心房細動とがんの関係:JACC誌
JACC 3月18日号より
Insights Into Onco-CardiologyAtrial Fibrillation in Cancer
Dimitrios Farmakis, MD, et al
J Am Coll Cardiol. 2014;63(10):945-953. doi:10.1016/j.jacc.2013.11.026
【疑問】心房細動とがんの関係は?
JACCの最新号に心房細動がんの関係の関係に関する総説が掲載されています。
膨大ですので、エッセンスだけまとめます。
・がん患者において心房細動が診断される頻度が増加している。特に手術後の患者
・心房細動患者の2,4%にがんが合併
・がんと診断された患者の1.8%に心房細動が新たに発症
・新たに診断された患者では、血栓塞栓症は非がん患者の2倍、心不全は6倍
・これは、共通の生体内環境、腫瘍の直接的影響、手術や薬物による合併症ーーなどが機序として考えられる
・共通の分母としては炎症があげられる
・担がん患者の抗凝固療法はチャレンジングである
・がんは塞栓症、出血両者を増加させるからである
・CHADS2スコアは予測には適用されない
・出血リスクが高く単純に抵抗できない
・まずHAS-BLEDスコアで評価し、低出血リスクの場合にCHA2DS2-VAScスコアを適応する
・エビデンスがないので個々の対応を迫られる
・非がん患者対象のガイドラインや既存がん患者のエビデンスを参考にしながら行う
###がん患者さんというくくりで心房細動を考えたことは、ありませんでした。
しかし、最近他院から心房細動で紹介されてくる方の中にがん患者さんや、腫瘍専門医からの紹介が増えていることを実感します。
単に患者さんの高齢化とも思っていましたが、やはり共通の病態を考えるべきなのです。
抗凝固療法はたしかにやりにくいですが、そのがんがどのくらいのアクティビティで、塞栓と出血のリスクがどの程度なのか、について腫瘍内科あるいは、専門医としっかり連携を取る必要があると痛感します。
循環器内科医と腫瘍専門医とのコラボも必要な時代です。
NOACはがん患者さんの出血にはワルファリンに比べ、どの程度リスク減少があるのでしょうか?
各RCTはアクティブながん患者は除外基準に入りますので、なかなか明らかな情報はないかと思います。
ただ抗がん剤との併用は、ワルファリンよりはやりやすいと思われます。
今後注目すべき分野かと思われます。
以下はまとめの概念図です。
Insights Into Onco-CardiologyAtrial Fibrillation in Cancer
Dimitrios Farmakis, MD, et al
J Am Coll Cardiol. 2014;63(10):945-953. doi:10.1016/j.jacc.2013.11.026
【疑問】心房細動とがんの関係は?
JACCの最新号に心房細動がんの関係の関係に関する総説が掲載されています。
膨大ですので、エッセンスだけまとめます。
・がん患者において心房細動が診断される頻度が増加している。特に手術後の患者
・心房細動患者の2,4%にがんが合併
・がんと診断された患者の1.8%に心房細動が新たに発症
・新たに診断された患者では、血栓塞栓症は非がん患者の2倍、心不全は6倍
・これは、共通の生体内環境、腫瘍の直接的影響、手術や薬物による合併症ーーなどが機序として考えられる
・共通の分母としては炎症があげられる
・担がん患者の抗凝固療法はチャレンジングである
・がんは塞栓症、出血両者を増加させるからである
・CHADS2スコアは予測には適用されない
・出血リスクが高く単純に抵抗できない
・まずHAS-BLEDスコアで評価し、低出血リスクの場合にCHA2DS2-VAScスコアを適応する
・エビデンスがないので個々の対応を迫られる
・非がん患者対象のガイドラインや既存がん患者のエビデンスを参考にしながら行う
###がん患者さんというくくりで心房細動を考えたことは、ありませんでした。
しかし、最近他院から心房細動で紹介されてくる方の中にがん患者さんや、腫瘍専門医からの紹介が増えていることを実感します。
単に患者さんの高齢化とも思っていましたが、やはり共通の病態を考えるべきなのです。
抗凝固療法はたしかにやりにくいですが、そのがんがどのくらいのアクティビティで、塞栓と出血のリスクがどの程度なのか、について腫瘍内科あるいは、専門医としっかり連携を取る必要があると痛感します。
循環器内科医と腫瘍専門医とのコラボも必要な時代です。
NOACはがん患者さんの出血にはワルファリンに比べ、どの程度リスク減少があるのでしょうか?
各RCTはアクティブながん患者は除外基準に入りますので、なかなか明らかな情報はないかと思います。
ただ抗がん剤との併用は、ワルファリンよりはやりやすいと思われます。
今後注目すべき分野かと思われます。
以下はまとめの概念図です。
by dobashinaika
| 2014-03-14 23:57
| 心房細動:リアルワールドデータ
|
Comments(0)
土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
S | M | T | W | T | F | S |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 |
筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
カテゴリ
全体インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
Covid-19
未分類
タグ
日本人(44)ケアネット(40)
どばし健康カフェ(35)
高齢者(32)
リバーロキサバン(29)
リアルワールド(28)
新規抗凝固薬(25)
ガイドライン(25)
ダビガトラン(24)
アドヒアランス(23)
CHA2DS2-VAScスコア(21)
ワルファリン(21)
共病記(20)
ESC(20)
心不全(19)
カテーテルアブレーション(18)
無症候性心房細動(14)
認知症(14)
頭蓋内出血(13)
消化管出血(13)
ブログパーツ
ライフログ
著作
プライマリ・ケア医のための心房細動入門 全面改訂版
編集
最近読んだ本
最新の記事
ヨーロッパ心臓病学会の新しい.. |
at 2024-09-01 23:53 |
心房細動とHFrEF:昔から.. |
at 2024-08-18 21:39 |
AF burden :新たな.. |
at 2024-08-15 14:46 |
高齢の心房細動患者における2.. |
at 2024-06-25 07:25 |
2024年JCS/JHRS不.. |
at 2024-03-21 22:45 |
日本独自の新しい心房細動脳梗.. |
at 2024-03-17 22:31 |
心房細動診療に残された大きな.. |
at 2024-01-03 23:00 |
東日本大震災と熊本地震におけ.. |
at 2024-01-02 16:11 |
脳梗塞発症後の心房細動患者に.. |
at 2024-01-01 18:41 |
ACC/AHAなどから202.. |
at 2023-12-10 23:12 |
検索
記事ランキング
最新のコメント
血栓の生成過程が理解でき.. |
by 河田 at 10:08 |
コメントありがとうござい.. |
by dobashinaika at 06:41 |
突然のコメント失礼致しま.. |
by シマダ at 21:13 |
小田倉先生、はじめまして.. |
by 出口 智基 at 17:11 |
ワーファリンについてのブ.. |
by さすけ at 23:46 |
いつもブログ拝見しており.. |
by さすらい at 16:25 |
いつもブログ拝見しており.. |
by さすらい at 16:25 |
取り上げていただきありが.. |
by 大塚俊哉 at 09:53 |
> 11さん ありがと.. |
by dobashinaika at 03:12 |
「とつぜんし」が・・・・.. |
by 11 at 07:29 |
以前の記事
2024年 09月2024年 08月
2024年 06月
2024年 03月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 08月
2023年 06月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月