈を取れば良い話かもしれません。

iPhoneアプリによる心房細動診断ですが、実はもう日本ではもっと簡単なデバイスが開発されています。
https://itunes.apple.com/jp/app/hatorizumu-nao-geng-saino/id772332884?mt=8

こちらは指にカメラ・レンズを当てるだけで脈拍がグラフ化されるという、ある意味画期的かもしれません。
日本の若手医師による開発ですが、感度特異度を知りたいところです。
iPhoneで心電図を記録することによる心房細動スクリーニングの有用性と費用対効果:T/H誌_a0119856_2011866.jpg

by dobashinaika | 2014-04-01 20:01 | 心房細動:診断 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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